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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
平和的な生活 1
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チュンチュン。
まぶしく暖かい光と小鳥のリズミカルな鳴き声が、意識を少しだけ覚めさせる。
チュンチュン。
しかし覚めたはずなのだが、そのぬくもりとさらに聞こえてきた小鳥のさえずりが子守唄のようにまた眠りの楽園へと誘おうとする。
チュンチュン。
今日は朝に写本を納品しようと思ったけど、たまにはゆっくり行くのも悪くないよなぁ。
ハッハッ。
昼に行こ………う……か…な………。
クーン。
……………………………。
は!? 違う鳴き声がする。明らかに鳥じゃない!
眠気で気づくのが遅れたが、何か四足の生物が布団を挟んで腹の上に乗っかってる。
目を開けないのを良いことに、もふもふした物体で頬を触りだしたよこいつ!
日の光と違うあったかい吐息が顔に吐かれる。
昨日施錠してなかったか!?!?
寝起きの脳はなかなか動き出さない。そもそもベッドに向かうまでの記憶が抜けている。
四足生物の真相を確かめるため、目をゆっくりと開けると………
犬だ。日光に白い毛が反射して全体がきらきらしている。足は短いが口元のたくましいひげがまたなんともいえない貴賓を放っていて貴族を彷彿させる犬だ。
「クーン」
甘えた鳴き声を出しながら顔をなめてきた。人に慣れてる、飼い犬のようだ。
じゃあ、主人はどこにいる?
部屋には誰もいない。困ったな。いても気味悪いけど……。
若い店員さんに預けよう。そのためにも、
「降りてくれないかな?」
「ワン!」
……………………。肯定の意味ではなく、ただ俺の言葉に反応しただけだ。動く気配すらない。
ここが自分のテリトリーだと主張しているようなつぶらな瞳。
仕方ない。
短く息を吸い、腹筋の要領で高速で起き上がる。速さに驚いた犬は慌てて床に飛び降りた。
「ごめんな、すぐに飼い主さんの元に返すから」
「グルルルルルルルッッッッ!!!」
テリトリーを奪われた犬はご機嫌斜めのご様子。
俺、悪くないよね?
犬の威嚇を無視し、抱き上げるために両手を近づけようと伸ばすと、
「ガァァァァァァァァァァ!!!」
吠えられた。刹那、犬が視界から一気に遠くへ行く。
そして背中から強い衝撃を浴びた。しかしとどまることなく、金具が壊れる音と共にさらに視界から犬が遠ざかる。
ようやく二度目の骨に届くような威力を浴びたところで物理的加速は停止した。
まぶしく暖かい光と小鳥のリズミカルな鳴き声が、意識を少しだけ覚めさせる。
チュンチュン。
しかし覚めたはずなのだが、そのぬくもりとさらに聞こえてきた小鳥のさえずりが子守唄のようにまた眠りの楽園へと誘おうとする。
チュンチュン。
今日は朝に写本を納品しようと思ったけど、たまにはゆっくり行くのも悪くないよなぁ。
ハッハッ。
昼に行こ………う……か…な………。
クーン。
……………………………。
は!? 違う鳴き声がする。明らかに鳥じゃない!
眠気で気づくのが遅れたが、何か四足の生物が布団を挟んで腹の上に乗っかってる。
目を開けないのを良いことに、もふもふした物体で頬を触りだしたよこいつ!
日の光と違うあったかい吐息が顔に吐かれる。
昨日施錠してなかったか!?!?
寝起きの脳はなかなか動き出さない。そもそもベッドに向かうまでの記憶が抜けている。
四足生物の真相を確かめるため、目をゆっくりと開けると………
犬だ。日光に白い毛が反射して全体がきらきらしている。足は短いが口元のたくましいひげがまたなんともいえない貴賓を放っていて貴族を彷彿させる犬だ。
「クーン」
甘えた鳴き声を出しながら顔をなめてきた。人に慣れてる、飼い犬のようだ。
じゃあ、主人はどこにいる?
部屋には誰もいない。困ったな。いても気味悪いけど……。
若い店員さんに預けよう。そのためにも、
「降りてくれないかな?」
「ワン!」
……………………。肯定の意味ではなく、ただ俺の言葉に反応しただけだ。動く気配すらない。
ここが自分のテリトリーだと主張しているようなつぶらな瞳。
仕方ない。
短く息を吸い、腹筋の要領で高速で起き上がる。速さに驚いた犬は慌てて床に飛び降りた。
「ごめんな、すぐに飼い主さんの元に返すから」
「グルルルルルルルッッッッ!!!」
テリトリーを奪われた犬はご機嫌斜めのご様子。
俺、悪くないよね?
犬の威嚇を無視し、抱き上げるために両手を近づけようと伸ばすと、
「ガァァァァァァァァァァ!!!」
吠えられた。刹那、犬が視界から一気に遠くへ行く。
そして背中から強い衝撃を浴びた。しかしとどまることなく、金具が壊れる音と共にさらに視界から犬が遠ざかる。
ようやく二度目の骨に届くような威力を浴びたところで物理的加速は停止した。
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