断罪のアベル

都沢むくどり

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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌

TIPS フレデリカ先生の魔術講座 五大属性について

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※この話は本編開始より二月前でまだ後継者争いが始まっていないため、本拠地にしている場所近辺に住んでいる、検査を受けて、魔術の資質のある子達に魔術を教える講座が開かれている。








「はーい! みんな注目! 今日から君たちに魔術とはなんたるかを教えるフレデリカだよ! みんなは魔術の才能があるから頑張って勉強してね! 実力があれば出世だって夢じゃないよ!」

「「「「「「はーい! フレデリカせんせーい!」」」」」」

 とても元気な声が町の中央広場に響く。それに続くさらなる元気な子供たちの声。

 先生と呼ばれたフレデリカが笑顔を振り撒く。どうやら師匠と呼ばれるのが嬉しいようだ。

 短く切り揃えた水色の髪にトパーズのような色をした瞳。服は地味な黒いワンピース。

(今日はあんまり派手に着飾らないほうがいいよね?)

 彼女はフレデリカ⚫ヴァルテシモ。名字から分かるように、ヴァルト家の師家の一つ、ヴァルテシモ家の一員だ。

「せんせーい、じゅぎょーしようよー!  わたし、魔術のおべんきょうはやくしたい!」

 活発そうな女の子が手をぶんぶん振り回しながらフレデリカに催促する。

「はいはい、じゃあ今日ははじめての授業だし、一番大切なことからやってみようか! 私が話してる間はおしゃべり禁止、質問時間をたびたび用意するから、わからないことがあったらその時聞いてね!」

「「「「「「はーい!」」」」」」

「じゃあまず、この絵を見て」

 先程までとは一転、顔を引き締めて真面目モードになったフレデリカ。

 取りだし、広場にある木製の掲示板に張り付ける。町の長と話し合って、しばらく使わせてもらうことが許可された為、他の掲示物はない。

「ここにある五つの色をした玉があるよね? これは、生まれたときにどの生き物にも付く因子、つまり生まれつきのものを分かりやすく図にしたものだよ。赤色、緑色、茶色、黄色、水色。ここで私から質問! これを見て何かピンと来る子はいるかな?」

 ここで生徒の反応を伺う。ただ流しで教えるだけなら、字さえ読めれば本を与えればいい。だが、自主性がなければなかなか身に付かない。受動ではなく能動。ヴァルトの教えはベルギウスの貴族や富裕層の民衆が通う大学での座学と違い、知識ではなくを試すところから、教える生徒を測る。

「「「はい!」」」

 半数近くが手を挙げる。挙げなかった子供は、本当に分からないか恥ずかしいからなのだろう。そうであっても非難はしない。

 なぜなら、それは本人の自由を尊重するからだ。魔術が使えるのは、この先の人生に有益をもたらすが、彼らはそれ以外の道を選びたい場合もある。

 ただ、素質があるからといって、無理矢理詰め込んでは可哀想だ。

 無論、

(まぁ、この子たちはヴァルト家じゃないから気楽でいいけどね)

「じゃあそこの君、答えて!」

「はーい!」

 さっきの活発そうな女の子を指名する。

「えーと、五大属性!」

「正解! えらいね、どこで知ったの?」

「何かの絵本に書いてあったから、何となく」

 うーんと首をひねりながら、女の子は答えた。

「そう、彼女が言ったようにこれは世界の理のほとんどをしめる五大属性というものだよ。みんなも生まれたときに因子っていうのを持ってるんだけど、その代表例だね。赤は火、緑は風、茶は土、黄は雷、水色はそのまま水のこと。正式名称は難しいけど、さっきいった順番で火炎、風激、土石、雷鳴、凍水」

 と、一度呼吸を挟んで、

「相性は、火炎が風激に、風激が土石に、土石が雷鳴に、雷鳴が凍水に、凍水が火炎に強いよ! 次から必要になるから、ちゃんと覚えてきてね! 最後に質問をとるけど、何か聞きたいことはあるかな?」

 すると、先程発言した女の子が真っ先に手をあげた。それに続いて、他の子供も手をあげる。

 (連続で同じ子を指名するのも、他の子にわるいからなぁ。次はあの子にするか)

 見た目的にも理知的な眼鏡をかけた男の子を指名する。

「基本魔術について深く知りたいのですが今日は教えないんですか?」

 まだ8か9くらいなのに、他の子供とは違い、敬語も丁寧だ。基本的に町に暮らす子供は語彙力と言う点で、あまり言葉遣いは良くないのだが、この子は違った。

(町役場に勤める職員の子供かな? グランドル家やベネット商会の息がかかってないのは、見れば明白だけど)

「ごめんね! それは次回やるから、今日は勘弁ね!」

「そうですか…………」

 本当に残念そうに呟いたあと、椅子に座った。活発そうな女の子も、

「えーー! 今すぐ教わりたいなぁ、せんせい、ダメなの?」

 知識欲望が旺盛そうな二人。対称的な性格だが、根幹は似ているのかもしれない。今期の生徒はあの二人が最後まで残りそうだ。

(ヴァルテシモ家の一人としては、最後まで残ってほしいなぁ。いや、そうでなくては困るんだよね…………)

「ごめんね、これから用事があるから。じゃあ、短い時間で申し訳ないけど、今日はここまで! 明日の授業は基本魔術について少しやるから、それまでに今日の復習をするんだよ!」

 かくして、フレデリカ先生による授業は開始された。
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