64 / 190
新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
TIPS フレデリカ先生の魔術講座 五大属性について
しおりを挟む
※この話は本編開始より二月前でまだ後継者争いが始まっていないため、本拠地にしている場所近辺に住んでいる、検査を受けて、魔術の資質のある子達に魔術を教える講座が開かれている。
「はーい! みんな注目! 今日から君たちに魔術とはなんたるかを教えるフレデリカだよ! みんなは魔術の才能があるから頑張って勉強してね! 実力があれば出世だって夢じゃないよ!」
「「「「「「はーい! フレデリカせんせーい!」」」」」」
とても元気な声が町の中央広場に響く。それに続くさらなる元気な子供たちの声。
先生と呼ばれたフレデリカが笑顔を振り撒く。どうやら師匠と呼ばれるのが嬉しいようだ。
短く切り揃えた水色の髪にトパーズのような色をした瞳。服は地味な黒いワンピース。
(今日はあんまり派手に着飾らないほうがいいよね?)
彼女はフレデリカ⚫ヴァルテシモ。名字から分かるように、ヴァルト家の師家の一つ、ヴァルテシモ家の一員だ。
「せんせーい、じゅぎょーしようよー! わたし、魔術のおべんきょうはやくしたい!」
活発そうな女の子が手をぶんぶん振り回しながらフレデリカに催促する。
「はいはい、じゃあ今日ははじめての授業だし、一番大切なことからやってみようか! 私が話してる間はおしゃべり禁止、質問時間をたびたび用意するから、わからないことがあったらその時聞いてね!」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「じゃあまず、この絵を見て」
先程までとは一転、顔を引き締めて真面目モードになったフレデリカ。
取りだし、広場にある木製の掲示板に張り付ける。町の長と話し合って、しばらく使わせてもらうことが許可された為、他の掲示物はない。
「ここにある五つの色をした玉があるよね? これは、生まれたときにどの生き物にも付く因子、つまり生まれつきのものを分かりやすく図にしたものだよ。赤色、緑色、茶色、黄色、水色。ここで私から質問! これを見て何かピンと来る子はいるかな?」
ここで生徒の反応を伺う。ただ流しで教えるだけなら、字さえ読めれば本を与えればいい。だが、自主性がなければなかなか身に付かない。受動ではなく能動。ヴァルトの教えはベルギウスの貴族や富裕層の民衆が通う大学での座学と違い、知識ではなく己の知識欲を試すところから、教える生徒を測る。
「「「はい!」」」
半数近くが手を挙げる。挙げなかった子供は、本当に分からないか恥ずかしいからなのだろう。そうであっても非難はしない。
なぜなら、それは本人の自由を尊重するからだ。魔術が使えるのは、この先の人生に有益をもたらすが、彼らはそれ以外の道を選びたい場合もある。
ただ、素質があるからといって、無理矢理詰め込んでは可哀想だ。
無論、才能があるヴァルトの人間なら強制的にでも覚えさせられるが。
(まぁ、この子たちはヴァルト家じゃないから気楽でいいけどね)
「じゃあそこの君、答えて!」
「はーい!」
さっきの活発そうな女の子を指名する。
「えーと、五大属性!」
「正解! えらいね、どこで知ったの?」
「何かの絵本に書いてあったから、何となく」
うーんと首をひねりながら、女の子は答えた。
「そう、彼女が言ったようにこれは世界の理のほとんどをしめる五大属性というものだよ。みんなも生まれたときに因子っていうのを持ってるんだけど、その代表例だね。赤は火、緑は風、茶は土、黄は雷、水色はそのまま水のこと。正式名称は難しいけど、さっきいった順番で火炎、風激、土石、雷鳴、凍水」
と、一度呼吸を挟んで、
「相性は、火炎が風激に、風激が土石に、土石が雷鳴に、雷鳴が凍水に、凍水が火炎に強いよ! 次から必要になるから、ちゃんと覚えてきてね! 最後に質問をとるけど、何か聞きたいことはあるかな?」
すると、先程発言した女の子が真っ先に手をあげた。それに続いて、他の子供も手をあげる。
(連続で同じ子を指名するのも、他の子にわるいからなぁ。次はあの子にするか)
見た目的にも理知的な眼鏡をかけた男の子を指名する。
「基本魔術について深く知りたいのですが今日は教えないんですか?」
まだ8か9くらいなのに、他の子供とは違い、敬語も丁寧だ。基本的に町に暮らす子供は語彙力と言う点で、あまり言葉遣いは良くないのだが、この子は違った。
(町役場に勤める職員の子供かな? グランドル家やベネット商会の息がかかってないのは、見れば明白だけど)
「ごめんね! それは次回やるから、今日は勘弁ね!」
「そうですか…………」
本当に残念そうに呟いたあと、椅子に座った。活発そうな女の子も、
「えーー! 今すぐ教わりたいなぁ、せんせい、ダメなの?」
知識欲望が旺盛そうな二人。対称的な性格だが、根幹は似ているのかもしれない。今期の生徒はあの二人が最後まで残りそうだ。
(ヴァルテシモ家の一人としては、最後まで残ってほしいなぁ。いや、そうでなくては困るんだよね…………)
「ごめんね、これから用事があるから。じゃあ、短い時間で申し訳ないけど、今日はここまで! 明日の授業は基本魔術について少しやるから、それまでに今日の復習をするんだよ!」
かくして、フレデリカ先生による授業は開始された。
「はーい! みんな注目! 今日から君たちに魔術とはなんたるかを教えるフレデリカだよ! みんなは魔術の才能があるから頑張って勉強してね! 実力があれば出世だって夢じゃないよ!」
「「「「「「はーい! フレデリカせんせーい!」」」」」」
とても元気な声が町の中央広場に響く。それに続くさらなる元気な子供たちの声。
先生と呼ばれたフレデリカが笑顔を振り撒く。どうやら師匠と呼ばれるのが嬉しいようだ。
短く切り揃えた水色の髪にトパーズのような色をした瞳。服は地味な黒いワンピース。
(今日はあんまり派手に着飾らないほうがいいよね?)
彼女はフレデリカ⚫ヴァルテシモ。名字から分かるように、ヴァルト家の師家の一つ、ヴァルテシモ家の一員だ。
「せんせーい、じゅぎょーしようよー! わたし、魔術のおべんきょうはやくしたい!」
活発そうな女の子が手をぶんぶん振り回しながらフレデリカに催促する。
「はいはい、じゃあ今日ははじめての授業だし、一番大切なことからやってみようか! 私が話してる間はおしゃべり禁止、質問時間をたびたび用意するから、わからないことがあったらその時聞いてね!」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「じゃあまず、この絵を見て」
先程までとは一転、顔を引き締めて真面目モードになったフレデリカ。
取りだし、広場にある木製の掲示板に張り付ける。町の長と話し合って、しばらく使わせてもらうことが許可された為、他の掲示物はない。
「ここにある五つの色をした玉があるよね? これは、生まれたときにどの生き物にも付く因子、つまり生まれつきのものを分かりやすく図にしたものだよ。赤色、緑色、茶色、黄色、水色。ここで私から質問! これを見て何かピンと来る子はいるかな?」
ここで生徒の反応を伺う。ただ流しで教えるだけなら、字さえ読めれば本を与えればいい。だが、自主性がなければなかなか身に付かない。受動ではなく能動。ヴァルトの教えはベルギウスの貴族や富裕層の民衆が通う大学での座学と違い、知識ではなく己の知識欲を試すところから、教える生徒を測る。
「「「はい!」」」
半数近くが手を挙げる。挙げなかった子供は、本当に分からないか恥ずかしいからなのだろう。そうであっても非難はしない。
なぜなら、それは本人の自由を尊重するからだ。魔術が使えるのは、この先の人生に有益をもたらすが、彼らはそれ以外の道を選びたい場合もある。
ただ、素質があるからといって、無理矢理詰め込んでは可哀想だ。
無論、才能があるヴァルトの人間なら強制的にでも覚えさせられるが。
(まぁ、この子たちはヴァルト家じゃないから気楽でいいけどね)
「じゃあそこの君、答えて!」
「はーい!」
さっきの活発そうな女の子を指名する。
「えーと、五大属性!」
「正解! えらいね、どこで知ったの?」
「何かの絵本に書いてあったから、何となく」
うーんと首をひねりながら、女の子は答えた。
「そう、彼女が言ったようにこれは世界の理のほとんどをしめる五大属性というものだよ。みんなも生まれたときに因子っていうのを持ってるんだけど、その代表例だね。赤は火、緑は風、茶は土、黄は雷、水色はそのまま水のこと。正式名称は難しいけど、さっきいった順番で火炎、風激、土石、雷鳴、凍水」
と、一度呼吸を挟んで、
「相性は、火炎が風激に、風激が土石に、土石が雷鳴に、雷鳴が凍水に、凍水が火炎に強いよ! 次から必要になるから、ちゃんと覚えてきてね! 最後に質問をとるけど、何か聞きたいことはあるかな?」
すると、先程発言した女の子が真っ先に手をあげた。それに続いて、他の子供も手をあげる。
(連続で同じ子を指名するのも、他の子にわるいからなぁ。次はあの子にするか)
見た目的にも理知的な眼鏡をかけた男の子を指名する。
「基本魔術について深く知りたいのですが今日は教えないんですか?」
まだ8か9くらいなのに、他の子供とは違い、敬語も丁寧だ。基本的に町に暮らす子供は語彙力と言う点で、あまり言葉遣いは良くないのだが、この子は違った。
(町役場に勤める職員の子供かな? グランドル家やベネット商会の息がかかってないのは、見れば明白だけど)
「ごめんね! それは次回やるから、今日は勘弁ね!」
「そうですか…………」
本当に残念そうに呟いたあと、椅子に座った。活発そうな女の子も、
「えーー! 今すぐ教わりたいなぁ、せんせい、ダメなの?」
知識欲望が旺盛そうな二人。対称的な性格だが、根幹は似ているのかもしれない。今期の生徒はあの二人が最後まで残りそうだ。
(ヴァルテシモ家の一人としては、最後まで残ってほしいなぁ。いや、そうでなくては困るんだよね…………)
「ごめんね、これから用事があるから。じゃあ、短い時間で申し訳ないけど、今日はここまで! 明日の授業は基本魔術について少しやるから、それまでに今日の復習をするんだよ!」
かくして、フレデリカ先生による授業は開始された。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる