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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
口封じの重要さ 3
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月の光がないので、松明片手に村の西側へ歩く。クラリーチェは邸宅でお留守番だ。と言うより寝てる。
「いったい何をするの? あなたが不純な事をしないのをただただ期待するわ」
「…………俺、そんな酷いことするような人間に見えるのか?」
「ふふっ、冗談よ」
手をヒラヒラさせて、カレンは笑う。
「真面目なあなたがそんなことしないのは承知よ。ここまで私を連れてくる理由は、賊についてくらいでしょ」
「あぁ、あの石垣の裏に三人いたよ」
俺達は石垣の裏手に移動する。村からでは畑の作物と石垣のせいでなかなか裏手にいる人間は見つからない場所だ。
「昼間にマルドラフを子供たちとやってたときに見つけた。こう見えても視力が良いんでね」
「? 村の中央からじゃ死角だと思うのだけれど…………」
「影だ」
「影?」
「奴等、石垣があるから大丈夫だろうと思ったんだか、石垣から少し離れた場所にいた。確かに奴等そのものは見えなかったけど、時間帯的に太陽の方角と石垣の配置が俺に味方したんだ」
そう。俺が不自然な影に気づいたのも、運よく太陽の光があってこそである。おまけにその位置はちょうど石垣が無かった。
「あなたって時々、頼もしく見える反面、恐ろしく感じることもあるわ」
「何故?」
「初対面の時、敵が使った武器をいつの間にか回収してたり、今回の一見も。あなたの状況把握、適応能力は常軌を逸しているのかもしれないわ」
大分俺のことを買い被りすぎているカレン。
「一言で表すと…………そうね、暗殺者とか」
「いやいや、旅をしてれば外敵に対する備えはするから。その影響だよ、きっと。俺は凡庸さ」
俺はそんなに優秀ではない。
「あなたがそういうならそういうことにしておくけど…………。ハァ、多分あなたは魔術士においてのランクで自分を測っているんでしょうね。魔術を使えなくとも、あなたは十分優秀よ。自慢しないところはとても好きだけれど、無知な才者ほど可哀想なことはないわよ」
「過大評価だ」
「それに……………………」
俺の返答を無視し、話を切り替える。
「ここで戦った、いえ、殺めたんでしょ? 盗賊を」
「良く分かったな」
「即答……………………ね。そうでなければこんな時間に連れてこないわよ、普通は」
俺のことを色々言っといて、カレンの方が何倍も優秀だろう。
「俺の推測だが、盗賊の頭はそれなり、いや大分頭が回る。だから敵に情報が渡る前にその源を絶っただけだ」
敵の情報を遮断することは、戦況に大きな影響を及ぼす。仕方のないことだ。
「…………。その遺体は?」
俺は現在位置から少し離れた雑草地帯を指差す。
「いくら敵とは言え、そのままにするのも可哀想だから土に還した。村の人達に不用意な混乱を与えるのも嫌だしな。一度雑草のある土の表面だけとって、埋める際に被せて誤魔化してあるよ」
「………そう…………」
グロテスクな表現にもあまり動じないカレン。
「あまり驚かないんだな」
「……………………そんなことないわよ。ただ、戦場の跡地と比べるとまだましだし、私にとって大切な村の人達じゃないから…………」
松明の明かりに照らされたカレンの顔。その青い瞳は深淵を覗いたように暗かった。
少し嫌な事を思い出させたか。
「それで、貴族の御一行様はどうした」
「今日行った二つの村にあいつと四人ずつ配置、残った二人はこの村のゲスト用のあの家よ」
つまりこの村には戦力が4人いるわけか。
「そろそろ帰りましょう、私もう眠いし」
「あぁ、帰」
言葉が止まる。突如として、帰り道の先にあるリトラル村が急速な勢いで燃え始めていた。
「いったい何をするの? あなたが不純な事をしないのをただただ期待するわ」
「…………俺、そんな酷いことするような人間に見えるのか?」
「ふふっ、冗談よ」
手をヒラヒラさせて、カレンは笑う。
「真面目なあなたがそんなことしないのは承知よ。ここまで私を連れてくる理由は、賊についてくらいでしょ」
「あぁ、あの石垣の裏に三人いたよ」
俺達は石垣の裏手に移動する。村からでは畑の作物と石垣のせいでなかなか裏手にいる人間は見つからない場所だ。
「昼間にマルドラフを子供たちとやってたときに見つけた。こう見えても視力が良いんでね」
「? 村の中央からじゃ死角だと思うのだけれど…………」
「影だ」
「影?」
「奴等、石垣があるから大丈夫だろうと思ったんだか、石垣から少し離れた場所にいた。確かに奴等そのものは見えなかったけど、時間帯的に太陽の方角と石垣の配置が俺に味方したんだ」
そう。俺が不自然な影に気づいたのも、運よく太陽の光があってこそである。おまけにその位置はちょうど石垣が無かった。
「あなたって時々、頼もしく見える反面、恐ろしく感じることもあるわ」
「何故?」
「初対面の時、敵が使った武器をいつの間にか回収してたり、今回の一見も。あなたの状況把握、適応能力は常軌を逸しているのかもしれないわ」
大分俺のことを買い被りすぎているカレン。
「一言で表すと…………そうね、暗殺者とか」
「いやいや、旅をしてれば外敵に対する備えはするから。その影響だよ、きっと。俺は凡庸さ」
俺はそんなに優秀ではない。
「あなたがそういうならそういうことにしておくけど…………。ハァ、多分あなたは魔術士においてのランクで自分を測っているんでしょうね。魔術を使えなくとも、あなたは十分優秀よ。自慢しないところはとても好きだけれど、無知な才者ほど可哀想なことはないわよ」
「過大評価だ」
「それに……………………」
俺の返答を無視し、話を切り替える。
「ここで戦った、いえ、殺めたんでしょ? 盗賊を」
「良く分かったな」
「即答……………………ね。そうでなければこんな時間に連れてこないわよ、普通は」
俺のことを色々言っといて、カレンの方が何倍も優秀だろう。
「俺の推測だが、盗賊の頭はそれなり、いや大分頭が回る。だから敵に情報が渡る前にその源を絶っただけだ」
敵の情報を遮断することは、戦況に大きな影響を及ぼす。仕方のないことだ。
「…………。その遺体は?」
俺は現在位置から少し離れた雑草地帯を指差す。
「いくら敵とは言え、そのままにするのも可哀想だから土に還した。村の人達に不用意な混乱を与えるのも嫌だしな。一度雑草のある土の表面だけとって、埋める際に被せて誤魔化してあるよ」
「………そう…………」
グロテスクな表現にもあまり動じないカレン。
「あまり驚かないんだな」
「……………………そんなことないわよ。ただ、戦場の跡地と比べるとまだましだし、私にとって大切な村の人達じゃないから…………」
松明の明かりに照らされたカレンの顔。その青い瞳は深淵を覗いたように暗かった。
少し嫌な事を思い出させたか。
「それで、貴族の御一行様はどうした」
「今日行った二つの村にあいつと四人ずつ配置、残った二人はこの村のゲスト用のあの家よ」
つまりこの村には戦力が4人いるわけか。
「そろそろ帰りましょう、私もう眠いし」
「あぁ、帰」
言葉が止まる。突如として、帰り道の先にあるリトラル村が急速な勢いで燃え始めていた。
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