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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
惨劇 4
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「誰か! 生き残ってないか!!!」
村に到着してすぐに、俺は出来るだけ大きく叫ぶ。
しかし焼ける音が、それを妨害した。
道行く先に、死体の数々。一番手前にあった死体は、昼間にマルドラフをやったガキ大将の骸。矢が脳天に刺さったまま動かなくなっていた。圧力の問題か目が少しでている。見るに耐えないその姿に俺は近くの布を被せた。
「すまない、俺がもっと早く…………真相に気付いていれば……………………」
振り向くことなく、呟く。
時間を巻き戻せないように、死者は嘆いたところで蘇らない。
その事について死霊術があるだろう、と言うバカなやつもいる。
だが、あんなのは蘇生ではない。ふざけるな。
かつて、あの家にいた頃の俺は一度だけ見たことがあった。
確かに腐り果てた肉体は動く。しわがれた声も出る。生きていた頃の仕草もする。
けれど、本人の意思はない。
ただ術者に操られるか動くだけの屍となるかの二択だ。
それをあたかも蘇ったかのように誇張する輩には、時々怒りを覚える。
死霊術は死者に対する冒涜だ。
カレンの邸宅も例に漏れず燃えていた。
クラリーチェが無事だといいのだが。
「クラリーチェ! クラリーチェ!!」
惨状を見る限り、期待を持てぬほどだったが、俺は必死に叫んだ。
もう駄目かと諦めようとした瞬間、
「ク~~~~~ン!!!」
「おぉっっとっと!」
尻尾をブンブン振り回しながら、横から突進された。
「無事だったか!」
「ハッハッ」
必死に俺の手をなめ続けるクラリーチェ。
元気そうでなにより…………、
「その傷はどうした!?」
右脇腹から血がポタ、ポタ、と流れている。深くはないようだが、明らかに人為的に出来た傷だ。
そして、その犯人も前方からやってくる、しかも二人。
「約束が違うのではないですか、騎士の方々?」
「……………………」
甲冑に身を包んだ騎士が、無言で剣を構える。
「カレン様にこの事が伝わらないようにするために俺とクラリーチェを殺すか」
「主君に従うことこそが、騎士の誇りだ」
「ようやく口を開いたか、それに騎士の誇りだと? カレン様が聞いたら怒るぞ」
俺も剣を抜く。隣に座るクラリーチェは今にも相手を食い殺す勢いで吠えた。
「いくぞ、クラリーチェ!! あいつらをぶっ倒す!!!」
「グルァァァァァァァァァァァッッ!」
「騎士の誇りにかけて、いざ参る!」
「邪魔物は消す…主君のためにも……」
村に到着してすぐに、俺は出来るだけ大きく叫ぶ。
しかし焼ける音が、それを妨害した。
道行く先に、死体の数々。一番手前にあった死体は、昼間にマルドラフをやったガキ大将の骸。矢が脳天に刺さったまま動かなくなっていた。圧力の問題か目が少しでている。見るに耐えないその姿に俺は近くの布を被せた。
「すまない、俺がもっと早く…………真相に気付いていれば……………………」
振り向くことなく、呟く。
時間を巻き戻せないように、死者は嘆いたところで蘇らない。
その事について死霊術があるだろう、と言うバカなやつもいる。
だが、あんなのは蘇生ではない。ふざけるな。
かつて、あの家にいた頃の俺は一度だけ見たことがあった。
確かに腐り果てた肉体は動く。しわがれた声も出る。生きていた頃の仕草もする。
けれど、本人の意思はない。
ただ術者に操られるか動くだけの屍となるかの二択だ。
それをあたかも蘇ったかのように誇張する輩には、時々怒りを覚える。
死霊術は死者に対する冒涜だ。
カレンの邸宅も例に漏れず燃えていた。
クラリーチェが無事だといいのだが。
「クラリーチェ! クラリーチェ!!」
惨状を見る限り、期待を持てぬほどだったが、俺は必死に叫んだ。
もう駄目かと諦めようとした瞬間、
「ク~~~~~ン!!!」
「おぉっっとっと!」
尻尾をブンブン振り回しながら、横から突進された。
「無事だったか!」
「ハッハッ」
必死に俺の手をなめ続けるクラリーチェ。
元気そうでなにより…………、
「その傷はどうした!?」
右脇腹から血がポタ、ポタ、と流れている。深くはないようだが、明らかに人為的に出来た傷だ。
そして、その犯人も前方からやってくる、しかも二人。
「約束が違うのではないですか、騎士の方々?」
「……………………」
甲冑に身を包んだ騎士が、無言で剣を構える。
「カレン様にこの事が伝わらないようにするために俺とクラリーチェを殺すか」
「主君に従うことこそが、騎士の誇りだ」
「ようやく口を開いたか、それに騎士の誇りだと? カレン様が聞いたら怒るぞ」
俺も剣を抜く。隣に座るクラリーチェは今にも相手を食い殺す勢いで吠えた。
「いくぞ、クラリーチェ!! あいつらをぶっ倒す!!!」
「グルァァァァァァァァァァァッッ!」
「騎士の誇りにかけて、いざ参る!」
「邪魔物は消す…主君のためにも……」
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