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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
惨劇 5
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「『アルマス・フレイディオ』!」
先に攻勢を仕掛けたのは、騎士の片割れ、話し方が堅っ苦しい方からだ。
その騎士の詠唱と共に、宙で作られた火球が高速で迫る。
「クラリーチェ! 『プロテクティオ』を使え!!」
「ウォーーーーン!」
クラリーチェの遠吠えを合図に、エメラルド色に輝く障壁が出現する。
クラリーチェはカレンと同系統の風激の因子か。この前レイ・プロテクティオを食らったときは痛みで気がつかなかった。
そして火球と障壁が衝突し、けたたましい音が炸裂する。両方とも拮抗している合図だ。
基本的に魔術と魔術がぶつかると属性因子の相性、魔術発動威力、マナの消費量、ウィンディオやアルマス・ウィンディオと言った、魔術のランクが決め手となり、強弱が決定する。
今回の場合は、クラリーチェが風激のプロテクティオ、敵の騎士が火炎のアルマス・フレイディオなので、属性的には不利だ。
しかし、拮抗しあっているところを見ると、クラリーチェの魔術才能はあの騎士以上であることがよく分かる。
「ガァァァァァァァァァァァ!」
するとクラリーチェは突然、レイ・プロテクティオを放ち、そのまま自身が展開していたプロテクティオの方に突進していく。
「な…………」
「やっぱりクラリーチェって特別だな」
アルマス・フレイディオを放った騎士は驚愕し、俺は口角を上げる。
クラリーチェがプロテクティオにぶつかる寸前、プロテクティオがアルマス・フレイディオの力に負けて、砕けた。
そして、弱体化したアルマス・フレイディオにレイ・プロテクティオをぶつけて打ち消す。
主人の命令がなくとも、そこまでの技能を発揮する守護忠犬はまずいないだろう。
「この犬……………………侮れんな」
「だろう?」
俺は相槌と共に斬りかかる。
クラリーチェに視線を集中させている間に俺は既に間合いを詰めていた。
鎧と兜の僅かな首の隙間を狙って、剣で突く。
しかし、鈍い音と振動が剣を阻む。
そして次の瞬間、剣の柄で鳩尾を殴られ、あまりの力に右へ吹っ飛ばされた。
「どうした? お前の力はそんなものか?」
「くっ…………」
痛みを堪えてどうにか立ち上がる。
あの時斬れば良いものを、力量さを示すためにわざと柄で攻撃したか。騎士のプライドはまぁまぁある方だな。
「鎖帷子か……。分厚い鎧の中によく着れたもんだ」
「貴様のような姑息な人間が多用する暗殺術から身を守るためには着るしかあるまい。少し変わっているのは前々から承知だが、まさかカレン様がこのような卑しい輩を配下に加えるとはな」
クソ…………! 俺のような人間との戦いを熟知してるのか。
「カレン様が変わってるだと? 仕えてる者として聞き捨てならないな」
「フ…………何を言う。貴族、騎士とは従う者の血と家格を尊ぶ。ヴァルトならいざ知らず、名も知れぬ地方出身の魔術師の次男。挙げ句の果てに魔術すら使えぬ無能を雇うなどもっての他だ。我らが主も困ったものだ」
ヴァルトに生まれながら、無能の俺を知ったら、ここにいる騎士はなんと反応するだろう?
「…………そろそろ動いてもいいか?」
先程まで黙っていた騎士が口を開く。
「あぁ、多少は腕がたつと思ったが期待はずれだ。共に殺そうぞ」
分が悪い。一旦距離をとらないと……。
「クラリーチェ! 『プロテクティオ』を階段状に張るんだ!」
「クーン!」
本来プロテクティオは壁を作るように縦に張る。
しかし、クラリーチェは俺の考えを即座に理解し、ガラス板をずらしながら重ねるようにプロテクティオの広い平面を下に展開していく。
俺とクラリーチェはすかさずそこに飛び乗り、突破口を開く。俺達が既に通った障壁は即座に解除された。
これで敵に利用される事無くマナの消耗を減らせる。
「プロテクティオをこんなことに使うとは…………、やはり無能でも魔術師の端くれか」
俺に興味を失っていた騎士が再びこちらを凝視する。
但し、その表情は冑で見えない。
先に攻勢を仕掛けたのは、騎士の片割れ、話し方が堅っ苦しい方からだ。
その騎士の詠唱と共に、宙で作られた火球が高速で迫る。
「クラリーチェ! 『プロテクティオ』を使え!!」
「ウォーーーーン!」
クラリーチェの遠吠えを合図に、エメラルド色に輝く障壁が出現する。
クラリーチェはカレンと同系統の風激の因子か。この前レイ・プロテクティオを食らったときは痛みで気がつかなかった。
そして火球と障壁が衝突し、けたたましい音が炸裂する。両方とも拮抗している合図だ。
基本的に魔術と魔術がぶつかると属性因子の相性、魔術発動威力、マナの消費量、ウィンディオやアルマス・ウィンディオと言った、魔術のランクが決め手となり、強弱が決定する。
今回の場合は、クラリーチェが風激のプロテクティオ、敵の騎士が火炎のアルマス・フレイディオなので、属性的には不利だ。
しかし、拮抗しあっているところを見ると、クラリーチェの魔術才能はあの騎士以上であることがよく分かる。
「ガァァァァァァァァァァァ!」
するとクラリーチェは突然、レイ・プロテクティオを放ち、そのまま自身が展開していたプロテクティオの方に突進していく。
「な…………」
「やっぱりクラリーチェって特別だな」
アルマス・フレイディオを放った騎士は驚愕し、俺は口角を上げる。
クラリーチェがプロテクティオにぶつかる寸前、プロテクティオがアルマス・フレイディオの力に負けて、砕けた。
そして、弱体化したアルマス・フレイディオにレイ・プロテクティオをぶつけて打ち消す。
主人の命令がなくとも、そこまでの技能を発揮する守護忠犬はまずいないだろう。
「この犬……………………侮れんな」
「だろう?」
俺は相槌と共に斬りかかる。
クラリーチェに視線を集中させている間に俺は既に間合いを詰めていた。
鎧と兜の僅かな首の隙間を狙って、剣で突く。
しかし、鈍い音と振動が剣を阻む。
そして次の瞬間、剣の柄で鳩尾を殴られ、あまりの力に右へ吹っ飛ばされた。
「どうした? お前の力はそんなものか?」
「くっ…………」
痛みを堪えてどうにか立ち上がる。
あの時斬れば良いものを、力量さを示すためにわざと柄で攻撃したか。騎士のプライドはまぁまぁある方だな。
「鎖帷子か……。分厚い鎧の中によく着れたもんだ」
「貴様のような姑息な人間が多用する暗殺術から身を守るためには着るしかあるまい。少し変わっているのは前々から承知だが、まさかカレン様がこのような卑しい輩を配下に加えるとはな」
クソ…………! 俺のような人間との戦いを熟知してるのか。
「カレン様が変わってるだと? 仕えてる者として聞き捨てならないな」
「フ…………何を言う。貴族、騎士とは従う者の血と家格を尊ぶ。ヴァルトならいざ知らず、名も知れぬ地方出身の魔術師の次男。挙げ句の果てに魔術すら使えぬ無能を雇うなどもっての他だ。我らが主も困ったものだ」
ヴァルトに生まれながら、無能の俺を知ったら、ここにいる騎士はなんと反応するだろう?
「…………そろそろ動いてもいいか?」
先程まで黙っていた騎士が口を開く。
「あぁ、多少は腕がたつと思ったが期待はずれだ。共に殺そうぞ」
分が悪い。一旦距離をとらないと……。
「クラリーチェ! 『プロテクティオ』を階段状に張るんだ!」
「クーン!」
本来プロテクティオは壁を作るように縦に張る。
しかし、クラリーチェは俺の考えを即座に理解し、ガラス板をずらしながら重ねるようにプロテクティオの広い平面を下に展開していく。
俺とクラリーチェはすかさずそこに飛び乗り、突破口を開く。俺達が既に通った障壁は即座に解除された。
これで敵に利用される事無くマナの消耗を減らせる。
「プロテクティオをこんなことに使うとは…………、やはり無能でも魔術師の端くれか」
俺に興味を失っていた騎士が再びこちらを凝視する。
但し、その表情は冑で見えない。
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