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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
鮮血ヲ食ライシ断罪ノ鎌 3
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霧に包まれた空間の中は静けさを保っている。
歴戦の騎士達は不利と悟ると迂闊に自分の位置を気付かれないように、ある細工を施したのだろう。
魔術による潜伏。
俺の霧血の暴蛇は一定の動きのある敵を足止めして主に位置を知らせる力。
対して、潜伏魔術は自身の気配を完全遮断することで、人間が持つ五感の情報収拾を掻い潜る事が出来る。
だから、今は別系統から攻撃を仕掛ける必要があるな。
俺は霧を抜け、地形を確認。
使えそうなものは……………………。
すると、目の前に白目をむいた守護忠犬がいた。
なんでこんな所にいるのだろうか?
あのクソ貴族の犬だろうか?
まぁいい。とにかく利用させて貰おう。
俺が犬に向けて手をかざすと、
「…………」
犬のいる地面の下に俺の手の甲と同じ紋様が浮かび上がった。
「『散った者の血を代償に………ひとときの間………………我に眷属を与えたまえ…………顕現せよ、憑血の魔犬』!」
手の甲と鎌から血が噴き出す。
その血は犬を覆い隠して一つの怪物に成り果てた。
赤黒い肉体、輝く爪牙、血のよだれを垂らす三つの頭。
大きさで言うとざっと俺の全長の三倍。
憑血の魔犬。
主に敵対する者を断罪する従順なる眷属。
「やれ、憑血の魔犬…」
俺の言葉に憑血の魔犬は従い、霧の中へ走っていく。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッ!!!」
断末魔が鳴り響く。すぐに成果は挙げられた。
しかし、まだまだ敵の人数は貴族を含めば8人。
戦の音色は鳴り止まない。
「『ジェルス・フリーディオ』!」
「『アルマス・ザンディオ』!」
「『スクート・ウィンディオ』! 『レイ・プロテクティオ』!」
三人の騎士達による巧みな連携が憑血の魔犬を迎え撃つ。
まず足元に突如出現した氷が足を凍り付かせて魔犬の四足の動きを完全に封殺。
次に氷に覆われていない部分に雷撃を与えて追加攻撃、魔犬を痙攣させる。
最後に動けなくなった所へ自身を加速させる魔術で移動速度を上げながら、レイ・プロテクティオによる槍での刺突。
「ギャウン!!?」
その槍は魔犬の目の奥、つまり頭の中にまで突き刺さり、怪物の悲鳴が聞こえた。
「やったか!?」
刺突した騎士がすぐさま槍を抜いて後退する。
ここまでの一連の動作、わずか数秒。
普通の人間や、否、兵士でさえこれをかわせるかどうか怪しいほど彼らの連携は完璧だった。
「囲め、囲みながら殺せぇぇぇっっっ!」
ようやく恐怖から立ち直った貴族が号令を発し、
「「「「『スクート・ウィンディオ』! 『レイ・プロテクティオ』!」」」」
貴族、先ほど突撃した一人、俺と言う危険分子を配慮したであろう貴族の護衛二人を除く四人が四方より突撃する。
その状況に俺は動かない。何故なら動く必要が無いからだ。
戦場を飛び交う矢よりも速い高速突撃。
しかし、それらが当たる時間を見計らって、
「ガアアアァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!」
耳を塞ぐほどの轟音が風圧を呼び起こし、四人ごと高く、向かってくる方向とは逆に撥ね飛ばす。
四人とも地面に高い位置から叩きつけられ、体を強く打った。
歴戦の騎士達は不利と悟ると迂闊に自分の位置を気付かれないように、ある細工を施したのだろう。
魔術による潜伏。
俺の霧血の暴蛇は一定の動きのある敵を足止めして主に位置を知らせる力。
対して、潜伏魔術は自身の気配を完全遮断することで、人間が持つ五感の情報収拾を掻い潜る事が出来る。
だから、今は別系統から攻撃を仕掛ける必要があるな。
俺は霧を抜け、地形を確認。
使えそうなものは……………………。
すると、目の前に白目をむいた守護忠犬がいた。
なんでこんな所にいるのだろうか?
あのクソ貴族の犬だろうか?
まぁいい。とにかく利用させて貰おう。
俺が犬に向けて手をかざすと、
「…………」
犬のいる地面の下に俺の手の甲と同じ紋様が浮かび上がった。
「『散った者の血を代償に………ひとときの間………………我に眷属を与えたまえ…………顕現せよ、憑血の魔犬』!」
手の甲と鎌から血が噴き出す。
その血は犬を覆い隠して一つの怪物に成り果てた。
赤黒い肉体、輝く爪牙、血のよだれを垂らす三つの頭。
大きさで言うとざっと俺の全長の三倍。
憑血の魔犬。
主に敵対する者を断罪する従順なる眷属。
「やれ、憑血の魔犬…」
俺の言葉に憑血の魔犬は従い、霧の中へ走っていく。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッ!!!」
断末魔が鳴り響く。すぐに成果は挙げられた。
しかし、まだまだ敵の人数は貴族を含めば8人。
戦の音色は鳴り止まない。
「『ジェルス・フリーディオ』!」
「『アルマス・ザンディオ』!」
「『スクート・ウィンディオ』! 『レイ・プロテクティオ』!」
三人の騎士達による巧みな連携が憑血の魔犬を迎え撃つ。
まず足元に突如出現した氷が足を凍り付かせて魔犬の四足の動きを完全に封殺。
次に氷に覆われていない部分に雷撃を与えて追加攻撃、魔犬を痙攣させる。
最後に動けなくなった所へ自身を加速させる魔術で移動速度を上げながら、レイ・プロテクティオによる槍での刺突。
「ギャウン!!?」
その槍は魔犬の目の奥、つまり頭の中にまで突き刺さり、怪物の悲鳴が聞こえた。
「やったか!?」
刺突した騎士がすぐさま槍を抜いて後退する。
ここまでの一連の動作、わずか数秒。
普通の人間や、否、兵士でさえこれをかわせるかどうか怪しいほど彼らの連携は完璧だった。
「囲め、囲みながら殺せぇぇぇっっっ!」
ようやく恐怖から立ち直った貴族が号令を発し、
「「「「『スクート・ウィンディオ』! 『レイ・プロテクティオ』!」」」」
貴族、先ほど突撃した一人、俺と言う危険分子を配慮したであろう貴族の護衛二人を除く四人が四方より突撃する。
その状況に俺は動かない。何故なら動く必要が無いからだ。
戦場を飛び交う矢よりも速い高速突撃。
しかし、それらが当たる時間を見計らって、
「ガアアアァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!」
耳を塞ぐほどの轟音が風圧を呼び起こし、四人ごと高く、向かってくる方向とは逆に撥ね飛ばす。
四人とも地面に高い位置から叩きつけられ、体を強く打った。
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