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上弦の章 帝国内乱
働き稼ぎ、食して寝る 1
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「はい! 規定の量をこなせましたので、報酬の9000ウォルスです」
「ありがとうございます!」
受付のナツメさんから金の入った袋を受けとり、俺は勤労の喜びに浸っていた。
その日稼いだお金を持って、ギルドの酒場に直行する。
「ご注文は?」
「黒パンと野菜くずのスープで!」
規則的な健康生活、自ら汗水垂らして頑張って稼いだお金を消費して、空だった胃袋を満たす。
「旨い……………………」
例え1500ウォルスの安価な食事(値段は黒パン二つで1200、スープ300)であっても、からだ全体に染み渡る味。
お腹を空かせたからこそ味わえる感覚。
「幸せだ……………………」
余韻に身を任せる。
食欲を満たされた俺は、体を清めるために大衆浴場へ向かった。
「一人」
「んじゃ、2000ウォルスで」
「はいよ」
今日の収入からすると、贅沢ではあるが、俺は働いた後は浴場を毎回利用する。
庶民が毎日風呂に入ったらお金が大変だって?
俺は基本的に私物は少ないし、浪費癖はないので大丈夫だ。
始めこそ帝都の宿の高さに驚いたが、あれからもう2ヶ月、月は右半分ほど顔を見せる紅い上弦の月と黄色の聖月だ。
しかも、なんと言っても一番大きい節約は天使カレン様のおかげで馬小屋をタダで貸して貰っている事。
と言っても、今は使われていない朽ちかけの小屋だったが……………………。
馬小屋を新しく建てた際に、屋敷の端にあった古い方は利便性も悪く、そのままにしたそうな。
「ふぅ」
熱い湯が疲れを癒し、俺は耳を澄ませた。
ある人達は、
「最近物価が上がったよな」
「黒パンが高すぎて生活がカツカツ…………ガキ三人と女房を食わしていかないといけねぇからなぁ。借宿暮らしは辛いぜ」
「まあまあ、三人もいるならその内働かして食い扶持入れさせればいいだろ?」
「そりゃ高い本を買って読み書き覚えさせるよりも力仕事させた方が速く金になるしな、当たり前よ!」
物価について話していたり、
「おい、さっきの若いの、背中の骨をなぞるような大きな切り傷無かったか?」
「あぁ、騎士のご子息様とかで、怪我でもしたんだろ。帝都周辺では大規模な戦が無いとはいえ、賊は時々出るし。それにどこかの村も焼けたらしいな」
背中に傷を負った人についてヒソヒソと話している。
浴場とは人が集まる場所。俺は体を洗いに来たついでに何か有力な情報が流れていないか耳を全方位に集中させる。
まぁ物価の話くらいか。後はリトラル村の件について軽く…………。
他に目ぼしい話は聞こえなかった。
チャプ、チャプ。
誰かがこちらに向かって歩み寄ってくる。
「よう、兄ちゃん!」
中年の男がずかずかと俺の隣に座る。
「奇遇…………なのかな」
「おうよ、運命の再会ってやつだ」
その男は誇張して言う。
「あちこちの村とか町に行って特産物を仕入れた帰りだ、これからまたしばらく帝都に滞在する予定だが兄ちゃんはどうなんだ? もう慣れたか?」
そう、この男は御者のおっさん。
過去に2回ほど会っている。
「まぁ、来たときは卒倒するほど物価に驚いたけど、仕事も見つかってほぼ毎日浴場へ来られるくらいには稼げてるな」
「確かにそれくらいなら羽振りは良さそうだ。やっぱ文字が読めて書けると引く手あまたなんじゃないか? 特にギルドとか」
今の会話からおっさんは俺がギルドに所属しているかと鎌をかけてきた。
やっぱり侮れないな。
「それなりには…………な」
俺は言葉を濁す。
別にこのおっさんを疑ってる訳じゃないが、念のため。
「なぁ兄ちゃん、これから一杯飲みにどうだい?」
風呂に長く浸かってたので小腹まではいかないまでも、少しは何か入りそうだ。
「前に約束してたな、勿論行こう」
以前カレンを宥めたときに軽い調子で飯の約束をしたことは覚えている。
今回は酒だが、つまみを食べる名目で飯と言うことにしよう。
「んじゃ、上がるとしますか」
俺達は浴場を後にした。
「ありがとうございます!」
受付のナツメさんから金の入った袋を受けとり、俺は勤労の喜びに浸っていた。
その日稼いだお金を持って、ギルドの酒場に直行する。
「ご注文は?」
「黒パンと野菜くずのスープで!」
規則的な健康生活、自ら汗水垂らして頑張って稼いだお金を消費して、空だった胃袋を満たす。
「旨い……………………」
例え1500ウォルスの安価な食事(値段は黒パン二つで1200、スープ300)であっても、からだ全体に染み渡る味。
お腹を空かせたからこそ味わえる感覚。
「幸せだ……………………」
余韻に身を任せる。
食欲を満たされた俺は、体を清めるために大衆浴場へ向かった。
「一人」
「んじゃ、2000ウォルスで」
「はいよ」
今日の収入からすると、贅沢ではあるが、俺は働いた後は浴場を毎回利用する。
庶民が毎日風呂に入ったらお金が大変だって?
俺は基本的に私物は少ないし、浪費癖はないので大丈夫だ。
始めこそ帝都の宿の高さに驚いたが、あれからもう2ヶ月、月は右半分ほど顔を見せる紅い上弦の月と黄色の聖月だ。
しかも、なんと言っても一番大きい節約は天使カレン様のおかげで馬小屋をタダで貸して貰っている事。
と言っても、今は使われていない朽ちかけの小屋だったが……………………。
馬小屋を新しく建てた際に、屋敷の端にあった古い方は利便性も悪く、そのままにしたそうな。
「ふぅ」
熱い湯が疲れを癒し、俺は耳を澄ませた。
ある人達は、
「最近物価が上がったよな」
「黒パンが高すぎて生活がカツカツ…………ガキ三人と女房を食わしていかないといけねぇからなぁ。借宿暮らしは辛いぜ」
「まあまあ、三人もいるならその内働かして食い扶持入れさせればいいだろ?」
「そりゃ高い本を買って読み書き覚えさせるよりも力仕事させた方が速く金になるしな、当たり前よ!」
物価について話していたり、
「おい、さっきの若いの、背中の骨をなぞるような大きな切り傷無かったか?」
「あぁ、騎士のご子息様とかで、怪我でもしたんだろ。帝都周辺では大規模な戦が無いとはいえ、賊は時々出るし。それにどこかの村も焼けたらしいな」
背中に傷を負った人についてヒソヒソと話している。
浴場とは人が集まる場所。俺は体を洗いに来たついでに何か有力な情報が流れていないか耳を全方位に集中させる。
まぁ物価の話くらいか。後はリトラル村の件について軽く…………。
他に目ぼしい話は聞こえなかった。
チャプ、チャプ。
誰かがこちらに向かって歩み寄ってくる。
「よう、兄ちゃん!」
中年の男がずかずかと俺の隣に座る。
「奇遇…………なのかな」
「おうよ、運命の再会ってやつだ」
その男は誇張して言う。
「あちこちの村とか町に行って特産物を仕入れた帰りだ、これからまたしばらく帝都に滞在する予定だが兄ちゃんはどうなんだ? もう慣れたか?」
そう、この男は御者のおっさん。
過去に2回ほど会っている。
「まぁ、来たときは卒倒するほど物価に驚いたけど、仕事も見つかってほぼ毎日浴場へ来られるくらいには稼げてるな」
「確かにそれくらいなら羽振りは良さそうだ。やっぱ文字が読めて書けると引く手あまたなんじゃないか? 特にギルドとか」
今の会話からおっさんは俺がギルドに所属しているかと鎌をかけてきた。
やっぱり侮れないな。
「それなりには…………な」
俺は言葉を濁す。
別にこのおっさんを疑ってる訳じゃないが、念のため。
「なぁ兄ちゃん、これから一杯飲みにどうだい?」
風呂に長く浸かってたので小腹まではいかないまでも、少しは何か入りそうだ。
「前に約束してたな、勿論行こう」
以前カレンを宥めたときに軽い調子で飯の約束をしたことは覚えている。
今回は酒だが、つまみを食べる名目で飯と言うことにしよう。
「んじゃ、上がるとしますか」
俺達は浴場を後にした。
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