断罪のアベル

都沢むくどり

文字の大きさ
112 / 190
上弦の章 帝国内乱

反ベルギウス帝国勢力の武装蜂起

しおりを挟む
 国土の境界線が隣接してから従った国。

 地図上では帝国の国土だが、反発を続ける異種族。

 小国ながらも独立を保っていた勢力。

 これらの勢力はある一件を経て、帝国に対する態度を変えようとしていた。

 そう。言わずと知れた、ベルギウス帝国大将軍であるユリアス・フォン・シュタインの不戦敗だ。

 それに加え、アレクスター王国の滅亡。

 ドラグニア竜王国に対する防波堤、真人ヒューマム国家の盾だったアレクスター王国が地図から消えたことで、ベルギウス帝国は南方に対する備えをさらに強化せざる終えなくなった。

 不戦協定を締結しているとは言え、国家間の約束など情勢次第でどうとでも変わる。

 真人ヒューマムの10倍以上の戦力を1体で有する蜥蜴人リザードル達が押し寄せて来る事を想像してみると良い。

 さらに、彼らには対軍勢用生物兵器、ファフニールとバハムートと呼ばれる化け物を保有している。

 まさに地獄だ。それに伴い、ヴァルトもそちらに戦力を割くことになるだろう。

 しかし、ベルギウス帝国にとっては災厄でも、反逆の狼煙や帝国に攻めいる者達にとっては絶好の機会だ。

 ここを逃して何とする。

 ある場所では、

「今こそ定住に慣れた弱者共を切り伏せるぞ! このダイダル・ダンに続けぇぇぇ!!」

 西方の遊牧民の王が叫び、

「我らの住む森を時が流れるごとに根こそぎ奪い、幼き娘ですら慰み者にして殺す。これが許せるか。時は来た。森の呪いを知るが良い…………」

 心のそこから恨みを抱く森人エルフの族長が呟き、

「中央から離れた場の我らは有利だ。ヴァリエロンを治めている部外者をなぶり殺し、長年この地を支配している我らの手へ!」

 帝国、特に東の辺境伯に従っていた豪族の結集勢力が吼える。

 彼らはそれぞれの思惑の為に、帝国に対し、直接的にあるいは間接的に進撃を開始する。

 そして、

「…………このままではシュタイン家が平民上がりのウリヤノフに滅ぼされる。ならば、最後まで足掻いて見せようではないか…………」

 ある人物は、目の前にいる獄中の人物を見つめる。

「シュ、シュタイン郷よ……。私は何も王位などいらぬ。国政に出ずとも、平和的に暮らせればそれで良いのだ。外へ出してくれ…………」

(ふん、今まで贅沢に生かしてやったのだ。これくらいの恩は返せ) 

 帝国の中枢でも不安の火種が大火に変わった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 各勢力の行動
 
①遊牧民の王 ダイダル・ダン

 ベルギウス帝国西端(手始めに小都市郡バライ)へ向け、進軍。その後の目標はもちろん、帝都。

森人エルフの族長

 帝都東に位置する広大な森の八層(奥の奥)、及び帝国内の至るところにあるエルフの森より、奪われた居住区(森)の奪還の為に、森から森へ進軍開始。

③東の辺境伯に従っていた豪族結集勢力

 ヴァリエロンを治めているレスト家を滅ぼす為に、ベルギウス帝国より爵位を貰った豪族、グロース・ローウェルを旗頭に、ヴァリエロンへ侵攻しようとチャンスをうかがっている。

④ユリアス・フォン・シュタイン

 国内三大勢力(特にジーク・グランドル)からの暗殺に怯え、ユリアスに前々から庇護を要請し、匿われていたベルギウス皇帝の末弟、テオドール・ベルギウス大公(9歳)を幽閉し、大義名分の材料として利用。

 ただし、攻めいるよりもなぜか籠城の構えを見せているが、ウリヤノフそのものに対して何か思い入れがあるのかもしれない。むしろ、誘い込むつもりか。

⑤ドラグニア竜王国

 沈黙を決め込んでいる。

 それは果たして不戦協定のためか、攻撃するための準備かは謎。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...