どーでもいいからさっさと勘当して

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幸せのかたち

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 昔、昔のこと。

「お兄さま、あたしもいっしょ、だめ?」
「いいよ。おいで、ヒルダ」

 セシルは首をかしげてとことこやって来たヒルダに相好を崩して、隣の子ども椅子を勧めた。ちょこんとお辞儀して座るのがなんとも言えず可愛い。齢十一歳にして家庭教師を感嘆せしめるセシルであっても、可愛い以外の語彙が出てこない。その教師が来るまで時間があったから、見た目は落ち着いていてもそわそわしているヒルダの、あかがねに光る柔らかい髪をいじった。
 周りがいつもうるさいけれど、セシルはこの夕焼けのような色が好きだった。

「お待たせしました、セシルさま……おや、お嬢さま」

 家庭教師は戸惑っていたけれど、ヒルダが挨拶して、お話だけでも聞かせてくださいと言うと、いいですよ、と頷いた。

「ですが、難しいですよ?」
「が、がんばり、ます」

 緊張しているヒルダもまた可愛い。教師はどうせすぐに飽きるだろうと思ったのか、これまで習ったことのおさらいから、とんとんとペースを緩めず進めていった。一応一番始めからさらっていったところだけが気遣いだろうか。文字を覚えたてでまだ早く書けないヒルダは真剣に話を聞いて、ふんふんと頷き、時に首をかしげ、とにかく一生懸命で、飽きもしなかった。
 教師も終わる頃には感心したような顔をしていた。

「ヒルディアお嬢さまも、こういったことがお好きで?」

 内容は領主教育のそれだ。家を継がない者ならまず学ばない内容を聞いた小さなヒルダは、顔が真っ赤になっていた。たぶん、頭に詰め込みすぎている。

「あたし、お兄さまみたいになりたいのです。アデルも守りたいし、あたしががんばれば、お父さまも、安心、できるかなって」
「お嬢さま……」

 感極まった教師がその足でセシルたちの父に報告すると、なぜかヒルダが叱責される羽目になった。
 教師の名誉のために言っておくと、彼はただの善意、それもヒルダのためを思って教育を勧めた。激怒した方がおかしかった。ヒルダは父に滅多になく怒られて泣いていたものの、納得しないと頑固な子でもある。そう、セシルの目から見ても、父の言葉に説得力は欠片もなかった。それくらい意味不明な叱責だったのだ。

 その後もヒルダがセシルの部屋に来ると、怒られたことを知らない教師はにこやかに受け入れてくれた。しかし、やがてアデルがそのあとをついてくると、こっそり勉強していたことが両親にばれて、ヒルダは部屋から摘まみ出されてしまった。
 戸惑っていた教師に叱責のことを教えると、顔が歪んで、肩が落ちた。私のせいで、とこぼされた言葉にセシルは「違います」と声を張った。

「違いません。学ぶ機会を、私が下手な方法で奪ってしまっていた……。教師失格です」
「……ねえ、先生は、私よりヒルダの方が、いい?」

 これまでセシル相手には淡々としていた教師は、確かにヒルダのために表情を和らげていた。いずれ領地を継ぐ子どもの教育は、どれだけの緊張を強いられるだろう。セシルだけなら、多分一人で学べる。それよりはヒルダの側にいた方が、断然二人のためになるはずだった。

「それは違いますよ、セシルさま」

 一瞬きょとんとしていた彼は、ふわりと微笑んで言い返した。

「あなたは確かに優秀だ。末恐ろしいくらいに。恥を忍んで言いますとね、あんまり態度が冷たいから、私も緊張してたんです。私の話、つまらなかったのかな、と。ですが、ヒルディアさまといると、あなたはずいぶん嬉しそうだった。ほんとは必要ないのにヒルディアさまのためにノートをとり、分かりやすく噛み砕いて理解しようとする。これまでよりも熱心にペンを取ってくれて、教師の私としては嬉しい限りです」

 セシルが真っ赤になると、くすくすと教師は笑った。柔らかく撫でるような声が耳に心地よかった。

「人を思いやれるあなたは、とてもお優しい方だ。侯爵さまが何を心配なされているのはわかりませんが、もう一度、ちゃんと言ってみます」

 次の勉強の日から、彼は二度と姿を見せなくなった。
 新しい教師は、部屋にいるヒルダの存在を許さなかった。

 ヒルダは部屋に来なくなった。












☆☆☆







「セシル!アデルはどこだ!!」

 開口一番にこの怒鳴り声を浴びたセシルは、ただ笑みを深めただけだった。

「どこもなにも、手紙でお伝えしたはずですが?」
「連れ戻せ!なぜ私に黙って勝手な真似をした!?」
「……あなたに言われたくはないですね」

 ここが侯爵家でよかったと言えるだろう。庭が広いから外部の人間にこの大声は聞こえない。至近距離では耳が痛いので、詰め寄られるのに合わせて数歩下がった。

「私に勝手に婚約者の入れ換えやヒルダの勘当を決めたその口で?アデルを激怒させておいて、いまだに反省していないんですか?」
「……何を言ってるんだ?」

 ぴたりと父は足を止めた。虚を突かれた顔で、そうして、首を傾げこそしなかったが、声は呆けていた。

「……ヒルダは自分から出ていったんだ。アデルに婚約者を譲ってくれた。なぜアデルが怒る?」

 心の底からそう思っている口調に、セシルは自分の脳内が真っ白に染まるという貴重な体験を味わった。人並み外れた理知ゆえに「絶氷」と称されるセシルにあるまじき事態だ。

(帯剣していなくてよかった)

 でなければ、今頃目の前には首なし死体がひとつ出来上がっていただろう。

 ……そうだ。あなたたちは一生変わらないのだろう。変わろうとしないのだろう。
 だから、ヒルダの全てを否定したのだ。

「――滑稽なのは、その見た目だけにしてくださいよ」

 冷たい声がセシルの父の頬を打った。息子の唐突な変化に怯む父は、鼻にガーゼを当て、鼻筋から顎まで擦り傷や青い痣が残っている。領地にいる母も、似たようなことになっているだろう。確か鎖骨だったと報告を受けていた。

「アデルがブーツだったことに感謝するべきですよ。その鼻、折れてるんでしょう?ヒールだったら穴が開いていたでしょうね」

 どことは言わないけれど。両親の前でさえ本性を隠していたアデルがそこまでのことをしたその意味に、なぜ気づかないのか。……なぜ、私たちがいつまでもあなたたちに従順だと思ってるんだ。

「アデルは自分の意志で侯爵領を出ました。あなたにわざわざ心配いただかなくとも、安全を確保して学園に通わせています。手紙にもそう書いていたはずですがね。領地でアデルのやらかした後始末を母上に放って、こんなところにいていいんですか?」
「あのアデルが安全なはずがないだろう!王都は危険だとお前の方が知っているはずだ!なぜ送り返さなかった!?」
「……そうですか。そうですよね。自覚していませんよね。だからこんなところにのこのこと来れた。……劣等感をこじらせるのもいい加減にしてくださいよ」
「……何を……言っている?もういい、お前は話にならん。お前の従者はどこだ。使用人は。……そうだ。そういえばヒルダもここにいるのだったな!アデルは異様に懐いていたからな。まさかヒルダが唆したのか!ヒルダはどうせ屋敷の中だろう!」

 ――?唆した?どうせ?懐いていた?

「……だから、私はあなたが大嫌いなんだ」
「……なんだと?」
「みんな休暇中で誰もいませんよ。先触れもなく最低限の礼儀も弁えていないくせに図々しい」

 常に自分たちが正しいと信じている。違うものは異端だと排除する。
『ヒルダ!セシルの邪魔をするな!凡人のお前がそばにいたら、セシルが幸せになれないだろう!』
 天才は孤独だと思っている。だったら寄り添えばいいものを、まともに相対することもできなくて、まっすぐに迷わず近づくヒルダにまた嫉妬して。セシルから稀有な人物を奪っても自覚せず。
 それなら複雑な感情を抱えながらでもぶつかられた方がましだった。ヒルダがいさえすれば、誰だってなんだって受け止められたのだから。

凡人あなたたちごときが、真に天才わたしたちを理解できると思いましたか?」
「なっ……」
「あなたは、いつからヒルダに父上と呼ばれるようになったかも覚えてないんでしょうね。いつからあの子が反抗をやめたのかも。アデルの本性を知らなかったように。ヒルダに、私たちに任せられない汚れ仕事を押しつけているだけ」

 ヒルダは飲み込みが早いわけではなかった。一を聞いて十を知る訳ではなかった。一度聞いたことを覚えることもない。一度で成功したことなどあまりない。
 ただ、我慢強く、負けん気も強い。ヒルダは筋金入りの努力家だった。
 そして、セシルに食らいつこうとするだけではなく、アデルの手本として、淑女としても成長しようとするのが、完璧主義のヒルダらしかった。

 その、全てを否定しながらこの人たちはヒルダを使い潰し、最後にまた否定したのだ。存在ごと。お前などいらないと。
 でも、ヒルダが、あのアデルを妹に持つヒルダが、一方的にやられるだけで済ませる訳がないだろう?

「あなたたちはヒルダに捨てられた。そして、私たちにも捨てられる――この意味がわかりますね?」

 セシルは領の状況を一から順に諳じた。
 元々、王都にいながら領の情報統制が仕事だった。ただの世間話も同じそれに、喚く父の声がどんどん小さくなっていく。
 セシルのように、ヒルダも領地を支えてきた一翼だ。
 例えばサーヴェの婚約者を見繕ったのは侯爵である父だが、実際に婚約誓約書を書いたのはヒルダだ。利害まで全て含めて調整し、婚約の形に整えた。……その男は今頃今頃女性恐怖症になっているのだったか。慰謝料も請求されているそうだ。あれでも子爵家の嫡男だったのに、物理的な不能にはならなかったけど、それに近い状態になったから。
 今や領内の貴族の関係はズタズタだ。何せ治めるべき侯爵もその夫人も、仲介し諌めるだけの能力を息子と娘の人望に寄りかかっているばかりで、衰えさせていたのだから。ヒルダがいなくなるだけならば緩やかに破滅をもたらしただろうが、アデルが車輪を強く蹴ったものだから、一気に状況は悪化。侯爵領宗主の信用はがた落ち、これから多く分裂するだろう。

「――さて。あなたたちに選択肢を与えてあげましょう」

 青ざめて、震えているしかできない父を、滑稽だとセシルは思った。ここに誘き出されたことにも気づいていない道化役。こんな領内の状況に、妻が一人で耐えられるはずがないのに、なんて愚かなのだろう。

「今すぐ隠居するか、ゆっくり終焉を迎えるか。どちらにしてもあなたたちにとっては破滅ですけどね。死に方は選べますよ?」

 懐からぺらりと上質紙を取り出す。そこに記されている人物の名前に目を見開き、父は驚愕した。

「……まさか、お前、王に我が領を売るつもりか!!」
「今はまだ選択肢の段階ですよ。さて、どうします?ちなみに汚名はどのみち着ますよ。『侯爵領を破滅に導いた無能な侯爵』、もう一方を選べば、『王家に侯爵領を売った愚かな侯爵親子』になりますが」

 さあ、どちらを選びますか?





















 引き返していった馬車が見えなくなるまで見送り、屋敷に戻ると、玄関の片隅に従者が立っていた。セシルが使用人に休暇を出したと言ったのは、もちろん嘘だ。だいたい、セシルではなく父に従順だったこの従者が、セシルの監視の任を勝手に投げ出すわけがない。……ただ、ヒルダとアデルがここで暮らすようになってから、他の使用人共々、揺らいできたようだが。

「……賭けは私の勝ちだ。私に従ってもらうよ、シド」
「……かしこまり、ました」

 足を止めず、横目でその青ざめた顔を見る。粉々に崩れ去った「理想的な家族」の幻像に、かなり傷ついているようだった。セシルがあえて手紙に書かなかったヒルダの近況を、賭けの一貫で父に虚偽を交えて報告したのはこの従者だが、よもやここまでとは想像していなかったらしい。

「君は見込みがある。辞めるなら辞めていいけど、少なくともヒルダが寂しがるよ」

 ひどく疲れていた。わずか一時間のやり取りでも毒をもらいすぎたらしい。吐き出せないからなお悪い。

「……食欲がないから、昼食はいらない」

 重い重い息をついて、全身を引きずるように、部屋に帰った。








☆☆☆









 こんこんとノックをされて、執務机でうっすらと目を開けて、セシルは仰天した。窓の外が暗い。
 疼痛の響く頭を押さえつつ「いいよ」と声をかけると、アデルとヒルダをフォード家で見ているはずのアレンが、部屋に飛び込んできた。

「お疲れさん」
「……なんでここに?二人は……」
「ぐっすり眠ってからここに来たんだよ。お前一人だったし。賭けはどうだった?」
「……勝ったよ」
「そうか!なら酒でも飲もうぜ」

 アレンがすちゃっと左手の酒瓶を掲げているが、どうやらあれは王室御用達の最高級ワインだ。

「んでも顔色悪いな。飯は何か食ったのか?」
「……いや、食べてない」
「ならちょっと厨房借りるぜ。つまみと何か軽いもの作ってくる。部屋の空気悪いから窓開けて……と。お、きれいな花だな。ヒルダか?」
「……うん、そうだよ。散歩しているとたまたま群生地を見つけたらしくて……」
「商会にもあるもんな」

 アレンの表情が、声が、甘く柔らかくなる。
 恋というものはつくづく不思議だ。身内でさえ愛情をうまく育めなかったセシルには、他人にそれを思うというのが生涯できるとは思えなかった。
 意外にも料理が趣味のひとつであるアレンは、軽い足取りで立ち去った。

「……もう、夜か」

 色々片付けてしまいたい仕事もあったのだが、ほんの少し目を閉じた感覚だったのに、盛大に寝過ごしたらしい。さわりと首筋を冷めた風が撫でていって、それ以上の考えを放棄した。
 一輪の花が揺れているのをぼんやりと見つめながら、昼前のことを振り返ろうとして……やめた。感情に流されかけるなど、まだまだ未熟な証だ。
 しかし、言いたいこともやりたいことも全てできた。これからの余裕ももぎ取れた。

「ん?お前そこでなにしてんの?暇なら一緒に食おうぜ!」
「え、あの、私は……」
「賭けに勝ったっつーことは、お前、もうセシルのもんだろ?使いっ走り同士、遠慮すんなって」
「つ、使いっ走り……」

 アレンがシドを引っ張りこんで、トレーをシドに持たせて扉を閉めた。

「……セ、セシルさま」
「……うん、まあ、君はアレンより有能だし。たぶん……大丈夫だと思うよ」
「いえ、そうではなくて。よろしいのですか?私は……」
「ここにいるならそういうことだろ?お前って思いきりが悪いな。セシルが欲しがるってあんまりないんだぜ?自信もてよ」
「……私がというより、アレンもそうだけど、正当にヒルダを評価できる人間って稀だからさ。反省している以上、過去くらい目をつぶるよ」
「……おい?セシル」
「よかったね、恋敵ができて」
「はあっ!?」

 アレンが飛び上がり、応接用のテーブルに並べていた食器ががちゃんと音を立てた。シドも目に見えておろおろしていて、セシルは強張っていた口元を緩めた。

「……え、あの、お昼にヒルダさまが寂しがるとおっしゃっていたのは……」
「顔が赤いけど、今自覚した?君が留まったのならそれが答えだよ」
「……や、その、でも、私は」
「ヒルダはもう平民。正当にヒルダの想いを勝ち取るといいよ。私はあの子が自分で決めたなら文句は言わない。ただ、長期戦になるのはアレンを見ての通り。中途半端は許さないからね」
「………」

 ここで真っ赤になって黙り込むシドはアレンより初々しい。ヒルダなら可愛いとでもいいそうだ。最近「可愛い」が口癖になっているし。
 これまでも自覚してなかったようだし、まさか初恋だろうか。隣でアレンがやけに動揺しているのが面白い。

「さあ、食べようか」

 ようやく立ち上がる気力も湧いてきたので、執務机から移動して、ソファに座り込んだ。シドも我に返ってワイングラスを用意する。二人分。

「セシルさまはごはんだけの方がいいです。お昼から何も口にされてないのでしょう」
「は?昼から?二食抜いたのか」
「食欲がなくてね……」
「ちえっ仕方ねぇ。シド、お前は付き合えよ。ヒルダについて色々話し合おうじゃないか」
「……よ、よろしくお願いします……?」

 主人を差し置いての飲酒など、普段はともかく今はセシルの心が広い。毒が抜けきれなくても、機嫌自体はずっといいのだ。しかし本当に気持ちが軽くなったのは、アレンが屋敷を訪ねてくれてからだ。

『お前一人だし』

(……いい人過ぎるんだよねぇ……)

 ヒルダが好きなくせに、友人への配慮も忘れない。ヒルダにはアデルがついてる。ならばセシルは、とでも考えたんだろう。
 一人でいるならそのそばに寄り添おうとする。たぶんアレンは、アデルが一人きりでいたら同じように傍に行くだろう。
 心配だから。友だちだから。そんな、単純な理由で。
 ……それがどれだけ貴重なものなのか、アレンは自覚していないのだろう。
 風が柔らかく吹き込み、一輪の花を揺らしていった。

「んじゃ勝利を祝してかんぱーい!」
「か、乾杯……」
「それ私のけ者じゃないか」
「なら水でいいだろ」
「用意します」

 ワイングラスに透明な水。……セシルは文句は言わないままじっと手元を見下ろした。

「じゃあ仕切り直してかんぱーい!」

 ちんっと高く澄んだ音で、三人のグラスがぶつかった。




 今日はちゃんと休んで、明日から、がんばろう。

 今目の前にある幸せを、ちゃんと握っていられるように。
























ーーーーーーーーー
補足:たぶん、以降に書く機会はないので、国の仕組みを少し。
連邦制に近い国家です。各領地の自治性が強く、王家が管理するのは王都のみ。領主の権限が大きいので、王家はわりと肩身が狭いです。
なので領地が王家に渡るのは貴族からすれば汚名になります。
土地がなく城で働く貴族は宮廷貴族と呼びます。領地では宗主トップの下にいくつも下級貴族がくっついている感じ。領内なら責任は全部トップ。

足りなかったらまた付け加えますね。 
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