どーでもいいからさっさと勘当して

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隠し、秘され、零れ咲む

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 騎士や兵士のように戦うことそのものが仕事だと、捕縛とか殺害とか、そういう判断は上の誰かがしてくれる。一方で、ニコラスのやってるような仕事だと丸投げするわけにもいかない。上司からは基本方針的なものはもらっているし、求める成果もわりと明確だけど、一度命じたら後は個人の仕事になるわけで。戦闘が求められる場面はあれど、それだけが全てではないのだ。他国に長期的に仕事に出ていて、問題に逐一ぶち当たったって、逐一お伺いをするなんて時間も手間も無駄になるようなことはできない。
 そういう意味では一定の裁量を与えられている。それくらいの判断ができることが前提で任務を与えられていて、権限くれたんだからきちんと任務こなしてね、というわけだ。もちろん調子に乗ったらその瞬間切られる運命だから、それなりに厳しい世界ではある。
 調子に乗る以前に、裁量に上げるまでもない問題だってある。ここに躓くやつは三流以下だ。

「殺していいやつ」か、「殺しちゃいけないやつ」か。
 この仕事では一番大事な基準線。

(ここ、「殺しちゃいけないやつ」しかいないんだよなあ、どう考えても。どーしよっかな)

 ニコラスはヒルダとほとんど密着しながら、室内をくるくる踊るように次々やって来る攻撃を回避した。座ってくつろぐ分には広かろうと、三人も武器を抜いていれば狭くもなる。家具も障害物もほんと邪魔だし。

 本職の中でも突出した実力を持つ侯爵家次期当主の護衛も「落星」も、殺す気でニコラスを狙ってくる。一方で殺せないニコラスは普通なら不利だが、今上手く立ち回れているのは、三人が、ニコラスが抱き寄せているヒルダが巻き添えを食わないように手加減をしているから。ニコラスへの手加減ではなくてもこう密着しているなら同じこと。
 もちろんというか意外というか、ヒルダはニコラスの躊躇も三人の気遣いも、全部理解している。その上で、ヒルダの方からもニコラスにしがみついていた。
 これは、嬉しい。ものすごく嬉しい。

(だっておれに死んでほしくないって思ってるってコトだよね)

 必死に訴えかける顔も可愛かったし、未練がたくさんやってきて、決意が揺らいで混乱してるのも可愛い。ヒルダならどんな顔でも可愛いって、やっぱりこれは恋だ。ヒルダの方は違うんだろうけど。たまたまニコラスがやって来たから、後で対価払うから手助けしてくれということで、それ以上でもそれ以下でもない。公爵家の嫡男の求婚をフッたのだって、あれも……全然そういう意味で本気だって思ってないんだろうなあ。その辺の思考回路がきゅっと捻ってあるのって何なんだろう。

(好きだって言ってもこうして密着してても無理ってどういうこと)

 しかも公子でもない他の男の名前まで呼んでたし。
 これだけ好き勝手振り回してくれるんだから、幻滅したって殺意だって湧いていいところなんだけど、できないのが辛い。でもそれだって楽しいんだから、わりと末期だと思ってる。

 三人だけ一足先にここに来てるだけで、続々と兵士なり騎士なりがやって来て、扉の外は鎧やらで埋まっていた。さすがのニコラスでもヒルダを連れて出るのはもう無理だ。ヒルダももう半分以上諦めていて、でも諦めきれない分、手を取ったニコラスにかじりついている。

「ディア、どうする?」
「……?」

 超至近距離に化粧の落ちた顔がある。ヒルダが出ると知っていたなら始めから会場に張っていたのに、知るのが遅れてしまってせっかくおめかしした姿を見ようと思ったら会場にいないし、探して行き着いたのがこの屋敷。どうせなら綺麗に着飾った姿を堪能したかったけど、髪が乱れていても血を被っていても、ヒルダはヒルダだ。強くて弱くて、意地っ張りで脆くて、可愛い。

「ディアが言うなら殺してもいいよ。ディアの邪魔するやつも、ディアの殺したいやつも、みんな」

 キスの代わりの贈り物を。ヒルダはニコラスの恋心は理解してくれなくても、ニコラスの差し出すその価値を正確に汲み取ってくれる。息を呑んで見上げる目にニコラスの顔がいっぱいに映っている。
 ねえ、どこまで堕ちてくれる?そう思いを込めて笑いかけると、揺れる瞳がひたりと定まった。あの夜のように。

「……駄目。あなたが帰れなくなる」

 親しい者が殺される恐怖感や忌避感なんてものよりも、できるのかという疑義よりも。ニコラスの立場と仕事だけ慮って、こんなことを言うから。
 ニコラスはひっどい女だと笑った。
 酷くて最高の女だ。これだから何度でもおればっかり落ちていく。

「でも、その、殺してほしくないのもあるわ」
「ん、わかってるよ。大丈夫」

 慌てたヒルダは多分笑みの理由を誤解したのだろうが、ニコラスは仕事抜きにしても殺したがってるわけじゃない。というかニコラスが今殺されかかってることすら、なんとなくの場の流れというだけだ。ヒルダが取りなせば収まりそうなものの、ヒルダはまだそこまでは気持ちが落ち着いてないらしい。
 いや、落ち着く時は多分きっと来ない気もする。その手で全てを断ち切ってしまうまで、もう止まらないだろう。
 冷静に、苛烈に――そして残酷に。ヒルダの決意はを過ぎて当然の帰結で、動揺や焦慮すら足枷になりようがない。

(全部見届けて連れ帰りたかったけど、今回はここまででも満足するべきかな)

 きっとやり遂げたヒルダに背筋が震えるほどときめいただろうけど、それでなくてもときめくのは変わらない。ってか今もときめいてるし。

 ニコラスはヒルダの背中側で、初めて刃を防御以外で抜いた。これまでは受け流すか躱すかどちらかだったのが、不意に意味深に煌めいた刃は見えた男たちの警戒をいやに呼んだ。

「ディア、下手に動いたら怪我するから、大人しくね」

 ニコラスの囁きが耳に落ちたと思ったら、ヒルダの体が宙に浮いていた。
 刺突の構えで踏み込んでいたシドとヒルダの驚愕の表情が重なった。すんででシドは剣を捨ててヒルダを抱き留め、殺しきれないお互いの勢いを流すように床に転がった。とっさにそれを躱し踏み込む二人分の足がめまぐるしい視界をよぎる。

「……駄目!」

 ヒルダはそう叫んで跳ね起きた。ヒルダをいきなり投げ飛ばしたニコラスか、そんな彼に好機と見て襲いかかるジャックとセイルにか、どちらへの「駄目」なのか、自分でもわからない。

 肉を裂く音と共に血が飛んだ。僅かな悲鳴。シドがヒルダを捕獲して、背中で庇いつつ壁際まで下がるので、どちらが誰を切ったのかヒルダには一見わからなかった。

「はーやっと止まった。通りすがりで救援に来た人間を問答無用で斬り捨てるってどうかと思うよ、おれ」

 そんな状態なので、ヒルダが生け捕りにした男をニコラスが盾にしたのも見えなかったし、ヒルダの腰からベルトごと切ってくすねた短剣の紋章を、ジャックとセイルにだけちらつかせたところも見えなかった。ただ明るい声に、斬られなかったのかとほっとした。

 セイルは男から刃を引き、ジャックもニコラスの首筋に刃を当てながらも振り切らなかった。死体になった男がごとりと床に落ちるが、誰も見向きもしない。殺意がちょっと和らいでも相変わらず剣呑な眼差しに、ニコラスは笑みを深めた。

「そこらの偉い人たちが襲われかけてたのを、おれが助けたんだよ?間に合わなかったくせに酷いことするねえ」

 聞こえたヒルダははっとして、やっと腰の短剣が奪われていたことに気づいた。そんなヒルダの肩をシドがぐっと押さえる。ジャックが「知らねえな」と投げやりな感で言った。

「それなら最初からそう訴えろよ。お嬢ちゃん捕まえて逃げ回るんなら斬られる理由が増えるってもんだぜ」
「死ねって言われて剣を抜かれたらねえ、そりゃ逃げるよね」
「かつて王城で不審者として見覚えがある顔だったもので。通りすがりとは思えません」

 シドが氷のような声で口を挟んでも、ニコラスは「でも通りすがったんだから仕方ないよねえ」と否定せずに流した。

「おれとしては死にたくないんで、剣さえ収めてくれりゃ縄にでもなんでも繋がれてあげるよ。なんてったって無実だからね!」

 やっと、部屋の外の兵士たちが動きはじめた。ジャックとセイルが捕縛しようとするのを、ニコラスは言った通りの無抵抗で受けた。短剣の行方はヒルダにはもう見えない。
 一方、部屋の片隅で、ジュストが元ピエロに手を貸して立たせたあと、ヒルダを振り返った。バルメルク家の騎士がジュストの元に駆け寄ってきている。

「私より先に彼女を休ませてくれ。私を身を挺して庇って返り血を浴びたのだ。そこの者が怪我を負う前に対処してくれたので怪我はないが」

 シドがヒルダに上着を着せかけてくれ、手を差し出すのに、ヒルダはその手を取ることもできず、床にへたり込んだまま、間抜けのような顔を晒していた。
 ……急に事態から手を引き剥がされたこの感覚はなんだろう。

「ヒルダ?」
「ヒルダ嬢、大丈夫ですか?」

 ヒルダが倒した男たちはニコラスが倒したことになり、ジュストがそれを認めた。
 シドと騎士が顔を覗き込んでくる。ヒルダは、どうやってここから一人で抜け出して、スートライトへ行けるだろうか。
 いや、駄目だ。ニコラスの身柄の安全のためにはヒルダも証言しなくてはならない。怪我をしていないと証明しないと。元ピエロたちとも口裏を合わせて……でも、本当はヒルダが斬ったのに、なぜニコラスとジュストはあんなことを言ったのだろう。

「ヒルダ嬢ちゃん」

 師匠の一人がやって来て、やっと理解の切れ端を掴んだ。兵士たちの中にいても一目置かれているとすぐにわかる。服装なんてニコラスと同じくらい簡素なのに、全身から異彩を放っていて、誰もが道を譲るようにするから、人がひしめき合う中でも、まっすぐヒルダの元にたどり着いた。

「……セイルさん、あの人は」
「わかってる」

 頭を撫でるというより押さえつけて、セイルはヒルダの言葉を遮った。
 ヒルダに短剣術を直に仕込んだセイルが騙されるわけがない。大男の傷は正面から喉の一突き。ニコラスがどのようにヒルダを守ったにせよ血を被ったのがヒルダだけというわけがないのだ。
 弟子のやったことだとわかっていて、ヒルダに「黙っていろ」と手と目が語っている。そのまま上着で包むように抱き上げてきて、疑問渦巻くヒルダの耳元に答えの一つを吹き込んだ。

「あんたの剣は、兄妹に捧げるために身につけたんだろ。文句は落ち着いたあとにしとけ」

 泣く子をあやすように揺らしてくるので、なおさら考えがまとまらない。泣いてないし、落ち着いているので止めてほしい。
 後も先もない。捧げる機会は永遠に失われ、それでも剣を振るうとしたら今しかない。早く絶たないとまた次が来る。そう言おうと口を、「よくやった」が蓋をした。

「師匠のありがたーいお褒めの言葉と一緒に、一つ新しく教えといてやる。自分の腕を安売りすんな」
「……売っていません」
「買い手は昔から決まってんだろ。一度だけでも高く売っちまえ。せっかく長く鍛えて研ぎ上げてきたのに、折って捨てるなんざもったいない」

 セイルは遠慮なく兵士や騎士を蹴散らすように歩き、さっさと部屋を出た。廊下にもあちこちに武装した者の顔が見えて、胸が冷える。スートライトの縁者は拘束されてしまっただろうか。身の証がなければまだしも、下手に喋らせることすら危険な気がしてならない。
 王家主催の夜会から公爵家嫡男を攫ったとなれば、スートライトの名に傷がつくどころか、そんな兄を取り立てた王の権威にすら泥を塗ることになるのだ。
 王家は、レーウェンディアを落とした直後にスートライトを落とせば余計な内紛の種になると計算して、「なかったこと」にするだろう。しかし、それはスートライトが王家へ多大な借りを負うことと同義。加えてこの場にいた者たちの口を閉ざすよう命じても、記憶は消せない。これからも王都で躍進する兄妹の足枷となる。

 ヒルダの思う理想的な解決は、ジュストを攫うよう指示した黒幕に負債を全部を擦り付けて、スートライトの方はヒルダが処理して、根本からスートライトの関与などなかったことにすること。
 そもそもヒルダの存在すら、ないようなものだ。その後行方をくらませてしまえばなにも探りようがなくな……。

『大人しくできないなら養子縁組すっ飛ばして私の嫁にしてやろうか!?』

 ……るわけでもなかった。

(い、いやいやいや、結局保護自体はされたんだから縁談は瞬速で流れたはずでさっきジュストさまもなにもおっしゃらなかったしだけど引き止めるためにっていってもいきなり結婚ってなりふり構わなさすぎてなんなの?)

 別の意味で頭がこんがらってきたが、無理やり深呼吸して落ち着けた。すうっと胸まで息が通る気がして気分がよくなったのは一瞬で、思った以上に濃い血の匂いに、今さらむせそうになった。
 ヒルダを押し留めたときについた血でジュストの衣裳もかなり汚れたことだろう。シドの上着も。弁償が今から怖い。ドルフに謝罪も必要だし、ニコラスの安全確保にはヒルダが直接働きかけなければ。
 ……やっと諦めがついた。最善で最短は、もう不可能だ。

「……ちょっとは落ち着いたか?」
「……はい」

 あまりに拘りすぎた。恥じ入る気持ちで首を竦ませると、セイルがからからと笑い声を上げた。

「文句があるなら聞いてやるぜ」
「いえ、今はそれよりも……本当に、買ってくれますか?」
「黙って勝手に捨てられるよりマシだって思わせろ。使い時は今しかないってな」
「……阿漕あこぎすぎません?」

 さすがのヒルダも唖然としたが、セイルは悪徳商人のような顔でにやにや笑っている。
 やがてヒルダもふっと表情を緩めた。相手は大事な兄で、次期領主で、しかし商人でもある。商談の席で向かい合う機会なんて、これを逃せばないだろう。一生一度の機会。そう思えばやる気がふつふつ湧いてきた。
 ヒルダはセイルの肩越しに、後をついてきていたシドを見た。これまでの話を聞こえていたのかいないのか、目が合ったヒルダにぱちりと瞬いて、なぜか歩きながらにしてしゃちほこばった。

「兄上とアデルはまだお城にいるのよね」
「陛下がお許しになったので、内宮のひと間にて、ルーアン公爵令息とそのご婚約者、アレンでご歓談中です」
「そうなの。最初から内宮なら、早く進むわね」

 シドが訝しげに眉を寄せ、セイルが喉で笑った。一応小声でセイルに確認してみると、ニコラスがヒルダからくすねた短剣は、ジャックの懐にあるらしい。
 元貴族ゆえか傭兵として培った危機感か、あるいはその両方か、彼らは情報が足りず迫られた状況で、「最悪」だけには絶対に踏み込まない。

(方々の目の前でラス武装解除をしたけどスートライトの紋章は見せてないって、どうしてそう抜け目なく……でも、ジャックさんが預かると明言したなら、強く言える人はそうそういないから安心だわ)

 証拠を一つでも、王家には渡さないようにすること。求められたら差し出すが、それまではこちらが持っておく。地味で、無意味に見えるかもしれないが、大事な駆け引きだ。結果として目に見えなくても、優位性は物事を成すときに不可視の足場となると、ヒルダはよく知っている。
 そう、ヒルダが兄に腕を売り込むときに一番の障害になるのは、王家だ。王家は「まだ」スートライト領をどうにかしようとは思っていないのに、ヒルダは今すぐにでも壊してしまおうとしているのだから。
 しかし、仮にも一国を握する王家だ。障害でありながらも、やりようによっては最大の恩恵も得られる。ヒルダではできなくても、兄ならばできる。密約そのものが一つの成功例だが、今回は、ヒルダがより有利に運ぶように足場を整えておく。
 これもまたヒルダの得意分野だ。

 だからヒルダと兄との商談では、その道にこそ理と利があると示すことがなによりも肝心だ。
 勝算はかなりある。

「両者が儲けてこそ有意義な商談よね」

 うっそり微笑むヒルダに、シドが生唾を飲み込み、セイルが今度こそ声を上げて笑った。
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