少年の行く先は

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第一部

3-6

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 二人の姫は兄のことが大好きだが、それと同時にこの義理の姉のことも大好きだった。美人で、賢く、何より性格がとてもいい。それも結構世話焼きなので、このときのエレノアは二人の姫の話し相手になって、ライナが暗黙のうちに頼んだ、二人の暴走停止についての役割を果たそうとした。
「何かありました?」
「ヘーゼルが捕まったって聞いたんですの!」
「だから街に行って、ナジカに会いたいと思って」
 エレノアも姫たちのお忍びとそれにまつわることについては一定の情報と理解を得ている。そのため、ミアーシャたちはエレノアも喜んでくれると思っていたが、彼女は予想に反して、変な顔をして首を捻った。
「おかしいわね……?」
「何がだ?」
「どうかされました?」
「……お二人とも、どこからその情報を仕入れました?」
「私はリルからだが」
「私は今日のお勉強の時に、クローネ先生から教えていただきました」
「……そうですか。では、リルさま、そのときに『秘密だ』とか『誰にも話さないでください』とか、言われたりしました?」
 奇妙な質問に、リエラは少し頬を膨らませた。
「エル姉さま。私、そんなことを言われたら、必ず守りますわ。クローネ先生ですもの。けれど、特に何もなかったので、姉さまに伝えたんですよ」
「……そうですか」
 エレノアは再び相づちを打ったが、上の空になっている。
 ミアーシャとリエラは、きょとんと顔を見合わせた。
「……内密にしとかないといけなかったのかな?」
「ですけど、クローネ先生に限って口止めを忘れるとは思えません。授業中に、さらりと言われたんですの。世間話みたいに、重々しくなどなかったです」
 リエラは自身の潔白を証言し、二人の姉は疑うこともなく頷いた。
「義姉上は何を心配してるんだ?」
 いくぶんためらったエレノアも、さすがに言わないと二人が納得しないことを知っていた。それに、また突撃に行かれても困る。
「ヘーゼルについて、まだ公式な発表はされていないんですよ。壊滅したとはいえ、具体的なことが明らかになっていませんから。各機関の限られた人しか知らないはずなのに……クローネ女史は政治とは無関係のはずですし……」
 再び、姉妹は顔を見合わせることになった。どういうことだ?と顔が訴えている。
「なぜ伏せられているんだ?」
「現在ヘーゼル壊滅の実行者も不明ですし、あれだけ規模が大きく不透明な団体でしたので、全容が掴めていないんです。南から王都に流れ込む人々の誰がその残党かもわかっていません。もしかしたらいないかもしれませんが、それでも懸念するべきことなんです」
 ここでリエラがなるほどと頷いた。
「公式発表するには、不安要素が多いんですのね」
「リル?」
「まだ危険があるかもしれないのに、下手に公にして、国民たちから危機感を取り除いてしまう訳にはいかないということです。ミアさま、それはいいことは早く広めて安心してもらってもいいのですが、それにしては証拠が足りないとお考えください」
「だが、首魁は仕留めたんだろう?」
「……そこまでクローネ女史はお話しされたんですか」
 ミアーシャには何が問題なのか、いまいちわからなかった。王族というより一般人としての最低限の教育しか施されていなくとも、頭がいなくなればどんな組織もうまく働かないのは歴史が語っている。先の大戦も似たような手口で父王は多くの戦功を上げたのだ。
 特にヘーゼルは壊滅によって喜ぶことはあれ困るようなことにはならないはずだった。完全なる悪党集団なのだから。略奪と大量殺戮。むしろ、これまでよく生き延びられていたくらいで――本当にどうやって、官権の目を逃れ続けたのか。今さらのように再興したのもなぜ?滅びたわけでもないのに、エーラ以降鳴りを潜めていたのは……まるで義兄上の即位を狙ったような……単なる殺戮集団がそんなことをわざわざするのか?

「……ヘーゼルが手足という可能性があるのか?」

「姉さま?」
 リエラが首を傾げた目の前で、エレノアは驚愕で固まった。ミアーシャは己の発言に深い意味を見いだすことまではしていない。しかし、エレノアにとっては隠していた核心を槍で勢いよく貫かれた心地だった。
 ライナが用意するだけして置いていったお茶を飲んで心を落ち着けた。
「……ミアさまは、ほんとに……」
「な、なんだ?」
「いーえ、何でもありません。ですけど、今のお考えは絶対に秘密にしてくださいね。それこそ超がつく極秘事項です」
 王族として軽視されているミアーシャ姫には、教育などはランファロードやシュランツガルドが気を回し、エレノアもたまには臨時の先生になったことがある。それでも帝王学なんかはやらないし、政治や経済についても教養程度のみ。そのくせ、たまにこんな風にざっくりと鋭い時があるのだ。
「いいですか?このことは、国の上層部でも知っている人間はいません。全くです。私は一時期専門に追っかけてたので尻尾は掴んだことがありますが……見事に切られました」
「は?……え、さっきの、本当なのか?ヘーゼルの上に何かいるって」
「エル姉さまが捕まえきれなかったんですか?」
「ええ、そうです」

 エレノアが真剣に腰を据えたのに気づいて、ミアーシャもリエラも背筋を伸ばして、こちらも他言無用の誓約を呟き重々しく頷いた。王族としてというより、人間として、彼女たちは清らかな素質を備えている。
 しかし、と内心でミアーシャは首を傾げたが。

(……各機関の長官たちでさえ知らない情報を、なぜ副官だった義姉上が知っているんだ……?)
























 全く同じ時、全く同じ話を、全く違う場所で会話の種にしている者たちがいた。
 セレノクール公爵邸の客間の一室である。
 トーサ・ハーバルトと名乗る青年と出会った翌日の現在昼前。昨日、これまで散々情報収集に苦労しまくった人間たちに衝撃的な発言を行った本人は、直後に極度の空腹を訴えた(口ではなく胃袋で)あと、腹を満たしたさらに直後に気絶するように寝落ちし、話を詳細に聞く暇がなかった。青年がかなり疲労が激しかったのだというのに初対面の時から気づいていたカイトたちも、焦りをこらえて翌日まで待ったところである。

 そのトーサといえば、一宿一飯をセレノクール家で世話になり、今もブランチを味わっていた。はじめは恐縮していても、食欲には負けたらしい。どんどんセナトに持ってこられる料理が全て美味しかったことも理由のひとつだ。
 しかし、台所から料理を持ってきた少年と見紛う青年の姿には、口に詰めていた料理を噴き出しそうになった。
 とっさに口に手を当てて盛大に目を逸らし、体をくの字に曲げたトーサを見て、カイトは首を捻ったのである。
「どうかしたか」
「いやー……そりゃあ、お前、そんな格好してうろちょろしてるからだろ」
 ケイトが呆れ、セナトが笑いを噛み締めながらカイトの手から料理の皿を受け取った。
「天下の大公爵が、高級なレース付きのシャツの上からエプロンに頭に三角巾載せてりゃなぁ……」
「そういえば、私も初めて見たときはびっくりしたんだった。忘れてたよ」
 カイトは己の格好を見下ろした。そんなに変な様子にはなっていないはずだ。
「なぜ驚く?エプロンはシャツを汚さないために着けるものだろう?」
「根本から違うからね問題が」
「そーだそーだ。そのポケットのお茶目なミトンも一緒にさっさと外せ。お前、威厳全部吹き飛んでるぞ?」
「屋敷内ではいらないだろう、そんなもの」
「……あー……昨日から思ってたんすけど、ここって使用人が少ないっつーか……全くいませんね?」
 ようやく復活したトーサは水で喉を正常に戻してから、ほのぼのとしている三人組に問いかけた。カイトが意味がわからないながらもエプロンを外して近くの花瓶台の端に置いた(気配でわかった)のでようやく直視できるかと思って顔を上げたら……三角巾がまだだった。今度こそ噴き出した。……だから視界に入れないように気をつけていたのに!

 しかし、やはりカイトには伝わらなかった。
「なぜ笑う」
「……お前はさっさとそれ外して公爵の顔して座れ。セナト、上着」
「はいはいっと」
「だから、今は家紋入りの上着そんなものはいらないだろう。彼が用があるのはカイト・セレノクールではなく『玄』のカイだ」
「アホか。じゃあこの無駄に緩んだ空気で仕事の話をできるのか」
「あ、両方に用があるんでどっちでも構わないです」
 とにもかくにも、四人が一室に揃ったのだ。トーサは強靭な意志で笑いを捩じ伏せ、居住まいを正した。直後に「その菓子を食べるといい。自家製クッキーだ」とカイトから容赦のない攻撃を受けてがっくりと首を落としたが。両脇に座る二人に、とてつもなく疑わしい目を向けた。
「……あの、おれが知らないだけで、公爵に出世するときって料理が必須条件だったりするんです……?」
「そんな愉快な決まりごとは聞いたことがないな。事実こいつの姉貴はほとんど料理はできないぞ。他の家事は天才級だけどな」
「使用人が極端にいないのは、貧乏時代があったからだもんねぇ。節約節制を覚えて二人で帳簿を見ながら毎日家計をやりくりしてたらしいから、その癖なんだろうね」
「代わりに寄付はたくさん行っているからいいだろう。必要最低限はお前たちもいるし、どうにかなる」
 それって公爵家の建前としてどうなんだとトーサが顎を落としたが、カイトは話が進まないことに苛立った。
「それで、両方とはどういうことだ」
 強引に話を引き戻すと、トーサはすっと目を真剣なものに変えた。今朝、風呂に放り込み髭を剃らせ、服も買い与えた(屋敷内にトーサに合うサイズのものがなかったのでセナトが買いに行った)ので、見映えはかなりよくなっている。眼帯が物々しいが、片目の眼光が鋭く容貌も至って精悍なので、逆にその要素を引き立てている。
 それに加えて、トーサの雰囲気には抜き身の刃のような張り詰めたものが感じられた。それこそ日々が危険と隣り合わせのような、カイトたちのように血の匂いがこびりついて取れない人間の空気だった。

「昨日、君は『協力を要請しに』と言っていたな。どういうことなのか、一から全て話してもらおう。……いや、先にひとつ尋ねよう。君が昨日言わなかったことだ。ここだけははっきりさせておきたい」
 カイトたちが血眼になって探したのに、どこにも痕跡が見当たらなかった。しかし、目撃証言なら、ケルシュの領主軍隊長たった一人から得られていたのである。

 黒髪黒目、高身長、圧倒的な槍術。
 両脇の二人も気分を切り換えたのを横目で確認したカイトは、慎重に問いかけていた。

「ケルシュでヘーゼルの首領ダグザを討ち取ったのは――君だな?」

『玄』の三人は、目の前の青年が苦い笑みを口許に浮かべる姿を、じっと見つめていたのだった。























 更にその同日、早朝。
 この日のナジカは、前日の豪華な晩ごはんに舌鼓を打ち、幸せに眠りについた――そのせいかわからないが、ほとんどルアと同じ時間に目が覚めた。
「ルア、手伝うことある?」
「あら、早いわね。ちゃんと眠れた?」
「うん。すっきり」
「ならよかったわ」
 昨晩、最も働いたのはルアだった。しかし疲労はおくびにも出さず、とてもきれいな顔で微笑んで、ナジカの好意に甘えるのだった。

 外の郵便受けを覗いたナジカは、珍しい宛先に緑の目を大きくして、ルアのところへ持っていった。ナジカは文字を覚えるとき、先にハヴィン一家全員の名前を勉強していた。
「ルア、お手紙」
「え?」
 ナジカの言葉に、ルアは一旦朝食を作る手を止めた。手紙を受け取ると、ルアも青い瞳を丸くした。
「本当だわ。私?送り主は……」
 ひっくり返しても書かれていない。なんとなくルアは放っておけずに、その場で開封した。白い封筒に白い便箋、至って質素でありふれた手紙の態様だが、開けた瞬間に香った匂いに、ルアは表情を一変させた。
「ルア?」 
「ナジカ、テーブル拭いて、お皿を並べておいて」
「……わかった」
 利口なナジカが台所から離れたあと、ルアは神速で便箋を取り出し、ざっと目を通した。
 文字を追うにつれて、表情は険しく、便箋を握る手は白くなっていく。読み終わっても、落ち着くどころか、大きく喘いでいた。肩が大きく上下し、顔からは血の気が引いていた。驚愕と恐怖、怒りがごちゃ混ぜになった顔をしていた。
 しばらく悩むそぶりを見せたルアは結局、便箋と封筒を握り潰した。赤々と熱い息吹を燃やす竈に、それを容赦なく放り込む。
 紙は一瞬大きく燃え上がったあと、黒く炭に変質していった。

 ルアはその末路を、まるで別人のように冷たく冴えきった双眸で見届けた。

 
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