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4 崇拝するもの
中夜祭
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二日目も十二組は大盛況だった。大人気の十二組は夜の営業はせずに、明日の準備を進めて解散となった。ふたりが翠と合流すると、そこに番犬はいなかった。
「もう行ったよ。番犬らしいよね、秩序を乱す者は許せないんだって」
「正義感が強くて賢くてかわいいなんて最強じゃん」
「よね、僕もそう思う。じゃあ行こうか。変化魔法、上手くやってくれたみたいだし」
「まあ、目立つからな」
紅彩と蒼唯は一旦寮に戻り、メイクを落としてから変化魔法を掛け直した。蒼唯は蒼唯とわかるような特徴を一切無くしたモブ生徒に扮し、紅彩は眼鏡をかけて髪型を変えた。うっすらと紅色を帯びた栗色の目を完全な茶目に変えて、モブ生徒その二が完成だ。
「昨日の今日だろ、何も起きねえといいけど」
「馬鹿だなぁ蒼唯。何か起きると踏んだからあの子たちが動いて、僕たちもそれに付き合ってるんだよ」
「はぁーあ、平穏ってやつが恋しいよ」
聖華の高等部に上がってからというもの、本当に毎月何かしら変なことに巻き込まれている気がする。ネタに尽きない人生なのは悪いことではないが、まだ十六歳だというのにこんなにハイペースでネタを提供されては困ってしまう。
「わぁ、結構人いるね」
グラウンドに向かうと、グラウンドはわいわいと賑やかな様相を見せた。思っていたよりも人がいるなあ、と紅彩と蒼唯は思わず立ち尽くしていたが、翠はこの人数の中から怪しい人物を探せるのかとやや不安になり始めていた。
中夜祭は魔法科の魔法による花火の他にも、軽音楽部の後夜祭のメインライブのオーディションから外れてしまったバンドがミニライブを開催してその場を盛り上げることになっている。
「あ!」
ひゅるる、と音がした。ぱぁん! と数秒後に大きな音がして、そこそこ大きめの花火が打ち上げられた。中夜祭はまだ始まったばかり。ミニライブは花火の後に行われるようだ。翠が「はぐれないでね」と紅彩の手を引っ張る。小さい頃を思い出す、と紅彩が微笑む。翠が向かうのは花火を打ち上げる場所の近くだ。何かあるとすれば、おそらくここを利用する。音が大きく設備の規模も大きい。悪事にはもってこいだろう。
『主』
「ああ。何か?」
『いや、先程までは鼻が利いていたんだがな。あの花火の匂いで鼻が使えなくなってしまった』
「……そんなに臭い? あれ」
「昔は火薬を使っていたから多少煙たがっただろうが今は魔法だろ? 何でくせぇんだよ」
『わからん。まさか我々に気付いた輩でも? ……まあそういうわけだ、我らはしばらく使い物にならない。すまない、主』
「ううん、気にしないで。魂を視ることはできるんでしょ?」
『ああ』
魂を視るとは、その人が持つ心根を見抜くということ。本当に悪人なのか、地獄に堕とされるだけのことをしていたのか、してはいなくてもそれに当たるだけの心根を持ち合わせていたのか。地獄の秩序を守り抜く番犬には必要不可欠な能力である。なるべく目立たないようにしなければ、と番犬は人々の影に身を潜めてそれぞれの人間の魂を視ていく。
『流石にこんな楽しい場所に集まる人たちはいい感じの人たちばかりね』
『油断するなよ、リン。我らが仕事を怠ればその皺寄せはすべて上司である閻魔様にいってしまうのだからな』
『わかってるわよ。ただこうも人が多いとねぇ』
三頭の中で最も生真面目な性格のクロが、小言をこぼすリンを注意する。ベルは正義感こそ強けれど責任感は程々に持ち合わせている程度だ。
「ねえ、少しお手洗いに行ってもいい?」
「ああ、気をつけて」
校舎内のトイレに紅彩が向かう。廊下に人はおらず、窓から入ってくるお祭り提灯の柔らかな光が非日常感を演出していた。さて、紅彩が少々入り組んだトイレの細道に入ると、用を済ませた先客と鉢合わせてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「………」
「……?」
ぶつかりかけたため謝った紅彩だが、先客は何も言わず、紅彩のことを見ることもなく去っていった。なんだろう、あの人。中夜祭の楽しそうな雰囲気に混ざるには、少しつまらなさそうというか、浮いてしまいそうというか。だが、紅彩は特に気に留めることなく用を済ませ、蒼唯たちのもとへ戻った。
「そろそろお腹空かない? 何か軽くつまみたいなぁ」
翠がそう言って、出店の食事に目線を移す。翠も紅彩も人間だ。人間から外れてしまった蒼唯にはもう空腹も睡魔も襲ってこないが、ふたりがそう言うならと良さげな出店を探す。
「これ食べたい!」
「いくら? ……いいじゃん量も結構ありそうだし。蒼唯は?」
「どっちでも。俺はお前らとは違うからな」
「そっか。じゃあ買ってくるよ」
映画館の普通サイズのポップコーンを入れる容器と同じ大きさの容器に、これでもかと言わんばかりにフライドポテトが突き刺さっている。
「おまたせ」
「熱そう~、揚げたて?」
「うん、僕の前に並んでた人の分で揚げておいた分が切れちゃったみたいでさ。塩味でよかった?」
「ポテトは塩でしょ! いただきまーす!」
紅彩が揚げたてポテトを一本口に入れると、外はサクッと中はジュワッとポテトの旨みが溢れてきた。ふたりはあっという間にフライドポテトを完食し、次の食事の狙いを定めている。
「ねね、翠ちゃん次あれ食べようよ」
「おーいいじゃん」
紅彩が指したのは焼き鳥だ。近隣住民のボランティアによる出店も、数は少ないがいくつか用意してもらっているらしい。
「………紅彩、翠、ダメだ」
「「え?」」
だが店の前に着いてすぐに蒼唯がノーを突き出した。
「な、なんで?」
何かおかしかった? と翠は首を傾げる。蒼唯の目つきは鋭い。
「ベルたちを呼べ」
『わ、わかった。ベル、クロ、リン。ここへ』
翠が魔法語でそう呼びかけると、するすると人の足元の隙間を縫って番犬がやって来た。
「どうしたの?」
「あの店主たちの魂は視たか?」
『いいえ。………おや? 翠様、精神汚染を無効化する結界を杖で張っておいてください』
「わ、わかった。でもどうして?」
クロがなにかに気付く。翠が聞くと、クロたちは言いにくそうに言葉を詰まらせた。
「わたしになら言える?」
『……………翠様のお父様と同じなんです』
「!」
まさか、と紅彩は目の前で焼き鳥を買って食べた人の様子を伺う。だが、特に購入者の変化は見られない。
「うーん……?」
異端者が社会に溶け込むためには善良な一般市民を演じることが一番の近道である。この屋台はただのカモフラージュ……? それとも、何か仕掛ける気で? 紅彩がそう困惑していると、空中で大きな花火が打ち上げられた。どぱぁぁん! と轟音を周囲に響き渡らせる。すると、突然ふっと提灯の光は消え、焼き鳥を食べた人が倒れた。焼き鳥だけではない。他のいくつかの出店の商品を口にした人々が次々と倒れていく。魔法科の花火台の方からも、「どういうことだ!」と怒号が飛んでくる。
「あ、蒼唯くん」
「だからダメだつったろ」
「クロ……やっぱり」
「はい、彼らの仕業です」
効果は食べ物を食べた人。発動のきっかけは大花火。花火に細工を仕掛けられるのは魔法科の生徒だけだろう。
「あ、あの……」
「紅彩、触るな」
「えっ」
紅彩が近くで倒れていた人に駆け寄り、起こそうとするのを蒼唯が止めた直後、その人はいきなり起き上がり紅彩の腕を掴もうと腕を伸ばしてきた。蒼唯が事前に警告していたおかげで何とかかわしたが、その人は明らかに正気を失っている。
「面倒な呪術をかけてくれたな」
蒼唯は舌打ちとともにそう吐き捨てる。呪術を分析し、扱うことは蒼唯も得意な方だが、解呪になると光魔法に適性を持つ紅彩の方が幾分か精度が上になる。
「ど、どどどどうする!?」
『主、落ち着いて』
『我らで対処する。主たちは主犯者を突き止めてほしい』
「え、えぇ……」
「わかった。行こう、翠ちゃん。蒼唯くん」
紅彩はそう言うと魔法科の設備の近くへ走り出した。
「わかるの?」
「いや? でもなんかすごい嫌な感じがするんだよね、ここら辺」
「待って紅彩、ここからは僕が行く」
花火台が目の前に見えてきたとき、翠が二人を止めた。紅彩や蒼唯と違い、翠は杖魔法を使うことができる。杖魔法で防御結界を多重に張ってから花火台に近付くと、翠の防御結界を学生の魔弾が掠めた。
「チッ、当たったと思ったんだけど」
「……君たちか、こんなことを企てたのは」
台の影から三人の魔法科の生徒が現れる。クロたちが夏に言っていた人とはまた別の人だ。思っているよりも魔法科に潜む原初魔法主義者は多いのかもしれない。
「目的は何? こんなことをして何になる?」
「リーダー亡き今、我々が動かないという手はない」
「えっ」
その言葉に驚いていると、生徒のひとりが飛びかかってきた。慌てて杖で応戦するが、果たしてウン百年モノの杖がどこまで持つか。
「父さんが死んだって……!? 誰から聞いたんだよ、そんなこと」
「父さん……? ああ、椎名家から勘当された息子ってのはあんたのことか。原始の魔法さえも使いこなす魔法師になりたいとは思わなかったのか?」
「思わない。思うこともできない。僕は知ってしまったから。父さんが君たちを率いて、特等魔法師としても名を馳せる裏でおじいさまに逆らえず、原初魔法主義が正しいと否定することすらできなかったことを知ってしまったから」
翠は冷静に破邪の魔法で学生の魔法を完全に打ち消す。
「くっ……それが本当だという証拠は!?」
「父さんの日記だよ。息子である僕にはそれが託されている。父さんは正しく在りたかった。正しく、とは君たちやおじいさまの理想じゃない。父さん自身が持つ信念から起きる行動を取りたかったんだよ。……君たちの全部が悪いとは言わない。君たちは何も知らなかったから」
「何も知らない? 俺たちが? 馬鹿にしてるのか!? 魔法師にもなれない息子風情が!!」
ぶわっと風の刃が翠目掛けて飛んでくる。
「してない! する資格もないと思ってるよ!」
「ならどうしてそんな雄弁になる!? どうして俺たちを止める!? 俺たちが正しくないなら、その理由を示せよ!!」
「君たちやおじいさまたちが追い求める旧時代の魔法はもう役目を終えた! だから現代に残ってないし、禁術として指定されてる! 君たちは知らないだろうからこの際言うけど、少し難解な魔法語がわかれば旧時代の魔法が危険性の高いシロモノだってわかるはずだよ!!」
翠は風の刃も、その後に飛ばされた氷の刃もすべて打ち消す。特等魔法師の家系の息子だ。血筋は本物で、翠の魔法の才もまた本物だ。並大抵の学生では翠には傷一つつけることすら困難を極める。
「なっ……危険性!?」
ほら、やっぱり何も知らない。
「そんなことも知らないのに他人の理想を盲目的に崇拝して、その実態を検証しようとすらしない怠慢が君たちの弱みになるんだ」
「あっ」
「これで少し冷静になってくれるといいけど」
ぱきん、と翠は生徒の両手足を凍らせて動きを封じてしまった。
「と、溶かせ! 砕け! おい!」
「君たちじゃあ無理だと思う。明日までそこで立っててね」
翠はそう言って立ち去る。紅彩たちは──被害者の解呪に向かったらしい。まあ、あのまま真後ろに居られても巻き込んでいただろうし賢明な判断だろう。
「くれあー? どこー?」
けれども、どうもおかしい。解呪は半分ほど終わっているようだが、肝心の紅彩の姿が見当たらない。とりあえず解呪を終えた人々に杖魔法の精神汚染を防ぐ結界を展開しておく。
──翠が応戦している頃、紅彩たちは人々の解呪を行っていた。
「大丈夫ですか? 自分に負けないで!」
「おい紅彩、あんまり魔力を使ったらお前また……」
「わかってるけど、魔力は回復しても命はなくなったら戻らないでしょ! 見た感じ命も蝕む呪術なんでしょ?」
「それはそうだが……」
「なら、やることはひとつ。できる範囲で助けられる命を助ける!」
「………ぶっ倒れたお前を介抱する俺の労力は無視ね」
やれやれ、と溜息を吐きつつも蒼唯は紅彩の後ろをついてまわる。そろそろ半分が終わると言ったところで、突然蒼唯に向かって何かが飛んできた。
「うおっ!?」
「何!?」
「……おかしい、明らかに頭を貫通したはず」
「誰?」
すたすたと歩いてくる。制服が魔法科のものだ。聖華の生徒は学科ごとに制服がほんの少し異なっており、学科ごとにシャツやボトムスにワンポイントで刺繍されるモチーフが変わってくる。召喚科は地球と異界の共生をイメージしたものとして円の中に複数の円が描かれたものが、魔法科は本、治癒魔法科は十字架、そして普通科は羽根ペンが刺繍されている。
「召喚科、か。まさか獣と戯れる奴らに解呪を習得している奴がいるとは……」
「獣? 人外も人間と同じ生命体だよ?」
「く、紅彩……」
そういうことじゃねんだわ、と蒼唯は紅彩の後ろで頭を抱える。俯いたところで、そういえばさっき飛んできた何かが首に刺さったままだったなと思い出して、首に刺さった何かをぐっと引き抜くと魔法科の生徒はぎょっとしていた。
「ん? 何だこれただの氷かよ、しかももっろいな」
ばきっと氷の刃を片手で粉砕すると紅彩から大人しくしろと目で訴えられる。え、身体強化したらこれぐらい人間でもできるよな。
「で? 俺たちに何の用? 翠がいただろ相手してもらえよ。………あ、もしかしてテメェ弱すぎて相手にもされなかったか?」
「あ、蒼唯くん……」
「まぁ仕方ねえよな、この程度の実力じゃあいつには絶対勝てねえ。……でもかと言って俺と俺のご主人に勝てるかって言われたらそれもまた別の話。てかわかんねえ? どう見ても俺らとお前で実力に雲泥の差があるって」
「……!! さっきから好きに喋らせておけば……」
「おっと」
ぶん、と生徒は魔道具の短剣を蒼唯に振るう。
「紅彩、気をつけろ。こいつが呪術の使い手だ」
「わ、わかった」
人外に、死精霊になってよかったこと。回復魔法以外では死なない体になったこと。生身の肉体を持つ紅彩をこの身で守れること。人間の畏怖の象徴になったこと。だから、ありとあらゆる魔法をこの身で全て受け止めても死ぬことはなく、無傷であり続ける。地獄の炎も永久凍土の氷も天の怒りの雷も、俺を殺すことはできない。
「……お前、マジで俺に勝てると思ってんの?」
「なんだ、お前……どうして立っていられる………化け物か?」
「化け物、か。近いけど不正解。俺は舘宮蒼唯。訳あって召喚されたにんげんだよ」
──〝呪詛返し〟。蒼唯がくいっと指を地面に向けてから生徒へゆっくりと指先の方向を変えると、生徒はぶくぶくと泡を吹いて倒れた。
「し、死なない? あれ」
「死なない程度に加減してるに決まってんだろ。俺の勝手でお前の名誉を傷つけるわけにはいかねぇし。ただ起きた後にこのことを言われるとめんどくせぇから、ベルたちに記憶をいじってもらおうか」
人外に対抗できるのは人外か、人外の力を借りる契約を交わした人間だけ。人間ひとりが人外に勝てるわけがないのだ。人間だけの力でなら、人外との相性にもよるが特等魔法師の指揮の下、特等魔法師と上等魔法師の師団がみっつほど集まってようやく太刀打ちできると言ったところだろう。
その後蒼唯たちはベルと合流し、生徒の記憶を操作してもらった。
翠が探し回っていると、正面から三人の姿が見えた。
「………あ、いた」
「蒼唯! 紅彩! ベルたちも!」
「なんかお前んとこからすっげぇ音がしてたけど……」
「大丈夫。無力化させてるよ。それにしても先生たちは? ここまで大事になってるから絶対に来るはずなんだけど」
花火台に監督としていた先生は突然の呪術に対応しきれず倒れてしまったが、他の先生はどこにいるのだろうか。
「職員室にいたとしても飛んで出てこないと変なんだよね」
「………紅彩、職員室に行くぞ。翠は……図書館周りを見てくれ」
「了解。何かあったらこの紙に魔力を通して」
「これは?」
翠が蒼唯に渡したのは掌ほどの大きさの紙だった。よく見るとうっすらと魔法陣が描かれている。
「簡易魔力通信機的なやつ。携帯のバッテリーが少なくても気軽に連絡できるようにね」
「ありがとう。じゃあ」
「うん」
紅彩と蒼唯は職員室、翠とベルたちは図書館へ向かっていった。紅彩が後に翠から聞いた話によると、三人いたうちの残りのひとりはベルたちが地獄に一旦送り込んだらしい。番犬が閻魔を完璧に思いやれるようになるまではまだ少し時間が必要なようだ。
「もう行ったよ。番犬らしいよね、秩序を乱す者は許せないんだって」
「正義感が強くて賢くてかわいいなんて最強じゃん」
「よね、僕もそう思う。じゃあ行こうか。変化魔法、上手くやってくれたみたいだし」
「まあ、目立つからな」
紅彩と蒼唯は一旦寮に戻り、メイクを落としてから変化魔法を掛け直した。蒼唯は蒼唯とわかるような特徴を一切無くしたモブ生徒に扮し、紅彩は眼鏡をかけて髪型を変えた。うっすらと紅色を帯びた栗色の目を完全な茶目に変えて、モブ生徒その二が完成だ。
「昨日の今日だろ、何も起きねえといいけど」
「馬鹿だなぁ蒼唯。何か起きると踏んだからあの子たちが動いて、僕たちもそれに付き合ってるんだよ」
「はぁーあ、平穏ってやつが恋しいよ」
聖華の高等部に上がってからというもの、本当に毎月何かしら変なことに巻き込まれている気がする。ネタに尽きない人生なのは悪いことではないが、まだ十六歳だというのにこんなにハイペースでネタを提供されては困ってしまう。
「わぁ、結構人いるね」
グラウンドに向かうと、グラウンドはわいわいと賑やかな様相を見せた。思っていたよりも人がいるなあ、と紅彩と蒼唯は思わず立ち尽くしていたが、翠はこの人数の中から怪しい人物を探せるのかとやや不安になり始めていた。
中夜祭は魔法科の魔法による花火の他にも、軽音楽部の後夜祭のメインライブのオーディションから外れてしまったバンドがミニライブを開催してその場を盛り上げることになっている。
「あ!」
ひゅるる、と音がした。ぱぁん! と数秒後に大きな音がして、そこそこ大きめの花火が打ち上げられた。中夜祭はまだ始まったばかり。ミニライブは花火の後に行われるようだ。翠が「はぐれないでね」と紅彩の手を引っ張る。小さい頃を思い出す、と紅彩が微笑む。翠が向かうのは花火を打ち上げる場所の近くだ。何かあるとすれば、おそらくここを利用する。音が大きく設備の規模も大きい。悪事にはもってこいだろう。
『主』
「ああ。何か?」
『いや、先程までは鼻が利いていたんだがな。あの花火の匂いで鼻が使えなくなってしまった』
「……そんなに臭い? あれ」
「昔は火薬を使っていたから多少煙たがっただろうが今は魔法だろ? 何でくせぇんだよ」
『わからん。まさか我々に気付いた輩でも? ……まあそういうわけだ、我らはしばらく使い物にならない。すまない、主』
「ううん、気にしないで。魂を視ることはできるんでしょ?」
『ああ』
魂を視るとは、その人が持つ心根を見抜くということ。本当に悪人なのか、地獄に堕とされるだけのことをしていたのか、してはいなくてもそれに当たるだけの心根を持ち合わせていたのか。地獄の秩序を守り抜く番犬には必要不可欠な能力である。なるべく目立たないようにしなければ、と番犬は人々の影に身を潜めてそれぞれの人間の魂を視ていく。
『流石にこんな楽しい場所に集まる人たちはいい感じの人たちばかりね』
『油断するなよ、リン。我らが仕事を怠ればその皺寄せはすべて上司である閻魔様にいってしまうのだからな』
『わかってるわよ。ただこうも人が多いとねぇ』
三頭の中で最も生真面目な性格のクロが、小言をこぼすリンを注意する。ベルは正義感こそ強けれど責任感は程々に持ち合わせている程度だ。
「ねえ、少しお手洗いに行ってもいい?」
「ああ、気をつけて」
校舎内のトイレに紅彩が向かう。廊下に人はおらず、窓から入ってくるお祭り提灯の柔らかな光が非日常感を演出していた。さて、紅彩が少々入り組んだトイレの細道に入ると、用を済ませた先客と鉢合わせてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「………」
「……?」
ぶつかりかけたため謝った紅彩だが、先客は何も言わず、紅彩のことを見ることもなく去っていった。なんだろう、あの人。中夜祭の楽しそうな雰囲気に混ざるには、少しつまらなさそうというか、浮いてしまいそうというか。だが、紅彩は特に気に留めることなく用を済ませ、蒼唯たちのもとへ戻った。
「そろそろお腹空かない? 何か軽くつまみたいなぁ」
翠がそう言って、出店の食事に目線を移す。翠も紅彩も人間だ。人間から外れてしまった蒼唯にはもう空腹も睡魔も襲ってこないが、ふたりがそう言うならと良さげな出店を探す。
「これ食べたい!」
「いくら? ……いいじゃん量も結構ありそうだし。蒼唯は?」
「どっちでも。俺はお前らとは違うからな」
「そっか。じゃあ買ってくるよ」
映画館の普通サイズのポップコーンを入れる容器と同じ大きさの容器に、これでもかと言わんばかりにフライドポテトが突き刺さっている。
「おまたせ」
「熱そう~、揚げたて?」
「うん、僕の前に並んでた人の分で揚げておいた分が切れちゃったみたいでさ。塩味でよかった?」
「ポテトは塩でしょ! いただきまーす!」
紅彩が揚げたてポテトを一本口に入れると、外はサクッと中はジュワッとポテトの旨みが溢れてきた。ふたりはあっという間にフライドポテトを完食し、次の食事の狙いを定めている。
「ねね、翠ちゃん次あれ食べようよ」
「おーいいじゃん」
紅彩が指したのは焼き鳥だ。近隣住民のボランティアによる出店も、数は少ないがいくつか用意してもらっているらしい。
「………紅彩、翠、ダメだ」
「「え?」」
だが店の前に着いてすぐに蒼唯がノーを突き出した。
「な、なんで?」
何かおかしかった? と翠は首を傾げる。蒼唯の目つきは鋭い。
「ベルたちを呼べ」
『わ、わかった。ベル、クロ、リン。ここへ』
翠が魔法語でそう呼びかけると、するすると人の足元の隙間を縫って番犬がやって来た。
「どうしたの?」
「あの店主たちの魂は視たか?」
『いいえ。………おや? 翠様、精神汚染を無効化する結界を杖で張っておいてください』
「わ、わかった。でもどうして?」
クロがなにかに気付く。翠が聞くと、クロたちは言いにくそうに言葉を詰まらせた。
「わたしになら言える?」
『……………翠様のお父様と同じなんです』
「!」
まさか、と紅彩は目の前で焼き鳥を買って食べた人の様子を伺う。だが、特に購入者の変化は見られない。
「うーん……?」
異端者が社会に溶け込むためには善良な一般市民を演じることが一番の近道である。この屋台はただのカモフラージュ……? それとも、何か仕掛ける気で? 紅彩がそう困惑していると、空中で大きな花火が打ち上げられた。どぱぁぁん! と轟音を周囲に響き渡らせる。すると、突然ふっと提灯の光は消え、焼き鳥を食べた人が倒れた。焼き鳥だけではない。他のいくつかの出店の商品を口にした人々が次々と倒れていく。魔法科の花火台の方からも、「どういうことだ!」と怒号が飛んでくる。
「あ、蒼唯くん」
「だからダメだつったろ」
「クロ……やっぱり」
「はい、彼らの仕業です」
効果は食べ物を食べた人。発動のきっかけは大花火。花火に細工を仕掛けられるのは魔法科の生徒だけだろう。
「あ、あの……」
「紅彩、触るな」
「えっ」
紅彩が近くで倒れていた人に駆け寄り、起こそうとするのを蒼唯が止めた直後、その人はいきなり起き上がり紅彩の腕を掴もうと腕を伸ばしてきた。蒼唯が事前に警告していたおかげで何とかかわしたが、その人は明らかに正気を失っている。
「面倒な呪術をかけてくれたな」
蒼唯は舌打ちとともにそう吐き捨てる。呪術を分析し、扱うことは蒼唯も得意な方だが、解呪になると光魔法に適性を持つ紅彩の方が幾分か精度が上になる。
「ど、どどどどうする!?」
『主、落ち着いて』
『我らで対処する。主たちは主犯者を突き止めてほしい』
「え、えぇ……」
「わかった。行こう、翠ちゃん。蒼唯くん」
紅彩はそう言うと魔法科の設備の近くへ走り出した。
「わかるの?」
「いや? でもなんかすごい嫌な感じがするんだよね、ここら辺」
「待って紅彩、ここからは僕が行く」
花火台が目の前に見えてきたとき、翠が二人を止めた。紅彩や蒼唯と違い、翠は杖魔法を使うことができる。杖魔法で防御結界を多重に張ってから花火台に近付くと、翠の防御結界を学生の魔弾が掠めた。
「チッ、当たったと思ったんだけど」
「……君たちか、こんなことを企てたのは」
台の影から三人の魔法科の生徒が現れる。クロたちが夏に言っていた人とはまた別の人だ。思っているよりも魔法科に潜む原初魔法主義者は多いのかもしれない。
「目的は何? こんなことをして何になる?」
「リーダー亡き今、我々が動かないという手はない」
「えっ」
その言葉に驚いていると、生徒のひとりが飛びかかってきた。慌てて杖で応戦するが、果たしてウン百年モノの杖がどこまで持つか。
「父さんが死んだって……!? 誰から聞いたんだよ、そんなこと」
「父さん……? ああ、椎名家から勘当された息子ってのはあんたのことか。原始の魔法さえも使いこなす魔法師になりたいとは思わなかったのか?」
「思わない。思うこともできない。僕は知ってしまったから。父さんが君たちを率いて、特等魔法師としても名を馳せる裏でおじいさまに逆らえず、原初魔法主義が正しいと否定することすらできなかったことを知ってしまったから」
翠は冷静に破邪の魔法で学生の魔法を完全に打ち消す。
「くっ……それが本当だという証拠は!?」
「父さんの日記だよ。息子である僕にはそれが託されている。父さんは正しく在りたかった。正しく、とは君たちやおじいさまの理想じゃない。父さん自身が持つ信念から起きる行動を取りたかったんだよ。……君たちの全部が悪いとは言わない。君たちは何も知らなかったから」
「何も知らない? 俺たちが? 馬鹿にしてるのか!? 魔法師にもなれない息子風情が!!」
ぶわっと風の刃が翠目掛けて飛んでくる。
「してない! する資格もないと思ってるよ!」
「ならどうしてそんな雄弁になる!? どうして俺たちを止める!? 俺たちが正しくないなら、その理由を示せよ!!」
「君たちやおじいさまたちが追い求める旧時代の魔法はもう役目を終えた! だから現代に残ってないし、禁術として指定されてる! 君たちは知らないだろうからこの際言うけど、少し難解な魔法語がわかれば旧時代の魔法が危険性の高いシロモノだってわかるはずだよ!!」
翠は風の刃も、その後に飛ばされた氷の刃もすべて打ち消す。特等魔法師の家系の息子だ。血筋は本物で、翠の魔法の才もまた本物だ。並大抵の学生では翠には傷一つつけることすら困難を極める。
「なっ……危険性!?」
ほら、やっぱり何も知らない。
「そんなことも知らないのに他人の理想を盲目的に崇拝して、その実態を検証しようとすらしない怠慢が君たちの弱みになるんだ」
「あっ」
「これで少し冷静になってくれるといいけど」
ぱきん、と翠は生徒の両手足を凍らせて動きを封じてしまった。
「と、溶かせ! 砕け! おい!」
「君たちじゃあ無理だと思う。明日までそこで立っててね」
翠はそう言って立ち去る。紅彩たちは──被害者の解呪に向かったらしい。まあ、あのまま真後ろに居られても巻き込んでいただろうし賢明な判断だろう。
「くれあー? どこー?」
けれども、どうもおかしい。解呪は半分ほど終わっているようだが、肝心の紅彩の姿が見当たらない。とりあえず解呪を終えた人々に杖魔法の精神汚染を防ぐ結界を展開しておく。
──翠が応戦している頃、紅彩たちは人々の解呪を行っていた。
「大丈夫ですか? 自分に負けないで!」
「おい紅彩、あんまり魔力を使ったらお前また……」
「わかってるけど、魔力は回復しても命はなくなったら戻らないでしょ! 見た感じ命も蝕む呪術なんでしょ?」
「それはそうだが……」
「なら、やることはひとつ。できる範囲で助けられる命を助ける!」
「………ぶっ倒れたお前を介抱する俺の労力は無視ね」
やれやれ、と溜息を吐きつつも蒼唯は紅彩の後ろをついてまわる。そろそろ半分が終わると言ったところで、突然蒼唯に向かって何かが飛んできた。
「うおっ!?」
「何!?」
「……おかしい、明らかに頭を貫通したはず」
「誰?」
すたすたと歩いてくる。制服が魔法科のものだ。聖華の生徒は学科ごとに制服がほんの少し異なっており、学科ごとにシャツやボトムスにワンポイントで刺繍されるモチーフが変わってくる。召喚科は地球と異界の共生をイメージしたものとして円の中に複数の円が描かれたものが、魔法科は本、治癒魔法科は十字架、そして普通科は羽根ペンが刺繍されている。
「召喚科、か。まさか獣と戯れる奴らに解呪を習得している奴がいるとは……」
「獣? 人外も人間と同じ生命体だよ?」
「く、紅彩……」
そういうことじゃねんだわ、と蒼唯は紅彩の後ろで頭を抱える。俯いたところで、そういえばさっき飛んできた何かが首に刺さったままだったなと思い出して、首に刺さった何かをぐっと引き抜くと魔法科の生徒はぎょっとしていた。
「ん? 何だこれただの氷かよ、しかももっろいな」
ばきっと氷の刃を片手で粉砕すると紅彩から大人しくしろと目で訴えられる。え、身体強化したらこれぐらい人間でもできるよな。
「で? 俺たちに何の用? 翠がいただろ相手してもらえよ。………あ、もしかしてテメェ弱すぎて相手にもされなかったか?」
「あ、蒼唯くん……」
「まぁ仕方ねえよな、この程度の実力じゃあいつには絶対勝てねえ。……でもかと言って俺と俺のご主人に勝てるかって言われたらそれもまた別の話。てかわかんねえ? どう見ても俺らとお前で実力に雲泥の差があるって」
「……!! さっきから好きに喋らせておけば……」
「おっと」
ぶん、と生徒は魔道具の短剣を蒼唯に振るう。
「紅彩、気をつけろ。こいつが呪術の使い手だ」
「わ、わかった」
人外に、死精霊になってよかったこと。回復魔法以外では死なない体になったこと。生身の肉体を持つ紅彩をこの身で守れること。人間の畏怖の象徴になったこと。だから、ありとあらゆる魔法をこの身で全て受け止めても死ぬことはなく、無傷であり続ける。地獄の炎も永久凍土の氷も天の怒りの雷も、俺を殺すことはできない。
「……お前、マジで俺に勝てると思ってんの?」
「なんだ、お前……どうして立っていられる………化け物か?」
「化け物、か。近いけど不正解。俺は舘宮蒼唯。訳あって召喚されたにんげんだよ」
──〝呪詛返し〟。蒼唯がくいっと指を地面に向けてから生徒へゆっくりと指先の方向を変えると、生徒はぶくぶくと泡を吹いて倒れた。
「し、死なない? あれ」
「死なない程度に加減してるに決まってんだろ。俺の勝手でお前の名誉を傷つけるわけにはいかねぇし。ただ起きた後にこのことを言われるとめんどくせぇから、ベルたちに記憶をいじってもらおうか」
人外に対抗できるのは人外か、人外の力を借りる契約を交わした人間だけ。人間ひとりが人外に勝てるわけがないのだ。人間だけの力でなら、人外との相性にもよるが特等魔法師の指揮の下、特等魔法師と上等魔法師の師団がみっつほど集まってようやく太刀打ちできると言ったところだろう。
その後蒼唯たちはベルと合流し、生徒の記憶を操作してもらった。
翠が探し回っていると、正面から三人の姿が見えた。
「………あ、いた」
「蒼唯! 紅彩! ベルたちも!」
「なんかお前んとこからすっげぇ音がしてたけど……」
「大丈夫。無力化させてるよ。それにしても先生たちは? ここまで大事になってるから絶対に来るはずなんだけど」
花火台に監督としていた先生は突然の呪術に対応しきれず倒れてしまったが、他の先生はどこにいるのだろうか。
「職員室にいたとしても飛んで出てこないと変なんだよね」
「………紅彩、職員室に行くぞ。翠は……図書館周りを見てくれ」
「了解。何かあったらこの紙に魔力を通して」
「これは?」
翠が蒼唯に渡したのは掌ほどの大きさの紙だった。よく見るとうっすらと魔法陣が描かれている。
「簡易魔力通信機的なやつ。携帯のバッテリーが少なくても気軽に連絡できるようにね」
「ありがとう。じゃあ」
「うん」
紅彩と蒼唯は職員室、翠とベルたちは図書館へ向かっていった。紅彩が後に翠から聞いた話によると、三人いたうちの残りのひとりはベルたちが地獄に一旦送り込んだらしい。番犬が閻魔を完璧に思いやれるようになるまではまだ少し時間が必要なようだ。
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