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4 崇拝するもの
学園祭初日
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準備は順調に進められ、学園祭当日を迎えた。蒼唯は変化を解き、血色の無い顔面を紅彩のメイクでなんとか誤魔化す。紅彩は逆に変化魔法で蒼唯の髪と目の色を真似る。薄く化粧をして、「いい感じ」と満足そうに鏡をしまった。前日に渡された服を着て教室に向かうと、一部のクラスメイトの召喚獣がギョッとした顔で蒼唯を見たが、蒼唯がじろりと見つめると召喚された妖精や精霊は、何も見てないと主人のクラスメイトに蒼唯の正体を明かすことはしなかった。
「お~! なんか漫画に出てきそうな感じじゃん!」
「変ならそう言え」
「違う違う! 本当に人外にルーツを持ってたんだ~ってちょっと感動してんの!」
セラは白銀の髪の蒼唯に興奮気味に話しかける。
「紅彩のは変化魔法だよね?」
「うん。結構難しいよ、この色」
「なんかよくわかんない色だよね、白に見えるけど白じゃないし。灰色にしては透明感高いし」
「悪かったな、面倒な色で」
蒼唯と紅彩が渡された衣装は他のクラスメイトよりも少しダーク要素が強いものだ。テーマが〝御伽噺〟のため、小さい頃によく読む童話に登場するキャラクターに扮装している。「ヴィランもいなきゃつまんないっしょ!」というセラの考えから、何人かが紅彩たちのようにヴィラン側の衣装を纏っている。紅彩と蒼唯の衣装は『赤ずきん』に登場する狼だ。耳はカチューシャ、しっぽはそれぞれの服のベルトループにカラビナでつけられる仕様になっている。尚、普通の服がちょうど背骨と重なる位置にベルトループをつけることはほとんど無いため、事前に裁縫上手なセラが似たような色の布を使ってベルトループの輪っかを増やしている。
開店すると、早速普通科の人たちが来店した。
「こ、この子たちって噛んだりは……」
「しませんしません! 私たちは召喚者なので、この子たちにしっかり教育してあります! ですのでご安心ください」
「そ、そうなんだ……よかった」
普通科と召喚科で授業が被ることはない。体育も召喚師としての体力作りになるため、他学科の人間と合同で行うことはないのだ。人の手によって召喚された人外を見るのは初めてだという普通科の人間は少なくない。そのため、街中を歩く人外とは違うのか、躾はどうなのかなど少しペットのような感覚を持っているらしい。一部種族においては間違ってはいないとも取れる考えだが、基本的に召喚される人外の大半が、種において人間に自らの意思で人間と主従関係を結ぶことは一種の酔狂であるという考えを持つ。もちろん精霊も例外ではない。ファントンやアムが例外なだけで、若い精霊は特に人間を見下し、人間に悪戯しようと考える者も多い。ただ、幸いにもこの二人が精霊界の実力者として頂点に位置する存在であるため、精霊が実際に人間に悪戯をすることは少ない。
黙ってじっとしていればただの美少女である紅彩は、召喚科についてほとんど何も知らない普通科の生徒にちやほや褒められ、途中から客引き要因として店外へ駆り出された。紅彩目当てで話しかける人や、店に来る気がないのに紅彩に話しかけてばかりの人に蒼唯が後ろからぬっと現れ睨みつけると、そのような人々は適当な理由をつけて散っていく。結果、冷やかしではなく本当に召喚科と接することができるイベントに参加したい人々だけが来店するようになるので、召喚獣たちの期限を損ねるような行為を故意に行うような所謂〝クソ客〟の発生頻度がぐっと抑えられた。
「あ~やっと休憩だ~もう色んな人に囲まれすぎて外出たくないぃ……」
「あと二日これとか信じられねぇんだけど」
宣伝に奔走しているとセラから「そろそろ疲れたっしょ? 休憩していいよ!」とメッセージが来たので、ふたりは召喚科専用の休憩室へ逃げるように入った。椅子に座るとぐでんと溶けたように紅彩の姿勢は崩れた。蒼唯も椅子の背もたれに仰け反るようにして座っている。
「あ」
「「あ」」
からから、と戸が開く音と共に翠が入ってきた。
「あー疲れた……君たちも大変だね」
「くれあさん、あおいさん、こんにちわ」
「リンちゃんかわいい~! 癒される……」
ひょこっとやつれ気味の翠の後ろから、フリルのリボンをつけたリンが顔を出す。ベルとクロにはかなり見えにくいが、黒地に光が当たると金色のラメが反射するネクタイがつけられていた。はっはっはっ、とリンが紅彩に擦り寄ると紅彩はたまらんと言わんばかりにその表情筋を溶かした。
「………え、てかなんか見ないうちに肉体のカラバリ増やしてない? なんで?」
「翠になら言ってもいいか」
「翠ちゃんならね。実は……」
「…………え~っ!?」
『成程、だからあなたから以前とは違う同類の匂いがしたのですね』
夏休みの出来事を聞いた翠は酷く驚いていたが、その召喚獣たちはふむふむと納得している様子だ。
「匂いって言ったか? 俺腐乱臭でも撒き散らしてる?」
「いえ、ただ生者の匂いではないので。その匂いも我々のような死者に関係のある人外しかわかりませんし」
「そうか……でも何人かの妖精とかにはどえらい顔されたな、殺人鬼でも見たのかって感じの」
蒼唯がそう言うと、翠とクロたちはああ……と察し、紅彩はくすくすと軽く笑った。似たような種族にはやはり魔力抑制をマスターし、メイクで人間の顔色を繕っても気付かれてしまうものらしい。
「まぁ睨んだら怯んで何も言ってこなかったな」
「そりゃあ蒼唯くんは死精霊の始祖の末裔だから……」
「君ハチャメチャな奴だよねー、紅彩に負担かけないでよね?」
「わかってる。その為に時々先祖にわざわざしごかれに行ってんだよこっちは」
先日もまた夜に精霊界へ行き、翌日の夕方にげっそりした顔で蒼唯は戻ってきた。「実戦は経験を積まないと上達するものもしないよ!」とアムに何戦も仕掛けられたらしい。精霊界は人間界と環境がかなり違うため、蒼唯は全力を出せるようにはなっているがそれでもアムには到底敵わない。当然だ。アムは何万年も前から存在している精霊のひとり、蒼唯とは積んできた経験値の量がまるで違うのだ。
「私は君に王の座を譲ろうと考えているからね、それまでに君の力をつけることならいくらでも、どんなことでも協力してあげたいのさ」
「隠居ジジイの暇潰しだろ」
「隠居ジジイなんてそんな!」
寿命という概念もない死精霊をジジイと呼んでいいのかもわからないが。アムは悲しむ演技をしながら、容赦ない量の魔弾を打ち込み、濃密な死の気配で周囲を包み、対象を殺すまでどこまでも追いかける刃を投げつけ、ありとあらゆる攻撃手段を蒼唯に向けた。
そんなこんなで、最近の蒼唯はメキメキと精霊として力をつけているのであった。
「……で、そんなおふたりは中夜祭には行くの?」
「「中夜祭?」」
「えっ何も聞いてないの。てか蒼唯は内部生だったから知ってるよね!?」
「いや、興味ねえことは何にも頭に残らん」
「ええ………まぁいいや、中夜祭は明日の夜に行われるやつさ。基本的に魔法科が魔法で花火を打ち上げて盛り上げたり、一部の飲食担当のクラスが昼間の営業時間を短縮して夜に営業再開して、夏祭りの簡易版みたいなものなんだよ。で、どうする?」
「うーん……お客さんの量次第かなぁ」
「なんかすっごい賑わってるよね、十二組」
「もうこの部屋の外に出たくねえもん。俺も紅彩も人間にどわーって囲まれてよ、引っ剥がすにも乱暴は御法度だし迷惑にも程があるだろ、マジで……」
紅彩は顔だけは確実に良い部類に入るため、朝に弱く、授業中に好き勝手して注意されては黒板に書いてある問題にすべて答え、単元の範囲外の教科書の内容をべらべらと喋って教師を困らせる彼女の姿を日常的に見る召喚科以外の生徒は、そんな彼女の様子を知る由もなく……彼女の容姿に釣られてわちゃわちゃと集まってくるのである。やや儚さを帯びた銀髪の少女に、「お人形さんみたい」と集まりちやほやし始め、人前に滅多に姿を表さない死精霊を知っているわけもない彼らに蒼唯の正体がわかるはずもなく、蒼唯はただ困惑する紅彩の手を引っ張りなんとか逃げることしかできなかった。
「普通科の男が特にしつけぇな。確かにこいつ、今日は化粧もしてっから尚更黙ってたらかなりマシな部類だろうけど……」
そう話していると、突然グラウンドの方から爆発音が聞こえた。
「何!?」
「明日の中夜祭の準備でもしてたのかな……?」
翠と紅彩が驚いて窓の外を見る。もうもうと黒煙が上がっているが、消火活動などは行われていない。すると、スピーカーから音声が流れてきた。
《あー、あー、先程の爆音ですが、翌晩の中夜祭準備中に起きた事故によるものです。学園祭自体には支障はありませんので、引き続き学園祭をお楽しみください。処理は魔法科担当者で行います》
「「「………えぇ」」」
魔法科大丈夫かな、と紅彩は心配に思うが翠と蒼唯は呆れているようだった。
「はぁ……主、翌晩我らは夜闇に潜み彼らの動向を探ろうと思うが」
「わかった、僕も行くよ。ふたりは?」
「俺も行くか」
「え、えぇ? わ、わかった……」
行く予定のなかった中夜祭に行くことが決まり、そこで紅彩と蒼唯は休憩を終えた。
「お~! なんか漫画に出てきそうな感じじゃん!」
「変ならそう言え」
「違う違う! 本当に人外にルーツを持ってたんだ~ってちょっと感動してんの!」
セラは白銀の髪の蒼唯に興奮気味に話しかける。
「紅彩のは変化魔法だよね?」
「うん。結構難しいよ、この色」
「なんかよくわかんない色だよね、白に見えるけど白じゃないし。灰色にしては透明感高いし」
「悪かったな、面倒な色で」
蒼唯と紅彩が渡された衣装は他のクラスメイトよりも少しダーク要素が強いものだ。テーマが〝御伽噺〟のため、小さい頃によく読む童話に登場するキャラクターに扮装している。「ヴィランもいなきゃつまんないっしょ!」というセラの考えから、何人かが紅彩たちのようにヴィラン側の衣装を纏っている。紅彩と蒼唯の衣装は『赤ずきん』に登場する狼だ。耳はカチューシャ、しっぽはそれぞれの服のベルトループにカラビナでつけられる仕様になっている。尚、普通の服がちょうど背骨と重なる位置にベルトループをつけることはほとんど無いため、事前に裁縫上手なセラが似たような色の布を使ってベルトループの輪っかを増やしている。
開店すると、早速普通科の人たちが来店した。
「こ、この子たちって噛んだりは……」
「しませんしません! 私たちは召喚者なので、この子たちにしっかり教育してあります! ですのでご安心ください」
「そ、そうなんだ……よかった」
普通科と召喚科で授業が被ることはない。体育も召喚師としての体力作りになるため、他学科の人間と合同で行うことはないのだ。人の手によって召喚された人外を見るのは初めてだという普通科の人間は少なくない。そのため、街中を歩く人外とは違うのか、躾はどうなのかなど少しペットのような感覚を持っているらしい。一部種族においては間違ってはいないとも取れる考えだが、基本的に召喚される人外の大半が、種において人間に自らの意思で人間と主従関係を結ぶことは一種の酔狂であるという考えを持つ。もちろん精霊も例外ではない。ファントンやアムが例外なだけで、若い精霊は特に人間を見下し、人間に悪戯しようと考える者も多い。ただ、幸いにもこの二人が精霊界の実力者として頂点に位置する存在であるため、精霊が実際に人間に悪戯をすることは少ない。
黙ってじっとしていればただの美少女である紅彩は、召喚科についてほとんど何も知らない普通科の生徒にちやほや褒められ、途中から客引き要因として店外へ駆り出された。紅彩目当てで話しかける人や、店に来る気がないのに紅彩に話しかけてばかりの人に蒼唯が後ろからぬっと現れ睨みつけると、そのような人々は適当な理由をつけて散っていく。結果、冷やかしではなく本当に召喚科と接することができるイベントに参加したい人々だけが来店するようになるので、召喚獣たちの期限を損ねるような行為を故意に行うような所謂〝クソ客〟の発生頻度がぐっと抑えられた。
「あ~やっと休憩だ~もう色んな人に囲まれすぎて外出たくないぃ……」
「あと二日これとか信じられねぇんだけど」
宣伝に奔走しているとセラから「そろそろ疲れたっしょ? 休憩していいよ!」とメッセージが来たので、ふたりは召喚科専用の休憩室へ逃げるように入った。椅子に座るとぐでんと溶けたように紅彩の姿勢は崩れた。蒼唯も椅子の背もたれに仰け反るようにして座っている。
「あ」
「「あ」」
からから、と戸が開く音と共に翠が入ってきた。
「あー疲れた……君たちも大変だね」
「くれあさん、あおいさん、こんにちわ」
「リンちゃんかわいい~! 癒される……」
ひょこっとやつれ気味の翠の後ろから、フリルのリボンをつけたリンが顔を出す。ベルとクロにはかなり見えにくいが、黒地に光が当たると金色のラメが反射するネクタイがつけられていた。はっはっはっ、とリンが紅彩に擦り寄ると紅彩はたまらんと言わんばかりにその表情筋を溶かした。
「………え、てかなんか見ないうちに肉体のカラバリ増やしてない? なんで?」
「翠になら言ってもいいか」
「翠ちゃんならね。実は……」
「…………え~っ!?」
『成程、だからあなたから以前とは違う同類の匂いがしたのですね』
夏休みの出来事を聞いた翠は酷く驚いていたが、その召喚獣たちはふむふむと納得している様子だ。
「匂いって言ったか? 俺腐乱臭でも撒き散らしてる?」
「いえ、ただ生者の匂いではないので。その匂いも我々のような死者に関係のある人外しかわかりませんし」
「そうか……でも何人かの妖精とかにはどえらい顔されたな、殺人鬼でも見たのかって感じの」
蒼唯がそう言うと、翠とクロたちはああ……と察し、紅彩はくすくすと軽く笑った。似たような種族にはやはり魔力抑制をマスターし、メイクで人間の顔色を繕っても気付かれてしまうものらしい。
「まぁ睨んだら怯んで何も言ってこなかったな」
「そりゃあ蒼唯くんは死精霊の始祖の末裔だから……」
「君ハチャメチャな奴だよねー、紅彩に負担かけないでよね?」
「わかってる。その為に時々先祖にわざわざしごかれに行ってんだよこっちは」
先日もまた夜に精霊界へ行き、翌日の夕方にげっそりした顔で蒼唯は戻ってきた。「実戦は経験を積まないと上達するものもしないよ!」とアムに何戦も仕掛けられたらしい。精霊界は人間界と環境がかなり違うため、蒼唯は全力を出せるようにはなっているがそれでもアムには到底敵わない。当然だ。アムは何万年も前から存在している精霊のひとり、蒼唯とは積んできた経験値の量がまるで違うのだ。
「私は君に王の座を譲ろうと考えているからね、それまでに君の力をつけることならいくらでも、どんなことでも協力してあげたいのさ」
「隠居ジジイの暇潰しだろ」
「隠居ジジイなんてそんな!」
寿命という概念もない死精霊をジジイと呼んでいいのかもわからないが。アムは悲しむ演技をしながら、容赦ない量の魔弾を打ち込み、濃密な死の気配で周囲を包み、対象を殺すまでどこまでも追いかける刃を投げつけ、ありとあらゆる攻撃手段を蒼唯に向けた。
そんなこんなで、最近の蒼唯はメキメキと精霊として力をつけているのであった。
「……で、そんなおふたりは中夜祭には行くの?」
「「中夜祭?」」
「えっ何も聞いてないの。てか蒼唯は内部生だったから知ってるよね!?」
「いや、興味ねえことは何にも頭に残らん」
「ええ………まぁいいや、中夜祭は明日の夜に行われるやつさ。基本的に魔法科が魔法で花火を打ち上げて盛り上げたり、一部の飲食担当のクラスが昼間の営業時間を短縮して夜に営業再開して、夏祭りの簡易版みたいなものなんだよ。で、どうする?」
「うーん……お客さんの量次第かなぁ」
「なんかすっごい賑わってるよね、十二組」
「もうこの部屋の外に出たくねえもん。俺も紅彩も人間にどわーって囲まれてよ、引っ剥がすにも乱暴は御法度だし迷惑にも程があるだろ、マジで……」
紅彩は顔だけは確実に良い部類に入るため、朝に弱く、授業中に好き勝手して注意されては黒板に書いてある問題にすべて答え、単元の範囲外の教科書の内容をべらべらと喋って教師を困らせる彼女の姿を日常的に見る召喚科以外の生徒は、そんな彼女の様子を知る由もなく……彼女の容姿に釣られてわちゃわちゃと集まってくるのである。やや儚さを帯びた銀髪の少女に、「お人形さんみたい」と集まりちやほやし始め、人前に滅多に姿を表さない死精霊を知っているわけもない彼らに蒼唯の正体がわかるはずもなく、蒼唯はただ困惑する紅彩の手を引っ張りなんとか逃げることしかできなかった。
「普通科の男が特にしつけぇな。確かにこいつ、今日は化粧もしてっから尚更黙ってたらかなりマシな部類だろうけど……」
そう話していると、突然グラウンドの方から爆発音が聞こえた。
「何!?」
「明日の中夜祭の準備でもしてたのかな……?」
翠と紅彩が驚いて窓の外を見る。もうもうと黒煙が上がっているが、消火活動などは行われていない。すると、スピーカーから音声が流れてきた。
《あー、あー、先程の爆音ですが、翌晩の中夜祭準備中に起きた事故によるものです。学園祭自体には支障はありませんので、引き続き学園祭をお楽しみください。処理は魔法科担当者で行います》
「「「………えぇ」」」
魔法科大丈夫かな、と紅彩は心配に思うが翠と蒼唯は呆れているようだった。
「はぁ……主、翌晩我らは夜闇に潜み彼らの動向を探ろうと思うが」
「わかった、僕も行くよ。ふたりは?」
「俺も行くか」
「え、えぇ? わ、わかった……」
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