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【第4章】 三日月峠の戦い
64 月夜の夜に・カーナ編①
しおりを挟む――討ち取ったり!!!
ふいに崖の上からムンガルの野太い声が吹き下りてくる風に乗ってここまで届いてきた。
声のしたほうに顔を向けると、続いて戦士たちの嵐のような歓声
カーナはそれを煙たそうに見上げる
ちょうど暗闇の奥、断崖絶壁の上に聳え立つダイアル城塞がある辺りを
どうやら上では戦いが激化しているようだ
しかしここからでは真上を見上げても、その戦況を窺い知ることは出来なかった。
「不愉快な声ですね」
疎ましそうにそう呟くと、気持ちを切り替えるように手を軽くあげて後ろにいる人物たちに合図を出した。
「ではそろそろ我々も行きましょうか」
頷く複数の人影たち
どれもカーナよりも背丈が高く、分厚い影
彼らは野太い声で答えた
「はい」
灯りもつけず、月明かりだけを頼りに足を進ませていく人影たち
その先頭で一行を先導するように歩くカーナは慎重なぐらいの歩調で進んでいく。
崖の上からは激化する歓声が聞こえるが、ここはそれがまるで嘘のように静まり返っていた。
カーナが護衛するのは首が太ももぐらいある16名
全員、屈強な肉体を持ち、まるでムンガルが分身したようなガタイのやつらだった。
彼らは背に剣ではなくスコップやつるはしを持ち、その身体に纏うのは鎧ではなく動きやすい普通の服装
そんな筋肉自慢のタフガイどもを連れて歩くカーナ
程なくして無事、崖の真下辺りまで着いた。
「ここからは壁に沿うようにして裏側まで移動して行きます、皆さんできる限り物陰から出ないでください」
月の光すら届かない暗闇
鼻先すら見えない中、カーナたちはゴツゴツした岩肌に片手を押さえながら、ダイアル城塞のちょうど真下を崖に沿うように足音1つ立てずに移動していくのであった。
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