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【第4章】 三日月峠の戦い
65 月夜の夜に・カーナ編②
しおりを挟むマリアンヌ様は夕方ごろ眠たそうに目をこすりながらこう言われた。
「魔道具使いとの戦いで疲れているところ悪いが、お前には今晩やってもらいたいことがある」
なんとお優しい方だろう、こんな私を気遣ってくれるなんて
私はもちろん「疲れなどない」と首を振った(全力で)
「何なりと申し付けください!」
「えっ、結構、元気そうだな…。 まぁ元気ならそれでいいや、お前にやってもらいたいのは護衛だ」
「護衛…ですか?」
「お前も知っての通り、今日の深夜に我はダイアル城塞に攻め込む。だが、お前には別行動を取ってもらいたい。いや、厳密に言うと別行動を取る少数部隊の護衛をやってもらいたいのだ」
マリアンヌ様の護衛が出来ないのは残念だが、ご命令ならば仕方が無い
私は再び「はい」と頷く
「今から渡す紙に書いたこの赤い×の付いた場所、そこまである人物たちを護衛しろ、そして任務が終了するまで守れ」
そこまで言うと「そしてここからが重要なのだが」と前置きをして周りに人がいないことを入念に確認するマリアンヌ様
誰もいないことは周囲の気配を感じ取れば明らかだったが、私は水を差すようなことは言うまいと心に蓋をした。
するとマリアンヌ様は小さな声を近づけてこられた
「もしも誰かにお前たちの姿が見られたら…」
少しの沈黙
その瞳は眠気など忘れた瞳
冷酷そのものだった
マリアンヌ様はロウソクを吹き消すようにゆっくりと息を吐いてから言った
「護衛よりも、その人物を殺すことに目的を変更しろ。いいな?確実に殺せ。最悪、護衛対象が全員死んでも構わん」
マリアンヌ様はそっと赤い×の付いた地図を私に手渡された
地図に目を伏せる
×の付いた場所はダイアル城塞の裏側、プルート領とアトラス領を隔てる川に面した所であった
「まぁ、たぶん護衛などいらんだろうが…念のためだ」
「この場所には一体何が?」
そう問いかけるとマリアンヌ様は「お前が知る必要は無い」と被りを振られた
そして話を切るように大きくあくびをした
見かたによっては、めんどくさいから説明しない、、とも取れるが、きっとそれはマリアンヌ様のおっしゃるとおり私が知る必要が無いのだ…
うん、だから言わなかったのだ
そうだ、きっとそうだ
「我は夜中に備えて睡眠をとる。時間になったら起こせ」
「はい、お休みなさいませマリアンヌ様」
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