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プロローグ
プロローグ 1
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【1】
民家も何もない山道をただひたすら走りはじめて、既に一時間近くは経過しただろうか。
辺りは木々が鬱蒼と生い茂り、人のいそうな気配は一切ない。
五月二十日、木曜日。
普通なら学校に行かなければならない平日の午前。
そんな時間帯にも関わらず、高校生である自分たちミスオカ研メンバーが何故こんな辺鄙な山奥を車で移動しているのか。
事の発端はつい二十四時間前に遡る。
最近流行し始めた感染性胃腸炎が校内で大流行してしまい、五日間の休校が決定したのが昨日の朝。
そして、そんな異例のサプライズに歓喜の声を上げ、ミスオカ研メンバー限定での旅行を部長が提案してきたのが同日の昼過ぎくらいだったか。
「実はミスオカ研にうってつけの、良い話があるんだよ」
いきなりメールでメンバーを呼び出した部長は、そんな言葉と共に今回の旅行計画を持ちかけてきた。
長野県の山間部に従姉が住んでいる村がある。
そこの村には昔から不思議な言い伝えみたいなものがあり、それをこの連休を利用して調べに行ってみよう。
簡潔に説明してしまえばこんな流れである。
因みに、ミスオカ研というのは俺たちが通う高校、県立坂宮高等学校に去年からできた倶楽部のことだ。
正式名はミステリー&オカルト研究部。
この世にはびこるいろいろな怪現象や理屈では説明できない謎を調査し、それを解明するというのが活動内容になっているが、実際のところはほとんど活動をしていないお飾り部。
毎日適当に集まり、好き勝手に雑談し、そして適当に解散する。
ごく稀に、部長が持ってきたホラー映画やサスペンスドラマの観賞会などをやったりもするが、結局はその程度の集まりだ。
部員の数はたったの四人。
来年あたり新入部員が来なければ早くも廃部の危機を抱えているという、なんとも情けない部である。
「なんかさー、あれよね。あたしさっきからずっと外の景色眺めてるけど、全然外灯がないのよ。夜にこの道歩けなんて言われたら軽く塞ぎ込む自信あるわ」
長く沈黙が続いていた車内に、何の前触れもなく声が吐き出された。
後部座席の左側。
閉めた窓に頭を預けながら車内の沈黙を破ったのは、同じミスオカ研部員の夜月桜。
背中まで伸ばした黒髪を手でいじくりながら、気だるげに視線を運転席の方へ向ける。
「ねぇ由奈さん、あとどれくらいで着くんですか? 山道入ってからかなり走ってる気がするんですけど……」
「もう少しだけ我慢してね。あとちょっと行くとつり橋があるから、そこを渡ればすぐよ」
バックミラー越しに視線を返し、そう答えてきたのは野島由奈さん。
彼女が我らがミスオカ研の部長、野島孝介の従姉であり、今向かっている村で宿泊施設の従業員をしながら生活をしている人だ。
とはいえ、今日初めて会ったばかりの人なのであまり詳しいことはわからない。
見た目的には二十代半ばくらいだろうか。
軽くウェーブのかかった髪と、三日月型の小さなイヤリングが個人的には印象に残る。
「つり橋? え? それちゃんと車で渡れるんですよね?」
民家も何もない山道をただひたすら走りはじめて、既に一時間近くは経過しただろうか。
辺りは木々が鬱蒼と生い茂り、人のいそうな気配は一切ない。
五月二十日、木曜日。
普通なら学校に行かなければならない平日の午前。
そんな時間帯にも関わらず、高校生である自分たちミスオカ研メンバーが何故こんな辺鄙な山奥を車で移動しているのか。
事の発端はつい二十四時間前に遡る。
最近流行し始めた感染性胃腸炎が校内で大流行してしまい、五日間の休校が決定したのが昨日の朝。
そして、そんな異例のサプライズに歓喜の声を上げ、ミスオカ研メンバー限定での旅行を部長が提案してきたのが同日の昼過ぎくらいだったか。
「実はミスオカ研にうってつけの、良い話があるんだよ」
いきなりメールでメンバーを呼び出した部長は、そんな言葉と共に今回の旅行計画を持ちかけてきた。
長野県の山間部に従姉が住んでいる村がある。
そこの村には昔から不思議な言い伝えみたいなものがあり、それをこの連休を利用して調べに行ってみよう。
簡潔に説明してしまえばこんな流れである。
因みに、ミスオカ研というのは俺たちが通う高校、県立坂宮高等学校に去年からできた倶楽部のことだ。
正式名はミステリー&オカルト研究部。
この世にはびこるいろいろな怪現象や理屈では説明できない謎を調査し、それを解明するというのが活動内容になっているが、実際のところはほとんど活動をしていないお飾り部。
毎日適当に集まり、好き勝手に雑談し、そして適当に解散する。
ごく稀に、部長が持ってきたホラー映画やサスペンスドラマの観賞会などをやったりもするが、結局はその程度の集まりだ。
部員の数はたったの四人。
来年あたり新入部員が来なければ早くも廃部の危機を抱えているという、なんとも情けない部である。
「なんかさー、あれよね。あたしさっきからずっと外の景色眺めてるけど、全然外灯がないのよ。夜にこの道歩けなんて言われたら軽く塞ぎ込む自信あるわ」
長く沈黙が続いていた車内に、何の前触れもなく声が吐き出された。
後部座席の左側。
閉めた窓に頭を預けながら車内の沈黙を破ったのは、同じミスオカ研部員の夜月桜。
背中まで伸ばした黒髪を手でいじくりながら、気だるげに視線を運転席の方へ向ける。
「ねぇ由奈さん、あとどれくらいで着くんですか? 山道入ってからかなり走ってる気がするんですけど……」
「もう少しだけ我慢してね。あとちょっと行くとつり橋があるから、そこを渡ればすぐよ」
バックミラー越しに視線を返し、そう答えてきたのは野島由奈さん。
彼女が我らがミスオカ研の部長、野島孝介の従姉であり、今向かっている村で宿泊施設の従業員をしながら生活をしている人だ。
とはいえ、今日初めて会ったばかりの人なのであまり詳しいことはわからない。
見た目的には二十代半ばくらいだろうか。
軽くウェーブのかかった髪と、三日月型の小さなイヤリングが個人的には印象に残る。
「つり橋? え? それちゃんと車で渡れるんですよね?」
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