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プロローグ
プロローグ 2
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由奈さんの言葉を聞いてあからさまに顔をしかめる桜。
「心配しなくても大丈夫よ。村の人達だって頻繁に通ってるし、わたしが村に住み着いてから五年間、一度も事故なんて起きたことないんだから」
「それなら良いですけど……」
からからと笑いながら由奈さんが言うと、不安を拭いきれない様子ながらも桜は引き下がる。
「つり橋って、ドラマとかだとよく落ちたりするからなぁ」
「桜くん、ちょっと怖がり過ぎだよ。そんなのは所詮ドラマや小説の中で起きる話さ。現実でそう簡単に橋が落ちてたら、それこそ問題になるよ」
助手席に座る野島部長が肩越しに振り向き笑顔をみせた。
その日の気分で眼鏡とコンタクトを使い分けているらしいが、どうやら今日はコンタクトの気分らしい。
「それくらいわかってますけどぉ」
唇を尖らせ、不満そうに告げる桜。
そんな彼女を見つめながら、部長は言葉を言い添える。
「それに、今回はつり橋なんかじゃなくて村に伝わる言い伝えを調べに来たんでしょう? こんなとこで怖じ気づいてる場合じゃないよ」
「別に怖じ気づいてなんかいません。もう、部長は前向いてて下さいよ」
「あはは、ごめんごめん」
咎められ、部長は楽しそうに笑いながら頭を前に戻す。
「はぁ……。ところで、乃亜ちゃんさっきからずっと目瞑ってるけど具合でも悪いの?」
からかわれてる感じに嫌気がさしたか、適当に話題をすり替えるように桜は終始黙り込んだままの人物へと話を振った。
後部座席右側。
そこで、全く会話に参加する意思を見せずに、静かに目を閉じている小柄な少女。
俺たちの後輩で、今年唯一の新入部員でもある一年生。
蓮田乃亜。
ミディアムショートの髪に、日焼けとは無縁で生きてきたとでも言うような白い肌。
その辺の廃屋にでも置いておけば、精巧に作られた人形と勘違いしてしまいそうな容姿だ。
「……乃亜ちゃ~ん、起きてるぅ?」
無反応な後輩に、僅かに遠慮がちな口調になりながら桜が再度声をかける。
すると、まるで永い眠りから覚めた白雪姫のような緩慢な動きで、蓮田がゆっくりとその瞼を上げた。
「起きてます」
ユルリと目だけを桜に向け、抑揚のない声で蓮田が呟く。
「ええっと……、具合とか、悪かったりする?」
感情のない表情で見つめ返され、堪らず顔を強張らせる桜だったが、それでも何とか会話を続けようと試みる。
「いえ、特には。至って普通ですけど」
「ああ、そう……。ずっとリアクションがないから気になってたのよ。車酔いとかしてないかな~、なんて」
「そうでしたか」
「う、うん。そうなの……」
桜の健闘虚しく、会話はそれで終わった。
蓮田は再び目を閉じると、何事もなかったかのように静かに呼吸だけを繰り返し始める。
「…………常々思ってたことだけど、あたし乃亜ちゃんのキャラクターだけは掴めそうにないわ」
動かなくなった蓮田を眺めたまま、呻くように桜が言う。
――その気持ちはわかるけどな。
後部座席の真ん中。
女子二人に挟まれるかたちで座っている俺、長沢雄治は胸中で同意する。
確かに蓮田 乃亜は、よくわからないことが多すぎる。
「心配しなくても大丈夫よ。村の人達だって頻繁に通ってるし、わたしが村に住み着いてから五年間、一度も事故なんて起きたことないんだから」
「それなら良いですけど……」
からからと笑いながら由奈さんが言うと、不安を拭いきれない様子ながらも桜は引き下がる。
「つり橋って、ドラマとかだとよく落ちたりするからなぁ」
「桜くん、ちょっと怖がり過ぎだよ。そんなのは所詮ドラマや小説の中で起きる話さ。現実でそう簡単に橋が落ちてたら、それこそ問題になるよ」
助手席に座る野島部長が肩越しに振り向き笑顔をみせた。
その日の気分で眼鏡とコンタクトを使い分けているらしいが、どうやら今日はコンタクトの気分らしい。
「それくらいわかってますけどぉ」
唇を尖らせ、不満そうに告げる桜。
そんな彼女を見つめながら、部長は言葉を言い添える。
「それに、今回はつり橋なんかじゃなくて村に伝わる言い伝えを調べに来たんでしょう? こんなとこで怖じ気づいてる場合じゃないよ」
「別に怖じ気づいてなんかいません。もう、部長は前向いてて下さいよ」
「あはは、ごめんごめん」
咎められ、部長は楽しそうに笑いながら頭を前に戻す。
「はぁ……。ところで、乃亜ちゃんさっきからずっと目瞑ってるけど具合でも悪いの?」
からかわれてる感じに嫌気がさしたか、適当に話題をすり替えるように桜は終始黙り込んだままの人物へと話を振った。
後部座席右側。
そこで、全く会話に参加する意思を見せずに、静かに目を閉じている小柄な少女。
俺たちの後輩で、今年唯一の新入部員でもある一年生。
蓮田乃亜。
ミディアムショートの髪に、日焼けとは無縁で生きてきたとでも言うような白い肌。
その辺の廃屋にでも置いておけば、精巧に作られた人形と勘違いしてしまいそうな容姿だ。
「……乃亜ちゃ~ん、起きてるぅ?」
無反応な後輩に、僅かに遠慮がちな口調になりながら桜が再度声をかける。
すると、まるで永い眠りから覚めた白雪姫のような緩慢な動きで、蓮田がゆっくりとその瞼を上げた。
「起きてます」
ユルリと目だけを桜に向け、抑揚のない声で蓮田が呟く。
「ええっと……、具合とか、悪かったりする?」
感情のない表情で見つめ返され、堪らず顔を強張らせる桜だったが、それでも何とか会話を続けようと試みる。
「いえ、特には。至って普通ですけど」
「ああ、そう……。ずっとリアクションがないから気になってたのよ。車酔いとかしてないかな~、なんて」
「そうでしたか」
「う、うん。そうなの……」
桜の健闘虚しく、会話はそれで終わった。
蓮田は再び目を閉じると、何事もなかったかのように静かに呼吸だけを繰り返し始める。
「…………常々思ってたことだけど、あたし乃亜ちゃんのキャラクターだけは掴めそうにないわ」
動かなくなった蓮田を眺めたまま、呻くように桜が言う。
――その気持ちはわかるけどな。
後部座席の真ん中。
女子二人に挟まれるかたちで座っている俺、長沢雄治は胸中で同意する。
確かに蓮田 乃亜は、よくわからないことが多すぎる。
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