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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 9
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自分の腕を抱えるように身を縮ませ、桜が言った。
昔から怪談話などが苦手だった彼女にとって、こういった場所はなるべく避けたい部類かもしれない。
「幽霊か。守り神みたいなのは、ひょっとしたらいるのかもね。どうする? 一応奥まで行ってみる?」
正面に建っている社殿を指差す由奈さんへ、部長が頷く。
「そうだね。せっかくだから」
その言葉を聞いて、桜が部長を睨んだことに気付いたがそこはあえて黙っておく。
石段から続く通路は石畳になっており、全員が歩く度に砂利を擦るような音が響いた。
社殿には、何故か本来あるはずの賽銭箱は見当たらない。
疑問に思い俺が訊ねると、
「そんなの、誰もお金入れる人いないから。置いておく意味もないんじゃない? そもそもここに人が来ること自体稀だし」
そう言って、由奈さんは首を傾けてみせた。
「でも、ここって結構古いよね。どれくらい前に建てられたのかな?」
社殿の屋根を見上げ、部長が言う。
「さぁ。藤の木が村の象徴になった後だとは思うけど……あたしにもそこまでは。江戸時代以降って話は聞いたよ」
従姉弟同士のやり取りを聞きながら、俺は古びた木造の社殿を観察する。賽銭箱がないため、正面の入口までは障害物となる物が一切ない。
最後に手入れをしたのはどれほど前になるのか、そこそこに体重のある人間が足を乗せたら今にも抜けてしまいそうな階段。
長年の埃がこびりつき、スムーズに開くことなどできなくなっているであろう正面の扉は、錆び付いた南京錠が取り付けられていた。
天井付近にはいつ張られたのか、主を失った蜘蛛の巣があちこちに点在している。
一応、社殿の横から裏手にも回ることができるようになっているみたいだが、現在は雑草が生い茂り足を踏み入れる気にはなれなかった。
「守り神を祀ってるんなら、もう少しちゃんと管理したらって言いたくなるよね」
側に寄ってきた桜が、落ち葉や砂利で汚れた階段を見て口元を歪める。
「村唯一の自慢なんて言って、本当に大切にしてるのかしら? こんなの見ちゃうと疑いたくならない?」
こちらを見上げて問う幼なじみに、俺は苦笑を漏らす。
「いろいろ事情があるんじゃないのか? 余所者の俺らが文句言っても仕方ねぇだろ」
「それはそうだけどさ……。ここまで荒れ放題にしとくってのも、さすがに引くって言うか」
「まぁ、わからなくもないけど」
答えながら、蓮田の方へ目を向けてみる。
一人離れた場所に立ち尽くしていた彼女は、じっと睨むように社殿の入り口を見つめていた。
「蓮田、何か気になるもんでもあるのか?」
気になって、というよりは一人きりの後輩に気を遣うような心境で声をかけてみる。
社殿を睨んでいた視線が、スッとこちらへ移動してきた。
「中が気になりまして」
「中? ……ああ、鍵掛かってるからな」
一度社殿に顔を戻し、南京錠の掛かった扉を一瞥する。
「こういう場所ってさ、よく神様みたいな像が飾られてたりするよね。ああいうのって何て言うんだっけ? やっぱりここにもあるのかな?」
「さぁな。一応神社なんだし、何かは納められてんじゃないのか?」
蓮田と会話するチャンスを得たとばかりに、桜も話に食いついてくる。
昔から怪談話などが苦手だった彼女にとって、こういった場所はなるべく避けたい部類かもしれない。
「幽霊か。守り神みたいなのは、ひょっとしたらいるのかもね。どうする? 一応奥まで行ってみる?」
正面に建っている社殿を指差す由奈さんへ、部長が頷く。
「そうだね。せっかくだから」
その言葉を聞いて、桜が部長を睨んだことに気付いたがそこはあえて黙っておく。
石段から続く通路は石畳になっており、全員が歩く度に砂利を擦るような音が響いた。
社殿には、何故か本来あるはずの賽銭箱は見当たらない。
疑問に思い俺が訊ねると、
「そんなの、誰もお金入れる人いないから。置いておく意味もないんじゃない? そもそもここに人が来ること自体稀だし」
そう言って、由奈さんは首を傾けてみせた。
「でも、ここって結構古いよね。どれくらい前に建てられたのかな?」
社殿の屋根を見上げ、部長が言う。
「さぁ。藤の木が村の象徴になった後だとは思うけど……あたしにもそこまでは。江戸時代以降って話は聞いたよ」
従姉弟同士のやり取りを聞きながら、俺は古びた木造の社殿を観察する。賽銭箱がないため、正面の入口までは障害物となる物が一切ない。
最後に手入れをしたのはどれほど前になるのか、そこそこに体重のある人間が足を乗せたら今にも抜けてしまいそうな階段。
長年の埃がこびりつき、スムーズに開くことなどできなくなっているであろう正面の扉は、錆び付いた南京錠が取り付けられていた。
天井付近にはいつ張られたのか、主を失った蜘蛛の巣があちこちに点在している。
一応、社殿の横から裏手にも回ることができるようになっているみたいだが、現在は雑草が生い茂り足を踏み入れる気にはなれなかった。
「守り神を祀ってるんなら、もう少しちゃんと管理したらって言いたくなるよね」
側に寄ってきた桜が、落ち葉や砂利で汚れた階段を見て口元を歪める。
「村唯一の自慢なんて言って、本当に大切にしてるのかしら? こんなの見ちゃうと疑いたくならない?」
こちらを見上げて問う幼なじみに、俺は苦笑を漏らす。
「いろいろ事情があるんじゃないのか? 余所者の俺らが文句言っても仕方ねぇだろ」
「それはそうだけどさ……。ここまで荒れ放題にしとくってのも、さすがに引くって言うか」
「まぁ、わからなくもないけど」
答えながら、蓮田の方へ目を向けてみる。
一人離れた場所に立ち尽くしていた彼女は、じっと睨むように社殿の入り口を見つめていた。
「蓮田、何か気になるもんでもあるのか?」
気になって、というよりは一人きりの後輩に気を遣うような心境で声をかけてみる。
社殿を睨んでいた視線が、スッとこちらへ移動してきた。
「中が気になりまして」
「中? ……ああ、鍵掛かってるからな」
一度社殿に顔を戻し、南京錠の掛かった扉を一瞥する。
「こういう場所ってさ、よく神様みたいな像が飾られてたりするよね。ああいうのって何て言うんだっけ? やっぱりここにもあるのかな?」
「さぁな。一応神社なんだし、何かは納められてんじゃないのか?」
蓮田と会話するチャンスを得たとばかりに、桜も話に食いついてくる。
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