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第二章:悪霊の目覚め
第二章:悪霊の目覚め 18
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「……ほんとだ、灯油の匂いが染み付いてる。犯人が逃げるために火を点けるなら、向こう側に渡ってからやるのが普通だと思うけど、そうじゃないとすれば蓮田くんが言うように、犯人はまだこっち側に残ってるって考えるべきなのかな?」
「でも、犯人がこっちに残るメリットなんてありますか? 普通なら、どこか遠くに逃げたいって考えそうな気がしますけど」
「メリットかぁ……」
桜の疑問に唸りつつ、空を見上げる部長。その横で再び顔を上げた蓮田が、無感情な口調で言葉をこぼす。
「逃げたい、ではなく逃がさない、では?」
「は?」
「あとは警察などの邪魔が入らないよう、隔離したかったという可能性もありえます」
「……い、いやいやいや、ちょっと待って乃亜ちゃん。いきなり不気味なこと言いださないでよ、B級ホラー映画じゃあるまいし。え? 乃亜ちゃんって、そういう冗談言うタイプだった?」
唐突に物騒なことを告げる蓮田へ、桜が表情を引きつらせながら言葉をかける。
「冗談ではなく、現実的に考えた場合、一番妥当だと思える可能性を提示しただけなのですが……」
対する蓮田は取りあうつもりもないようで、事務的に言葉を返す。
「でもよ、犯人が俺たちを閉じ込めなきゃいけない理由ってなんだ?」
隣でしょげる幼なじみは気にせずに、俺は話を進める。
「犯人がこちらに残り、警察などを寄せ付けないようにして更に誰も逃げられないようにも配慮した。この蓮田くんの仮説が正しいとしたなら、犯人はおそらくまだ誰かを殺そうとしているってことになるのかな。うん、ミステリーではよくあるパターンだね」
合点がいったというように一人頷きながら、部長は立ち上がると膝に付いた土を軽く払い、一同を見回す。
「ここで確認できることは一通り済んだと思う。僕たちは宿に戻ろうか。由奈さんも忙しいだろうし、村の人に頼んで電話をかけてもらえるよう交渉してもらわないと」
「え? それわたしの役目?」
突然話を振られ、少し戸惑う由奈さんに部長が首を傾げる。
「何か問題があった?」
「ううん、別にないけど。先に村長から許可もらった方が良いのかなぁ」
困ったように頬を摩りしばらく悩む由奈さんだったが、やがて
「まぁいいか」
とだけ呟き親指で車を指示した。
「それじゃあ、ここも長居したい場所じゃないし戻りましょ。枝橋さんに頼んで、自警団の人たちにもいろいろ協力してもらわないと」
「ああ、そういえばそんなのもあるって昨日言ってたね」
巨大藤での会話だろう。それを思い出して、歩きだす由奈さんの背後で部長が言う。
「爺さん連中がほとんどなんだけどね。いないよりはマシな程度」
振り返ることなく肩を竦める由奈さんから、俺はふと蓮田へ目をスライドさせる。
「……どうした?」
土下座の姿勢から立ち上がった蓮田は、よく見なければわからないというくらい僅かに眉根を寄せ、じっと俺を見つめていた。
「……長沢先輩。私たちは、何か見落としをしていないでしょうか?」
小さな口を開き、意味の理解できない問いを投げてくる。
「見落とし?」
「……頭に引っかかるものがあるのですが、それがよくわかりません」
不満気に、蓮田は顎を引く。
「いや、そんなこと言われてもな。どうして俺に聞くんだ?」
「今日、一緒にいる時間が一番長いのは、長沢先輩ですので」
「でも、犯人がこっちに残るメリットなんてありますか? 普通なら、どこか遠くに逃げたいって考えそうな気がしますけど」
「メリットかぁ……」
桜の疑問に唸りつつ、空を見上げる部長。その横で再び顔を上げた蓮田が、無感情な口調で言葉をこぼす。
「逃げたい、ではなく逃がさない、では?」
「は?」
「あとは警察などの邪魔が入らないよう、隔離したかったという可能性もありえます」
「……い、いやいやいや、ちょっと待って乃亜ちゃん。いきなり不気味なこと言いださないでよ、B級ホラー映画じゃあるまいし。え? 乃亜ちゃんって、そういう冗談言うタイプだった?」
唐突に物騒なことを告げる蓮田へ、桜が表情を引きつらせながら言葉をかける。
「冗談ではなく、現実的に考えた場合、一番妥当だと思える可能性を提示しただけなのですが……」
対する蓮田は取りあうつもりもないようで、事務的に言葉を返す。
「でもよ、犯人が俺たちを閉じ込めなきゃいけない理由ってなんだ?」
隣でしょげる幼なじみは気にせずに、俺は話を進める。
「犯人がこちらに残り、警察などを寄せ付けないようにして更に誰も逃げられないようにも配慮した。この蓮田くんの仮説が正しいとしたなら、犯人はおそらくまだ誰かを殺そうとしているってことになるのかな。うん、ミステリーではよくあるパターンだね」
合点がいったというように一人頷きながら、部長は立ち上がると膝に付いた土を軽く払い、一同を見回す。
「ここで確認できることは一通り済んだと思う。僕たちは宿に戻ろうか。由奈さんも忙しいだろうし、村の人に頼んで電話をかけてもらえるよう交渉してもらわないと」
「え? それわたしの役目?」
突然話を振られ、少し戸惑う由奈さんに部長が首を傾げる。
「何か問題があった?」
「ううん、別にないけど。先に村長から許可もらった方が良いのかなぁ」
困ったように頬を摩りしばらく悩む由奈さんだったが、やがて
「まぁいいか」
とだけ呟き親指で車を指示した。
「それじゃあ、ここも長居したい場所じゃないし戻りましょ。枝橋さんに頼んで、自警団の人たちにもいろいろ協力してもらわないと」
「ああ、そういえばそんなのもあるって昨日言ってたね」
巨大藤での会話だろう。それを思い出して、歩きだす由奈さんの背後で部長が言う。
「爺さん連中がほとんどなんだけどね。いないよりはマシな程度」
振り返ることなく肩を竦める由奈さんから、俺はふと蓮田へ目をスライドさせる。
「……どうした?」
土下座の姿勢から立ち上がった蓮田は、よく見なければわからないというくらい僅かに眉根を寄せ、じっと俺を見つめていた。
「……長沢先輩。私たちは、何か見落としをしていないでしょうか?」
小さな口を開き、意味の理解できない問いを投げてくる。
「見落とし?」
「……頭に引っかかるものがあるのですが、それがよくわかりません」
不満気に、蓮田は顎を引く。
「いや、そんなこと言われてもな。どうして俺に聞くんだ?」
「今日、一緒にいる時間が一番長いのは、長沢先輩ですので」
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