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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 35
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慌てて取りなす俺を尻目に、部長はふぅ……と息を吐き出し、やれやれと言いたげに首を振ってみせた。
「可能性の問題として、容疑者の一人にはなっちゃうなと考えてたんだけどね。由奈さん、今日はずっと厨房で渡辺さんの手伝いをしていた?」
「は? うん、まぁ。渡辺さんから手伝ってって頼まれたから、ほとんど一緒に仕事してたわよ?」
それが何? と言いたげに由奈さんは唇を尖らせる。
「僕たちが昇さんとあの……管理室だっけ? あそこにいたとき流森さんを呼びに来たけど、あの直前までずっと厨房にいたってこと?」
「ええ。あの後だって、トイレとか冷凍室入るとき以外はずっと三人で作業してたよ。持ち場を離れたとしても、みんなせいぜい五分くらい。……って言うか、あんたわたしらのアリバイ確認してるでしょ?」
真意を見抜いたと言わんばかりに、由奈さんが目を細めて部長を睨んだ。
「うん、正解」
あっさりと首肯し認めてくる従弟にため息をついて、由奈さんは表情を緩めた。
「それなら、わたしたちが犯人じゃないのは一発でしょ? ずっと一緒にここで仕事してたんだから」
「そうなんだよね。しかも、他の人たちも結構ちゃんとしたアリバイがあるような感じだし。まず、昇さんはほぼずっと僕たちと一緒にいたから、確認するまでもない。渡辺さんから車のキーを借りにいくって話になったときに少しだけ離れたくらいだったかな、姿が見えなかったのは」
「あ、そうっすね。確か、村長の家を出るときに千賀子さんの部屋も確認するって言って、そこで別れたんでしたっけ」
「そうそう。そして、その後に渡辺さんからキーを借りてきて、駐車場で再び合流した、と」
俺の相槌に機嫌良く言葉を返しながら、部長は人差し指を立てる。
「それなら、わたし見てたから間違いわ。今からあなたたちのことを巨大藤に連れていくから車を貸してほしいって、昇さん厨房に入ってきたし。ついでに竜久さんが来なかったかも聞かれたけど、見かけてないから素直に首振っといた」
確か十二時四十分前後だったかな。
部屋の時計を見上げて、由奈さんがそう言葉を締めくくる。
そもそも、竜久さんと別れて管理室に戻ってきたのが、午後零時になる少し前だった。
それから竜久さんを探しに村長宅へ戻ったのが、零時十分過ぎくらい。
そして家の中を探し竜久さんの部屋から藤の花を発見し、部長の提案で巨大藤へと行くことになったわけだが。
このタイミングで、一度昇さんとは別れている。
次に会ったのが、待ち合わせに指定された藤美荘の駐車場。
渡辺さんから借りた車の鍵を手に、彼は俺たちの前に戻ってきた。
そのときの時刻は確か零時四十分を過ぎたくらいだったはずなので、由奈さんの発言は矛盾していない。
「昇さんの話だと、千賀子さんは村の人と一緒に自室にいたってことだったよね? そして、枝橋さんと村長は蔵の方で、いろいろと指示をだしたりしていたはずだし。ここから巨大藤に行くには車を使っても片道十分から十五分。村長宅の裏口から向かったとしても歩いて四十分はかかるらしい。……これ、竜久さんを殺害して巨大藤に置いて、またこっちに戻ってこれる人いないでしょ?」
「そうよね。裏口から行けるのはわたしも知ってるけど、あそこ乗り物使って進めるような場所でもないし……」
「可能性の問題として、容疑者の一人にはなっちゃうなと考えてたんだけどね。由奈さん、今日はずっと厨房で渡辺さんの手伝いをしていた?」
「は? うん、まぁ。渡辺さんから手伝ってって頼まれたから、ほとんど一緒に仕事してたわよ?」
それが何? と言いたげに由奈さんは唇を尖らせる。
「僕たちが昇さんとあの……管理室だっけ? あそこにいたとき流森さんを呼びに来たけど、あの直前までずっと厨房にいたってこと?」
「ええ。あの後だって、トイレとか冷凍室入るとき以外はずっと三人で作業してたよ。持ち場を離れたとしても、みんなせいぜい五分くらい。……って言うか、あんたわたしらのアリバイ確認してるでしょ?」
真意を見抜いたと言わんばかりに、由奈さんが目を細めて部長を睨んだ。
「うん、正解」
あっさりと首肯し認めてくる従弟にため息をついて、由奈さんは表情を緩めた。
「それなら、わたしたちが犯人じゃないのは一発でしょ? ずっと一緒にここで仕事してたんだから」
「そうなんだよね。しかも、他の人たちも結構ちゃんとしたアリバイがあるような感じだし。まず、昇さんはほぼずっと僕たちと一緒にいたから、確認するまでもない。渡辺さんから車のキーを借りにいくって話になったときに少しだけ離れたくらいだったかな、姿が見えなかったのは」
「あ、そうっすね。確か、村長の家を出るときに千賀子さんの部屋も確認するって言って、そこで別れたんでしたっけ」
「そうそう。そして、その後に渡辺さんからキーを借りてきて、駐車場で再び合流した、と」
俺の相槌に機嫌良く言葉を返しながら、部長は人差し指を立てる。
「それなら、わたし見てたから間違いわ。今からあなたたちのことを巨大藤に連れていくから車を貸してほしいって、昇さん厨房に入ってきたし。ついでに竜久さんが来なかったかも聞かれたけど、見かけてないから素直に首振っといた」
確か十二時四十分前後だったかな。
部屋の時計を見上げて、由奈さんがそう言葉を締めくくる。
そもそも、竜久さんと別れて管理室に戻ってきたのが、午後零時になる少し前だった。
それから竜久さんを探しに村長宅へ戻ったのが、零時十分過ぎくらい。
そして家の中を探し竜久さんの部屋から藤の花を発見し、部長の提案で巨大藤へと行くことになったわけだが。
このタイミングで、一度昇さんとは別れている。
次に会ったのが、待ち合わせに指定された藤美荘の駐車場。
渡辺さんから借りた車の鍵を手に、彼は俺たちの前に戻ってきた。
そのときの時刻は確か零時四十分を過ぎたくらいだったはずなので、由奈さんの発言は矛盾していない。
「昇さんの話だと、千賀子さんは村の人と一緒に自室にいたってことだったよね? そして、枝橋さんと村長は蔵の方で、いろいろと指示をだしたりしていたはずだし。ここから巨大藤に行くには車を使っても片道十分から十五分。村長宅の裏口から向かったとしても歩いて四十分はかかるらしい。……これ、竜久さんを殺害して巨大藤に置いて、またこっちに戻ってこれる人いないでしょ?」
「そうよね。裏口から行けるのはわたしも知ってるけど、あそこ乗り物使って進めるような場所でもないし……」
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