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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 1
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【1】
五月二十二日、土曜日。午後八時。
あれから人数を増やして再開された竜久さんの捜索は、二時間ほど前に打ち切られた。
山の中を中心に探していたらしいが、遺体はおろか手掛かりになるようなものすら見つけられなかったというのが、正直な結果だった。
明日もまた、まだ手をつけていない所を捜索する予定らしく、慌ただしい空気が薄れる気配はしばらくはなさそうだった。
夕食を済ませ、俺たち四人は男性陣の部屋に集まった。
桜は相変わらず調子が悪い様子だったが、それでも食事に口をつけることはできていたので、順調に回復はしているのだろう。
その隣に座り、ジッと暗くなった外を眺める蓮田はずっと何事かを考えているのか、普段以上に話しかけにくい雰囲気をまとわりつかせている。
時折、小さな口が何かを呟くように動いたりもするが、それが何を告げているのかなどは到底把握できるものではなかった。
「竜久さん、どこに消えてしまったのか……気になるよね?」
こちらを見ていなければ、独り言ではないかと聞き流してしまいそうなニュアンスで、部長が声をかけてきた。
「気にならないって言うより、気にしないようにしてます。この辺りのことなんかほとんど知らない俺らが、どうこう議論できる話題でもないっすよ」
肩を竦めて返し、俺は苦笑する。
死体が無くなった以上どこかには移動させたのだろうが、ここでそんな話をしたところでまったくもって無意味だ。
「まぁね。確かにその通りなんだけどさ、犯人はどうして死体を移動させるような真似をしたのか。それを考えるとさ、気になるわけだよ。死体を見つけられたら都合が悪いのか、それとも死体を移動さえさせられたらそれで良かったのか。ここがまず引っかかってて」
由奈さんが持ってきてくれていた煎餅の袋を破り、部長は一口かじる。
「死体を見つけられたくないのなら、はじめから人目につかない場所へ隠したはずだよね。逆にそうじゃないなら、犯人はどこか適当な場所に放置しとけば良いって話になる」
咀嚼しながら話を続けて、考えをまとめようとするかのようにこめかみへ人差し指を当てた。
「でも犯人は、一度死体を発見させた後に、わざわざ持ち去るという変な行動をとっている。つまり犯人的には発見はしてほしかったけど、それ以上のことはしてほしくないから、手間をかけてでも隠したって推測することも可能になる」
「隠すってより、たまたま遠くへ遺棄しただけってこともあるじゃないすか」
「そこまでの余裕、犯人にあったかな? いくらなんでも、あまり長時間アリバイのない状態を維持していたら、後々自分が疑われる羽目になる。犯人だってそれくらいはわかっているはずだよ」
「……」
言われて、俺は口ごもる。部長の言い分は、推論としては間違ってはいない。
確かに、そういったことも考えることはできる。
「犯人はどうして、死体を消さなければいけなかったのか? これは推理して損をする部分では決してないと思う。死体を必要以上に触れられたくなかったとか、あそこに放置すると都合が悪かったとか、ね」
意味深な笑みを浮かべ、部長はまた煎餅にかじりつく。
こんがらがってくる頭をリセットする意味で、俺は一旦目を閉じて目頭を押さえる。
犯人が竜久さんを消した理由。
――そんなもん、ヒントも無しに答えが出せんのか?
五月二十二日、土曜日。午後八時。
あれから人数を増やして再開された竜久さんの捜索は、二時間ほど前に打ち切られた。
山の中を中心に探していたらしいが、遺体はおろか手掛かりになるようなものすら見つけられなかったというのが、正直な結果だった。
明日もまた、まだ手をつけていない所を捜索する予定らしく、慌ただしい空気が薄れる気配はしばらくはなさそうだった。
夕食を済ませ、俺たち四人は男性陣の部屋に集まった。
桜は相変わらず調子が悪い様子だったが、それでも食事に口をつけることはできていたので、順調に回復はしているのだろう。
その隣に座り、ジッと暗くなった外を眺める蓮田はずっと何事かを考えているのか、普段以上に話しかけにくい雰囲気をまとわりつかせている。
時折、小さな口が何かを呟くように動いたりもするが、それが何を告げているのかなどは到底把握できるものではなかった。
「竜久さん、どこに消えてしまったのか……気になるよね?」
こちらを見ていなければ、独り言ではないかと聞き流してしまいそうなニュアンスで、部長が声をかけてきた。
「気にならないって言うより、気にしないようにしてます。この辺りのことなんかほとんど知らない俺らが、どうこう議論できる話題でもないっすよ」
肩を竦めて返し、俺は苦笑する。
死体が無くなった以上どこかには移動させたのだろうが、ここでそんな話をしたところでまったくもって無意味だ。
「まぁね。確かにその通りなんだけどさ、犯人はどうして死体を移動させるような真似をしたのか。それを考えるとさ、気になるわけだよ。死体を見つけられたら都合が悪いのか、それとも死体を移動さえさせられたらそれで良かったのか。ここがまず引っかかってて」
由奈さんが持ってきてくれていた煎餅の袋を破り、部長は一口かじる。
「死体を見つけられたくないのなら、はじめから人目につかない場所へ隠したはずだよね。逆にそうじゃないなら、犯人はどこか適当な場所に放置しとけば良いって話になる」
咀嚼しながら話を続けて、考えをまとめようとするかのようにこめかみへ人差し指を当てた。
「でも犯人は、一度死体を発見させた後に、わざわざ持ち去るという変な行動をとっている。つまり犯人的には発見はしてほしかったけど、それ以上のことはしてほしくないから、手間をかけてでも隠したって推測することも可能になる」
「隠すってより、たまたま遠くへ遺棄しただけってこともあるじゃないすか」
「そこまでの余裕、犯人にあったかな? いくらなんでも、あまり長時間アリバイのない状態を維持していたら、後々自分が疑われる羽目になる。犯人だってそれくらいはわかっているはずだよ」
「……」
言われて、俺は口ごもる。部長の言い分は、推論としては間違ってはいない。
確かに、そういったことも考えることはできる。
「犯人はどうして、死体を消さなければいけなかったのか? これは推理して損をする部分では決してないと思う。死体を必要以上に触れられたくなかったとか、あそこに放置すると都合が悪かったとか、ね」
意味深な笑みを浮かべ、部長はまた煎餅にかじりつく。
こんがらがってくる頭をリセットする意味で、俺は一旦目を閉じて目頭を押さえる。
犯人が竜久さんを消した理由。
――そんなもん、ヒントも無しに答えが出せんのか?
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