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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 22
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【8】
それほど空腹でもない胃袋に無理矢理朝食を詰め込み、俺たちが行動を開始したのは、午前九時半を少し過ぎた頃だった。
今、俺たちミスオカ研メンバーがいるのは、流森さんが運転する車の中。
朝食後、掃除を再開していたらしい流森さんを掴まえて、部長がしつこく交渉をした結果がこれだった。
由奈さんにばれぬように、藤守神社へ連れていってほしい。その代わり、絶対に時間はかけないで用事を済ませる。
部長が話したのはこんな内容だったが、かなり渋ってから流森さんは首を縦に振ってくれた。
「本当に十分以内だよ? それ以上時間かけるなら、あたし一人で帰っちゃうからね」
ハンドルを握りしめながら、流森さんが確認するように口を開いた。
「はい、それはもちろん約束します。蓮田くんも、大丈夫かい? 十分以内に必要な検証はできるんだよね?」
助手席に陣取る部長が、僅かに顔を後方へ向ける。
「……はい、問題ありません」
問われた蓮田は窓の外を見つめたまま、唇だけを動かし無機質な返答を返した。
「なら良いけど……。連れ出したこと由奈さんにばれたら、睨まれそうだな。ちょっとだけ後悔してるよ」
「そのぶん、僕は感謝してますよ」
苦笑いを浮かべる流森さんへさらりと返し、部長は一度小さく咳をする。
それから、改めて首を俺たちへ向け唐突に話を始めた。
「さて、藤守神社に到着するまで黙っているのももったいない。ここで少し、事件の整理をしてみよう」
「事件の整理、ですか?」
訝しげに眉をひそめ、桜が部長を見やる。
「そう、とりあえず碧さんの事件からだね。この事件で僕が不思議に感じているのは、何故犯人は碧さんを絞殺した挙げ句に、背中へ包丁を刺さなければいけなかったのかって部分」
「それは、村の言い伝えになぞらえようとしたから、じゃないんすか?」
これはもう何度か話をしている内容だし、村の住民からも聞いている。
それを思い出しながら俺が言うと、部長はコクリと頷いた。
「そう。村の言い伝えには枝分かれした色々な説があり、それらになぞらえようとしてあんなやり方をしたのかもしれない。でも……」
言葉を切る部長を、俺と桜が見つめる。
「言い伝えでは、切腹とかはあれど刃物を刺す、なんて表現は確認していない。ただ見立てるなら、適当に切り傷を作るくらいでも良かったんじゃないかって、僕は思うんだ」
「……それは、時間がなくて面倒だったとかじゃないんですか? 刺すだけならすぐだし。じゃなきゃ、返り血とかを浴びる可能性を少しでも減らしたかったとか」
口を尖らせながら、桜が言う。
「確かに、一理あるね。でもそれだけが理由なら、始めから包丁なんか持ち出さなければ済んだ話だ。首を絞めて殺して終われば良いし、神社の神像を壊したのなら吊るすだけでも充分に見立てにはなるはず。それなのに、どうしてわざわざ中途半端な見立てを追加する必要があったのか。すごく引っかかる」
そう告げる部長の台詞は、俺たちにかけられたものであると同時に、自問している響きも含んでいた。
口調は相変わらずあっけらかんとしているが、胸中では真剣に疑問を吟味しているということか。
「……そういえばさ、竜久さんが消えたのも言い伝えの一説と符合してるのはみんなもう聞いてるのかな?」
それほど空腹でもない胃袋に無理矢理朝食を詰め込み、俺たちが行動を開始したのは、午前九時半を少し過ぎた頃だった。
今、俺たちミスオカ研メンバーがいるのは、流森さんが運転する車の中。
朝食後、掃除を再開していたらしい流森さんを掴まえて、部長がしつこく交渉をした結果がこれだった。
由奈さんにばれぬように、藤守神社へ連れていってほしい。その代わり、絶対に時間はかけないで用事を済ませる。
部長が話したのはこんな内容だったが、かなり渋ってから流森さんは首を縦に振ってくれた。
「本当に十分以内だよ? それ以上時間かけるなら、あたし一人で帰っちゃうからね」
ハンドルを握りしめながら、流森さんが確認するように口を開いた。
「はい、それはもちろん約束します。蓮田くんも、大丈夫かい? 十分以内に必要な検証はできるんだよね?」
助手席に陣取る部長が、僅かに顔を後方へ向ける。
「……はい、問題ありません」
問われた蓮田は窓の外を見つめたまま、唇だけを動かし無機質な返答を返した。
「なら良いけど……。連れ出したこと由奈さんにばれたら、睨まれそうだな。ちょっとだけ後悔してるよ」
「そのぶん、僕は感謝してますよ」
苦笑いを浮かべる流森さんへさらりと返し、部長は一度小さく咳をする。
それから、改めて首を俺たちへ向け唐突に話を始めた。
「さて、藤守神社に到着するまで黙っているのももったいない。ここで少し、事件の整理をしてみよう」
「事件の整理、ですか?」
訝しげに眉をひそめ、桜が部長を見やる。
「そう、とりあえず碧さんの事件からだね。この事件で僕が不思議に感じているのは、何故犯人は碧さんを絞殺した挙げ句に、背中へ包丁を刺さなければいけなかったのかって部分」
「それは、村の言い伝えになぞらえようとしたから、じゃないんすか?」
これはもう何度か話をしている内容だし、村の住民からも聞いている。
それを思い出しながら俺が言うと、部長はコクリと頷いた。
「そう。村の言い伝えには枝分かれした色々な説があり、それらになぞらえようとしてあんなやり方をしたのかもしれない。でも……」
言葉を切る部長を、俺と桜が見つめる。
「言い伝えでは、切腹とかはあれど刃物を刺す、なんて表現は確認していない。ただ見立てるなら、適当に切り傷を作るくらいでも良かったんじゃないかって、僕は思うんだ」
「……それは、時間がなくて面倒だったとかじゃないんですか? 刺すだけならすぐだし。じゃなきゃ、返り血とかを浴びる可能性を少しでも減らしたかったとか」
口を尖らせながら、桜が言う。
「確かに、一理あるね。でもそれだけが理由なら、始めから包丁なんか持ち出さなければ済んだ話だ。首を絞めて殺して終われば良いし、神社の神像を壊したのなら吊るすだけでも充分に見立てにはなるはず。それなのに、どうしてわざわざ中途半端な見立てを追加する必要があったのか。すごく引っかかる」
そう告げる部長の台詞は、俺たちにかけられたものであると同時に、自問している響きも含んでいた。
口調は相変わらずあっけらかんとしているが、胸中では真剣に疑問を吟味しているということか。
「……そういえばさ、竜久さんが消えたのも言い伝えの一説と符合してるのはみんなもう聞いてるのかな?」
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