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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 23
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運転する流森さんが、バックミラーで俺たちを一瞥し、会話に合流してきた。
「え? それは聞いてないですね。誰か、何か知ってる?」
確認する部長に全員沈黙を返し、流森さんの言葉を待つ。
「藤の花に埋もれてたっていう部分はちょっとよくわからんないけど、竜久さんの死体が無くなったのは、村娘の悪霊が男を連れ去るっていう言い伝えに合致するんだよね。悪霊が、自分を捨てた男の代わりにって、他の男を冥界に引きずり込むの。これ、言い伝えって言うよりちょっとした怪談だと思わない?」
自分で言って顔を歪める相手へ曖昧に頷き、竜久さんの死体を発見したときの様子を思い出す。
藤に取り憑いた悪霊が、あの死体を消し去った。
――あり得ないよな、そんなこと。
言い伝えとしてはありかもしれないが、現実的には単なる馬鹿げた話だ。幽霊が、人間一人を消せるわけがない。
「じゃあ、犯人は間違いなく全ての殺人で見立てを実行してきたわけか。その中で、何故か竜久さんだけが違う見立てをされた……」
呻く部長の顔を、流森さんが盗み見るように窺う。
「その見立てって、そんなに重要な意味があるの? 犯人が後々警察の捜査を撹乱したくて、そのためだけにやってるだけ……とかだったりしないかなぁ?」
「それがわからないんですよ。犯人が見立てにこだわってる理由、何かちゃんとした答えがありそうなんですけど」
言って、部長はポリポリと頭を掻く。
確か、碧さんが背中を刺されたのは鳥居に吊るされてから、と教えてもらったはず。
吊るす前、首を絞める前ならば相手に抵抗されないよう、先に殺すため刺したと一応考えることもできるが、吊るした後ではその可能性もない。
車は、薄暗い細道を進んでいく。
藤美荘を出る少し前、自警団メンバーの一部が竜久さん捜索を再開したと村人が伝えに来たのを聞いていたので、ひょっとしたらこの近辺に捜索係がいることも考えられる。
もしも見つかったら、宿に戻されることになるかもしれない。
「……そこで止めてください」
藤守神社のすぐ手前。蓮田に言われ、流森さんは俺たちが由奈さんや渡辺さんに乗せられてきたときと、ほぼ同じ位置に車を停止させた。
ざっと見回す限り、人のいる気配は感じない。
「ただでさえ薄気味悪い場所なのに、殺人事件なんか起きたせいで余計不気味に感じるなぁ……」
エンジンを止めた流森さんが、尻込みするように呟きシートベルトを外す。
それを待つことなく先に外へ出た蓮田は、車の前に立って神社へ上がるための石段を眺めている。
「どうした蓮田、行かないのか?」
側に寄り、声をかける。
周囲はほとんど日が当たらず、ここから見る石段はまるで、霊界へと繋がる入り口のように見えてくる。
碧さんが吊るされていた鳥居までは、生い茂る木々が邪魔でここから視界に捉えることはできないが、今もまたあの場所には彼女の胸から流れ落ちた血液が地面を黒く染めているのだろう。
そんな景色を想像し、胸に吐き気が込み上げる。
「……ほんとに上まで行くの?」
怖じ気付いたように、桜が囁いた。その声を合図にして、蓮田がゆっくりと歩きだす。
他にどうしようもないので、俺たちも顔を見合わせ後に続く。
蓮田は、石段以外の風景には見向きもせず、淡々と先へと進んで行く。
「え? それは聞いてないですね。誰か、何か知ってる?」
確認する部長に全員沈黙を返し、流森さんの言葉を待つ。
「藤の花に埋もれてたっていう部分はちょっとよくわからんないけど、竜久さんの死体が無くなったのは、村娘の悪霊が男を連れ去るっていう言い伝えに合致するんだよね。悪霊が、自分を捨てた男の代わりにって、他の男を冥界に引きずり込むの。これ、言い伝えって言うよりちょっとした怪談だと思わない?」
自分で言って顔を歪める相手へ曖昧に頷き、竜久さんの死体を発見したときの様子を思い出す。
藤に取り憑いた悪霊が、あの死体を消し去った。
――あり得ないよな、そんなこと。
言い伝えとしてはありかもしれないが、現実的には単なる馬鹿げた話だ。幽霊が、人間一人を消せるわけがない。
「じゃあ、犯人は間違いなく全ての殺人で見立てを実行してきたわけか。その中で、何故か竜久さんだけが違う見立てをされた……」
呻く部長の顔を、流森さんが盗み見るように窺う。
「その見立てって、そんなに重要な意味があるの? 犯人が後々警察の捜査を撹乱したくて、そのためだけにやってるだけ……とかだったりしないかなぁ?」
「それがわからないんですよ。犯人が見立てにこだわってる理由、何かちゃんとした答えがありそうなんですけど」
言って、部長はポリポリと頭を掻く。
確か、碧さんが背中を刺されたのは鳥居に吊るされてから、と教えてもらったはず。
吊るす前、首を絞める前ならば相手に抵抗されないよう、先に殺すため刺したと一応考えることもできるが、吊るした後ではその可能性もない。
車は、薄暗い細道を進んでいく。
藤美荘を出る少し前、自警団メンバーの一部が竜久さん捜索を再開したと村人が伝えに来たのを聞いていたので、ひょっとしたらこの近辺に捜索係がいることも考えられる。
もしも見つかったら、宿に戻されることになるかもしれない。
「……そこで止めてください」
藤守神社のすぐ手前。蓮田に言われ、流森さんは俺たちが由奈さんや渡辺さんに乗せられてきたときと、ほぼ同じ位置に車を停止させた。
ざっと見回す限り、人のいる気配は感じない。
「ただでさえ薄気味悪い場所なのに、殺人事件なんか起きたせいで余計不気味に感じるなぁ……」
エンジンを止めた流森さんが、尻込みするように呟きシートベルトを外す。
それを待つことなく先に外へ出た蓮田は、車の前に立って神社へ上がるための石段を眺めている。
「どうした蓮田、行かないのか?」
側に寄り、声をかける。
周囲はほとんど日が当たらず、ここから見る石段はまるで、霊界へと繋がる入り口のように見えてくる。
碧さんが吊るされていた鳥居までは、生い茂る木々が邪魔でここから視界に捉えることはできないが、今もまたあの場所には彼女の胸から流れ落ちた血液が地面を黒く染めているのだろう。
そんな景色を想像し、胸に吐き気が込み上げる。
「……ほんとに上まで行くの?」
怖じ気付いたように、桜が囁いた。その声を合図にして、蓮田がゆっくりと歩きだす。
他にどうしようもないので、俺たちも顔を見合わせ後に続く。
蓮田は、石段以外の風景には見向きもせず、淡々と先へと進んで行く。
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