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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 26
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【9】
自分はいったい何をしているんだろう。
巨大藤へと車を走らせ、流森はこっそりとそんな疑問を頭に浮かべた。
強く頼まれ断りきれずここまで来てしまったが、誰かに見つかれば絶対に咎められることは避けられない。
――十分くらいで終わる約束だったはずだけどなぁ。
何とも不条理な気分を味わいながら、ハンドルを握る。
同じ従業員である野島由奈の従弟、野島孝介。
今ひとつ掴み所がなく取っ付きにくいこの少年が、流森は苦手だった。
もちろん、そんなことを口には出さないし、あくまでも普通に接してごまかしているが。
今この瞬間だって、彼のわがままに従い行動をしている。
年長者として叱るところはきっちりと叱り、宿へ連れ戻さなければならないのだろうが、そういったものをのらりくらりとかわされ結局は全員相手のペースに付き合わされてしまっているのだ。
――由奈さんの親戚ってのも、やりにくいんだよね。あんまりな扱いもできないし。
「――ところでさ、蓮田くんはさっき何を言いかけたの?」
考え事をしていた流森の耳に、孝介の声が入り込む。
「自警団の人が来たせいで、あやふやになっちゃってたよね。いったい、あの場所で何がわかったんだい?」
どうやら、藤守神社でのやり取りを言っているようだ。
詳しいことはわからないが、さっきの訪問で蓮田という少女が、事件について何か気がついたことがあったらしいとは把握している。
学生たちは全員、その少女に注目していた。
「……」
流森も、運転に集中する振りをしながら聞き耳を立てる。
「……そのことに関して、詳しくは後程お話します」
この少女特有の、抑揚がなくそのくせよく通る声音が静かに車内に流れる。
「もちろん後からも聞くつもりだけどさ、とりあえず何がわかったのか結果だけでも教えてくれない?」
まるで後輩とのやり取りを楽しむようなニュアンスを含む孝介の催促に、バックミラーに映り込む蓮田の首が小さく頷いた。
再び、全員が黙り込む。
「……私が藤守神社ではっきりと理解できたのは、犯人の正体です」
誰かが息を飲む気配を感じた。
「ずっと感じていた違和感に気づいたとき、同時に犯人の目星がつきました」
「……犯人って、乃亜ちゃんそれ枝橋さんに伝えた方が良いじゃん」
桜、と呼ばれていた少女が若干蓮田へ身を乗り出す。
しかし、そんな仲間の言葉に蓮田は無言で首を横に振る。
「え? 言わないの?」
「……犯人はわかりましたが、それ以外のことはまだわかりませんので」
「それ以外って、何だよ?」
これは雄治と呼ばれている少年の問いだ。
「竜久さんを消した方法、及び一連の殺人を言い伝えに見立てた理由です。少なくとも、犯人は竜久さん殺害時に完璧なアリバイがあります。それを崩さない限り、追いつめることは難しいかと」
犯人を追いつめる。
この寡黙な印象が強い少女は、そんな無茶苦茶な発想を浮かべているのか。
既に四人もの人間を殺している相手に、恐怖はないのだろうか不思議になる。
――それよりも。
犯人の正体に気づいたとは、本当の言葉なのか。
周りを騙してからかっているようには見えないし、おそらくそんなキャラクターでもないだろうとは思う。
自分はいったい何をしているんだろう。
巨大藤へと車を走らせ、流森はこっそりとそんな疑問を頭に浮かべた。
強く頼まれ断りきれずここまで来てしまったが、誰かに見つかれば絶対に咎められることは避けられない。
――十分くらいで終わる約束だったはずだけどなぁ。
何とも不条理な気分を味わいながら、ハンドルを握る。
同じ従業員である野島由奈の従弟、野島孝介。
今ひとつ掴み所がなく取っ付きにくいこの少年が、流森は苦手だった。
もちろん、そんなことを口には出さないし、あくまでも普通に接してごまかしているが。
今この瞬間だって、彼のわがままに従い行動をしている。
年長者として叱るところはきっちりと叱り、宿へ連れ戻さなければならないのだろうが、そういったものをのらりくらりとかわされ結局は全員相手のペースに付き合わされてしまっているのだ。
――由奈さんの親戚ってのも、やりにくいんだよね。あんまりな扱いもできないし。
「――ところでさ、蓮田くんはさっき何を言いかけたの?」
考え事をしていた流森の耳に、孝介の声が入り込む。
「自警団の人が来たせいで、あやふやになっちゃってたよね。いったい、あの場所で何がわかったんだい?」
どうやら、藤守神社でのやり取りを言っているようだ。
詳しいことはわからないが、さっきの訪問で蓮田という少女が、事件について何か気がついたことがあったらしいとは把握している。
学生たちは全員、その少女に注目していた。
「……」
流森も、運転に集中する振りをしながら聞き耳を立てる。
「……そのことに関して、詳しくは後程お話します」
この少女特有の、抑揚がなくそのくせよく通る声音が静かに車内に流れる。
「もちろん後からも聞くつもりだけどさ、とりあえず何がわかったのか結果だけでも教えてくれない?」
まるで後輩とのやり取りを楽しむようなニュアンスを含む孝介の催促に、バックミラーに映り込む蓮田の首が小さく頷いた。
再び、全員が黙り込む。
「……私が藤守神社ではっきりと理解できたのは、犯人の正体です」
誰かが息を飲む気配を感じた。
「ずっと感じていた違和感に気づいたとき、同時に犯人の目星がつきました」
「……犯人って、乃亜ちゃんそれ枝橋さんに伝えた方が良いじゃん」
桜、と呼ばれていた少女が若干蓮田へ身を乗り出す。
しかし、そんな仲間の言葉に蓮田は無言で首を横に振る。
「え? 言わないの?」
「……犯人はわかりましたが、それ以外のことはまだわかりませんので」
「それ以外って、何だよ?」
これは雄治と呼ばれている少年の問いだ。
「竜久さんを消した方法、及び一連の殺人を言い伝えに見立てた理由です。少なくとも、犯人は竜久さん殺害時に完璧なアリバイがあります。それを崩さない限り、追いつめることは難しいかと」
犯人を追いつめる。
この寡黙な印象が強い少女は、そんな無茶苦茶な発想を浮かべているのか。
既に四人もの人間を殺している相手に、恐怖はないのだろうか不思議になる。
――それよりも。
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周りを騙してからかっているようには見えないし、おそらくそんなキャラクターでもないだろうとは思う。
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