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第五章:幕引きと抵抗
第五章:幕引きと抵抗 28
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「ああ……。あれは、死んだ男の怨念を鎮めるための供養塔みたいなものだと思っていただければ。村に災いが起きるようになった、という部分は現在の言い伝えとほぼ同じですから。違うのは、被害を受けたのが梅木家とその親族という点ですね。死んだ男からすれば、家族は自分たちを不幸にした元凶。呪われたとしても不思議はなかったでしょう。だから、当時の梅木家はあの場所に神社を建て、男の霊を供養したのです。娘と一緒になれなかった代わりにと、納められたあの神像と共に」
冷たくも温かくもない風が吹き抜けた。
撫でるように通り過ぎた風に髪を揺らし、桜がポツリと呟いた。
「何だか、昇さんと少し境遇が被るようなとこあるね」
たぶん、それは全員が感じたことだろう。
話自体は別物なのだが、里子に出し不幸を招くなどの部分が偶然とは思えない錯覚を覚える。
「だから、呪いなのかと思ってしまうんですよ。自分の子を他所へ出す。そういう過去の過ちを繰り返した梅木家に、男の怨霊が罰を与えたのではないかと」
だとすれば、昇さんはその怨霊とやらに操られていたとでも言うのか。
――んな馬鹿な……。
さすがに、これは想像を膨らませ過ぎか。
自分の考えたくだらない妄想に内心呆れ、こっそりと苦笑する。
「うーん、なるほど。でも、一つまだわからないのは、どうしてその話が今広まっている言い伝えに変換されたのかって部分かなぁ。しかも、あんなにいろいろなパターンにまで枝分かれまでして」
俺がつまらないことを考えているその横で、顎に手を当てながら唸ったのは部長だ。
「それは、当時の梅木家が広めたものです。本当の事実を隠すためにねつ造した話を、長い時間をかけて広め浸透させることで、自分たち一族の汚点を消してしまいたかったのでしょうね」
「あ……そうか。うん、それなら理解できますね。村を統べるはずの家で近親相姦で子供ができたとか、そんな噂が広まったりしたら立場がなくなるか」
合点がいったのだろう。うんうんとしきりに頷いて、満足そうに部長は笑った。
「千賀子さん、これからどうされるおつもりなんですか?」
話が一段落したところで、由奈さんが微妙な声音でそんな問いを口にした。
勝手な憶測だが、今後の自分の生活を心配しての発言だと思う。
梅木家で残されたのは、千賀子さんただ一人。
藤美荘の運営など到底無理な話であろうし、そうなれば由奈さんたち従業員は当然ながら職無しになる。
「さぁ、どうしたら良いでしょうか……。今はまだ、先のことは考える余裕がありません」
言って、困ったような仕草で由奈さんを見つめ返し、千賀子さんは弱々しく笑う。
「でも、安心してください。ずっと藤美荘で働いてきてくれた由奈さんたちを、見捨てたりはしませんから。藤美荘を続けるかどうかも含めて、これから考えていきます。ですから、少しだけ時間をください」
「あ、はい。ありがとうございます。でも、無理はしなくて良いです。別に、すぐどうにかしないといけないほど焦ってるわけでもないですし」
少し慌てたように言う由奈さんにコクリと頷いて、千賀子さんはあらためて俺たちを見回しまた頭を下げた。
「本当に、辛いことに巻き込んでしまい申し訳ありませんでした。私はしばらく、中で休ませていただきます。いろいろ考えたいことも多いので。もし何かご用がある場合はいつでも声をかけてください。できる限りのことは致しますので」
冷たくも温かくもない風が吹き抜けた。
撫でるように通り過ぎた風に髪を揺らし、桜がポツリと呟いた。
「何だか、昇さんと少し境遇が被るようなとこあるね」
たぶん、それは全員が感じたことだろう。
話自体は別物なのだが、里子に出し不幸を招くなどの部分が偶然とは思えない錯覚を覚える。
「だから、呪いなのかと思ってしまうんですよ。自分の子を他所へ出す。そういう過去の過ちを繰り返した梅木家に、男の怨霊が罰を与えたのではないかと」
だとすれば、昇さんはその怨霊とやらに操られていたとでも言うのか。
――んな馬鹿な……。
さすがに、これは想像を膨らませ過ぎか。
自分の考えたくだらない妄想に内心呆れ、こっそりと苦笑する。
「うーん、なるほど。でも、一つまだわからないのは、どうしてその話が今広まっている言い伝えに変換されたのかって部分かなぁ。しかも、あんなにいろいろなパターンにまで枝分かれまでして」
俺がつまらないことを考えているその横で、顎に手を当てながら唸ったのは部長だ。
「それは、当時の梅木家が広めたものです。本当の事実を隠すためにねつ造した話を、長い時間をかけて広め浸透させることで、自分たち一族の汚点を消してしまいたかったのでしょうね」
「あ……そうか。うん、それなら理解できますね。村を統べるはずの家で近親相姦で子供ができたとか、そんな噂が広まったりしたら立場がなくなるか」
合点がいったのだろう。うんうんとしきりに頷いて、満足そうに部長は笑った。
「千賀子さん、これからどうされるおつもりなんですか?」
話が一段落したところで、由奈さんが微妙な声音でそんな問いを口にした。
勝手な憶測だが、今後の自分の生活を心配しての発言だと思う。
梅木家で残されたのは、千賀子さんただ一人。
藤美荘の運営など到底無理な話であろうし、そうなれば由奈さんたち従業員は当然ながら職無しになる。
「さぁ、どうしたら良いでしょうか……。今はまだ、先のことは考える余裕がありません」
言って、困ったような仕草で由奈さんを見つめ返し、千賀子さんは弱々しく笑う。
「でも、安心してください。ずっと藤美荘で働いてきてくれた由奈さんたちを、見捨てたりはしませんから。藤美荘を続けるかどうかも含めて、これから考えていきます。ですから、少しだけ時間をください」
「あ、はい。ありがとうございます。でも、無理はしなくて良いです。別に、すぐどうにかしないといけないほど焦ってるわけでもないですし」
少し慌てたように言う由奈さんにコクリと頷いて、千賀子さんはあらためて俺たちを見回しまた頭を下げた。
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