病み憑き

雪鳴月彦

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第一章:秋本夢美――①

秋本夢美――①

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「何だかんだで、角田くん一番楽しんでたもんね。鬼畜だよ鬼畜。姉妹二人を毒牙にかけようと企むなんて。キングオブ変態」

「あ? ふざけんなよ。そう言うお前こそ、ちゃっかりおこぼれに与ってただろうが。いくら儲けたんだよ今まで」

(……?)

 愛と角田の交わす意味深なやり取りに、あたしは表情を固まらせる。

「いやぁ、それはそうかもだけどさ。でもあたし実行犯じゃないし。まだセーフだよ。夏純に比べたら、雀の涙程度の額しかゲットしてないし」

「愛、そういう言い方やめてよ。関わってた以上、同罪じゃない」

「いやいや、罪の重さが桁違いじゃん」

「それならわたしだってまだセーフでしょ。発端は茜が真実まみに目を付けたせいなんだし」

 いったい、この会話は何だろう。

(今、真美って言ったよね? この人たちが話してるの、間違いなくお姉ちゃんの話題だ)

 頭の芯から背中にかけて、ピンと突っ張るような感覚が走る。
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