病み憑き

雪鳴月彦

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第三章:風岡夏純――①

風岡夏純――①

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 心ここに非ずといった風に机上へ視線を落とし続ける茜を横目に、わたしは頷く。

 わたしたちメンバーの中で、この近辺の土地に関する情報を調べる役割に一番適しているのは間違いなく茜だ。

 彼女の父親なら人脈もあるし、その気になれば警察の捜査状況なんかも把握できたりするのかもしれない。

 貴秀がいなくなって、今日で四日目。

 そろそろ彼の両親も不審に思いはじめてもおかしくない頃合いだろう。

 これでもし、貴秀の親まで警察へ相談をするようなことになれば……。

(秋本 夢美と貴秀。二人が同じ日に消えたことなんて簡単に関連性を疑われるに決まってる)

 ただでさえ、失踪する日に二人が会っているのを目撃した生徒もいるのだ。

 更には夢美の姉も自殺をしたばかり。

 これらの事情や繋がりを警察や学校が調べていけば、わたしたちの存在といじめの実態を暴かれるのは時間の問題。

(これって、本気でかなりヤバい状況よね。どうにかして早く貴秀を見つけるか連絡を取るかしないと、全員真面目に取り返しがつかないことになるかも……)
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