232 / 341
第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
しおりを挟む
「一人だったって。角田くん以外、そこで下車した人は誰もいなかったそうだけど」
そう答えて、茜は話せることに区切りがついたのかそのまま口を閉ざす。
「時間帯が違うとは言え、二人揃って同じ場所に行ってるってことはその降りたバス停の近辺を調べれば何かはわかるんじゃねぇのか?」
背もたれに身を預け、腕組みをしながら竜次が告げてくる。
「だね。あの辺なら、隠れられそうな廃屋や空き家くらい普通にありそうだし。それ以外にも、ほら、山の中とかによくあるじゃん? 変電所みたいなやつ。電力会社で管理してて、金網で囲われてるような小さい建物。ああいう場所だって、その気になれば身を隠せるはずだし」
「いや、ああいうのは普段鍵かかってんだろ?」
「窓とかあれば割って入れるでしょ? どうせ滅多に人なんて来ないんだろうし、暫く隠れるだけなら利用できるさ。もちろん、後先を考えなければって条件付きでだけど」
そう答えて、茜は話せることに区切りがついたのかそのまま口を閉ざす。
「時間帯が違うとは言え、二人揃って同じ場所に行ってるってことはその降りたバス停の近辺を調べれば何かはわかるんじゃねぇのか?」
背もたれに身を預け、腕組みをしながら竜次が告げてくる。
「だね。あの辺なら、隠れられそうな廃屋や空き家くらい普通にありそうだし。それ以外にも、ほら、山の中とかによくあるじゃん? 変電所みたいなやつ。電力会社で管理してて、金網で囲われてるような小さい建物。ああいう場所だって、その気になれば身を隠せるはずだし」
「いや、ああいうのは普段鍵かかってんだろ?」
「窓とかあれば割って入れるでしょ? どうせ滅多に人なんて来ないんだろうし、暫く隠れるだけなら利用できるさ。もちろん、後先を考えなければって条件付きでだけど」
0
あなたにおすすめの小説
拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!
FOX4
ファンタジー
王都は整備局に就職したピートマック・ウィザースプーン(19歳)は、勇者御一行、魔王軍の方々が起こす戦闘で荒れ果てた大地を、上司になじられながらも修復に勤しむ。平地の行き届いた生活を得るために、本日も勤労。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
後宮に咲く美しき寵后
不来方しい
BL
フィリの故郷であるルロ国では、真っ白な肌に金色の髪を持つ人間は魔女の生まれ変わりだと伝えられていた。生まれた者は民衆の前で焚刑に処し、こうして人々の安心を得る一方、犠牲を当たり前のように受け入れている国だった。
フィリもまた雪のような肌と金髪を持って生まれ、来るべきときに備え、地下の部屋で閉じ込められて生活をしていた。第四王子として生まれても、処刑への道は免れられなかった。
そんなフィリの元に、縁談の話が舞い込んでくる。
縁談の相手はファルーハ王国の第三王子であるヴァシリス。顔も名前も知らない王子との結婚の話は、同性婚に偏見があるルロ国にとって、フィリはさらに肩身の狭い思いをする。
ファルーハ王国は砂漠地帯にある王国であり、雪国であるルロ国とは真逆だ。縁談などフィリ信じず、ついにそのときが来たと諦めの境地に至った。
情報がほとんどないファルーハ王国へ向かうと、国を上げて祝福する民衆に触れ、処刑場へ向かうものだとばかり思っていたフィリは困惑する。
狼狽するフィリの元へ現れたのは、浅黒い肌と黒髪、サファイア色の瞳を持つヴァシリスだった。彼はまだ成人にはあと二年早い子供であり、未成年と婚姻の儀を行うのかと不意を突かれた。
縁談の持ち込みから婚儀までが早く、しかも相手は未成年。そこには第二王子であるジャミルの思惑が隠されていて──。
後宮の寵愛ランキング最下位ですが、何か問題でも?
希羽
キャラ文芸
数合わせで皇帝の後宮に送り込まれた田舎貴族の娘である主人公。そこでは妃たちが皇帝の「寵愛ランク」で格付けされ、生活の全てが決められる超格差社会だった。しかし、皇帝に全く興味がない主人公の目的は、後宮の隅にある大図書館で知識を得ることだけ。当然、彼女のランクは常に最下位。
他の妃たちが寵愛を競い合う中、主人公は実家で培った農業や醸造、経理の知識を活かし、同じく不遇な下級妃や女官たちと協力して、後宮内で「家庭菜園」「石鹸工房」「簿記教室」などを次々と立ち上げる。それはやがて後宮内の経済を潤し、女官たちの労働環境まで改善する一大ビジネスに発展。
ある日、皇帝は自分の知らないうちに後宮内に巨大な経済圏と女性コミュニティを作り上げ、誰よりも生き生きと暮らす「ランク最下位」の妃の存在に気づく。「一体何者なんだ、君は…?」と皇帝が興味本位で近づいてきても、主人公にとっては「仕事の邪魔」でしかなく…。
※本作は小説投稿サイト「小説家になろう」でも投稿しています。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
私と先輩のキス日和
壽倉雅
恋愛
出版社で小説担当の編集者をしている山辺梢は、恋愛小説家・三田村理絵の担当を新たにすることになった。公に顔出しをしていないため理絵の顔を知らない梢は、マンション兼事務所となっている理絵のもとを訪れるが、理絵を見た途端に梢は唖然とする。理絵の正体は、10年前に梢のファーストキスの相手であった高校の先輩・村田笑理だったのだ。笑理との10年ぶりの再会により、二人の関係は濃密なものになっていく。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる