7 / 7
第一章:殺戮の序曲
殺戮の序曲
しおりを挟む
「……幸子。あなた本当に凄いね」
惨殺死体を見つけたばかりの女子高生とは到底思えない――そもそも、まともな大人だってこんなおちゃらけてはいられないはずだ――友人の態度に、湖月がどう反応すべきか困りかけたと同時、
「おい布施、お前あんまり不謹慎なこと言ってるんじゃないぞ?」
背後から野太い声が響いてきて、湖月はビクリと身体を弾ませてしまった。
「あ、充先生。お疲れ様でーす」
そんな湖月とは対象的に驚く気配など微塵もなく振り返った幸子は、人懐こい笑みを浮かべて声の主へ挨拶をする。
「お前ら、寄り道とかしないで真っ直ぐに家へ帰れよ? なるべく人通りの多い道を通るようにな」
廊下の先に立って二人を見つめていたのは、三年A組の担任であり生活指導でもある戸港充だった。
湖月や幸子の担任ではないが、歴史の授業ではいつもお世話になっているため、普段から会話をすることも頻繁にある教師だ。
今年でもう四十六歳になったと本人が口にしていたが、未だに独身。見た目や性格が悪いわけでもなく、生徒たちの面倒見も良いため評判は悪くない。
にも関わらずどうして良い人が見つからないのか、周囲は全員不思議がっている。
「大丈夫ですよー、ちゃんと帰りますから。先生はわたしらの心配するより、まだ見ぬ奥さんが見つかることを心配したほうが、絶っっっっっ対に良いと思いますよぉ?」
「ほっとけ。軽口叩いてないでさっさと帰れ」
教師に対して敬意も何もない口調で話しかける幸子に、戸港は薄っすらと笑いつつ早くいけと手で追い払うようなジェスチャーをしてみせた。
「はいはい、言われなくとも行きますよ」
億劫そうに肩を竦め、幸子は昇降口へ向け歩みを再開した。その後を追いかけようと、湖月も戸港へ一礼だけして背中を向ける。
「……?」
廊下を曲がる直前、湖月がチラリと肩越しに振り向くと、戸港はその場を一歩も動いた気配もなく無表情に二人を見つめていて、その姿が何故か少し不気味に映った。
惨殺死体を見つけたばかりの女子高生とは到底思えない――そもそも、まともな大人だってこんなおちゃらけてはいられないはずだ――友人の態度に、湖月がどう反応すべきか困りかけたと同時、
「おい布施、お前あんまり不謹慎なこと言ってるんじゃないぞ?」
背後から野太い声が響いてきて、湖月はビクリと身体を弾ませてしまった。
「あ、充先生。お疲れ様でーす」
そんな湖月とは対象的に驚く気配など微塵もなく振り返った幸子は、人懐こい笑みを浮かべて声の主へ挨拶をする。
「お前ら、寄り道とかしないで真っ直ぐに家へ帰れよ? なるべく人通りの多い道を通るようにな」
廊下の先に立って二人を見つめていたのは、三年A組の担任であり生活指導でもある戸港充だった。
湖月や幸子の担任ではないが、歴史の授業ではいつもお世話になっているため、普段から会話をすることも頻繁にある教師だ。
今年でもう四十六歳になったと本人が口にしていたが、未だに独身。見た目や性格が悪いわけでもなく、生徒たちの面倒見も良いため評判は悪くない。
にも関わらずどうして良い人が見つからないのか、周囲は全員不思議がっている。
「大丈夫ですよー、ちゃんと帰りますから。先生はわたしらの心配するより、まだ見ぬ奥さんが見つかることを心配したほうが、絶っっっっっ対に良いと思いますよぉ?」
「ほっとけ。軽口叩いてないでさっさと帰れ」
教師に対して敬意も何もない口調で話しかける幸子に、戸港は薄っすらと笑いつつ早くいけと手で追い払うようなジェスチャーをしてみせた。
「はいはい、言われなくとも行きますよ」
億劫そうに肩を竦め、幸子は昇降口へ向け歩みを再開した。その後を追いかけようと、湖月も戸港へ一礼だけして背中を向ける。
「……?」
廊下を曲がる直前、湖月がチラリと肩越しに振り向くと、戸港はその場を一歩も動いた気配もなく無表情に二人を見つめていて、その姿が何故か少し不気味に映った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる