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第一章:殺戮の序曲
殺戮の序曲
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「それはそうかもだけどさ……。でも、バラバラ殺人なんてするような異常者が、いちいち牢屋に入れられるとかそういうことを考えるのかって、逆のこと思ったりもするよ。逮捕や実刑は嫌だとか、そういう部分は一般人と同じかな?」
人間の身体を切り離すことができるような存在にも、自分たちと同じ価値観がある。
それを想像してみると、何だか自分にも異常者になる素質が潜在的にあるのではと猜疑心が湧き上がり、湖月は少しだけ眉宇を寄せた。
「うーん、どうだろう。わたし的には逮捕や死刑みたいな判決が嫌って言うより、もう人を殺せないのが残念だとか考えてるってイメージなんだけど」
「え?」
「だって、そんな気がしない? 思考や行動原理が普通の人と違うんだよ? あー捕まった。犯罪なんて犯さなければ良かった、なんて考えるより、あー、これでもう人を殺せない。楽しみが潰されたなぁ……。とか考えるって想像した方が、サイコっぽい気がするんだけど。どう?」
「…………」
また随分と怖いことを言うなと、湖月はぎこちない面持ちで幸子を見つめてしまう。
生まれて始めてスイカに砂糖をかけて食べる人を目撃したときも、今と同じようなリアクションをしてしまった覚えがあるが、精神的に受ける衝撃の強さはこっちの方が圧倒的に上だった。
「でも、芽愛の言う通りちょっとくらいは注意しとくってのも正論かもね。警察もさ、犯人はまた犯行を繰り返す可能性があるって言ってたし」
「……そうなの?」
それだったら、親が心配するのは当たり前だろう。
そんなに広い町でもないのだ。すぐ近くに殺人鬼が潜んでいてまた凶行を企てているとすれば、日中だって外を出歩くのは怖くなる。
「ちょっと待って。それじゃやっぱり夜に外出なんかできないじゃない。気にしすぎ、じゃないわよ」
「気にしすぎだって。いくらなんでも、そんな簡単に遭遇してたら今頃町の住民みんな消えてるっての。大体、芽愛の住んでるとこは住宅街でしょ? 悲鳴あげたら一発で見つかるようなエリアに、犯人が人を殺しに行くと思う?」
「そんなのわからないでしょ……」
幸子の言うこともわからなくもないが、それだけで漠然とした恐怖心が拭い去れるわけもない。
もし、本当に万が一、自分が殺人鬼と遭遇しバラバラにされてしまったら……。
己の意思で動かしている手足を見つめ、湖月はこれらが切断される瞬間を想像する。
(絶対に嫌だ……。そんな残酷な死に方はしたくない)
そう言えば、誘拐された女性が手足を切断された挙句に、見世物として使われてしまうという都市伝説を昔聞いたなと、何故かこのタイミングで思い出してしまった。
達磨とか呼ばれていたような気もしたけど、要はあれと同じような姿にされ殺されてしまうわけだ。
「……決めた。はっきり決めた。私、暫くは絶対一人で外歩かない」
心の底から思ったことを、湖月は口に出す。
「芽愛の自由だから、それはそれで良いけどぉ? ま、わたしは仮に犯人と鉢合わせしても、本気になれば余裕で逃げ延びる自信あるからね。どうってことないわ、殺人犯なんて。こっちが捕まりさえしなきゃ害ないわけだし」
人間の身体を切り離すことができるような存在にも、自分たちと同じ価値観がある。
それを想像してみると、何だか自分にも異常者になる素質が潜在的にあるのではと猜疑心が湧き上がり、湖月は少しだけ眉宇を寄せた。
「うーん、どうだろう。わたし的には逮捕や死刑みたいな判決が嫌って言うより、もう人を殺せないのが残念だとか考えてるってイメージなんだけど」
「え?」
「だって、そんな気がしない? 思考や行動原理が普通の人と違うんだよ? あー捕まった。犯罪なんて犯さなければ良かった、なんて考えるより、あー、これでもう人を殺せない。楽しみが潰されたなぁ……。とか考えるって想像した方が、サイコっぽい気がするんだけど。どう?」
「…………」
また随分と怖いことを言うなと、湖月はぎこちない面持ちで幸子を見つめてしまう。
生まれて始めてスイカに砂糖をかけて食べる人を目撃したときも、今と同じようなリアクションをしてしまった覚えがあるが、精神的に受ける衝撃の強さはこっちの方が圧倒的に上だった。
「でも、芽愛の言う通りちょっとくらいは注意しとくってのも正論かもね。警察もさ、犯人はまた犯行を繰り返す可能性があるって言ってたし」
「……そうなの?」
それだったら、親が心配するのは当たり前だろう。
そんなに広い町でもないのだ。すぐ近くに殺人鬼が潜んでいてまた凶行を企てているとすれば、日中だって外を出歩くのは怖くなる。
「ちょっと待って。それじゃやっぱり夜に外出なんかできないじゃない。気にしすぎ、じゃないわよ」
「気にしすぎだって。いくらなんでも、そんな簡単に遭遇してたら今頃町の住民みんな消えてるっての。大体、芽愛の住んでるとこは住宅街でしょ? 悲鳴あげたら一発で見つかるようなエリアに、犯人が人を殺しに行くと思う?」
「そんなのわからないでしょ……」
幸子の言うこともわからなくもないが、それだけで漠然とした恐怖心が拭い去れるわけもない。
もし、本当に万が一、自分が殺人鬼と遭遇しバラバラにされてしまったら……。
己の意思で動かしている手足を見つめ、湖月はこれらが切断される瞬間を想像する。
(絶対に嫌だ……。そんな残酷な死に方はしたくない)
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「芽愛の自由だから、それはそれで良いけどぉ? ま、わたしは仮に犯人と鉢合わせしても、本気になれば余裕で逃げ延びる自信あるからね。どうってことないわ、殺人犯なんて。こっちが捕まりさえしなきゃ害ないわけだし」
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