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桜のいる日常
桜のいる日常
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県立坂之宮高校、二年C組。出席番号は二十番。
入学当時、大した理由もなく写真部に入部したが、すぐに飽きてしまい退部。その後は帰宅部という魅力的な部に所属し、優雅な下校時間を堪能する日々を満喫中。
一応というか何というか、知り合いが所属するミステリー&オカルト研究部なるものに勧誘されたりもしているのだが、正直ほとんど興味がないためこれは適当にあしらい続けている。
因みに得意教科は国語で苦手教科は英語と歴史。
と、学校内での自分を限りなく簡単に紹介するとしたら、こんな感じの説明になるだろうか。
二学期開始と同時に行われた席替えで、教室のほぼ真ん中にあった俺の席は窓際列最後尾に移され、俺は授業中のほとんどをぼんやりと外を眺めて過ごすという、極めて不健全な学校生活をおくっていた。
そして今は、気怠い昼休みの真っ最中。夢溢れる夏休みも無慈悲に終わりを告げ、憂鬱感に苛まれる日々をダラダラと過ごす毎日。
適当に授業を聞き流し、友人たちとくだらない話で盛り上がるだけの、今までと何ら変わらない日常。そんな慣れ親しんだ生活が、二学期も相変わらず続いていく。
――はずだったんだけどな。
購買で買ってきた昼飯を済ませ、ゲームによって削られた睡眠時間を今のうちに補っておこうかと微睡んでいた俺の前に、一人の女子が現れたのはほんの三分ほど前。
何の用かと見上げる俺を無言で見つめ、手に持っていたおにぎりを机に置くと、そのままずっとこちらの様子を窺うように立ち尽くしている。
そんな相手の意図が全く掴めず、俺はただひたすらおにぎりを見つめ続けていた。
――さて、どうしたもんか……。
一瞬だけ目の前にあるおにぎりから女子へ視線を移しつつ、胸中で呻く。
夜月桜。
二学期から突然我がクラスに出現したイレギュラー。
「これ、何のつもりだ?」
そのイレギュラーを上目遣いに睨み、俺は仕方なく口を開く。
すると、相手も待っていましたと言わんばかりに即座に言葉を返してきた。
「何のつもり? おにぎりって普通は食べる物でしょう? せっかく持ってきてあげたんだから、食べなさいよ」
左手を腰に当てながら、桜はおにぎりを指差す。
「ふざけんなよ。お前、俺が梅干し食えないの知ってるだろ? 嫌がらせか?」
桜が持ってきたおにぎりは、コンビニで買ってきた物だった。その包装しているビニールには、梅干しの写真がわかりやすく貼付されている。
「こんなもん、誰が食うか」
吐き捨てて、俺は窓の外へ顔を向けた。
「駄目。食べなきゃお仕置きにならないじゃない。なんなら食べさせてあげよっか?」
言いながら包装を破きはじめる桜。
「……何で俺がお仕置きなんかされなきゃいけねーんだよ?」
そんな彼女の手元を忌々し気に見つめて訊ねると、
「雄治があたしとの約束すっぽかしたからに決まってるでしょ。どうして昨日は来なかったのよ?」
という答えが返ってくる。
昨日の約束。
――そう言えば、そんなんあったっけ。
適当に聞き流していたためすっかり忘れていたが、言われてみれば確かに、昨日の昼休みに何かやり取りをした覚えがある。
県立坂之宮高校、二年C組。出席番号は二十番。
入学当時、大した理由もなく写真部に入部したが、すぐに飽きてしまい退部。その後は帰宅部という魅力的な部に所属し、優雅な下校時間を堪能する日々を満喫中。
一応というか何というか、知り合いが所属するミステリー&オカルト研究部なるものに勧誘されたりもしているのだが、正直ほとんど興味がないためこれは適当にあしらい続けている。
因みに得意教科は国語で苦手教科は英語と歴史。
と、学校内での自分を限りなく簡単に紹介するとしたら、こんな感じの説明になるだろうか。
二学期開始と同時に行われた席替えで、教室のほぼ真ん中にあった俺の席は窓際列最後尾に移され、俺は授業中のほとんどをぼんやりと外を眺めて過ごすという、極めて不健全な学校生活をおくっていた。
そして今は、気怠い昼休みの真っ最中。夢溢れる夏休みも無慈悲に終わりを告げ、憂鬱感に苛まれる日々をダラダラと過ごす毎日。
適当に授業を聞き流し、友人たちとくだらない話で盛り上がるだけの、今までと何ら変わらない日常。そんな慣れ親しんだ生活が、二学期も相変わらず続いていく。
――はずだったんだけどな。
購買で買ってきた昼飯を済ませ、ゲームによって削られた睡眠時間を今のうちに補っておこうかと微睡んでいた俺の前に、一人の女子が現れたのはほんの三分ほど前。
何の用かと見上げる俺を無言で見つめ、手に持っていたおにぎりを机に置くと、そのままずっとこちらの様子を窺うように立ち尽くしている。
そんな相手の意図が全く掴めず、俺はただひたすらおにぎりを見つめ続けていた。
――さて、どうしたもんか……。
一瞬だけ目の前にあるおにぎりから女子へ視線を移しつつ、胸中で呻く。
夜月桜。
二学期から突然我がクラスに出現したイレギュラー。
「これ、何のつもりだ?」
そのイレギュラーを上目遣いに睨み、俺は仕方なく口を開く。
すると、相手も待っていましたと言わんばかりに即座に言葉を返してきた。
「何のつもり? おにぎりって普通は食べる物でしょう? せっかく持ってきてあげたんだから、食べなさいよ」
左手を腰に当てながら、桜はおにぎりを指差す。
「ふざけんなよ。お前、俺が梅干し食えないの知ってるだろ? 嫌がらせか?」
桜が持ってきたおにぎりは、コンビニで買ってきた物だった。その包装しているビニールには、梅干しの写真がわかりやすく貼付されている。
「こんなもん、誰が食うか」
吐き捨てて、俺は窓の外へ顔を向けた。
「駄目。食べなきゃお仕置きにならないじゃない。なんなら食べさせてあげよっか?」
言いながら包装を破きはじめる桜。
「……何で俺がお仕置きなんかされなきゃいけねーんだよ?」
そんな彼女の手元を忌々し気に見つめて訊ねると、
「雄治があたしとの約束すっぽかしたからに決まってるでしょ。どうして昨日は来なかったのよ?」
という答えが返ってくる。
昨日の約束。
――そう言えば、そんなんあったっけ。
適当に聞き流していたためすっかり忘れていたが、言われてみれば確かに、昨日の昼休みに何かやり取りをした覚えがある。
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