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他愛ない寄り道
他愛ない寄り道
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ぎりぎり自動ドアが開かない位置で立ち止まる。
「……ん?」
だが、桜はそんな俺に構うことなく、そのまま店の外へ歩いていく。
「おい、桜。どこ行くつもりだよ?」
自動ドアを抜けた彼女の背に慌てて声をかけるも、聞こえているのかいないのかそのまま歩き去ってしまった。
「……何を考えてんだあいつは」
外へ出てすぐに右折したため、既に姿は見えない。一瞬、すぐに追いかけた方が良いのか迷ったが、有紀を待つことを優先する決断を下す。
ここで俺までいなくなれば、有紀は間違いなく困惑するだろうし、無意味に店内を探し回ったりさせてしまいそうだ。
それに、仮にこのまま桜がいなくなったとしても、どうせ明日にはまた顔を合わせる。その時に文句の一つでも言ってやればいい。
「お待たせ」
そんな事を考えてる間に、会計を終えた有紀が側に寄ってきた。
「あれ? 夜月さんは?」
きょろきょろと周りを見渡す有紀に、親指で外を差し示す。
「何か知らんけど、先に出てった」
「え? 帰っちゃったの?」
「知らねぇよ。呼び止めても無視して行っちまったし。とりあえず出ようぜ」
「うん……」
思い返してみるに、桜はよく俺の呼びかけを無視して、勝手に行動することが多々あった。変なところでは素直に従ったりするくせに、訳がわからない。
気まぐれな性格、と理解しておけば良いのか今ひとつ判然としないが、ボキャブラリーの無い自分にはそう形容する以外他に言い様がない。
――横柄なくせに気配りはできてたりするし、ほんと何なんだろうな。
冷房の効いた屋内から出た途端、再び目眩がするような熱気が身体中にまとわりついてきた。せっかく収まった汗がまたジワジワと噴き出してくるのが嫌でもわかる。
時刻は五時半。外は当然まだ明るい。
ジージーとあちこちで鳴いている蝉の声を聞きながら、俺は駅前周辺を見回す。
「あれ? 雄くん、夜月さんいるよ?」
「は?」
隣に並んで立つ有紀が、首だけを横に向けながら、すぐ近くにある自販機を指差した。
方角で言えば本屋を出て右側。桜が去っていった方向だ。
入り口を出て、ほんの数メートル。三台並んだ自販機の一番手前に、桜の姿はあった。
じっと、自販機を睨んだまま動く気配がない。
「……?」
あんな場所に突っ立って何をしてるのかと、俺と有紀はしばらく黙って様子を窺う。
頭から流れた汗が、首筋へと落ちていく。睨むように自販機を凝視する桜と、その桜をひたすら見つめる俺たち二人。
端から見れば間違いなく、“何だこいつら”と思われていることだろう。
やがて、桜の右腕がゆっくりと上がり始める。その指先は、まるで何かを指し示そうとでもするかの如く、人差し指だけが立てられていた。
そして、その指先がそっと自販機のボタンに触れる。
「……」
押したんだと思う。しかし、ジュースの取り出し口からは、商品が落下してきた気配はない。
「……」
僅かに顎を下げそれを確認した桜は、さらに二度三度とボタンを連打する。しかし、それで何がどうなるわけもなく。
「…………」
やがて桜は、痺れを切らしたように本の詰まった袋を振り上げた。
「……ん?」
だが、桜はそんな俺に構うことなく、そのまま店の外へ歩いていく。
「おい、桜。どこ行くつもりだよ?」
自動ドアを抜けた彼女の背に慌てて声をかけるも、聞こえているのかいないのかそのまま歩き去ってしまった。
「……何を考えてんだあいつは」
外へ出てすぐに右折したため、既に姿は見えない。一瞬、すぐに追いかけた方が良いのか迷ったが、有紀を待つことを優先する決断を下す。
ここで俺までいなくなれば、有紀は間違いなく困惑するだろうし、無意味に店内を探し回ったりさせてしまいそうだ。
それに、仮にこのまま桜がいなくなったとしても、どうせ明日にはまた顔を合わせる。その時に文句の一つでも言ってやればいい。
「お待たせ」
そんな事を考えてる間に、会計を終えた有紀が側に寄ってきた。
「あれ? 夜月さんは?」
きょろきょろと周りを見渡す有紀に、親指で外を差し示す。
「何か知らんけど、先に出てった」
「え? 帰っちゃったの?」
「知らねぇよ。呼び止めても無視して行っちまったし。とりあえず出ようぜ」
「うん……」
思い返してみるに、桜はよく俺の呼びかけを無視して、勝手に行動することが多々あった。変なところでは素直に従ったりするくせに、訳がわからない。
気まぐれな性格、と理解しておけば良いのか今ひとつ判然としないが、ボキャブラリーの無い自分にはそう形容する以外他に言い様がない。
――横柄なくせに気配りはできてたりするし、ほんと何なんだろうな。
冷房の効いた屋内から出た途端、再び目眩がするような熱気が身体中にまとわりついてきた。せっかく収まった汗がまたジワジワと噴き出してくるのが嫌でもわかる。
時刻は五時半。外は当然まだ明るい。
ジージーとあちこちで鳴いている蝉の声を聞きながら、俺は駅前周辺を見回す。
「あれ? 雄くん、夜月さんいるよ?」
「は?」
隣に並んで立つ有紀が、首だけを横に向けながら、すぐ近くにある自販機を指差した。
方角で言えば本屋を出て右側。桜が去っていった方向だ。
入り口を出て、ほんの数メートル。三台並んだ自販機の一番手前に、桜の姿はあった。
じっと、自販機を睨んだまま動く気配がない。
「……?」
あんな場所に突っ立って何をしてるのかと、俺と有紀はしばらく黙って様子を窺う。
頭から流れた汗が、首筋へと落ちていく。睨むように自販機を凝視する桜と、その桜をひたすら見つめる俺たち二人。
端から見れば間違いなく、“何だこいつら”と思われていることだろう。
やがて、桜の右腕がゆっくりと上がり始める。その指先は、まるで何かを指し示そうとでもするかの如く、人差し指だけが立てられていた。
そして、その指先がそっと自販機のボタンに触れる。
「……」
押したんだと思う。しかし、ジュースの取り出し口からは、商品が落下してきた気配はない。
「……」
僅かに顎を下げそれを確認した桜は、さらに二度三度とボタンを連打する。しかし、それで何がどうなるわけもなく。
「…………」
やがて桜は、痺れを切らしたように本の詰まった袋を振り上げた。
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