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一抹の不安
一抹の不安
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ずっと桜から感じていた違和感は、これだったのか。てっきり、片桐にやられてしまうかもしれない不安を感じているのかと予想していたが、的が外れた。
むしろ、そちらに対する不安が無さすぎることが心配になってくるくらいだが。
「それは仕方ねぇだろ。つか、記憶を戻せて元の世界に帰る方法がわかったとしても、それですぐお別れになるなんて言いきれるか?」
ぽりぽりと頭を掻きながら、俺は嘆息する。
「自分でも言ったよな? この世界に来た目的も思い出せないとかなんとか。てことは、記憶が戻ってもその目的を果たすまでは、こっちに居座ることになる場合もあり得るんじゃないのか?」
「ん……、それは確かに」
一理あるな、という風に桜は頷く。
「それに、こうして今ここにお前がいるってことは、またいつでもこっちに来れる可能性もあるってわけだ。だから、そんな複雑な顔する必要はないと思うぞ。って言うより……」
そこで、俺は一度言葉を止めて桜の顔をまじまじと見つめた。
「ん? 何?」
そんな俺を、悪魔少女は不思議そうに見つめ返す。
「まさか、お前が別れを惜しむような素振りするとは思わなかったわ」
「え?」
「いや、俺はてっきり片桐とかいうやつの言葉に萎縮か何かしてるもんだと思ってたからさ」
いろいろと真実は知りたい。でも下手したら今夜、自分が殺されるかもしれない。
そんな葛藤が原因で、いつもとどこか様子がおかしくなっているのかと憶測していたのに、全然見当違いだった。
「それは、雄治にはたくさんお世話になったから。もしこのまま元の世界に帰るような展開になったら、あたし何もお礼とかできないし……」
半分こもった小声で呟き、罰が悪そうに桜は目を伏せる。そんな彼女の思いがけない仕草に、俺はつい笑いそうになる。
「……桜、お前ほんとに悪魔か?」
「ん? どういうこと?」
からかったつもりだが、どうやら通じなかったらしい。チロリと視線だけを上げ問い返す桜に含み笑いを浮かべ、俺は小さく首を振りつつ肩を竦める。
「別に。てか、気にしなくて良いぞ。お礼なんて黙ってても貰えるから」
「黙ってても?」
「ああ。お前の我がままや束縛から解放される」
意地悪く口元を歪めて笑ってみせると、桜はすぐにむっとした様子で目を細めて睨んできた。
「別に我がままも束縛もしたつもりないけど?」
「それは自覚がないからだろ」
さらりと言い返し、俺はもたれかかっていた幹から背中を離す。
「何にせよさ、そんなこと心配する余裕あるなら自分の身を心配しろよ。お前は確かに強いかもしんないけど、それで痛い目をみない保障なんてどこにもないんだしさ」
側に立つ桜へ一歩近づき、ポンとその肩を優しく叩く。
「それくらい、言われなくたって……」
大人に注意され拗ねる子供のようになりながら、桜はもごもごと言葉を返してくる。
「昨日だって、あの狼男に油断して脳震盪おこしてたんだから、今回はきっちり気持ち作っていかないとな。相手の態度からして、何かお前を倒す手段を用意してる可能性もかなり高いと思うしよ。または、弱点を知ってるとか」
桜の弱点が何なのかは俺にはわからないが、あの男なら知っていてもおかしくなさそうだ。
むしろ、そちらに対する不安が無さすぎることが心配になってくるくらいだが。
「それは仕方ねぇだろ。つか、記憶を戻せて元の世界に帰る方法がわかったとしても、それですぐお別れになるなんて言いきれるか?」
ぽりぽりと頭を掻きながら、俺は嘆息する。
「自分でも言ったよな? この世界に来た目的も思い出せないとかなんとか。てことは、記憶が戻ってもその目的を果たすまでは、こっちに居座ることになる場合もあり得るんじゃないのか?」
「ん……、それは確かに」
一理あるな、という風に桜は頷く。
「それに、こうして今ここにお前がいるってことは、またいつでもこっちに来れる可能性もあるってわけだ。だから、そんな複雑な顔する必要はないと思うぞ。って言うより……」
そこで、俺は一度言葉を止めて桜の顔をまじまじと見つめた。
「ん? 何?」
そんな俺を、悪魔少女は不思議そうに見つめ返す。
「まさか、お前が別れを惜しむような素振りするとは思わなかったわ」
「え?」
「いや、俺はてっきり片桐とかいうやつの言葉に萎縮か何かしてるもんだと思ってたからさ」
いろいろと真実は知りたい。でも下手したら今夜、自分が殺されるかもしれない。
そんな葛藤が原因で、いつもとどこか様子がおかしくなっているのかと憶測していたのに、全然見当違いだった。
「それは、雄治にはたくさんお世話になったから。もしこのまま元の世界に帰るような展開になったら、あたし何もお礼とかできないし……」
半分こもった小声で呟き、罰が悪そうに桜は目を伏せる。そんな彼女の思いがけない仕草に、俺はつい笑いそうになる。
「……桜、お前ほんとに悪魔か?」
「ん? どういうこと?」
からかったつもりだが、どうやら通じなかったらしい。チロリと視線だけを上げ問い返す桜に含み笑いを浮かべ、俺は小さく首を振りつつ肩を竦める。
「別に。てか、気にしなくて良いぞ。お礼なんて黙ってても貰えるから」
「黙ってても?」
「ああ。お前の我がままや束縛から解放される」
意地悪く口元を歪めて笑ってみせると、桜はすぐにむっとした様子で目を細めて睨んできた。
「別に我がままも束縛もしたつもりないけど?」
「それは自覚がないからだろ」
さらりと言い返し、俺はもたれかかっていた幹から背中を離す。
「何にせよさ、そんなこと心配する余裕あるなら自分の身を心配しろよ。お前は確かに強いかもしんないけど、それで痛い目をみない保障なんてどこにもないんだしさ」
側に立つ桜へ一歩近づき、ポンとその肩を優しく叩く。
「それくらい、言われなくたって……」
大人に注意され拗ねる子供のようになりながら、桜はもごもごと言葉を返してくる。
「昨日だって、あの狼男に油断して脳震盪おこしてたんだから、今回はきっちり気持ち作っていかないとな。相手の態度からして、何かお前を倒す手段を用意してる可能性もかなり高いと思うしよ。または、弱点を知ってるとか」
桜の弱点が何なのかは俺にはわからないが、あの男なら知っていてもおかしくなさそうだ。
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