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とある集団
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昼であるにもかかわらず薄暗い森の中、この森のちょうど中心に位置する場所に、その研究所はあった。
「田中人類学研究所」とかかれた建物の中では、10人ほどの人間が会議を開いていた。
それぞれが椅子に座っており、机の上にはコーヒーが人数分置かれていたが、誰も一切手をつけず、難しげな顔で意見を出し合っていた。
「だからなぁ。俺たち以外にも人類は存在したんだよ。」
研究所の人間の一人、田中は言う。
「だったら、サピエンス以外の骨が世界各地からでるだろ?人間はサピエンス以外存在しないんだよ。今も昔も。」
馬鹿にしたような口調で川崎が言い返した。
「それは違う!違う...はず...」
一向に話が進まないので、田中と川崎以外の研究者たちは二人の口喧嘩を冷めた目で見ていた。
田中「おかしいと思わないか?猿からいきなりサピエンスになりました!って、そんなすぐに猿からサピエンスに変わるか?」
川崎「まぁ、それはなぁ...」
田中の主張に一理あると思った川崎は黙り込んだ。
「とにかく!仮に俺たちの祖先が猿だったとして、いきなり猿が俺たちになるとは思えない!何百万年もかけて、いくつもの過程を経て、俺たちが誕生したはずなんだ!」
田中は自信満々に言った。
「ではなぜ、その過程にあたる人類は見つからないのでしょうか?」
一番若い研究員の山根が質問する。
田中「知らんがなっっっ!」
「「「ええ...」」」
ーーー
「はー...明らかにおかしいんだよなぁ。」
田中は、研究所の自室でビール片手にスマホをいじりながらぶつぶつとひとりごとを言っていた。
会議が終わった田中は、暇なのでつぶやきアプリ、ツヤッターで適当にニュースを見ていた。
"今日のおすすめ!絶品卵焼き!"
"A社がまたまた不正行為!"
"下着泥棒を逮捕!"
今のところ、特にこれといった大ニュースはなく、田中はツヤッターを閉じようとしていた。
(寝るか。)
それでも一応ニュースを全部見ようと、田中はスマホ画面をスライドさせた。
と、田中の目に何やら面白そうなニュースが入ってきた。
"一体どこから?突然現れた、毛皮をまとった集団"
「なんだ?」
興味を持った田中が詳細をみてみると、国連の大事な施設の中に、毛皮をまとった十数人の男女がどこからともなく、急に現れたらしい。
「毛皮?超高級のやつか?まあいいや。」
田中はスマホの明かりを消すと、目をつぶり、そして深い眠りについた。
ーーー
「それで?彼らはなんと?」
国連本部から遠く離れた警察署では、謎の集団の取り調べが行われていた。
「それが...全く言葉が通じないんです。何語なんだろう...」
「ふむ...」
「それに彼らの顔、ちょっとおかしいんですよ。」
「おかしいとは?」
「はい。なんて言うんですかね...なんかいろいろと盛り上がってるというか...」
「なんじゃそりゃ?」
「さあ、とにかく言葉が通じないので話しようがありませんね。」
「通訳はどうした?確か、20ヵ国語を話せる優秀なやつがいただろ。翻訳できる機械も。」
「いやー、無理でしたね。」
それを聞いた刑事は顔をしかめる。
「未開な部族か?いや、そもそもなぜ国連本部に?」
考えれば考えるほど謎ばかりだ。刑事はそう思った。
「もしかして、異世界からきたのか?」
刑事は思わずそう口にした。
「やめてくださいよ。まさか先輩がそんなこと言うなんて。」
「いや、すまんな。だが、そうとしか思えないんだよなぁ...ほら、よくネット小説であるやつ。」
「異世界転移?」
「ああ。」
それを聞いた後輩は笑い出し、刑事も一緒に笑った。
(いや、まさかな。)
刑事はそう思っていたが、この後、それがあながち間違いではないことがわかる。
「田中人類学研究所」とかかれた建物の中では、10人ほどの人間が会議を開いていた。
それぞれが椅子に座っており、机の上にはコーヒーが人数分置かれていたが、誰も一切手をつけず、難しげな顔で意見を出し合っていた。
「だからなぁ。俺たち以外にも人類は存在したんだよ。」
研究所の人間の一人、田中は言う。
「だったら、サピエンス以外の骨が世界各地からでるだろ?人間はサピエンス以外存在しないんだよ。今も昔も。」
馬鹿にしたような口調で川崎が言い返した。
「それは違う!違う...はず...」
一向に話が進まないので、田中と川崎以外の研究者たちは二人の口喧嘩を冷めた目で見ていた。
田中「おかしいと思わないか?猿からいきなりサピエンスになりました!って、そんなすぐに猿からサピエンスに変わるか?」
川崎「まぁ、それはなぁ...」
田中の主張に一理あると思った川崎は黙り込んだ。
「とにかく!仮に俺たちの祖先が猿だったとして、いきなり猿が俺たちになるとは思えない!何百万年もかけて、いくつもの過程を経て、俺たちが誕生したはずなんだ!」
田中は自信満々に言った。
「ではなぜ、その過程にあたる人類は見つからないのでしょうか?」
一番若い研究員の山根が質問する。
田中「知らんがなっっっ!」
「「「ええ...」」」
ーーー
「はー...明らかにおかしいんだよなぁ。」
田中は、研究所の自室でビール片手にスマホをいじりながらぶつぶつとひとりごとを言っていた。
会議が終わった田中は、暇なのでつぶやきアプリ、ツヤッターで適当にニュースを見ていた。
"今日のおすすめ!絶品卵焼き!"
"A社がまたまた不正行為!"
"下着泥棒を逮捕!"
今のところ、特にこれといった大ニュースはなく、田中はツヤッターを閉じようとしていた。
(寝るか。)
それでも一応ニュースを全部見ようと、田中はスマホ画面をスライドさせた。
と、田中の目に何やら面白そうなニュースが入ってきた。
"一体どこから?突然現れた、毛皮をまとった集団"
「なんだ?」
興味を持った田中が詳細をみてみると、国連の大事な施設の中に、毛皮をまとった十数人の男女がどこからともなく、急に現れたらしい。
「毛皮?超高級のやつか?まあいいや。」
田中はスマホの明かりを消すと、目をつぶり、そして深い眠りについた。
ーーー
「それで?彼らはなんと?」
国連本部から遠く離れた警察署では、謎の集団の取り調べが行われていた。
「それが...全く言葉が通じないんです。何語なんだろう...」
「ふむ...」
「それに彼らの顔、ちょっとおかしいんですよ。」
「おかしいとは?」
「はい。なんて言うんですかね...なんかいろいろと盛り上がってるというか...」
「なんじゃそりゃ?」
「さあ、とにかく言葉が通じないので話しようがありませんね。」
「通訳はどうした?確か、20ヵ国語を話せる優秀なやつがいただろ。翻訳できる機械も。」
「いやー、無理でしたね。」
それを聞いた刑事は顔をしかめる。
「未開な部族か?いや、そもそもなぜ国連本部に?」
考えれば考えるほど謎ばかりだ。刑事はそう思った。
「もしかして、異世界からきたのか?」
刑事は思わずそう口にした。
「やめてくださいよ。まさか先輩がそんなこと言うなんて。」
「いや、すまんな。だが、そうとしか思えないんだよなぁ...ほら、よくネット小説であるやつ。」
「異世界転移?」
「ああ。」
それを聞いた後輩は笑い出し、刑事も一緒に笑った。
(いや、まさかな。)
刑事はそう思っていたが、この後、それがあながち間違いではないことがわかる。
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