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【 三保松原の激戦 】
久能海岸
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言われた通り、ただひたすら真っ直ぐな道を進む。
「本当に物凄い直線だな」
わりと本気で信じられない。ここまで平地が続くものなのか?
「驚いているところ悪いけど、そろそろ戦闘準備に入って」
「俺の場合は銃1丁だし支度は出来ているよ。それより三保松原まではまだ距離があるんじゃなかったか?」
「忘れたの? もうじき久能海岸に出るわ」
「海岸こそが奴等のテリトリーだと教えただろ、一般人」
うん、杉林は目つきも口調も変わらないが、何の迫力も感じない。
むしろ場が和んだよ、ありがとう、ポレンちゃん。
「なんか今すぐここから放り投げたい顔をしているな」
「気のせいだ。俺はいつだって真面目だからな」
あの大笑いしていた人間のセリフとは思えないと3人の目が訴えているが、ここは無視しよう。
それをよりも、遠くの空が緑色に染まっている。
用宗港の戦いの時とは違う。
同じなのは、全身に鳥肌が立つほどの緊張感。あそこには一体猪何頭分の害獣がいるのやら。
「各自戦闘準備!」
見えてきた海岸線。以前と同じように空から現れる翼竜の群れ。そしてビーンとかいう、異様に長い手絵を持った芋虫の様な顔の真っ白いケンタウロス。
それらが、まるで海岸はスクリーンだと言わんばかりに不自然に途中の空間から現れてくる。
「もうかよ。というかさ、この辺りの住人ってどうしてるんだ? 毎度毎度こんなんじゃ、生活なんて出来ないだろ」
「海岸線に近づかなければ出てこないわ」
「じゃあなんで海岸線なんて通るんだよ」
「それは三保松原が海岸にあるからで……」
既に高円寺は物騒なブツを開封していたが――、
「もっと内陸を移動してから海岸に出れば良かったんじゃないのか? これじゃあ俺たちが近くの人々の生活を脅かしただけだぞ」
「この周辺の住人は元々内地に引っ越し済みよ。言われるまでもなく、怖いじゃない。実際、人間がいなくたって出て来る事はあるんだから」
いわれてみれば確かにそうだ。
「あれ? だけど以前の用宗港周辺の家には明かりがついていた気がしたが」
「アレはダミーよ。前に話したと思うけど、アイツらの怖さはいつの間にか巣を作っている事なのよね。だからどんな所にでもセンサーは付けてあるけど、よく出る所にはああやって人が住んでいるように見せかけているの」
「その心は?」
「中に入ったら大爆発する仕掛けよ」
聞いておいて良かった。
もし迂闊に1人で尋ねたら、俺が木っ端みじんに吹き飛ぶところだった。
「それじゃあ、始めるわ」
その言葉と同時に、トラックの荷台から大量のロケット弾が打ち上げられる。
それはまるで花火委の様だ――って、そんなに綺麗なものじゃないけど。
ただ空中で分解し、落下したクラスター爆弾の爆発は美しい。
いやこっちもそんなに暢気なものじゃないけど。
なにせロケットで撃ち出されているから、綺麗な円形に落ちるわけじゃない。
それはまるで楕円に広がる炎の蛇。
時間差で落下した多数の弾頭は、爆発と同時に更なる爆薬を放出し、無数の爆発を連鎖させる。
そんな物を何発も撃ち出しているのだから、見事なほどに海岸線は炎に包まれた。
連中はそれほどタフじゃない。それは前回の戦いで十分に見ている。
あの爆炎の中を抜けてくる奴や存在しない。
ただ問題があるとしたら――、
「最後の1発です」
さすがにこっちの火力がそれほど多くは無い所だ。
トラックには荷台の多くを占めるほどに多数のロケット弾が積まれていたが、それでも12発。
狩りと考えれば山一つを一掃するのに十分な量だが、走りながら撃っているわだしな。それにこの海岸は広い。
幸いにもまるで人工物かのように綺麗な一直線の海岸なのが幸いし、数キロの敵は一掃できた。
確かに、俺たちが通り過ぎた後には焼け野原しか残っていない。
新たなビーンが現れる形跡はない。
本当に、人を感知している訳か。
ただ目的地までは10キロ。前方の奴も問題だが、後ろの逃した奴も厄介だぞ。
アイツらは人がいなくなっても素直に帰るわけじゃない。
あのあたりの家が全て爆発するのだろうか?
「心配は分かるけど、そろそろ心強い援軍が来るわ」
そう言いながら、来栖も高円寺も杉林も銃撃をやめない。それも実に確実な射撃だ。改めて、心強いよ。
というか、杉林はあんな体になってもしっかり銃は使えるんだな。
元々反動の少ない小型のライフルとマシンガンを使っていたが、今も同じ装備だ。
体格からすると、さすがに違和感しかねえ。
それと初めて会った時から分かっていたが、装備は女性用。こいつは紫のジャケットを着ている以外、他と大差ない。
使っている武器などによってベルトの装備が変わる程度だ。
というか、よくこいつが承諾したな。
特にスカートとか、俺が女性になっても穿く自信はないぞ。
なんて考えている間も、俺だって動いている。
右の海岸線から来る奴は高円寺と杉林に任せ、俺と来栖は前の道路に出てきた相手を一掃して進路を確保する。
杉林はともかく、火力の高い高円寺が横を担当しているのは弾頭の関係だな。
今はいつものではなく、途中で分裂する、ある意味ショットガンタイプだ。
まあ構造は全然違うが、見た目と効果が同じなのだからそれで良いだろう。
ただ問題は後ろ――と思っていたが、こちらもこちらでそれどころではない。
道路に登って来たところを確実に仕留める。
しかしやはり数が多い。とてもじゃないけれど、全方向への対策は無理だ。
その時――背後が光った。
「本当に物凄い直線だな」
わりと本気で信じられない。ここまで平地が続くものなのか?
「驚いているところ悪いけど、そろそろ戦闘準備に入って」
「俺の場合は銃1丁だし支度は出来ているよ。それより三保松原まではまだ距離があるんじゃなかったか?」
「忘れたの? もうじき久能海岸に出るわ」
「海岸こそが奴等のテリトリーだと教えただろ、一般人」
うん、杉林は目つきも口調も変わらないが、何の迫力も感じない。
むしろ場が和んだよ、ありがとう、ポレンちゃん。
「なんか今すぐここから放り投げたい顔をしているな」
「気のせいだ。俺はいつだって真面目だからな」
あの大笑いしていた人間のセリフとは思えないと3人の目が訴えているが、ここは無視しよう。
それをよりも、遠くの空が緑色に染まっている。
用宗港の戦いの時とは違う。
同じなのは、全身に鳥肌が立つほどの緊張感。あそこには一体猪何頭分の害獣がいるのやら。
「各自戦闘準備!」
見えてきた海岸線。以前と同じように空から現れる翼竜の群れ。そしてビーンとかいう、異様に長い手絵を持った芋虫の様な顔の真っ白いケンタウロス。
それらが、まるで海岸はスクリーンだと言わんばかりに不自然に途中の空間から現れてくる。
「もうかよ。というかさ、この辺りの住人ってどうしてるんだ? 毎度毎度こんなんじゃ、生活なんて出来ないだろ」
「海岸線に近づかなければ出てこないわ」
「じゃあなんで海岸線なんて通るんだよ」
「それは三保松原が海岸にあるからで……」
既に高円寺は物騒なブツを開封していたが――、
「もっと内陸を移動してから海岸に出れば良かったんじゃないのか? これじゃあ俺たちが近くの人々の生活を脅かしただけだぞ」
「この周辺の住人は元々内地に引っ越し済みよ。言われるまでもなく、怖いじゃない。実際、人間がいなくたって出て来る事はあるんだから」
いわれてみれば確かにそうだ。
「あれ? だけど以前の用宗港周辺の家には明かりがついていた気がしたが」
「アレはダミーよ。前に話したと思うけど、アイツらの怖さはいつの間にか巣を作っている事なのよね。だからどんな所にでもセンサーは付けてあるけど、よく出る所にはああやって人が住んでいるように見せかけているの」
「その心は?」
「中に入ったら大爆発する仕掛けよ」
聞いておいて良かった。
もし迂闊に1人で尋ねたら、俺が木っ端みじんに吹き飛ぶところだった。
「それじゃあ、始めるわ」
その言葉と同時に、トラックの荷台から大量のロケット弾が打ち上げられる。
それはまるで花火委の様だ――って、そんなに綺麗なものじゃないけど。
ただ空中で分解し、落下したクラスター爆弾の爆発は美しい。
いやこっちもそんなに暢気なものじゃないけど。
なにせロケットで撃ち出されているから、綺麗な円形に落ちるわけじゃない。
それはまるで楕円に広がる炎の蛇。
時間差で落下した多数の弾頭は、爆発と同時に更なる爆薬を放出し、無数の爆発を連鎖させる。
そんな物を何発も撃ち出しているのだから、見事なほどに海岸線は炎に包まれた。
連中はそれほどタフじゃない。それは前回の戦いで十分に見ている。
あの爆炎の中を抜けてくる奴や存在しない。
ただ問題があるとしたら――、
「最後の1発です」
さすがにこっちの火力がそれほど多くは無い所だ。
トラックには荷台の多くを占めるほどに多数のロケット弾が積まれていたが、それでも12発。
狩りと考えれば山一つを一掃するのに十分な量だが、走りながら撃っているわだしな。それにこの海岸は広い。
幸いにもまるで人工物かのように綺麗な一直線の海岸なのが幸いし、数キロの敵は一掃できた。
確かに、俺たちが通り過ぎた後には焼け野原しか残っていない。
新たなビーンが現れる形跡はない。
本当に、人を感知している訳か。
ただ目的地までは10キロ。前方の奴も問題だが、後ろの逃した奴も厄介だぞ。
アイツらは人がいなくなっても素直に帰るわけじゃない。
あのあたりの家が全て爆発するのだろうか?
「心配は分かるけど、そろそろ心強い援軍が来るわ」
そう言いながら、来栖も高円寺も杉林も銃撃をやめない。それも実に確実な射撃だ。改めて、心強いよ。
というか、杉林はあんな体になってもしっかり銃は使えるんだな。
元々反動の少ない小型のライフルとマシンガンを使っていたが、今も同じ装備だ。
体格からすると、さすがに違和感しかねえ。
それと初めて会った時から分かっていたが、装備は女性用。こいつは紫のジャケットを着ている以外、他と大差ない。
使っている武器などによってベルトの装備が変わる程度だ。
というか、よくこいつが承諾したな。
特にスカートとか、俺が女性になっても穿く自信はないぞ。
なんて考えている間も、俺だって動いている。
右の海岸線から来る奴は高円寺と杉林に任せ、俺と来栖は前の道路に出てきた相手を一掃して進路を確保する。
杉林はともかく、火力の高い高円寺が横を担当しているのは弾頭の関係だな。
今はいつものではなく、途中で分裂する、ある意味ショットガンタイプだ。
まあ構造は全然違うが、見た目と効果が同じなのだからそれで良いだろう。
ただ問題は後ろ――と思っていたが、こちらもこちらでそれどころではない。
道路に登って来たところを確実に仕留める。
しかしやはり数が多い。とてもじゃないけれど、全方向への対策は無理だ。
その時――背後が光った。
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