200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち

半道海豚

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第6章

06-155 妨害

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 大消滅から3回目の冬を乗り越えた。
 高知市は関東のように雪で覆われることはなく、適切な着衣と屋内ならば暖房がなくても凍死せずに夜を越せた。

 香野木恵一郎は、200万年後に向かう方法について、いまだ逡巡している。
 なるべくなら、大勢を巻き込むことは避けたい。
 固い意思で200万年後行きを決断しているのは、3人。ラダ・ムー、長宗元親、土井将馬。
 香野木を除く3人に共通しているのは、明確にオークに対する“復讐”だ。意思の源泉は私怨であり、目的を果たせても何かが残るわけじゃない。
 子供たちは、200万年後に憧れを持っている。大消滅から3年。山野の樹木は芽吹いたばかりで、雑木にもなっていない。成長が早い帰化植物のセイタカアワダチソウは、他の植物の再生を圧していて、非消滅地域にも圧力を加えている。
 農地を再生しても、作物を育てることは容易でない。肥料さえ十分でないのだ。農機を使った原始農法でしかない。
 若年者は、この世界に見切りを付け始めている。

 長宗と里崎杏は、高速フェリー“ベルーガ”の整備に余念がない。
 ベルーガは軍用輸送艦として建造され、車輌デッキには大型トラックはもちろん、主力戦車も積める。民間フェリーとしては、無駄に天井が高く、無意味なほど甲板強度がある。
 チリ陸軍が保有するレオパルト2A4主力戦車ならば、40輌ほどが積める。
 こういった民間フェリーとしての欠点は、長宗の造船所で改修されるはずだったが、一切手つかずのままだった。
 これが功を奏している。楽々と74式戦車とセンチュリオンが積めるのだ。

 加賀谷真理は、200万年後行きを言葉では決断していない。
 しかし、行動は明確に意思を示していた。
 香野木たちは臨時政権に自走105ミリ榴弾砲と1/2トントラックを返納させられていたが、それ以外は保有している。
 74式自走105ミリりゅう弾砲のパーツ4輌分を確保しているし、60式装甲車も手元にある。
 臨時政権は、外見形状が変更された車輌は“自衛隊のもの”とは主張しなかったからだ。
 60式装甲車は60APC、35ミリ機関砲搭載の対空自走砲は35AWと呼ばれている。
 加賀谷は、3銃身20ミリ機関砲搭載の装甲兵員輸送車を、装甲貨物輸送車に改造してしまった。履帯式の専用トレーラーもある。トレーラーじゃ74式自走105ミリりゅう弾砲の車体を利用しており、8トンの積載が可能。
 また、74式自走105ミリりゅう弾砲の車体と砲塔を利用して、75ミリ高射砲M51の自走化を計画しているし、74式自走105ミリりゅう弾砲の車体にM42ダスター自走高射機関砲の砲塔を移植した自走40ミリ連装機関砲も立案されている。
 装甲貨物輸送車はACC、M51の自走化は75AW、自走40ミリ連装高射機関砲は40AWと呼ばれている。
 60APCは、10歳以下の子を輸送するための装甲バスに改造される予定だ。
 これらを精力的に進める加賀谷真理が200万年後に行く意思がない、とは香野木には到底思えなかった。

 花山真弓は、長宗の実家土蔵で発見された古い小銃を仕分けし、使用弾薬の変更に伴う改造を北関東由来のグループに依頼した。
 その他、拳銃を含む個人装備の調達に飛び回っている。

 夏見智子は、主に食糧の確保。200万年後に持って行く、1年分の食料を探している。
 トンネルに隠されているという玄米は、回収できていなかった。大消滅によって道路が消えており、運び出す術がないのだ。

 ついに、はっきりさせなければならないときがきた。
 200万年後に飛行機で行くか、船を使うのか。土井は飛行機での移動を主張し、長宗と里崎は、船の使用を強く主張する。

 土井の主張は、端的。
「ゲートは杭州湾に浮いているから、飛行機でないと突入できない」
 長宗と里崎の主張は、論理的。
「もし、インド洋の真ん中に出たら、海上に降りる以外の選択肢がない。
 物資どころか、生命も失う」

 飛行機派と船舶派に別れて、長い長い議論が続く。だが、大半は“中間派”だ。
 この議論は潜在的に存在していたが、香野木は議論を深めることを避けてきた。
 理由は、どちらにも理と利があるから。
 そして、彼は数日前の朝、迷案を思いついていた。
「飛行機なんだけど、C-1は全備重量で35トン。自重は24トン。全長29メートル、全幅30メートル。
 ベルーガは、全長90メートル、全幅26メートル。ヘリ用のデッキは35メートルある。シュペルピューマが着艦できるそうで、ヘリパッドの強度は高いと長宗さんから聞いた。
 ならば、このヘリパッドにC-1を載せて運べばいいんじゃないかな。左右が少し出ちゃうけど、左右各2メートルほどだし大丈夫でしょ」
 長宗と里崎、そして土井は口を開けたまま絶句している。
 長宗が呆然とした口調でポツリ。
「9トンのシュペルピューマの着艦ができるとしても、補強はしないと。
 そんなことは、考えていなかった」
 土井は混乱している。
「フェリーの35メートル“滑走路”からは離陸できませんよ」
 香野木は動じない。
「いいや、積んでいくだけだよ。
 造船所の敷地をくまなく探検したんだ。チーちゃんと一希くんと3人で。
 2人は釣りに連れて行ってもらえないからね。
 西の海側に何かを立てようとしていたみたいなんだ。大きめの物置かな?」
 長宗が肯定する。
「重量鉄骨構造の資材置き場だ」
 香野木が微笑む。
「工事用のクレーン、ドーザーショベル、ミニショベルがある。
 ドーザーショベルは中型の最小クラス、それとミニショベルはクラス最大かな。
 ラフテレーンクレーンは50トンの吊り下げ能力があり、アームは39メートルも伸びる。ベルーガの型深さは7メートル強だから、このクレーンで、C-1を吊り上げられるよ。
 ドーザーショベルとミニショベルがあれば、滑走路が造れる。
 調べたところC-1は転圧滑走路から離陸できるそうだ」
 土井は驚きから立ち直り、やや白けていた。
「香野木さん得意の折衷案なんでしょうけど……」
 香野木は、力まずに否定する。
「いいや、200万年後には船で行く。
 1日2キロの食料が必要だとすると、1カ月で60キロ。1年だと730キロになる。30人で22トン。
 最大ペイロード8トンのC-1では運べない。
 ベルーガには460トンの貨物が積める。30人で割れば、1人あたり15トン。現在の計画ならば、十分だ。
 では、C-1は何に使うのか、だが……。
 ヒトがいるならば、無線を使うはず。
 電波を受信できれば、三角測量法で位置をおおよそ特定できる。
 地上から、あるいは海上から向かえば、非友好的だった場合、簡単には逃げられない。
 だが、空からなら大丈夫だろう。
 最初の時渡りから4年しか経ていない。4年では小さな村を作るだけで精一杯だ。飛行機の開発は絶対に無理だね。
 上空から偵察すれば、確実に安全だ。
 用心に用心を重ねたほうがいい。
 それと、ヒトは生存しているだけでも、大成功かもしれない。生存可能性は物資の多少と比例する、と考えていい。
 ベルーガが積んでいける460トン分の物資と機材は、生命の維持に絶対に必要だ」
 土井は「偵察なら、もっと小型の飛行機でもいいでしょう。単発の水上機とか」と反駁したが、香野木が「そんなもの、どこにあるの?」と問うと黙った。
 双発だがより小型のエンブラエル製フェノム300は、彼らのものではない。

 加賀谷真梨が「いい案ね」と賛意を示し、言葉を続ける。
「200万年後は、何があるのか、何がいるのか、まったくわからないでしょ。
 来栖先生の説明だと、新種のヒトがいる可能性だってある。
 ヒトが一属一種になったのは、古くても4万年前、新しければ1万6000年前、なんでしょ。
 先生、そうなんでしょ?」
 来栖が頷き、加賀谷が続ける。
「ヒトは野蛮な生き物。本質は簡単には変わらない。
 ならば、戦う準備はすべき」
 花山真弓が加賀谷を支持。
「74TKは絶対に持っていきたい。前回の強制返納の際、自衛隊は74TKを見逃してくれた。
 だけど、次は、そうならないかも。
 物資の一部を各務原に移したほうがいいと思う」
 加賀谷も同意見。
「完成している装甲車輌のすべてを、ベルーガに積んで各務原に持っていきましょう」
 夏見智子が食料の心配をする。
「上ノ加江隧道に隠してある玄米の回収は?」
 長宗に案があった。
「ベルーガには、テンダーボートと上陸用舟艇のような船を積んでいく。
 その舟艇はまだできていない。
 全長15メートル、でっかい戦車以外ならその船で運べる。
 第二次世界大戦で日本軍が使った大発動艇みたいなものだ。
 湾内で車輌を対岸に渡す通船があるんだが、こいつの船体を利用する。
 通船自体は動く。だが、トンネルの周辺は何もかも消えている。トラックでは走れない」
 加賀谷が案を出す。
「ACCなら浮航できるし、トレーラーなしでも最大5.5トン積めるよ」
 香野木が結論を出す。
「それでいこう。
 上ノ加江隧道から玄米を発掘し、ベルーガに運ぶ。
 ベルーガは車輌と食料を積んで、各務原に向かう。
 それと、結城くん、葉村くん、土井さんには、各務原に戻ってもらう。
 土井さん、子供たちが各務原で落ち着けるような建物はありますか?」
 土井は少し考えた。
「何とかします。
 次はC-1でチーちゃんたちを迎えに来ますよ」
 チーちゃんのライバル加賀谷一希が「ぼくは~」と言い、全員が声を出して笑った。

 通船は小さな船で、全長15メートル、全幅3.3メートル。車輌甲板の真上に船橋がある。浦戸湾内で車輌や物資の輸送に使われていた。 全長12メートルの大型トラック1台を積んで、湾内を航行できる。
 そのためか、背の高い船だ。船首側にランプドアがある。
 長宗によれば、この背高な構造のため、湾外の航行は危険。船橋の撤去、ランプドアの大型化、船底の強化など、改造には数カ月を要する見込みだ。
 ベルーガの整備と若干の改造はほぼ完成していたが、船台に留め置かれている。
 浦戸湾内に出せば、臨時政権から何らかの反応があるかもしれないからだ。

 臨時政権内には北関東由来のグループに対して、友好的でない勢力が残っている。有澤純太郎前臨時代表の残党で、彼の復権を望んでいる一派だ。
 今湊正一現臨時代表は、生活力と行動力に優れた北関東由来の出身者を頼りにしているが、政権内には危険視するグループもいる。
 政治家は基本的に、愚民を教導したいと考える。だが、高度に発達した社会では、政治家が民衆の平均的な知性を超えることはない。総じて、政治家の知的レベルは民衆の平均よりも低くなる。
 民衆が暗愚であると考えることは、政治家の幻想でしかないが、幻想は理想となり、理想と現実の間で政治家は悩み、やがて暴挙に出る。
 香野木は、臨時政権内の一部に対して、強い警戒感を持ち始めていた。

 各務原には、北関東由来の各グループが徐々に要員を送り込んでおり、全員が再移住してしまったグループもある。
 高知市の臨時政権と争うことを好まず、自ら退去したのだ。
 今冬の各務原は高知市よりも季候がよくなかったが、関東のように雪に覆われたりはしていない。全般的に関東よりは過ごしやすい。
 ただ、造船に関しては高知市に利があり、北関東の仲間もしぶとく残っている。

 臨時政権は、行政サービスの一部を“市民”に任せた。
 そのこと自体は悪いことではないのだが、残存物資調査を任せた“市民グループ”が厄介だった。
 代表者は、神薙璃梨華。30歳代前半の女性で、大きな神社の神職の娘だったそうだ。
 彼女は有澤前臨時代表のシンパで、北関東由来のグループを敵視している。
 神薙璃梨華と彼女の配下が、グミのおじちゃんを脅した。
 北関東由来のグループは、数千人規模から家族だけまで規模はバラバラ。
 グミのおじちゃんは、夫婦と子供たちだけで生き抜いてきた。息子たちは各務原にいる。
 神薙璃梨華と彼女の配下は、グミのおじちゃんに「隠匿物資を出せ」と迫り、彼が「何もない。身体だけで高知に逃げてきたんだ」と説明したが、それを疑った。
 そして、娘を拉致する。
「娘を返して欲しければ、物資を返納するんだ」
 グミのおじちゃんは、脅しに屈したかったが、できない事情があった。
 何も持っていないのだ。
 隠匿物資は高知市にはない。息子たちとともに各務原にある。
 彼らは各務原への移動を決め、次の船便を待っていた。すべての物資は発送済みだ。

 臨時政権は、台湾、ベトナム、フィリピン、グアムやサイパンなどの島々からの移住者を平等・公平に扱っている。
 だが、どこか強権的なのだ。結果、自由を求めて、北関東由来のヒトだけでなく、市ヶ谷台にいたヒトまでが各務原に再移住していく。
 政権内に対立があるため議論が長く、行動が遅い高知市の臨時政権に代わって、各務原が台湾東部の軍民共用台東空港に残されていた台湾空軍のノースロップF-5E/FタイガーⅡ戦闘機と同機の練習機型であるT-38タロンを回収した。
 その他、空港のタンクから膨大な航空燃料を運び出し、空港施設内の動かせるものはすべて運んだ。
 この空港からは、マクドネル・ダグラスMD-11旅客機や台湾製のAT-3練習機、ATR72ターボプロップ旅客機も回収している。
 飛行機工場ではギガスの来襲に備えて、川崎T-4練習機用ガンポッドの開発が進んでいるし、OH-1偵察ヘリコプターの残存部品で、攻撃ヘリの開発も始まっていた。
 飛行機のない自衛隊航空部に見切りを付け、退職して各務原に移る元隊員も少なくない。
 船も若干数増えている。500総トン(全長60メートル)の貨物船、650総トンのタンカー(全長70メートル)など。
 当然、物資が豊富なら、ヒトが集まってくる。

 グミのおじちゃんの娘の救出は、緊急の問題として、北関東由来の在高知市の全員が共有するとともに、臨時政権には統治能力がないと判断する原因となった。

 今湊臨時代表と彼のスタッフはよくやっているが、どうやっても低俗な政治家志向の連中を排除しきれないのだ。

 花山真弓は、周囲から“将軍”と呼ばれている。自衛隊の武器を返納すると、猟銃や散弾銃しか残らなかったが、ベトナム製SKSカービンや台湾製M14バトルライフルを補充して、身を守る程度の銃器は持っていた。
 拳銃は、台湾製のFNブローニング・ハイパワーを必要量確保している。
 長宗家の実家土蔵から発見された第二次世界大戦期の銃器は、北関東由来の別グループが再生してくれた。
 M1/M2カービンは、7.62ミリカービン弾から7.62×39ミリカラシニコフ弾に使用弾薬が替わり、現代的な炭素繊維強化プラスチック製の銃床に交換された。
 銃身内部には摩耗防止のためのクロムメッキが施された。
 これらの改造は、各務原で行われた。
 M1/M2カービン以外の銃は、改造してくれたグループへの“代金”となった。
 改造の結果、銃口に大型のマズルブレーキが取り付けられ、銃剣の装着が不可能になる。
 なお、SKSカービンにも同様な改造が施され、AK-47の弾倉が使えるようになった。

 花山の指揮で、グミのおじちゃんの娘を奪還する準備が進められた。もちろん、平和的な話し合いじゃない。銃を使うことになる。

 独身寮に、ランクルに乗った30歳前後の女性がやって来た。
 夏見と畠野が、慌てて子供たちを屋内に入れる。
 その様子は、香野木にはか弱い母親が必死に我が子を守る姿に見えた。
 実際は違うのだが……。
 香野木がロビー前に出る。太陽光がまぶしい。花山たちは屋内にいて、屋外を監視している。15歳以上のほぼ全員が完全武装だ。
 女性の連れは体格のいい男が4人。1人は特別大きく、肩の筋肉が盛り上がっている。身長は190センチくらいある。
「あなたが、香野木さん?」
 女性の声は甲高く、美形なのだろうが醜悪な性格が顔の造作に出ている。
「そうだ。
 神薙璃梨華か?
 もしそうなら、君たちが誘拐したお嬢さんを帰して欲しい」
「あんたバカなの?」
 神薙璃梨華は手に持っていたボールペンを香野木の顎の下に入れ、香野木の顔を上向かせる。彼女はせせら笑っている。
 特別大きい男が香野木の首を右手でつかむ。香野木の足が地面から離れる。
 香野木は抵抗しない。どう足掻いても、彼の腕力では太刀打ちできないからだ。
 香野木が微笑む。
 特別大きい男が「何が可笑しい」と苛立つ。
 香野木は「この展開なら、彼だ」と指差す。
 弾帯を着けたままのラダ・ムーが、屋外に出てきた。
 ラダ・ムーは筋肉質で、服の上からでも筋肉の発達がわかるほどだが、背は高くない。それに骨太だが身体が大きいわけじゃない。
 特別大きい男が小首をかしげて笑う。
 ラダ・ムーが正対する。
 香野木が地面に投げ落とされる。彼は無様な格好で、地面に両手をついて喘いでいる。
 一瞬だった。
 特別大きい男の拳は空を切り、ラダ・ムーの拳が脇腹に入る。男は息ができず蹲り、次の瞬間には他の3人が悶絶していた。
 ラダ・ムーは特別大きい男に再度正対する。渾身の右フックが炸裂するが、男はしばらく倒れなかった。
 ホモ・サピエンスとしては、よく戦った。
 が、数秒で崩れ、地面に大の字で倒れる。
 神薙璃梨華は、ひどく動揺する。絶対的暴力が、崩れたからだ。
 香野木が神薙璃梨華を拘束する。その際、彼女が暴れたが、彼は遠慮なく暴力を振るった。
 香野木は勝てる相手には容赦しない主義だ。
「おまえたち、誘拐したお嬢さんを帰すんだ。無事にだ。もし、危害を加えていたら、どんなことであっても、この女に代価を支払わせる。
 もし、レイプでもしていたら、この女の股ぐらに、バイブの代わりに真っ赤に焼いた鉄棒を差し込んでやる。
 そのデカ物を連れて帰れ。
 1時間の猶予をやる。
 1時間過ぎたら、この女の右腕を折る。
 俺たちは、脅しはしない。必ずやる」

 神薙璃梨華は、両手を縛られミニショベルのアームから吊り下げられている。
「あんたたちが悪いのよ!
 化け物の巣を偵察したり、化け物が作っているものを壊そうとしたり……。
 そんなことをしたら化け物を刺激して、襲ってくるかもしれないでしょ。
 あんたたちのために、なんで私たちが苦しまなきゃならないの!
 あんたたちを生かしておいたら、私たちが生き残れないのよ!
 死んでしまえ!」
 香野木は、神薙璃梨華の託宣を“なるほど”と聞いていた。彼女の絶対的暴力は、同族に向けたものなのだ。そして、外敵には決して向けられることはない。
 そして、グミのおじちゃんの娘が誘拐された理由は、上海の南の杭州湾でのオークの行動に干渉しようとする、各務原の行動に対しての牽制であった。

 グミのおじちゃんの娘は、顔をひどく殴られた以外、危害を加えられていなかった。
 彼女は、1時間30分後に独身寮に連れてこられた。
 香野木は約束通り、神薙璃梨華の右腕を折り、顔が変形するほどの暴力を加えた。
 神薙璃梨華の配下は大勢で来たのだが、機関銃の威嚇射撃と多数の装甲車輌に囲まれて、一瞬で萎えた。
 神薙璃梨華が香野木に殴られ続けている様子を、ただ無言で見ていた。

 覚悟のない集団が見せる、無様な姿の典型だった。

 グミのおじちゃんと彼の家族は、翌日入港した貨物船で各務原に向かった。
 この一件で、北関東由来のヒトの多くは、高知市の臨時政権を見放した。
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