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第3章
第六九話 ティッシュモック
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精霊族の街は美しく、清潔だ。街と街の間隔は狭く、街道はよく整備されている。道に関しては、ヒトのテリトリーとは雲泥の差だ。
まさに、文明。
使者の名は、クロー。漢字では、九郎と書く。クローは「父の国の古い英雄にちなんで、名付けられた」といった。古い英雄とは、源氏の九郎義経のことだろう。
クローは落ち着いた若者だが、明らかに〝世間知らず〟だった。世の中の荒波にもまれてはいない。よく、無事で……、ノイリンにたどり着けたと、その奇跡に驚く。
クローは、チュールやマトーシュとよく話す。年齢が近いこともあるのだろうが、気が合うのだろう。アビーやマルユッカとは、まぁまぁの関係か?
それと、情報交換もあるようだ。それは、極めて重要だ。
急ぎ旅でなければ、街々に立ち寄りながら、観光をするのだが、今回はそういった余裕はない。
だが、貴重な見聞があった。
黒魔族の支配から離れた半龍族が精霊族と頻繁に交易している。精霊族の街に駐在している半龍族の商人もいた。
半龍族は、ヒト科動物だとは思うが、外見から推測するにヒト属ではないだろう。ヒト科であっても、ヒト属からは最も遠い種かもしれない。
つまり、ヒトから進化した動物ではない。 半龍族はたぶん、ホモ・サピエンスを祖先としない文明を有する直立二足歩行動物だ。
精霊族の歴史は一二〇〇年前まで遡れる。農耕を始めたばかりの精霊族に科学と技術を伝えたのは、偉大な種族だと伝えられている。
偉大な種族は、ホモ・サピエンスではなかったようだが、伝えた科学と技術はホモ・サピエンスのものだった。
偉大な種族は、サビーナたちの仲間であった可能性が高い。つまり、ホモ・ネアンデルタールレンシスかその近縁種の遺伝子を濃く残している、ホモ・サピエンスに同化したグループだったらしい。
精霊族、鬼神族とも、一二〇〇年以上遡る文字による記録はない。
だが、半龍族にはある。彼らの記録された歴史は一万四〇〇〇年以上あり、独自の文字を持つ。
つまり、ホモ・サピエンスとは異なる系統の文明を有しているのだ。
そして、初期移住者の一部を支援し、彼らの子孫と行動を共にしている。その半龍族の影響を受けたヒトは、すでに独自の文化を築いている。
彼らは、蛮族とも異教徒とも異なる。
ただし、怪物でも魔法使いでもない。心が通じる同類だ。
俺は精霊族の街において、半龍族の商人と行動を共にするヒトから、重要な情報を得た。
俺たちは、精霊族から「半龍族の記録は一二〇〇年前まで遡る」と聞いた。だが、精霊族は一二〇〇年以上前には文字を知らなかった。
だから、一二〇〇年以上前には遡れないのだ。
こんな当然のことを、長い間、俺は気付かなかった。
精霊族には、一〇〇〇年ほど前からドラキュロの記録がある。ドラキュロは黒魔族が作った生物兵器だと、俺は考えている。
だが、半龍族の記録では、ドラキュロは一五〇〇年前に東方の大河ビスワを渡った。
つまり、黒魔族がこの世界にやって来る前から存在していたのだ。
では、ドラキュロとは何なのか?
謎は深まった。
半龍族もこの特異な生物について、詳細に調べたらしいが、何もわからなかったようだ。 半龍族によれば、黒魔族とドラキュロは無関係だと。
この旅の往路で得た、唯一の成果ではあるが、それを知ったからといって、ドラキュロはいなくなるわけではない。
チュールとマトーシュは、マーニとミルシェに土産を買ったようだ。
二人を生きて返さなければならない。土産を自分たちの手で届けさせるために!
精霊族のテリトリーの西端、丘陵の高見からアリエ川西岸を望見する。
精霊族の土地と異なり、茶色が多い。土地が荒れているのだ。
アリエ川の本流と大きな分流に囲まれた一帯、周囲よりもわずかだが高い台地、そこだけは緑に満ちている。
その緑の中心に高い城壁に囲まれた街がある。
ティッシュモックだ。
奴隷王が征服した街と聞いていたが、遠方からはそういった雰囲気を微塵も感じない。
殺伐とした情景が一切ないのだ。平和を絵に描いたような穀物畑が広がっている。
手入れの行き届いた豊かな農地、石造りの街並み、色とりどりの屋根、中世的な眺めではあるが、精霊族のそれとは異なる美しさがある。
クローがいう。
「ぼくの街です」
カロロが微笑む。
「立派な街だ」
俺もそう思う。
ティッシュモックに入城すると、出迎えに〝奴隷王〟が現れた。
「父さん、こちらが〝ノイリン王〟のハンダ様」
俺は〝奴隷王〟と握手した。
彼の目は、俺の差し料に注がれている。
「クロー、本当に連れてくるとは。
驚いたよ」
「いつ、こっちに?」
「まだ、数年だ」
「私は一八年になる」
「フルギア人の言葉だね」
「東では、言葉が違うことは知っている。
しばらくいたので……」
「森の中の入植地……。
自衛隊とポーランド軍が隣接して……」
「なぜ、それを?」
「やはりね」
「東アジア人でしょ。
まさか、日本人」
「そのまさかですよ」
「その刀、日本刀?」
「本物の」
「驚いたね」
「生き残りは、あなたと奥さんだけ?」
「いや、自衛官が病気で一人、ポーランド兵が事故で一人……」
「六人が生き残った?」
「いまでもね。
その二人もつい最近なんだ。
みんな、頑張って生きてきたよ」
「俺たちもそうだよ」
「出身はどこ?」
「最後の住民票は、東京都江戸川区」
「私は、北海道の小樽だ」
「石狩のゲートから?」
「昔ね、大昔……」
「そして、この街を……」
「ここに来たときは無人だった」
彼は俺の背を押して、促した。
二人で歩いて街の中心部に向かう。
「無人?」
「あぁ、放棄された街だった」
「そこを、ここまで立派に?」
「あなたも、ノイリンで同じことをしている」
「なぜ、ここに?」
「決めた理由?」
「えぇ」
「移動の途中で、逃亡奴隷のグループと出くわしたんだ」
「それを助けた?」
「結局ね。
彼らを連れて、遠くへは行けないので、無人になっていたこの街でキャンプしたんだ」
「そして居着いた?」
「結局ね。
行く当てはなかったし……。
快適だったんだ。屋根はないけど、壁はあった。雨は避けられないけど、風は防げたからね」
「同じ経験をしたよ。廃村で越冬したことがある……」
「この街の防壁は、極めて堅固だ。
一部は建造物の外壁になっている」
「街の人口は?」
「軍事機密……」
そういって〝奴隷王〟は笑った。
そして続けた。
「五〇〇人だ。
調べれば、すぐにわかることだし、フルギア帝国はよく承知している」
「五〇〇で、よく保っているね?」
「ノイリン北地区は?」
「七〇〇を少し超えた」
「ノイリンは一枚岩ではないのだろう?」
「そうだ。
調べているのか?」
「この一帯のすべてはわからないが、諜報(情報収集)活動は怠ったことはない」
「諜報活動?」
「どこも一緒だよ。
通商がその舞台だ」
「では、ティッシュモックの商人がノイリンに来ているのか?」
「かなり、以前からね。
フルギア属領の商人として……。
例の〝種から燃料を作る種族〟の噂は、彼方まで届いている。
ここは、精霊族のテリトリーに近い。最初の噂は、彼らからもたらされたんだ」
「では、なぜ息子さんを……」
「ノイリンとの接触は、九郎がいい出したんだ」
「なぜ?」
「九郎は、きみたちの子供がルジエの街を解放する様子を偵察していたんだ。
九郎は最初、きみたちの同世代に接触する計画を提案したんだ。
だが、私が『ならば、ノイリン王を連れてこい』といってみたんだよ。
まさか、本当に来るとは……」
「尻が軽いもので……」
「ノイリンと正式に通商したい。
それと、武器を援助して欲しい」
「対空兵器?」
「対空ミサイルから小銃まで、何でも……」
「さすがに、対空ミサイルは持ってないよ。
だが、二〇ミリ機関砲ならば二種ある。
それと、セロの飛行船は機動性に欠ける。旧式の高射砲でも、十分に役に立つ。
不規則な運動をする黒魔族のドラゴンよりも戦いやすい」
「ノイリン北部が製造する二〇ミリ機関砲を供与してもらえないか?
代金はコムギで……」
「単装は四門持ってきた。
これは、友好の証のプレゼントだ。
ここで、ピントルマウントは作れるか?」
「大丈夫だ。
その程度の鍛冶職人はいる。
だが、この街は農業が主体でね。
住民の多くは、没落したフルギア貴族の使用人や逃亡奴隷出身が多いから、工業はあまり……。
フルギア貴族は没落すると、突然、奴隷や使用人を見捨てることが多いんだ。
没落を悟られないようにするためなんだが、新たな所有者が決まるまで、奴隷には食べ物を得る手立てがない。
だから、逃げる……。
食べ物を求めて、放浪していると、それを奴隷狩りが襲う。
どこへ行っても自由はない。それでも自由を求めて国境までやって来る。
そこで捕まる。
多くはね。だが、ティッシュモックは保護する。それが、フルギア皇帝への反抗と思われる。
フルギアは中世的なんだ」
「それは知っている」
「話は変わるが、その日本刀は使えるの?」
「ヒト相手の戦闘には使わないよ。
フルギアに〝出張〟するときだけだ」
「虚仮威しか?
フルギアは中世的だからね」
「そうだ」
「遅くなったが、私は降魔洋一郎、予備自衛官だった。本職は建設機械の整備だ」
「半田隼人。IT系の営業マンだった」
「自衛官ではあるけれど、所詮はパートタイム。
戦い方なんて何も知らなかった。女性自衛官二人は、本物だけどね。でも、衛生科と会計科だ」
「ではどうやって?」
「ポーランド軍の面々は、歩兵だった。正真正銘の兵隊さんだ。
互いに言葉は不自由だったが、協力してきたよ。
彼らに戦い方を教わり、いまでも戦闘になれば彼らが指揮する」
「ブッシュマスターⅡを持っているそうだね」
「弾切れだけどね」
「その弾を少しだが持ってきた」
「ノイリンも使っているのか?」
「いやないよ。
薬莢は新たに作ったんだ。弾頭はラーデン砲と同じ」
「何でもできるんだな?」
「見本があればね」
「見本はあった?」
「弾だけ持っていたグループがいたんだ。車輌と砲は失ったと聞いた」
「物資がなくなると、特に車輌や武器を失うとガックリくるよ」
「それは同じだよ」
「六輪のいい装甲車を持っているね」
「拾いものだ」
「ほう?」
「私たちは、あなたたちの入植地を見つけた。そこにあったものをもらった。
その代金として、武器を供与する。
コムギはいらない。
別に使ってくれ」
「一八年も前のものだぞ?」
「動くさ。うちの連中ならば、動かす。生きていくために」
「半田さん、会えてよかった」
彼はここだけ日本語でいった。奇妙な訛がある。ほとんど使わないからだろう。
俺も日本語で応えた。
「降魔さんに会えて嬉しいよ。
陸路なら一〇〇キロ強だ。一緒に戦える」
「でも、水路なら三〇〇キロ以上だ」
「ノイリンには高速艇がある」
「ドイツ人とイタリア人の?」
「イタリア人?」
「西地区の高速艇は、イタリア人が作ったんだろう?」
「彼らは、イタリア人だったのか」
「元ね」
「あぁ、我々も元日本人だ」
「そうだね」
「元世界のヒトは、あなたたち六人だけ?」
「いや、もっといるんだ」
「?」
「五年前に大挙移住してきたグループがいた」
「知っている。
彼らの物資で生命を長らえた。
ノイリンには生き残りがいる」
「我々にも、彼らの生き残りがいる。
彼らの一部は、白魔族とも黒魔族とも戦った。一時期〝勇敢な人々〟と呼ばれていた。
ここにいる人々は、その大グループの主力ではなかったらしい。元の世界で仲間になったか、この世界で出会ったかのどちらなのか、はっきりしない。いわゆる〝勇敢な人々〟ではない、と思う。
その〝勇敢な人々〟なんだが、装備はよかったらしいが、戦闘は素人だった。で、すぐに消耗してしまった。
そして、分裂。
この街にやって来たグループは、飢えていたよ」
「攻撃はされなかった?」
「あぁ、そんな装備はもう持っていなかったんだ。それに、多くを失い八人だけだった。
いまでは、私たち同様、この世界に同化している。
それと、フルギアの貴族もいるし、皇帝家の外戚もいる。
皇帝ともめ事を起こしたフルギア人は、この街に逃げ込んでくるんだ。
フルギアの元軍団長までいるよ」
「厄介だな」
「厄介だが、知りたい情報は何でも手に入る。情報戦に勝たないと、フルギアに潰されるからね」
「そのフルギア皇帝が、セロと手を組んだ」
「……らしいね」
「厄介だな」
「あぁ。
ここに派遣されてくるフルギア軍は、戦意なんて欠片もないんだ。属領の軍だしね。意味のない戦いで死ぬことなんてない。
互いに長距離から砲撃戦を少しだけやって、引き分けにしている。
この一八年間、同じことの繰り返しだった。
だが、今度は違う。
本気で戦うことになる。
力を貸して欲しい」
「できることは手伝うよ」
アビーがノイリンと短波で通信している。さかんに行っているが、気持ちが悪いことに、その内容のごく一部だけが俺に報告されている。
それと、俺がノイリンを出たことから、東地区がセロとの〝友好〟を一層声高に唱え始めた。
それはいい。どんなことにも主張はある。だが、俺の仲間を危険にさらすことは許さない。
賓館として使われている、古い城の広間に宴席が設けられた。
夕食の宴席にアビーはいなかった。クローもいない。
アビーとマルユッカが珠月たちから〝密命〟を帯びていることは知っていた。どんな〝密命〟かは知らないが……。
ティッシュモックの同世代と秘密の連絡網を構築するのだろう。それは、それでいい。俺たち〝老人〟も歓迎しよう。
チュールとマトーシュがご馳走に喜び、素直に受け答えしている姿は子供らしく感じる。だが、二人がアビーの指揮下で動いていることも知っている。
俺が目にしている様子は、物事のすべてじゃない。
別室に案内される。
そこには、降魔を入れて六人がいた。
降魔が五人を紹介する。
「ユゼフ・クラル、元ポーランド陸軍一等准尉。
ヨアンナ・シェフスカ、私の妻。元二等軍曹。
アニスエカ・フィグラ、元中尉で全軍を指揮している。
海老名絢香、看護師資格のある元自衛官。この街の〝医師〟でもある。
島村文子、元会計科なんだが、いまでは街の会計課だ」
ようするに、全員が街の運営の中核にいるということだ。
そして、ユゼフと島村は、ノイリンに複数回赴いている……。
俺は、心底驚いていた。
彼らの要求は多岐にわたる。
武器・弾薬、医薬品など。一番の困りごとは、斉木の派遣要請だ。
斉木の評価は高く、真の冬を乗り切ることに成功したのは、斉木のジャガイモ栽培奨励が功を奏したらしい。
餓死者は一人も出さなかったと。
降魔の説明によると、街には議会があり、選挙もあるそうだ。
議長は〝講和派〟だそうだ。講和派にはフルギアの貴族出身者が多く、旧領への復帰を画策しているらしい。彼らの多くは商才があり、財力を背景に街の有力者が多い。
住民同士の対立もあるが、深刻な状況ではない。
住民の〝講和派〟有力者とも面会したが、彼らは航空攻撃を想像することができないのか、セロと組んだフルギアを甘く見ている。あるいは、フルギアの侵攻を待っているような、印象を受けることさえある。
いままでのような近隣の属領軍が、申し訳程度の攻撃をするのではなく、フルギア皇帝の直轄軍とセロとの連合は、ティッシュモックを滅亡させることができる、という現実を理解していない。
あるいは、理解しているから〝別の道〟を探っているのかもしれない。
ノイリンとは、通商以上のことは望んでいない。
それが、この街の〝講和派〟有力者の総意だ。その〝講和派〟だが、声が大きいだけで勢力は大きくないようだ。
降魔たちは、それぞれが街の有力者として同化しているが、絶対権力者ではない。
議長とも会ったが、儀礼的な挨拶以上の何もなかった。副議長も〝講和派〟で、事態の深刻さを理解していないように感じた。
アビーの動向が気になっているのだが、この街の若者たちは大人たちとは違う認識のようだ。
ロワール川河口付近の情勢を正確に分析しており、街を守るための方策に苦慮している。降魔たちの認識は、ティッシュモックの若者グループに近い。
翌朝、降魔は俺にリストを示した。
小銃三〇〇挺、単装の二〇ミリ機関砲二〇門、八一ミリ迫撃砲一〇門、ブッシュマスターⅡ用三〇×一七三ミリ弾四〇〇〇発。
抗生物質を中心に医薬品多数。
一〇日後、クラウスとチェスラクが輸送艇で支援物資を運んできた。納田とミランダも同行している。
準備のよさに驚くともに、彼らがノイリンを離れたことに、少しの怒りがある。俺の勝手な感情だが……。
そして、彼らは、俺がノイリンを離れたことに怒っている。
クラウスは輸送の、チェスラクは武器の営業をすぐに開始する。
クラウスは、セロは街を攻略すると食料を奪うこと、各街は食料を上流の街に疎開させていることを説明。
「ぜひ、当社にそのための運送を!」とセールスしている。
この街の農民や街商人は、ロワール川沿いのことにはあまり関心がなかったらしく、セロの行為を聞いて、その真偽を問題にし始めた。
チェスラクは、七六・二ミリ野戦高射砲の営業を始めた。
この砲はノイリン以外での販売実績がない。アシュカナンとカンスクは、購入を検討しているが、成約がなったわけではない。
彼としてはカンガブルに対向するためにも、最初の一門を決めたいのだ。
サンプルを二門持ち込んだ。砲員は八名。砲のデモには、最低限の人数だが、砲とともにティッシュモックに置いていくそうだ。
彼なりの支援だ。
クラウスとチェスラクは、滞在三日でノイリンに戻っていった。
だが、納田とミランダは、医療支援で残った。
俺は毎日、ティッシュモックの〝講和派〟以外の有力者と会談を重ねている。
セロについては、ヒトではないことは理解してくれるのだが、精霊族や鬼神族のように友好的でないことは、ほぼ想像できないらしい。
ティッシュモックの街人にとって、友人はヒトではなく、精霊族や鬼神族であり、敵はヒトなのだ。
セロがヒトでないならば、敵ではない、となってしまう。
ヒトであるノイリンの街人の言葉は、ティッシュモックの街人には懐疑的に聞こえるらしい。
俺は苦悩していた。そこにある脅威を唱えれば唱えるほど、ティッシュモックの〝老人〟たちは懐疑的に見る。しかも〝講和派〟は、俺に対して穏やかに接するが内実は敵対的だ。
この街の有力者の多くがセロに対して根拠のないシンパシーを抱いていることを知っているためか、この街を訪れる行商人はセロの所業を言葉にしない。
フルギアの悪口はいくらでも受け入れてくれるが、異種のネガティブな情報は受け入れない傾向が強いのだ。
俺がティッシュモックに滞在していることを知った、アリエ川東岸の精霊族が尋ねてきた。
俺は古城に逗留していたが、そこの広間で彼らと会った。
「どうかノイリンの力を我が街にお与えください。高射砲を売って欲しいのです。
セロが一部のヒトと組んだと……。
愚かですが、恐ろしいことです」
「砲の操作はどうされますか?」
「他の砲の操作に習熟したものをノイリンに送ります。
伝習をお願いします」
「高射砲は、射撃統制装置など他の砲とは異なる機能がありますよ。
簡単に使えるものでは、ありません」
「アシュカナンやカンスクには、砲手を派遣されたとか……。
我が街にも……」
「アシュカナンやカンスクとは、ノイリンは〝同盟〟関係にあります」
俺は嘘をいった。この二つの街とは特に友好関係にあるが、同盟条約など結んでいない。
「セロは空から襲ってきます。
それを防ぐには、空に向けて撃つ銃砲が必要なのです。
それを作っているのは、カンガブルとノイリンだけ。
カンガブル製は実績があり高価。しかも、友好関係のある街に選択的に販売しています。
我らのような、西辺の縁の薄い街では、とても。
ですから、ノイリンの好誼に頼るほかないのです」
「我々は、このティッシュモックに二〇ミリの対空機関砲多数と高射砲若干を運び込みました」
「おぉ」
感情を見せない精霊族が、驚きと、希望を示す声を上げる。
「ティッシュモックの街の方々には、あまり喜んではいただいておりません」
「ほぅ」
明確な驚きを示す。
「高射砲と技術者を皆さんの街に移動させましょう。
輸送用の牽引車を用意していただけますか?」
「何でもいたしましょう。
それと、機関砲とやらもぜひ」
彼らはよくわかってはいないが、街を守るために必死な思いで、ここに来たのだ。
その気持ちはよくわかる。
その日のうちに、チェスラクの配下に精霊族の街に移動するよう、要請した。
この移動には、降魔も同意した。
彼のグループは、明らかに街の運営を担う有力者たちから疎んじられている。
セロとの〝講和〟を主張する有力者たちにとって、対空砲の搬入は好ましくないことだった。降魔に対して、搬入した理由を問い詰めており、降魔は「セロとの戦いに備えて」とは、口が裂けてもいえない状況だ。
わずかでも判断を誤れば、降魔の生命が危険になる。
だが、俺と精霊族との会談内容は、間者によって盗み聞きされていた。高射砲の移動を知った〝講和派〟有力者たちが、セロとの友情の証として我々の行動を阻止しようとする。
もめていると、そこに精霊族の牽引車が到着。
俺は、移動を強行しようとした。
降魔は俺の強硬な態度に驚き、街の有力者の気持ちを代弁した。
「この街のヒトは、ヒトが信用できないんだ。
わかって欲しい」
「そんなことはどうでもいい。
俺たちは、俺たちを必要だといってくれる相手に協力する。
蛮族だろうと、精霊族だろうと、鬼神族だろうと、フルギア人だろうと。
この街の疑い深い連中が、これ以上騒ぐなら、血が流れるぞ。
俺たちに覚悟がないとでも侮っているのか?」
「いや、そうじゃない」
俺は降魔にいった。
「いま、ノイリンは危機にある。
精霊族からの情報では、ティッシュモック攻略後、セロはノイリンに攻撃を仕掛ける。
セロはフルギアから得た情報で、ティッシュモックにブッシュマスターがあることを知っている。
だが、その数までは知らないだろう。
たった二門のブッシュマスターで、この街を守れると思っているのか?」
「思ってはいない。
だから、あなたに来てもらった」
「しかし、この街の議長閣下や有力商人は、この街の外で何が起きているのか、見ようとも、考えようともしない。
セロは、すべての種族を滅ぼそうとしている。森の人を含めて……。
だから、精霊族も必死なんだ。
俺たちは、高射砲の森を作って、セロを迎え撃つ。
きみたちは、どうするんだ?」
降魔が沈黙する。
クローが仲間を連れてやって来た。
だいぶ前からそこにいた。
「ハンダ様。
我らは、ノイリンとの同盟を希望しています」
騒ぎを聞きつけてやって来た議長が怒鳴る。
「何を若造が!
生意気な!」
クローが議長の額に拳銃を突きつける。SIG製P220だ。自衛隊の装備だろう。
「あなた一人の生命で、この街の五〇〇人が助かるなら、あなたに死んでもらう」
少女が飛び出してきた。
「クロー、やめて!
父だって、街のことを考えているの!」
「だが、目をつぶっている。
見たくないから、見ない。
それでは死んでしまう」
「それは私もわかっている!
だから、クローの仲間になった!」
「議長とその取り巻きが支配しているのでは、この街は滅びる」
「それも、わかっている!」
少女の絶叫を、降魔がかき消す。
「クロー、やめなさい」
「父さん。
無理だよ。
この連中を、このままにしておいたら、この街はなくなってしまう」
「そうだ、その通りだ。
だが、こんなことはよくない」
「時間がないんだ。
セロとフルギアの連合軍が、クラシフォン郊外に集結した。
フルギアは陸路だけれど、セロは空から迫ってくる。
早ければ、明日か明後日には攻撃が始まる」
俺も、この情報は持っていなかった。
俺は決断した。
「高射砲を精霊族の街に移動。
俺たちは、ここでセロを迎撃する」
降魔が抵抗する。
「待ってくれ。
高射砲を持って行かれたら……」
「大丈夫だ。
対空ロケットがある。
飛行機相手には無理だが、飛行船ならば命中する。
クラウスが置いていった」
クローたち若者グループは、議長と数人の有力者を銃を使って拘束した。
ある意味、クーデターなのだが、クローたちは軍司令官であるアニエスカに従うと意思表示し、どういうわけか、それを一般の街人は受け入れている。
クローたちを咎める一般の街人は少なく、拘束された〝講和派〟有力者の家族まで、積極的にアニエスカに協力している。
どうも、危機感は街全体で共有されていたが、ごく一部の有力者が「そんなものは存在しない」と声高に抵抗していたようだ。
フルギアに内応していた疑いもあるらしい。高射砲を留め置こうとした理由は、精霊族の街に移動されては、精霊族が使う可能性があるからだ。
ティッシュモックに留め置いて、死蔵させる魂胆だった。
俺は、どうやらクローに欺されていたらしい。クローは最初からクーデターを計画していた。そのためにノイリンを訪れた。俺という外圧を利用するつもりだったようだ。
弟義経は兄頼朝からクーデターを疑われていたようだが、二〇〇万年後の九郎はそれをやってのけた。九郎ではなく、牛若丸と名付けるべきだった。
それをアビーたちは、ノイリン出発前から知っていたようだ。
知らなかったのは、俺とカロロの二人。
ティッシュモックは、内応者の排除に成功し、臨戦態勢に移行した。
まさに、文明。
使者の名は、クロー。漢字では、九郎と書く。クローは「父の国の古い英雄にちなんで、名付けられた」といった。古い英雄とは、源氏の九郎義経のことだろう。
クローは落ち着いた若者だが、明らかに〝世間知らず〟だった。世の中の荒波にもまれてはいない。よく、無事で……、ノイリンにたどり着けたと、その奇跡に驚く。
クローは、チュールやマトーシュとよく話す。年齢が近いこともあるのだろうが、気が合うのだろう。アビーやマルユッカとは、まぁまぁの関係か?
それと、情報交換もあるようだ。それは、極めて重要だ。
急ぎ旅でなければ、街々に立ち寄りながら、観光をするのだが、今回はそういった余裕はない。
だが、貴重な見聞があった。
黒魔族の支配から離れた半龍族が精霊族と頻繁に交易している。精霊族の街に駐在している半龍族の商人もいた。
半龍族は、ヒト科動物だとは思うが、外見から推測するにヒト属ではないだろう。ヒト科であっても、ヒト属からは最も遠い種かもしれない。
つまり、ヒトから進化した動物ではない。 半龍族はたぶん、ホモ・サピエンスを祖先としない文明を有する直立二足歩行動物だ。
精霊族の歴史は一二〇〇年前まで遡れる。農耕を始めたばかりの精霊族に科学と技術を伝えたのは、偉大な種族だと伝えられている。
偉大な種族は、ホモ・サピエンスではなかったようだが、伝えた科学と技術はホモ・サピエンスのものだった。
偉大な種族は、サビーナたちの仲間であった可能性が高い。つまり、ホモ・ネアンデルタールレンシスかその近縁種の遺伝子を濃く残している、ホモ・サピエンスに同化したグループだったらしい。
精霊族、鬼神族とも、一二〇〇年以上遡る文字による記録はない。
だが、半龍族にはある。彼らの記録された歴史は一万四〇〇〇年以上あり、独自の文字を持つ。
つまり、ホモ・サピエンスとは異なる系統の文明を有しているのだ。
そして、初期移住者の一部を支援し、彼らの子孫と行動を共にしている。その半龍族の影響を受けたヒトは、すでに独自の文化を築いている。
彼らは、蛮族とも異教徒とも異なる。
ただし、怪物でも魔法使いでもない。心が通じる同類だ。
俺は精霊族の街において、半龍族の商人と行動を共にするヒトから、重要な情報を得た。
俺たちは、精霊族から「半龍族の記録は一二〇〇年前まで遡る」と聞いた。だが、精霊族は一二〇〇年以上前には文字を知らなかった。
だから、一二〇〇年以上前には遡れないのだ。
こんな当然のことを、長い間、俺は気付かなかった。
精霊族には、一〇〇〇年ほど前からドラキュロの記録がある。ドラキュロは黒魔族が作った生物兵器だと、俺は考えている。
だが、半龍族の記録では、ドラキュロは一五〇〇年前に東方の大河ビスワを渡った。
つまり、黒魔族がこの世界にやって来る前から存在していたのだ。
では、ドラキュロとは何なのか?
謎は深まった。
半龍族もこの特異な生物について、詳細に調べたらしいが、何もわからなかったようだ。 半龍族によれば、黒魔族とドラキュロは無関係だと。
この旅の往路で得た、唯一の成果ではあるが、それを知ったからといって、ドラキュロはいなくなるわけではない。
チュールとマトーシュは、マーニとミルシェに土産を買ったようだ。
二人を生きて返さなければならない。土産を自分たちの手で届けさせるために!
精霊族のテリトリーの西端、丘陵の高見からアリエ川西岸を望見する。
精霊族の土地と異なり、茶色が多い。土地が荒れているのだ。
アリエ川の本流と大きな分流に囲まれた一帯、周囲よりもわずかだが高い台地、そこだけは緑に満ちている。
その緑の中心に高い城壁に囲まれた街がある。
ティッシュモックだ。
奴隷王が征服した街と聞いていたが、遠方からはそういった雰囲気を微塵も感じない。
殺伐とした情景が一切ないのだ。平和を絵に描いたような穀物畑が広がっている。
手入れの行き届いた豊かな農地、石造りの街並み、色とりどりの屋根、中世的な眺めではあるが、精霊族のそれとは異なる美しさがある。
クローがいう。
「ぼくの街です」
カロロが微笑む。
「立派な街だ」
俺もそう思う。
ティッシュモックに入城すると、出迎えに〝奴隷王〟が現れた。
「父さん、こちらが〝ノイリン王〟のハンダ様」
俺は〝奴隷王〟と握手した。
彼の目は、俺の差し料に注がれている。
「クロー、本当に連れてくるとは。
驚いたよ」
「いつ、こっちに?」
「まだ、数年だ」
「私は一八年になる」
「フルギア人の言葉だね」
「東では、言葉が違うことは知っている。
しばらくいたので……」
「森の中の入植地……。
自衛隊とポーランド軍が隣接して……」
「なぜ、それを?」
「やはりね」
「東アジア人でしょ。
まさか、日本人」
「そのまさかですよ」
「その刀、日本刀?」
「本物の」
「驚いたね」
「生き残りは、あなたと奥さんだけ?」
「いや、自衛官が病気で一人、ポーランド兵が事故で一人……」
「六人が生き残った?」
「いまでもね。
その二人もつい最近なんだ。
みんな、頑張って生きてきたよ」
「俺たちもそうだよ」
「出身はどこ?」
「最後の住民票は、東京都江戸川区」
「私は、北海道の小樽だ」
「石狩のゲートから?」
「昔ね、大昔……」
「そして、この街を……」
「ここに来たときは無人だった」
彼は俺の背を押して、促した。
二人で歩いて街の中心部に向かう。
「無人?」
「あぁ、放棄された街だった」
「そこを、ここまで立派に?」
「あなたも、ノイリンで同じことをしている」
「なぜ、ここに?」
「決めた理由?」
「えぇ」
「移動の途中で、逃亡奴隷のグループと出くわしたんだ」
「それを助けた?」
「結局ね。
彼らを連れて、遠くへは行けないので、無人になっていたこの街でキャンプしたんだ」
「そして居着いた?」
「結局ね。
行く当てはなかったし……。
快適だったんだ。屋根はないけど、壁はあった。雨は避けられないけど、風は防げたからね」
「同じ経験をしたよ。廃村で越冬したことがある……」
「この街の防壁は、極めて堅固だ。
一部は建造物の外壁になっている」
「街の人口は?」
「軍事機密……」
そういって〝奴隷王〟は笑った。
そして続けた。
「五〇〇人だ。
調べれば、すぐにわかることだし、フルギア帝国はよく承知している」
「五〇〇で、よく保っているね?」
「ノイリン北地区は?」
「七〇〇を少し超えた」
「ノイリンは一枚岩ではないのだろう?」
「そうだ。
調べているのか?」
「この一帯のすべてはわからないが、諜報(情報収集)活動は怠ったことはない」
「諜報活動?」
「どこも一緒だよ。
通商がその舞台だ」
「では、ティッシュモックの商人がノイリンに来ているのか?」
「かなり、以前からね。
フルギア属領の商人として……。
例の〝種から燃料を作る種族〟の噂は、彼方まで届いている。
ここは、精霊族のテリトリーに近い。最初の噂は、彼らからもたらされたんだ」
「では、なぜ息子さんを……」
「ノイリンとの接触は、九郎がいい出したんだ」
「なぜ?」
「九郎は、きみたちの子供がルジエの街を解放する様子を偵察していたんだ。
九郎は最初、きみたちの同世代に接触する計画を提案したんだ。
だが、私が『ならば、ノイリン王を連れてこい』といってみたんだよ。
まさか、本当に来るとは……」
「尻が軽いもので……」
「ノイリンと正式に通商したい。
それと、武器を援助して欲しい」
「対空兵器?」
「対空ミサイルから小銃まで、何でも……」
「さすがに、対空ミサイルは持ってないよ。
だが、二〇ミリ機関砲ならば二種ある。
それと、セロの飛行船は機動性に欠ける。旧式の高射砲でも、十分に役に立つ。
不規則な運動をする黒魔族のドラゴンよりも戦いやすい」
「ノイリン北部が製造する二〇ミリ機関砲を供与してもらえないか?
代金はコムギで……」
「単装は四門持ってきた。
これは、友好の証のプレゼントだ。
ここで、ピントルマウントは作れるか?」
「大丈夫だ。
その程度の鍛冶職人はいる。
だが、この街は農業が主体でね。
住民の多くは、没落したフルギア貴族の使用人や逃亡奴隷出身が多いから、工業はあまり……。
フルギア貴族は没落すると、突然、奴隷や使用人を見捨てることが多いんだ。
没落を悟られないようにするためなんだが、新たな所有者が決まるまで、奴隷には食べ物を得る手立てがない。
だから、逃げる……。
食べ物を求めて、放浪していると、それを奴隷狩りが襲う。
どこへ行っても自由はない。それでも自由を求めて国境までやって来る。
そこで捕まる。
多くはね。だが、ティッシュモックは保護する。それが、フルギア皇帝への反抗と思われる。
フルギアは中世的なんだ」
「それは知っている」
「話は変わるが、その日本刀は使えるの?」
「ヒト相手の戦闘には使わないよ。
フルギアに〝出張〟するときだけだ」
「虚仮威しか?
フルギアは中世的だからね」
「そうだ」
「遅くなったが、私は降魔洋一郎、予備自衛官だった。本職は建設機械の整備だ」
「半田隼人。IT系の営業マンだった」
「自衛官ではあるけれど、所詮はパートタイム。
戦い方なんて何も知らなかった。女性自衛官二人は、本物だけどね。でも、衛生科と会計科だ」
「ではどうやって?」
「ポーランド軍の面々は、歩兵だった。正真正銘の兵隊さんだ。
互いに言葉は不自由だったが、協力してきたよ。
彼らに戦い方を教わり、いまでも戦闘になれば彼らが指揮する」
「ブッシュマスターⅡを持っているそうだね」
「弾切れだけどね」
「その弾を少しだが持ってきた」
「ノイリンも使っているのか?」
「いやないよ。
薬莢は新たに作ったんだ。弾頭はラーデン砲と同じ」
「何でもできるんだな?」
「見本があればね」
「見本はあった?」
「弾だけ持っていたグループがいたんだ。車輌と砲は失ったと聞いた」
「物資がなくなると、特に車輌や武器を失うとガックリくるよ」
「それは同じだよ」
「六輪のいい装甲車を持っているね」
「拾いものだ」
「ほう?」
「私たちは、あなたたちの入植地を見つけた。そこにあったものをもらった。
その代金として、武器を供与する。
コムギはいらない。
別に使ってくれ」
「一八年も前のものだぞ?」
「動くさ。うちの連中ならば、動かす。生きていくために」
「半田さん、会えてよかった」
彼はここだけ日本語でいった。奇妙な訛がある。ほとんど使わないからだろう。
俺も日本語で応えた。
「降魔さんに会えて嬉しいよ。
陸路なら一〇〇キロ強だ。一緒に戦える」
「でも、水路なら三〇〇キロ以上だ」
「ノイリンには高速艇がある」
「ドイツ人とイタリア人の?」
「イタリア人?」
「西地区の高速艇は、イタリア人が作ったんだろう?」
「彼らは、イタリア人だったのか」
「元ね」
「あぁ、我々も元日本人だ」
「そうだね」
「元世界のヒトは、あなたたち六人だけ?」
「いや、もっといるんだ」
「?」
「五年前に大挙移住してきたグループがいた」
「知っている。
彼らの物資で生命を長らえた。
ノイリンには生き残りがいる」
「我々にも、彼らの生き残りがいる。
彼らの一部は、白魔族とも黒魔族とも戦った。一時期〝勇敢な人々〟と呼ばれていた。
ここにいる人々は、その大グループの主力ではなかったらしい。元の世界で仲間になったか、この世界で出会ったかのどちらなのか、はっきりしない。いわゆる〝勇敢な人々〟ではない、と思う。
その〝勇敢な人々〟なんだが、装備はよかったらしいが、戦闘は素人だった。で、すぐに消耗してしまった。
そして、分裂。
この街にやって来たグループは、飢えていたよ」
「攻撃はされなかった?」
「あぁ、そんな装備はもう持っていなかったんだ。それに、多くを失い八人だけだった。
いまでは、私たち同様、この世界に同化している。
それと、フルギアの貴族もいるし、皇帝家の外戚もいる。
皇帝ともめ事を起こしたフルギア人は、この街に逃げ込んでくるんだ。
フルギアの元軍団長までいるよ」
「厄介だな」
「厄介だが、知りたい情報は何でも手に入る。情報戦に勝たないと、フルギアに潰されるからね」
「そのフルギア皇帝が、セロと手を組んだ」
「……らしいね」
「厄介だな」
「あぁ。
ここに派遣されてくるフルギア軍は、戦意なんて欠片もないんだ。属領の軍だしね。意味のない戦いで死ぬことなんてない。
互いに長距離から砲撃戦を少しだけやって、引き分けにしている。
この一八年間、同じことの繰り返しだった。
だが、今度は違う。
本気で戦うことになる。
力を貸して欲しい」
「できることは手伝うよ」
アビーがノイリンと短波で通信している。さかんに行っているが、気持ちが悪いことに、その内容のごく一部だけが俺に報告されている。
それと、俺がノイリンを出たことから、東地区がセロとの〝友好〟を一層声高に唱え始めた。
それはいい。どんなことにも主張はある。だが、俺の仲間を危険にさらすことは許さない。
賓館として使われている、古い城の広間に宴席が設けられた。
夕食の宴席にアビーはいなかった。クローもいない。
アビーとマルユッカが珠月たちから〝密命〟を帯びていることは知っていた。どんな〝密命〟かは知らないが……。
ティッシュモックの同世代と秘密の連絡網を構築するのだろう。それは、それでいい。俺たち〝老人〟も歓迎しよう。
チュールとマトーシュがご馳走に喜び、素直に受け答えしている姿は子供らしく感じる。だが、二人がアビーの指揮下で動いていることも知っている。
俺が目にしている様子は、物事のすべてじゃない。
別室に案内される。
そこには、降魔を入れて六人がいた。
降魔が五人を紹介する。
「ユゼフ・クラル、元ポーランド陸軍一等准尉。
ヨアンナ・シェフスカ、私の妻。元二等軍曹。
アニスエカ・フィグラ、元中尉で全軍を指揮している。
海老名絢香、看護師資格のある元自衛官。この街の〝医師〟でもある。
島村文子、元会計科なんだが、いまでは街の会計課だ」
ようするに、全員が街の運営の中核にいるということだ。
そして、ユゼフと島村は、ノイリンに複数回赴いている……。
俺は、心底驚いていた。
彼らの要求は多岐にわたる。
武器・弾薬、医薬品など。一番の困りごとは、斉木の派遣要請だ。
斉木の評価は高く、真の冬を乗り切ることに成功したのは、斉木のジャガイモ栽培奨励が功を奏したらしい。
餓死者は一人も出さなかったと。
降魔の説明によると、街には議会があり、選挙もあるそうだ。
議長は〝講和派〟だそうだ。講和派にはフルギアの貴族出身者が多く、旧領への復帰を画策しているらしい。彼らの多くは商才があり、財力を背景に街の有力者が多い。
住民同士の対立もあるが、深刻な状況ではない。
住民の〝講和派〟有力者とも面会したが、彼らは航空攻撃を想像することができないのか、セロと組んだフルギアを甘く見ている。あるいは、フルギアの侵攻を待っているような、印象を受けることさえある。
いままでのような近隣の属領軍が、申し訳程度の攻撃をするのではなく、フルギア皇帝の直轄軍とセロとの連合は、ティッシュモックを滅亡させることができる、という現実を理解していない。
あるいは、理解しているから〝別の道〟を探っているのかもしれない。
ノイリンとは、通商以上のことは望んでいない。
それが、この街の〝講和派〟有力者の総意だ。その〝講和派〟だが、声が大きいだけで勢力は大きくないようだ。
降魔たちは、それぞれが街の有力者として同化しているが、絶対権力者ではない。
議長とも会ったが、儀礼的な挨拶以上の何もなかった。副議長も〝講和派〟で、事態の深刻さを理解していないように感じた。
アビーの動向が気になっているのだが、この街の若者たちは大人たちとは違う認識のようだ。
ロワール川河口付近の情勢を正確に分析しており、街を守るための方策に苦慮している。降魔たちの認識は、ティッシュモックの若者グループに近い。
翌朝、降魔は俺にリストを示した。
小銃三〇〇挺、単装の二〇ミリ機関砲二〇門、八一ミリ迫撃砲一〇門、ブッシュマスターⅡ用三〇×一七三ミリ弾四〇〇〇発。
抗生物質を中心に医薬品多数。
一〇日後、クラウスとチェスラクが輸送艇で支援物資を運んできた。納田とミランダも同行している。
準備のよさに驚くともに、彼らがノイリンを離れたことに、少しの怒りがある。俺の勝手な感情だが……。
そして、彼らは、俺がノイリンを離れたことに怒っている。
クラウスは輸送の、チェスラクは武器の営業をすぐに開始する。
クラウスは、セロは街を攻略すると食料を奪うこと、各街は食料を上流の街に疎開させていることを説明。
「ぜひ、当社にそのための運送を!」とセールスしている。
この街の農民や街商人は、ロワール川沿いのことにはあまり関心がなかったらしく、セロの行為を聞いて、その真偽を問題にし始めた。
チェスラクは、七六・二ミリ野戦高射砲の営業を始めた。
この砲はノイリン以外での販売実績がない。アシュカナンとカンスクは、購入を検討しているが、成約がなったわけではない。
彼としてはカンガブルに対向するためにも、最初の一門を決めたいのだ。
サンプルを二門持ち込んだ。砲員は八名。砲のデモには、最低限の人数だが、砲とともにティッシュモックに置いていくそうだ。
彼なりの支援だ。
クラウスとチェスラクは、滞在三日でノイリンに戻っていった。
だが、納田とミランダは、医療支援で残った。
俺は毎日、ティッシュモックの〝講和派〟以外の有力者と会談を重ねている。
セロについては、ヒトではないことは理解してくれるのだが、精霊族や鬼神族のように友好的でないことは、ほぼ想像できないらしい。
ティッシュモックの街人にとって、友人はヒトではなく、精霊族や鬼神族であり、敵はヒトなのだ。
セロがヒトでないならば、敵ではない、となってしまう。
ヒトであるノイリンの街人の言葉は、ティッシュモックの街人には懐疑的に聞こえるらしい。
俺は苦悩していた。そこにある脅威を唱えれば唱えるほど、ティッシュモックの〝老人〟たちは懐疑的に見る。しかも〝講和派〟は、俺に対して穏やかに接するが内実は敵対的だ。
この街の有力者の多くがセロに対して根拠のないシンパシーを抱いていることを知っているためか、この街を訪れる行商人はセロの所業を言葉にしない。
フルギアの悪口はいくらでも受け入れてくれるが、異種のネガティブな情報は受け入れない傾向が強いのだ。
俺がティッシュモックに滞在していることを知った、アリエ川東岸の精霊族が尋ねてきた。
俺は古城に逗留していたが、そこの広間で彼らと会った。
「どうかノイリンの力を我が街にお与えください。高射砲を売って欲しいのです。
セロが一部のヒトと組んだと……。
愚かですが、恐ろしいことです」
「砲の操作はどうされますか?」
「他の砲の操作に習熟したものをノイリンに送ります。
伝習をお願いします」
「高射砲は、射撃統制装置など他の砲とは異なる機能がありますよ。
簡単に使えるものでは、ありません」
「アシュカナンやカンスクには、砲手を派遣されたとか……。
我が街にも……」
「アシュカナンやカンスクとは、ノイリンは〝同盟〟関係にあります」
俺は嘘をいった。この二つの街とは特に友好関係にあるが、同盟条約など結んでいない。
「セロは空から襲ってきます。
それを防ぐには、空に向けて撃つ銃砲が必要なのです。
それを作っているのは、カンガブルとノイリンだけ。
カンガブル製は実績があり高価。しかも、友好関係のある街に選択的に販売しています。
我らのような、西辺の縁の薄い街では、とても。
ですから、ノイリンの好誼に頼るほかないのです」
「我々は、このティッシュモックに二〇ミリの対空機関砲多数と高射砲若干を運び込みました」
「おぉ」
感情を見せない精霊族が、驚きと、希望を示す声を上げる。
「ティッシュモックの街の方々には、あまり喜んではいただいておりません」
「ほぅ」
明確な驚きを示す。
「高射砲と技術者を皆さんの街に移動させましょう。
輸送用の牽引車を用意していただけますか?」
「何でもいたしましょう。
それと、機関砲とやらもぜひ」
彼らはよくわかってはいないが、街を守るために必死な思いで、ここに来たのだ。
その気持ちはよくわかる。
その日のうちに、チェスラクの配下に精霊族の街に移動するよう、要請した。
この移動には、降魔も同意した。
彼のグループは、明らかに街の運営を担う有力者たちから疎んじられている。
セロとの〝講和〟を主張する有力者たちにとって、対空砲の搬入は好ましくないことだった。降魔に対して、搬入した理由を問い詰めており、降魔は「セロとの戦いに備えて」とは、口が裂けてもいえない状況だ。
わずかでも判断を誤れば、降魔の生命が危険になる。
だが、俺と精霊族との会談内容は、間者によって盗み聞きされていた。高射砲の移動を知った〝講和派〟有力者たちが、セロとの友情の証として我々の行動を阻止しようとする。
もめていると、そこに精霊族の牽引車が到着。
俺は、移動を強行しようとした。
降魔は俺の強硬な態度に驚き、街の有力者の気持ちを代弁した。
「この街のヒトは、ヒトが信用できないんだ。
わかって欲しい」
「そんなことはどうでもいい。
俺たちは、俺たちを必要だといってくれる相手に協力する。
蛮族だろうと、精霊族だろうと、鬼神族だろうと、フルギア人だろうと。
この街の疑い深い連中が、これ以上騒ぐなら、血が流れるぞ。
俺たちに覚悟がないとでも侮っているのか?」
「いや、そうじゃない」
俺は降魔にいった。
「いま、ノイリンは危機にある。
精霊族からの情報では、ティッシュモック攻略後、セロはノイリンに攻撃を仕掛ける。
セロはフルギアから得た情報で、ティッシュモックにブッシュマスターがあることを知っている。
だが、その数までは知らないだろう。
たった二門のブッシュマスターで、この街を守れると思っているのか?」
「思ってはいない。
だから、あなたに来てもらった」
「しかし、この街の議長閣下や有力商人は、この街の外で何が起きているのか、見ようとも、考えようともしない。
セロは、すべての種族を滅ぼそうとしている。森の人を含めて……。
だから、精霊族も必死なんだ。
俺たちは、高射砲の森を作って、セロを迎え撃つ。
きみたちは、どうするんだ?」
降魔が沈黙する。
クローが仲間を連れてやって来た。
だいぶ前からそこにいた。
「ハンダ様。
我らは、ノイリンとの同盟を希望しています」
騒ぎを聞きつけてやって来た議長が怒鳴る。
「何を若造が!
生意気な!」
クローが議長の額に拳銃を突きつける。SIG製P220だ。自衛隊の装備だろう。
「あなた一人の生命で、この街の五〇〇人が助かるなら、あなたに死んでもらう」
少女が飛び出してきた。
「クロー、やめて!
父だって、街のことを考えているの!」
「だが、目をつぶっている。
見たくないから、見ない。
それでは死んでしまう」
「それは私もわかっている!
だから、クローの仲間になった!」
「議長とその取り巻きが支配しているのでは、この街は滅びる」
「それも、わかっている!」
少女の絶叫を、降魔がかき消す。
「クロー、やめなさい」
「父さん。
無理だよ。
この連中を、このままにしておいたら、この街はなくなってしまう」
「そうだ、その通りだ。
だが、こんなことはよくない」
「時間がないんだ。
セロとフルギアの連合軍が、クラシフォン郊外に集結した。
フルギアは陸路だけれど、セロは空から迫ってくる。
早ければ、明日か明後日には攻撃が始まる」
俺も、この情報は持っていなかった。
俺は決断した。
「高射砲を精霊族の街に移動。
俺たちは、ここでセロを迎撃する」
降魔が抵抗する。
「待ってくれ。
高射砲を持って行かれたら……」
「大丈夫だ。
対空ロケットがある。
飛行機相手には無理だが、飛行船ならば命中する。
クラウスが置いていった」
クローたち若者グループは、議長と数人の有力者を銃を使って拘束した。
ある意味、クーデターなのだが、クローたちは軍司令官であるアニエスカに従うと意思表示し、どういうわけか、それを一般の街人は受け入れている。
クローたちを咎める一般の街人は少なく、拘束された〝講和派〟有力者の家族まで、積極的にアニエスカに協力している。
どうも、危機感は街全体で共有されていたが、ごく一部の有力者が「そんなものは存在しない」と声高に抵抗していたようだ。
フルギアに内応していた疑いもあるらしい。高射砲を留め置こうとした理由は、精霊族の街に移動されては、精霊族が使う可能性があるからだ。
ティッシュモックに留め置いて、死蔵させる魂胆だった。
俺は、どうやらクローに欺されていたらしい。クローは最初からクーデターを計画していた。そのためにノイリンを訪れた。俺という外圧を利用するつもりだったようだ。
弟義経は兄頼朝からクーデターを疑われていたようだが、二〇〇万年後の九郎はそれをやってのけた。九郎ではなく、牛若丸と名付けるべきだった。
それをアビーたちは、ノイリン出発前から知っていたようだ。
知らなかったのは、俺とカロロの二人。
ティッシュモックは、内応者の排除に成功し、臨戦態勢に移行した。
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