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第9章
09-219 資源確保
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萱場隆太郎が操縦するポーターが、探検船ツブカルに着船する。
滑走距離はわずか10メートルだった。
航続距離がまったく足りないポーターは、船旅でマハジャンガに向かう。
アラセリはカプランの協力を得て、彼女のターボマスタングMk.Bを整備している。
昨夜、アラセリは老パイロットと隆太郎から航空機に関する事情を聞かれた。
老パイロットはエンジンに興味を示し、エンジンがP&WC PT6系列と知ると「入手は可能か!」と問うた。
彼女は彼の語気に気圧され「このエンジンは、バンジェル島本島とクフラックが製造している」と伝えた。ただし、購入は難しいことも。
隆太郎からは、戦闘機が必要な理由を尋ねられた。答えようがなく、説明になっていないが「防衛は必要だ」と答えた。
で、誰が攻めるのか、を問われた。
「セロが筆頭で、創造主(白魔族、オーク)が次だな。
ヒト同士でも争うぞ。
ヒトは戦争好きだからな」
隆太郎の表情は、深刻に考えているように見えた。
くじ引きで決めた科学者5人と、エリシアとカプランがエンペラーエアに搭乗することになった。
サリューと半田辰也は、科学者にはじかれて搭乗できなかった。2人の不満は大きいし、サリューは彼女が心配する花山海斗の様子がわからないことから苛立っている。
探検船ツブカルは、キヌエティと同型だが同じであるのは船形だけで、細部は異なっている。ツブカルは、エンジンが強力で航海速力が5ノットも速かった。
サリューは無線で海斗と話すことができた。
彼女はかなりの時間をかけて海斗を叱責し、最後のほうは「お腹痛くない? 熱はない? ご飯食べてる? 野菜を食べないとダメだよ。夜は寒くない? 着替えはある?」とほとんど母親と同じだった。
あまりにもおもしろく、個人通話は本来なら秘匿しなければならないものの、通信士同士の会話が他の船員にも漏れていた。
数時間後、隆太郎は梨々香と無線で話ができた。梨々香の怒りは凄まじく、隆太郎がなだめることは不可能だった。
だが、最後は泣き出し、「お腹痛くない? 熱はない? ご飯食べてる? 野菜を食べないとダメだよ。夜は寒くない? 着替えはある?」とほとんど母親と同じだった。
こちらは、通信員から同情された。
「仕方ないですよ。我慢するしかない……。
女房に文句を言ったら、10倍になって返ってくるから……」
数日遅れて、エンペラーエアが離陸し、アラセリのターボマスタングが続いた。両機の巡航速度は、ターボマスタングが若干速い程度で、編隊飛行には問題がなかった。
マハジャンガの北200キロまで南下したところで、ポーターは探検船ツブカルを発し、そこから1時間強の飛行で飛行場に着陸した。
ツブカルから30キロリットルタンクローリートレーラー4輌分のケロシン系JET A-1相当ジェット燃料を譲り受けた。
ツブカルの船長は無償供与を申し出たが、マハジャンガは金貨で支払った。桜金貨ではなく、クルーガーランド金貨を使った。
マハジャンガの道は、雨が降れば泥濘み、晴れが続けば土埃というひどい状態だが、中央広場の周辺は焼成レンガを敷き詰めてどうにか体裁を作っていた。
ツブカルの一部乗員は、接遇施設で歓待された。
花山海斗はサリューから母親的説教を1時間ほど受けて、ようやく解放された。
それ以前に、ツブカルの船長と会い、彼が管理しているキヌエティの搭載機であるエキュレイユの返還を願い出た。
アンナ=マーヤ船長は「見捨てられたのだから、もらっておけばいいのに」と笑っていたが、海斗は律儀に「判断によりけりでしょうけど、盗みと受け取られると厄介だから」と辞した。
船長は「なら、預かる。預かり証も出すから」と、本来の所有者であるバンジェル島中央政府への返還を引き受けてくれた。
隆太郎は、梨々香とサクラに会えていなかった。移住委員会の調査員と一緒に、200万年後の社会情勢から国際情勢まで、事細かく聴取されていたからだ。
衝撃を与えたのはアラセリの戦闘機で、翼内に12.7ミリ機関銃を合計4挺装備し、翼下にはロケット弾またはミサイルの懸吊架計6を有している。
民間機だとのことだが、武装はダミーではなく本物だ。機関銃には実弾が半載されている。
当然、200万年後は物騒な世界ということになる。
最大の衝撃は穴居人の存在で、ユーラシアは穴居人に占拠されていることは深刻に受け止められた。
200万年後は、ヒト以外のヒト属がおり、ヒトが一属一種であった200万年前とは大きく状況が異なることもわかった。
ギガスと講和し、交易していることにも驚かされる。
一方、オークとは対立関係にある。
経済は、複数の地域ブロックがあり、それぞれが半独立の経済圏を形成している。
有力な経済圏は、西アフリカ、北アフリカ、湖水地域、チャド湖沿岸、アトラス山脈東麓、西サハラ湖東岸、西サハラ湖北岸、レムリアなど。
マダガスカルに一番近い経済圏がレムリアであり、レムリアの住民がヒトではないこともわかった。
移住委員会の委員たちは「あまりの変化についていけない」と困惑し、「情勢を見誤ると、全滅もあり得る」と危機感を募らせた。
移住船の船員や高知で他船の船員をしていたヒトたちは、200万年後は農業に従事することが決まっていた。
だが、そんな計画はご破算となった。
スエズ地峡はなく、地中海と紅海はスエズ海峡で結ばれているとか、アフリカは東西に分裂していて、東アフリカ内陸海路という浅海は最も盛んな海上交易路であるとか、地中海は3つに隔てられているとか、アドリア海とエーゲ海はないなど、地理の激変が船乗りたちの話題になった。
そして、商船の入手が検討され、200万年前の船員たちには待機が依頼された。また、漁船も必要だった。
マハジャンガ沖では、巨大なクロマグロやカジキが釣れる。インド洋側ではカツオが捕れる。海産資源が無限でないことは知っているが、試験操業だが無限と思えるほどの漁獲高がある。
マハジャンガの貴重な動物性タンパク源になっている。
巨大な海棲爬虫類は浅海を好み、沖には出てこないこともわかった。
漁業従事経験者の多くが「船さえあれば生きていける」との確信を抱き始めていた。
70年前、香野木恵一郎が主導した移住の時代、世界は混沌としていた。
そんな時代にレムリアが発見され、農産物の供給源として同地は発展し、現在の国際的地位を獲得した。
だが、70年後の現在、世界は安定している。オークは勢力を失い、ギガスとの和平は保たれている。
このことは、マハジャンガにとって、大いに不利だった。何も産しないマダガスカルが、世界と触れたのだ。
一歩間違えば、どこかの勢力圏に組み込まれてしまう。その過程で、高知の出身者はバラバラになり、その存在は消えていく。
移住委員会の悩みは深かった。
200万年前、杭州湾方面のオークを監視するため、長距離偵察機が必要だった。
偵察を担ったのがターボプロップ双発のキングエアで、90、100、200、350など複数のモデルを運用していた。
一部の機体には滞空時間を延ばすための空中給油装置が追加されていて、空中給油機にはタンカーに改造されたP-3Cオライオンが使われていた。
P-3Cは、機体を含めて多数のパーツが残っており、つぎはぎではあるが長きに渡り飛行可能な状態を維持していた。
だが、移住決行の時期になると、かなりくたびれてしまい、高知に残置することが決定していた。
同時に、エンジンを含めて、外せるパーツはすべて取り外して、移住船に積ぶ予定だった。
しかし、移住反対派の妨害と騒乱によって、予定は変更され、機体は全通甲板に積み込まれた。良質な金属材料として……。
移住委員会は最初の購入物品として、燃料を確保するためのタンカー(油槽船)の確保とキングエアとエンペラーエアの装備エンジンであるPT6系列の購入に焦点を絞った。
キングエア・モデル100相当とエンペラーエア類似機は、ともに製造できる。治具もある。
アラセリの協力を得てターボマスタングを調べさせてもらい、エンジンがPT6系列であることを確認している。
このエンジンならキングエアとエンペラーエアにポン付けできる。
大災厄後の高知空港は2億年後に移住しない残留派によって、ビーチクラフト系双発機を集積する空港に指定されていた。
レシプロ、ターボプロップにかかわらず、多くのビーチクラフト系双発機と単発機が集められていた。
この系列は非常に堅牢で、長期間の運用に耐えると判断されていたからだ。
大消滅後もこの系列の運用は続けられ、修理か新造か判断できないほどの修復をしながら、運用を続けてきた。
もともと2機しかなかったエンペラーエアの原型であるビーチクラフト1900Dは、数を増やすため新造した。
そのため、比較的早い時期に新造のための準備が始まった。
だが製造は、小型のキングエア100に準じる機体のほうが早かった。高知製キングエアは、高知製エンペラーエアの開発に影響を与え、結果的にエンペラーエアは原型機のビーチクラフト1900Dとは異なる姿になった。
マハジャンガは、乗客数20のエンペラーエアを航空分野において最重要視しており、製造再開を急いでいた。
とは言え、資材があったとしても、年間3機、どう頑張っても4機が限界だった。
本来は、年間1機の製造を予定していた。
この製造数は、乗客数12のキングエア100も同じ予定だった。
探検船ツブカルの代表と接遇委員会との交渉は、腹の探り合いで、なかなか進まない。この接遇委員会になぜか隆太郎も参加させられてしまい、梨々香とサクラには会えないでいた。
ツブカル側は物々交換を希望し、マハジャンガ側は金貨での支払いを原則にした。
物々交換は「何を持っているのか」を探る目的であることは確かで、容易には応じられない。
この腹の探り合いの決定打となる情報は、エリシアからマハジャンガ側にもたらされた。
「くじらちゃんって名前の輸送機があるんだ。整備しながら大切に使われたプロペラのない双発機で、私の祖母がパイロットだったんだ。
くじらちゃんの機体はいまでも保管されているけど、エンジンがないから飛べない。
PW4000があれば、また空に戻れるのに」
これは、格納庫での世間話だった。
この話は飛行場の整備員が側聞し、隆太郎に伝え、隆太郎が他の委員に説明した。
「移住船の加速用は、PW4000ですよね」
そんな詳しいこと、委員たちは知らない。
沈黙の中で、隆太郎が説明する。
「どうも、彼らはPW4000を使う飛行機を持っているようですが、エンジンがない……。
我々のレシプロ機と同じ状態……。
2基のPW4000と4基のPT6Aの交換を申し入れてみたら、乗ってくるかもしれませんよ」
何度目かの会合で、この提案を隆太郎が行った。ツブカル側は無反応で、「王冠湾の責任者に問い合わせてみる」とだけ回答があった。
次の会合は最初から緊迫していた。
ツブカル側は、何としてでもPW4000がほしいようで、質問を重ねた。
「稼働可能か?」
「何基あるのか?」
マハジャンガ側も真実は伝えなかったが、この交渉はまとまった。
2基のPW4000と4基のPT6Aの交換、2基のPW4000と船齢10年の80メートル級タンカー1隻との交換だ。
マダガスカルに最初にヒトが住むことを知ったのは、探検船キヌエティだった。
同船がバンジェル島本島に帰還するとほぼ同時に、王冠湾の探検船ツブカルがマダガスカルとの商談をまとめた、という情報が中央政府に入る。
このときまで、中央政府はマダガスカルにヒトが住んでいることを知らなかった。
船長を軟禁し、副長を平船員に降格した一等航海士は、バンジェル島に帰還後、数日は天下を取ったように意気軒昂だったが、いまは針のムシロに座っている。
由緒ある探検船キヌエティの船長になる夢は、水泡に帰した。
マダガスカルにヒトが住むことを知りながら、それもキヌエティの乗員が最初に接触していながら、一切を無視して、報告をせず、帰還した責任を問われていた。
船長や副長に責任をなすりつけようとしたが、2人の立場を考えると無理だった。
「また王冠湾に先を越された!」
中央政府内では、怒号が飛び交い、生け贄への責任追及がやまない。一等航海士だけでなく、息子の言い分を無条件に信用していた父親である有力議員にも、辞任の圧力が強まっていた。
王冠湾地方政府はツブカルに対して、4基のPW4000を受け取り次第、帰還するよう命じる。
同時に、マハジャンガの位置を知る探検船キヌエティの元船長と副長を雇用し、タンカーの回航を行うことにする。
PT6系ターボプロップ4基の引き渡しも、この船で行う。
探検船ツブカルにPW4000が積み込まれ、出港となったとき、マハジャンガには5人の科学者がとどまることになった。
マダガスカルの調査を継続する学術目的と、マハジャンガの動向を見極める政治的任務を帯びていた。
マハジャンガは、2つの方針を決定する。マダガスカル最北に基地を建設し、1000メートル級滑走路を設営する。
もう1つは、セーシェル諸島のマエー島にも基地を建設し、海岸近くの平地に1500メートル級滑走路を設営する。
これによって、レムリアおよびアフリカとの空路を開く。
その計画は、移住者の誰もが画餅に思えていた。さらに、探検船ツブカルが出港して騒ぎが収まっていないのに、1日開けてクフラックの商船が仮桟橋に接舷した。
この頃には、クフラックが200万年後において有力な国であることは、多くの住民が知っていた。
ネットメディアで、国際情勢に関する情報が盛んに解説されていたからだ。
クフラックのアプローチは、王冠湾とは異なっていた。
マハジャンガがPT6Aターボプロップを欲していると知り、彼らは新品のワルターM601ターボプロップ6基を積んで訪れたのだ。
このエンジンは750軸馬力級で、PT6Aの低出力タイプとの競合製品になる。
クフラックは王冠湾をよく知っており、未接触ヒト属とどのように交流を始めるのかも熟知していた。
だから裏をかいた。
マハジャンガが希望する金貨での交易を了解したのだ。
クフラック側代表団は驚いていた。
ワルターM601を搭載する機種は限られ、PT6Aに比べると安価に取り引きされていることや実勢価格までをマハジャンガ側がよく知っていたからだ。
もちろん、それらの情報は、辰也や海斗たちからもたらされていた。
クフラック側に悪意や作為的発言はなかったが、交渉において得た情報と与えた情報は等価だった。
牧歌的だったレムリアとは異なり、マダガスカルは厄介な商売相手であることは明白だった。
これらの交渉にも隆太郎は駆り出されたので、自宅に帰ることはほぼ不可能だった。
新造のキングエアA100相当機には、ワルターM601が使われることになった。
既存機を換装するための設計と作業にも「意見を聞きたい」と隆太郎が呼ばれる。
ある夜、ポツリと呟く。
「房総にいればよかった」
本心ではないが、それほどまでに忙しかった。房総にいれば、動物の襲来以外は晴耕雨読だったのだから。
キングエアは小型の双発機だが、航続距離、機動性、速度、離着陸性能に優れている。
ワルターM601に換装したキングエアは計算上、軽荷の燃料満載ならば航続距離が2800キロに達した。
最高速度は、燃料半載の実測で時速580キロに達する。巡航速度も速く、時速480キロを発揮する予定。
この性能ならば、レムリア中部西岸まで楽に飛んでいくことがでる。
エリシアとカプランが「早期にレムリアとの交易を始めるべきだ」と主張し、移住委員会も近隣との友好を考えれば必要との判断に傾きつつあった。
隆太郎は格納庫で、とんでもない話を聞かされていた。
「キングエア90はレストア機だけど、100は高知で製造したんだ。高知では、100を10機作った。
この機はその1機。機体はないけど、部品は15機分ほどある。欠品部品の補充ができれば、20機は作れると思う。
各務原にも退役した自衛隊の航空機が集められていたけど、高知には現役の民間小型機が集積されたんだ。
数は多くなかったし、機種がバラバラだったけど、ビーチの双発機は集中的に集められていた。
自衛隊のキングエアも高知に運んで、使える機体は使い、使える部品は外して保管した。
飛行機が毎年なくなっていくので、どうにかしなければならなくなり、ビーチの同系2機種を作ることになったんだ」
キングエア100ならば、乗員2+乗客12が乗れる。貨物なら1500キロは積める。
航空機工場の計画は、当面はオリジナルのキングエアとクイーンエアに再組み立てとレストラを施し、キングエア100相当とエンペラーエアの製造再開に向けた準備を進める予定だった。
新造機のエンジンには、1000軸馬力級のPT6A-45相当を希望していた。
PT6Aの入手が実現するまでは、ワルターM601を搭載するレストア機の再生を優先している。
航空機工場は隆太郎に、彼らの計画を「移住委員会に話してくれないか?」と打診していた。
移住委員会は苦悩の渦にあった。
200万年後がこんな世界だったなんて、まったくの想定外だった。
複雑怪奇な国際情勢、五里霧中の勢力分布、暗中模索の外交。
ヒトは一属一種ではなく、ヒト科以外の霊長類がヒトに似た文明を築いているのだ。
カプランは航空整備士で航法もできるが、パイロットにはなれなかった。
理由は、彼がレムリアの丸耳族だから。航空機に関する情報は、ヒトが独占するという不文律があるのだ。
マハジャンガはそんなことは知ったことではないので、カプランの希望通りに操縦訓練を始めていた。
タンカーを購入したが、1隻ではまったく足りない。80メートル級の貨物船を4隻、タンカーもさらに3隻ほしい。
航空機も足りない。領域をパトロールすることもままならない。マハジャンガに接近してくる船舶を監視することもできない。
悪意ある来客だっているはず。
ザンジバルの海賊は、現実の脅威だ。帆走・櫂走船がほとんどだが、過去に動力船を強奪したことが何度かあり、数隻を保有しているとの情報もある。
「哨戒機が必要だ」
移住委員からも航空機増強の意見が出始めていた。
だが、移住委員会は航空機工場とは異なる判断をした。
「どさくさに紛れて運んできたオライオンを飛べるようにできないか?」
それと、船倉にもオライオンの胴体があった。
移住船の船倉最下層は、いったん積み込んでしまうと、上層の荷物を出さない限り、運び出せない仕組みだった。
P-3Cオライオンはターボプロップ4発の哨戒機だが、各務原にはその残骸がたくさんあった。
使える部品を集めただけでなく、使えそうな胴体や主翼も高知に運んでいた。
高知では、そのうちの1機を再生し、空中給油機として運用していた。この機は劣化が激しく残置の予定だったが、全通甲板に載せて運んできた。
別に、船倉最下層にもオライオンの胴体と主翼など1機分の分解された機体パーツがあった。
これを利用して、もう一度再生しろとの意見だ。
機体は、高知に運ぶ際に分解されたが、その後は分解されたまま、空港から離れた倉庫に温湿度に注意して保管されていた。
搭載するアリソンT56-A-14ターボプロップエンジンは、いろいろな機種から取り外してあるので大量に保管されている。
高知空港で保管されていなかったことから、航空機とは見なされていなかった。単なる金属資材の扱い。
実際、そのように認識されていて、マハジャンガに来るまでは、再生など誰も考えていなかった。
積むスペースがあったから、積んできただけだ。
移住委員会は、状態がいいと思われる機体を船倉最下層に積むように命じたが、詳細な指示はしなかった。
単に「積めるだけ積むように」と。だから、水平尾翼だけが何枚もある。
移住船からの物資の搬出は急がれてはいたが、さらに急がされた。作業の担当者は、激しく抗議したが、マハジャンガが置かれている状況も理解していた。
LEDライトを持った航空機工場の面々が最下層船倉に入ったのは、移住委員会の決定から10日後のことだった。
この船倉に入るには小さなハッチがあるだけで、階段もない。荷を積み込んだあと、搬入口は溶接で塞がれ、その上により重要な物資が積まれた。
最下層船倉には、直接的には役には立たないが、あったほうがいいかもしれない物資のうち、重そうな物を運び込んでいた。
エンジンの補給に困るヘリコプターもある。
CH-47ヘリコプターは各務原から運んできたのだろうが、2機が船倉に積み込まれている。天地を縮めるためか、主脚が取り外されているが、それがあるのかどうかさえわからない。
毎回、わからないことばかりの会議だ。
「胴体の数は2だった……」
飛行機工場の工場長の説明は、要領を得ない。
隆太郎が「2機あった、のですね」と確認すると、工場長は「そうは言っていない。胴体が2あるが、2機分の主翼があるのか不明だ。
主翼はあるが、左右両翼があるのかもわかっていない。それと、胴体が2、主翼が2だとしても、胴体と主翼が一致するのかどうか、わからん!」
工場長が憮然としている。
回転翼機部門の長が、間が持たない雰囲気の中で報告する。
「大型ヘリコプターは、CH-47チヌークです。
が……、運んできた理由がわかりません。エンジンがないし、ローターは見つかっていません。どうしたものか……。
バラスト代わりだとしても、もっといいものを積めばいいのに!」
結局、最後は怒っていた。
最下層船倉からの搬出は、かなり厄介な作業になる。最下層船倉から見れば天井となる床を、溶断しながら進めなければならない。
火花は危険だ。微量だがタンクやパイプに残っていた燃料が気化している。
気化ガスを換気で排出し、それから床を剥がす。
最初に運び出した最下層船倉の胴体と主翼は、キングエアC90のものだった。だが、同じ機体ものなのかは不明。
C90の次は、A100の胴体、続いてB200の胴体が続く。
胴体と主翼の組み合わせは、塗装から容易に判別できた。
胴体は2で、主翼は右翼が3、左翼が1だった。つまり、1機分の機体パーツしかない。
キングエアは、モデル90と100シリーズが多いが、モデル200シリーズもあるし、レシプロのクイーンエアやバロンもある。
ターボプロップ機のエンジンは使い潰してしまっていたが、ライカミングの空冷水平対向4気筒と6気筒は別途梱包されて積まれていた。
キングエアのモデル90と100シリーズならワルターM601でもパワーは十分だ。機体のレストアができれば、再び飛行できる。
飛行機の不足と同時に、パイロットも不足している。
だから、エリシアは乗機の割り当てを心配していない。
問題は、どれに乗れるか、だった。
4発輸送機ハーキュリーズのクルーは決まっている。
エンペラーエアは未定。
エリシアの第1希望はエンペラーエアで、第2希望はキングエアだ。
航空機工場はエンペラーエアの製造準備を開始するとともに、オリジナルのキングエアをレストアする作業を進める。
この機はモデルB100で、原型機よりもワルターM601のほうが少しパワーがある。
この時点では、何機を再生できるか、まったくわからなかった。
オリジナルのキングエアにワルターM601の取り付け作業が佳境になる頃、王冠湾から4基のPT6Aターボプロップエンジンと、燃料を満載したタンカーが到着する。
タンカーは小型貨物船を伴っていた。
貨物船は、同型エンジンをさらに4基積んでいる。
王冠湾の使者は、またしても物々交換を申し入れてきた。マハジャンガが何を持っているのか、探っているのだ。持ち物から何者なのかを探ろうとしている。
王冠湾から受け取った1000馬力級PT6Aは、キングエアのモデルB200に使う。
わかったことがある。
バンジェル島は、ターボプロップのPT6AとターボシャフトのPT6Cを製造している。
クフラックは、ターボプロップのワルターM601とターボシャフトのPT6Cの組み合わせ。
それ以外のターボエンジンは、ロールスロイス・ダートが少数製造されているだけ。ターボファンエンジンは製造されていない。
飛行機は貴重で、純新造機と準新造機は少ない。バンジェル島やクフラックでも、数百機もの保有はない。どちらも数十機だ。
当然だが、PW4000ターボファンエンジンを使う航空機を保有しているとすれば、交換用のエンジンが必要になる。
だから、王冠湾が同じ探りを入れてくると、マハジャンガは予測していた。そして、その通りになった。
マハジャンガ側は、同じ取り引きを持ちかけた。2基のPW4000ターボファンと4基のPT6Aターボプロップとの交換だ。
すると、王冠湾は渋った。今回は、代金を支払うと主張する。
マハジャンガ側は、簡単に了承した。
駆け引きのつもりだった王冠湾側が、慌てる。訪問団の末席に座っている若い男性が、声を発した。
「交換に応じてほしい。
つまらない駆け引きをした。
その点は率直に詫びる。
我々が用意できるもので、貴国が欲する産品があれば交易に応じる用意がある」
半田辰也からの情報で、バンジェル島にはジェット戦闘機があることがわかっている。
そのジェット機は、J3-3を搭載していることも伝えられていた。辰也にJ3-7を見せたところ「似ている。同じだと思う」との証言を得ている。
J3-7はP-2Jネプチューン対潜哨戒機の補助エンジンだが、P2-Jが83機も作られたことから、最下層船倉に40基も積まれていた。P-2JのターボプロップエンジンであるT64-IHI-10Eも同数ある。その他、取り外した部品も多数ある。
ただし、機体は完全なジャンク。
「J3-7を提供できる」
マハジャンガ側の接遇委員長が発言するが、王冠湾側の反応は薄かった。T64-IHI-10Eターボプロップエンジンも同数以上あるが、こちらを提案する意志はなかった。使い道が出てくる可能性があるからだ。
T56-A-14ターボプロップエンジンも最下層船倉に積まれていたが、こちらも手元に置いておきたい。
航空機関連物資の多くは各務原由来だが、いまとなっては再度の入手は不可能だ。
そして、直近でほしいのはPT6Aターボプロップエンジン。
隆太郎は会話を聞くだけに徹していたが、何となく王冠湾側の駆け引きに腹が立っていた。想定外の攻撃も一興かな、と考えた。
「バンジェル島には、大型の双発双胴輸送機があるそうですね。
その機をエンジンレスで、ターボファンと1対1の交換をしませんか?
機体は、中古でもかまいませんよ。
こちらも中古ですからね」
王冠湾側に反応があった。
「ボックスカー1機とターボファン1基との交換ですか?
それは、ちょっと……」
別の来訪者が発言する。若い女性だ。
「ターボファンが2基ならば……。
でも、機体は新品同然です」
隆太郎は引かなかった。
「新品同然の中古ですか?」
女性は凜としている。
「ダートは製造数が少なくて、ボックスカーは年間1機、どんなに多くても2機ほどしか製造していないのです。
装備するエンジンに目処がなく、2年前に製造した機体がモスボール状態で格納庫に眠っています。
用意したエンジンは中古で、オーバーホールを試みたところ、再生できる状態ではありませんでした。
なので、現在、売り先のない機体が1機あります。
大型輸送機の機体とエンジン2基の交換は、悪い取り引きではないと思うのです」
隆太郎は、PT6Aが必要なことを十分に承知していた。
「私たちは、クフラックにワルターM601を4基購入できないか打診するつもりです。
クフラックは、金貨での取り引きを了承してくれるので……。
ただ、PT6Aも必要なのです。
とりあえず4基。
大型輸送機の機体+PT6Aを4基。これと、PW4000を2基」
明確に等価ではない交換案だが、王冠湾側は「今日のお話を持ち帰って検討したい」と答えた。
過大な要求をして、こちらの希望をある程度通そうとしたのだが、その過大な要求を検討すると返したので、今度はマハジャンガ側が驚く。
翌日の交渉は順調に進んだ。
「ボックスカーの機体とPW4000ターボファン2基との交換。
PT6Aターボプロップ4基に関しては、代金をお支払いいただきたい。ただし、ボックスカーとターボプロップの輸送費は請求しない。
この条件でいかがか?」
マハジャンガ側は妥当と判断して、この交渉が成立した。
巨大移住船の積み荷がすべて降ろされると、今度は発電用と推進用のディーゼルエンジンや推進用の電動モーターの取り外しが始まる。
この巨大移住船自体が物資であり、資源なのだ。
最下層船倉には航空機関系だけでなく、鉄道車輌の電動モーターも積み込まれていた。ディーゼルエンジンやガスタービンと組み合わせれば、船舶用の動力として使える。
よく考えてのことか、偶然かはわからないが、誰も気にしていなかったバラスト代わりの最下層船倉は宝箱だった。
具体的な使い道があるアリソン250のターボシャフトではなく、ターボプロップが想定以上の数が積まれていた。T-5やT-7練習機用で、プロペラもあった。
しかも、雑な扱いではなく、適切に梱包されていた。
どうにか、生存していくための物資確保はできそうだが、農産物の確保も必要だった。
そのためには、未知の大陸であるレムリアに渡らなければならない。
滑走距離はわずか10メートルだった。
航続距離がまったく足りないポーターは、船旅でマハジャンガに向かう。
アラセリはカプランの協力を得て、彼女のターボマスタングMk.Bを整備している。
昨夜、アラセリは老パイロットと隆太郎から航空機に関する事情を聞かれた。
老パイロットはエンジンに興味を示し、エンジンがP&WC PT6系列と知ると「入手は可能か!」と問うた。
彼女は彼の語気に気圧され「このエンジンは、バンジェル島本島とクフラックが製造している」と伝えた。ただし、購入は難しいことも。
隆太郎からは、戦闘機が必要な理由を尋ねられた。答えようがなく、説明になっていないが「防衛は必要だ」と答えた。
で、誰が攻めるのか、を問われた。
「セロが筆頭で、創造主(白魔族、オーク)が次だな。
ヒト同士でも争うぞ。
ヒトは戦争好きだからな」
隆太郎の表情は、深刻に考えているように見えた。
くじ引きで決めた科学者5人と、エリシアとカプランがエンペラーエアに搭乗することになった。
サリューと半田辰也は、科学者にはじかれて搭乗できなかった。2人の不満は大きいし、サリューは彼女が心配する花山海斗の様子がわからないことから苛立っている。
探検船ツブカルは、キヌエティと同型だが同じであるのは船形だけで、細部は異なっている。ツブカルは、エンジンが強力で航海速力が5ノットも速かった。
サリューは無線で海斗と話すことができた。
彼女はかなりの時間をかけて海斗を叱責し、最後のほうは「お腹痛くない? 熱はない? ご飯食べてる? 野菜を食べないとダメだよ。夜は寒くない? 着替えはある?」とほとんど母親と同じだった。
あまりにもおもしろく、個人通話は本来なら秘匿しなければならないものの、通信士同士の会話が他の船員にも漏れていた。
数時間後、隆太郎は梨々香と無線で話ができた。梨々香の怒りは凄まじく、隆太郎がなだめることは不可能だった。
だが、最後は泣き出し、「お腹痛くない? 熱はない? ご飯食べてる? 野菜を食べないとダメだよ。夜は寒くない? 着替えはある?」とほとんど母親と同じだった。
こちらは、通信員から同情された。
「仕方ないですよ。我慢するしかない……。
女房に文句を言ったら、10倍になって返ってくるから……」
数日遅れて、エンペラーエアが離陸し、アラセリのターボマスタングが続いた。両機の巡航速度は、ターボマスタングが若干速い程度で、編隊飛行には問題がなかった。
マハジャンガの北200キロまで南下したところで、ポーターは探検船ツブカルを発し、そこから1時間強の飛行で飛行場に着陸した。
ツブカルから30キロリットルタンクローリートレーラー4輌分のケロシン系JET A-1相当ジェット燃料を譲り受けた。
ツブカルの船長は無償供与を申し出たが、マハジャンガは金貨で支払った。桜金貨ではなく、クルーガーランド金貨を使った。
マハジャンガの道は、雨が降れば泥濘み、晴れが続けば土埃というひどい状態だが、中央広場の周辺は焼成レンガを敷き詰めてどうにか体裁を作っていた。
ツブカルの一部乗員は、接遇施設で歓待された。
花山海斗はサリューから母親的説教を1時間ほど受けて、ようやく解放された。
それ以前に、ツブカルの船長と会い、彼が管理しているキヌエティの搭載機であるエキュレイユの返還を願い出た。
アンナ=マーヤ船長は「見捨てられたのだから、もらっておけばいいのに」と笑っていたが、海斗は律儀に「判断によりけりでしょうけど、盗みと受け取られると厄介だから」と辞した。
船長は「なら、預かる。預かり証も出すから」と、本来の所有者であるバンジェル島中央政府への返還を引き受けてくれた。
隆太郎は、梨々香とサクラに会えていなかった。移住委員会の調査員と一緒に、200万年後の社会情勢から国際情勢まで、事細かく聴取されていたからだ。
衝撃を与えたのはアラセリの戦闘機で、翼内に12.7ミリ機関銃を合計4挺装備し、翼下にはロケット弾またはミサイルの懸吊架計6を有している。
民間機だとのことだが、武装はダミーではなく本物だ。機関銃には実弾が半載されている。
当然、200万年後は物騒な世界ということになる。
最大の衝撃は穴居人の存在で、ユーラシアは穴居人に占拠されていることは深刻に受け止められた。
200万年後は、ヒト以外のヒト属がおり、ヒトが一属一種であった200万年前とは大きく状況が異なることもわかった。
ギガスと講和し、交易していることにも驚かされる。
一方、オークとは対立関係にある。
経済は、複数の地域ブロックがあり、それぞれが半独立の経済圏を形成している。
有力な経済圏は、西アフリカ、北アフリカ、湖水地域、チャド湖沿岸、アトラス山脈東麓、西サハラ湖東岸、西サハラ湖北岸、レムリアなど。
マダガスカルに一番近い経済圏がレムリアであり、レムリアの住民がヒトではないこともわかった。
移住委員会の委員たちは「あまりの変化についていけない」と困惑し、「情勢を見誤ると、全滅もあり得る」と危機感を募らせた。
移住船の船員や高知で他船の船員をしていたヒトたちは、200万年後は農業に従事することが決まっていた。
だが、そんな計画はご破算となった。
スエズ地峡はなく、地中海と紅海はスエズ海峡で結ばれているとか、アフリカは東西に分裂していて、東アフリカ内陸海路という浅海は最も盛んな海上交易路であるとか、地中海は3つに隔てられているとか、アドリア海とエーゲ海はないなど、地理の激変が船乗りたちの話題になった。
そして、商船の入手が検討され、200万年前の船員たちには待機が依頼された。また、漁船も必要だった。
マハジャンガ沖では、巨大なクロマグロやカジキが釣れる。インド洋側ではカツオが捕れる。海産資源が無限でないことは知っているが、試験操業だが無限と思えるほどの漁獲高がある。
マハジャンガの貴重な動物性タンパク源になっている。
巨大な海棲爬虫類は浅海を好み、沖には出てこないこともわかった。
漁業従事経験者の多くが「船さえあれば生きていける」との確信を抱き始めていた。
70年前、香野木恵一郎が主導した移住の時代、世界は混沌としていた。
そんな時代にレムリアが発見され、農産物の供給源として同地は発展し、現在の国際的地位を獲得した。
だが、70年後の現在、世界は安定している。オークは勢力を失い、ギガスとの和平は保たれている。
このことは、マハジャンガにとって、大いに不利だった。何も産しないマダガスカルが、世界と触れたのだ。
一歩間違えば、どこかの勢力圏に組み込まれてしまう。その過程で、高知の出身者はバラバラになり、その存在は消えていく。
移住委員会の悩みは深かった。
200万年前、杭州湾方面のオークを監視するため、長距離偵察機が必要だった。
偵察を担ったのがターボプロップ双発のキングエアで、90、100、200、350など複数のモデルを運用していた。
一部の機体には滞空時間を延ばすための空中給油装置が追加されていて、空中給油機にはタンカーに改造されたP-3Cオライオンが使われていた。
P-3Cは、機体を含めて多数のパーツが残っており、つぎはぎではあるが長きに渡り飛行可能な状態を維持していた。
だが、移住決行の時期になると、かなりくたびれてしまい、高知に残置することが決定していた。
同時に、エンジンを含めて、外せるパーツはすべて取り外して、移住船に積ぶ予定だった。
しかし、移住反対派の妨害と騒乱によって、予定は変更され、機体は全通甲板に積み込まれた。良質な金属材料として……。
移住委員会は最初の購入物品として、燃料を確保するためのタンカー(油槽船)の確保とキングエアとエンペラーエアの装備エンジンであるPT6系列の購入に焦点を絞った。
キングエア・モデル100相当とエンペラーエア類似機は、ともに製造できる。治具もある。
アラセリの協力を得てターボマスタングを調べさせてもらい、エンジンがPT6系列であることを確認している。
このエンジンならキングエアとエンペラーエアにポン付けできる。
大災厄後の高知空港は2億年後に移住しない残留派によって、ビーチクラフト系双発機を集積する空港に指定されていた。
レシプロ、ターボプロップにかかわらず、多くのビーチクラフト系双発機と単発機が集められていた。
この系列は非常に堅牢で、長期間の運用に耐えると判断されていたからだ。
大消滅後もこの系列の運用は続けられ、修理か新造か判断できないほどの修復をしながら、運用を続けてきた。
もともと2機しかなかったエンペラーエアの原型であるビーチクラフト1900Dは、数を増やすため新造した。
そのため、比較的早い時期に新造のための準備が始まった。
だが製造は、小型のキングエア100に準じる機体のほうが早かった。高知製キングエアは、高知製エンペラーエアの開発に影響を与え、結果的にエンペラーエアは原型機のビーチクラフト1900Dとは異なる姿になった。
マハジャンガは、乗客数20のエンペラーエアを航空分野において最重要視しており、製造再開を急いでいた。
とは言え、資材があったとしても、年間3機、どう頑張っても4機が限界だった。
本来は、年間1機の製造を予定していた。
この製造数は、乗客数12のキングエア100も同じ予定だった。
探検船ツブカルの代表と接遇委員会との交渉は、腹の探り合いで、なかなか進まない。この接遇委員会になぜか隆太郎も参加させられてしまい、梨々香とサクラには会えないでいた。
ツブカル側は物々交換を希望し、マハジャンガ側は金貨での支払いを原則にした。
物々交換は「何を持っているのか」を探る目的であることは確かで、容易には応じられない。
この腹の探り合いの決定打となる情報は、エリシアからマハジャンガ側にもたらされた。
「くじらちゃんって名前の輸送機があるんだ。整備しながら大切に使われたプロペラのない双発機で、私の祖母がパイロットだったんだ。
くじらちゃんの機体はいまでも保管されているけど、エンジンがないから飛べない。
PW4000があれば、また空に戻れるのに」
これは、格納庫での世間話だった。
この話は飛行場の整備員が側聞し、隆太郎に伝え、隆太郎が他の委員に説明した。
「移住船の加速用は、PW4000ですよね」
そんな詳しいこと、委員たちは知らない。
沈黙の中で、隆太郎が説明する。
「どうも、彼らはPW4000を使う飛行機を持っているようですが、エンジンがない……。
我々のレシプロ機と同じ状態……。
2基のPW4000と4基のPT6Aの交換を申し入れてみたら、乗ってくるかもしれませんよ」
何度目かの会合で、この提案を隆太郎が行った。ツブカル側は無反応で、「王冠湾の責任者に問い合わせてみる」とだけ回答があった。
次の会合は最初から緊迫していた。
ツブカル側は、何としてでもPW4000がほしいようで、質問を重ねた。
「稼働可能か?」
「何基あるのか?」
マハジャンガ側も真実は伝えなかったが、この交渉はまとまった。
2基のPW4000と4基のPT6Aの交換、2基のPW4000と船齢10年の80メートル級タンカー1隻との交換だ。
マダガスカルに最初にヒトが住むことを知ったのは、探検船キヌエティだった。
同船がバンジェル島本島に帰還するとほぼ同時に、王冠湾の探検船ツブカルがマダガスカルとの商談をまとめた、という情報が中央政府に入る。
このときまで、中央政府はマダガスカルにヒトが住んでいることを知らなかった。
船長を軟禁し、副長を平船員に降格した一等航海士は、バンジェル島に帰還後、数日は天下を取ったように意気軒昂だったが、いまは針のムシロに座っている。
由緒ある探検船キヌエティの船長になる夢は、水泡に帰した。
マダガスカルにヒトが住むことを知りながら、それもキヌエティの乗員が最初に接触していながら、一切を無視して、報告をせず、帰還した責任を問われていた。
船長や副長に責任をなすりつけようとしたが、2人の立場を考えると無理だった。
「また王冠湾に先を越された!」
中央政府内では、怒号が飛び交い、生け贄への責任追及がやまない。一等航海士だけでなく、息子の言い分を無条件に信用していた父親である有力議員にも、辞任の圧力が強まっていた。
王冠湾地方政府はツブカルに対して、4基のPW4000を受け取り次第、帰還するよう命じる。
同時に、マハジャンガの位置を知る探検船キヌエティの元船長と副長を雇用し、タンカーの回航を行うことにする。
PT6系ターボプロップ4基の引き渡しも、この船で行う。
探検船ツブカルにPW4000が積み込まれ、出港となったとき、マハジャンガには5人の科学者がとどまることになった。
マダガスカルの調査を継続する学術目的と、マハジャンガの動向を見極める政治的任務を帯びていた。
マハジャンガは、2つの方針を決定する。マダガスカル最北に基地を建設し、1000メートル級滑走路を設営する。
もう1つは、セーシェル諸島のマエー島にも基地を建設し、海岸近くの平地に1500メートル級滑走路を設営する。
これによって、レムリアおよびアフリカとの空路を開く。
その計画は、移住者の誰もが画餅に思えていた。さらに、探検船ツブカルが出港して騒ぎが収まっていないのに、1日開けてクフラックの商船が仮桟橋に接舷した。
この頃には、クフラックが200万年後において有力な国であることは、多くの住民が知っていた。
ネットメディアで、国際情勢に関する情報が盛んに解説されていたからだ。
クフラックのアプローチは、王冠湾とは異なっていた。
マハジャンガがPT6Aターボプロップを欲していると知り、彼らは新品のワルターM601ターボプロップ6基を積んで訪れたのだ。
このエンジンは750軸馬力級で、PT6Aの低出力タイプとの競合製品になる。
クフラックは王冠湾をよく知っており、未接触ヒト属とどのように交流を始めるのかも熟知していた。
だから裏をかいた。
マハジャンガが希望する金貨での交易を了解したのだ。
クフラック側代表団は驚いていた。
ワルターM601を搭載する機種は限られ、PT6Aに比べると安価に取り引きされていることや実勢価格までをマハジャンガ側がよく知っていたからだ。
もちろん、それらの情報は、辰也や海斗たちからもたらされていた。
クフラック側に悪意や作為的発言はなかったが、交渉において得た情報と与えた情報は等価だった。
牧歌的だったレムリアとは異なり、マダガスカルは厄介な商売相手であることは明白だった。
これらの交渉にも隆太郎は駆り出されたので、自宅に帰ることはほぼ不可能だった。
新造のキングエアA100相当機には、ワルターM601が使われることになった。
既存機を換装するための設計と作業にも「意見を聞きたい」と隆太郎が呼ばれる。
ある夜、ポツリと呟く。
「房総にいればよかった」
本心ではないが、それほどまでに忙しかった。房総にいれば、動物の襲来以外は晴耕雨読だったのだから。
キングエアは小型の双発機だが、航続距離、機動性、速度、離着陸性能に優れている。
ワルターM601に換装したキングエアは計算上、軽荷の燃料満載ならば航続距離が2800キロに達した。
最高速度は、燃料半載の実測で時速580キロに達する。巡航速度も速く、時速480キロを発揮する予定。
この性能ならば、レムリア中部西岸まで楽に飛んでいくことがでる。
エリシアとカプランが「早期にレムリアとの交易を始めるべきだ」と主張し、移住委員会も近隣との友好を考えれば必要との判断に傾きつつあった。
隆太郎は格納庫で、とんでもない話を聞かされていた。
「キングエア90はレストア機だけど、100は高知で製造したんだ。高知では、100を10機作った。
この機はその1機。機体はないけど、部品は15機分ほどある。欠品部品の補充ができれば、20機は作れると思う。
各務原にも退役した自衛隊の航空機が集められていたけど、高知には現役の民間小型機が集積されたんだ。
数は多くなかったし、機種がバラバラだったけど、ビーチの双発機は集中的に集められていた。
自衛隊のキングエアも高知に運んで、使える機体は使い、使える部品は外して保管した。
飛行機が毎年なくなっていくので、どうにかしなければならなくなり、ビーチの同系2機種を作ることになったんだ」
キングエア100ならば、乗員2+乗客12が乗れる。貨物なら1500キロは積める。
航空機工場の計画は、当面はオリジナルのキングエアとクイーンエアに再組み立てとレストラを施し、キングエア100相当とエンペラーエアの製造再開に向けた準備を進める予定だった。
新造機のエンジンには、1000軸馬力級のPT6A-45相当を希望していた。
PT6Aの入手が実現するまでは、ワルターM601を搭載するレストア機の再生を優先している。
航空機工場は隆太郎に、彼らの計画を「移住委員会に話してくれないか?」と打診していた。
移住委員会は苦悩の渦にあった。
200万年後がこんな世界だったなんて、まったくの想定外だった。
複雑怪奇な国際情勢、五里霧中の勢力分布、暗中模索の外交。
ヒトは一属一種ではなく、ヒト科以外の霊長類がヒトに似た文明を築いているのだ。
カプランは航空整備士で航法もできるが、パイロットにはなれなかった。
理由は、彼がレムリアの丸耳族だから。航空機に関する情報は、ヒトが独占するという不文律があるのだ。
マハジャンガはそんなことは知ったことではないので、カプランの希望通りに操縦訓練を始めていた。
タンカーを購入したが、1隻ではまったく足りない。80メートル級の貨物船を4隻、タンカーもさらに3隻ほしい。
航空機も足りない。領域をパトロールすることもままならない。マハジャンガに接近してくる船舶を監視することもできない。
悪意ある来客だっているはず。
ザンジバルの海賊は、現実の脅威だ。帆走・櫂走船がほとんどだが、過去に動力船を強奪したことが何度かあり、数隻を保有しているとの情報もある。
「哨戒機が必要だ」
移住委員からも航空機増強の意見が出始めていた。
だが、移住委員会は航空機工場とは異なる判断をした。
「どさくさに紛れて運んできたオライオンを飛べるようにできないか?」
それと、船倉にもオライオンの胴体があった。
移住船の船倉最下層は、いったん積み込んでしまうと、上層の荷物を出さない限り、運び出せない仕組みだった。
P-3Cオライオンはターボプロップ4発の哨戒機だが、各務原にはその残骸がたくさんあった。
使える部品を集めただけでなく、使えそうな胴体や主翼も高知に運んでいた。
高知では、そのうちの1機を再生し、空中給油機として運用していた。この機は劣化が激しく残置の予定だったが、全通甲板に載せて運んできた。
別に、船倉最下層にもオライオンの胴体と主翼など1機分の分解された機体パーツがあった。
これを利用して、もう一度再生しろとの意見だ。
機体は、高知に運ぶ際に分解されたが、その後は分解されたまま、空港から離れた倉庫に温湿度に注意して保管されていた。
搭載するアリソンT56-A-14ターボプロップエンジンは、いろいろな機種から取り外してあるので大量に保管されている。
高知空港で保管されていなかったことから、航空機とは見なされていなかった。単なる金属資材の扱い。
実際、そのように認識されていて、マハジャンガに来るまでは、再生など誰も考えていなかった。
積むスペースがあったから、積んできただけだ。
移住委員会は、状態がいいと思われる機体を船倉最下層に積むように命じたが、詳細な指示はしなかった。
単に「積めるだけ積むように」と。だから、水平尾翼だけが何枚もある。
移住船からの物資の搬出は急がれてはいたが、さらに急がされた。作業の担当者は、激しく抗議したが、マハジャンガが置かれている状況も理解していた。
LEDライトを持った航空機工場の面々が最下層船倉に入ったのは、移住委員会の決定から10日後のことだった。
この船倉に入るには小さなハッチがあるだけで、階段もない。荷を積み込んだあと、搬入口は溶接で塞がれ、その上により重要な物資が積まれた。
最下層船倉には、直接的には役には立たないが、あったほうがいいかもしれない物資のうち、重そうな物を運び込んでいた。
エンジンの補給に困るヘリコプターもある。
CH-47ヘリコプターは各務原から運んできたのだろうが、2機が船倉に積み込まれている。天地を縮めるためか、主脚が取り外されているが、それがあるのかどうかさえわからない。
毎回、わからないことばかりの会議だ。
「胴体の数は2だった……」
飛行機工場の工場長の説明は、要領を得ない。
隆太郎が「2機あった、のですね」と確認すると、工場長は「そうは言っていない。胴体が2あるが、2機分の主翼があるのか不明だ。
主翼はあるが、左右両翼があるのかもわかっていない。それと、胴体が2、主翼が2だとしても、胴体と主翼が一致するのかどうか、わからん!」
工場長が憮然としている。
回転翼機部門の長が、間が持たない雰囲気の中で報告する。
「大型ヘリコプターは、CH-47チヌークです。
が……、運んできた理由がわかりません。エンジンがないし、ローターは見つかっていません。どうしたものか……。
バラスト代わりだとしても、もっといいものを積めばいいのに!」
結局、最後は怒っていた。
最下層船倉からの搬出は、かなり厄介な作業になる。最下層船倉から見れば天井となる床を、溶断しながら進めなければならない。
火花は危険だ。微量だがタンクやパイプに残っていた燃料が気化している。
気化ガスを換気で排出し、それから床を剥がす。
最初に運び出した最下層船倉の胴体と主翼は、キングエアC90のものだった。だが、同じ機体ものなのかは不明。
C90の次は、A100の胴体、続いてB200の胴体が続く。
胴体と主翼の組み合わせは、塗装から容易に判別できた。
胴体は2で、主翼は右翼が3、左翼が1だった。つまり、1機分の機体パーツしかない。
キングエアは、モデル90と100シリーズが多いが、モデル200シリーズもあるし、レシプロのクイーンエアやバロンもある。
ターボプロップ機のエンジンは使い潰してしまっていたが、ライカミングの空冷水平対向4気筒と6気筒は別途梱包されて積まれていた。
キングエアのモデル90と100シリーズならワルターM601でもパワーは十分だ。機体のレストアができれば、再び飛行できる。
飛行機の不足と同時に、パイロットも不足している。
だから、エリシアは乗機の割り当てを心配していない。
問題は、どれに乗れるか、だった。
4発輸送機ハーキュリーズのクルーは決まっている。
エンペラーエアは未定。
エリシアの第1希望はエンペラーエアで、第2希望はキングエアだ。
航空機工場はエンペラーエアの製造準備を開始するとともに、オリジナルのキングエアをレストアする作業を進める。
この機はモデルB100で、原型機よりもワルターM601のほうが少しパワーがある。
この時点では、何機を再生できるか、まったくわからなかった。
オリジナルのキングエアにワルターM601の取り付け作業が佳境になる頃、王冠湾から4基のPT6Aターボプロップエンジンと、燃料を満載したタンカーが到着する。
タンカーは小型貨物船を伴っていた。
貨物船は、同型エンジンをさらに4基積んでいる。
王冠湾の使者は、またしても物々交換を申し入れてきた。マハジャンガが何を持っているのか、探っているのだ。持ち物から何者なのかを探ろうとしている。
王冠湾から受け取った1000馬力級PT6Aは、キングエアのモデルB200に使う。
わかったことがある。
バンジェル島は、ターボプロップのPT6AとターボシャフトのPT6Cを製造している。
クフラックは、ターボプロップのワルターM601とターボシャフトのPT6Cの組み合わせ。
それ以外のターボエンジンは、ロールスロイス・ダートが少数製造されているだけ。ターボファンエンジンは製造されていない。
飛行機は貴重で、純新造機と準新造機は少ない。バンジェル島やクフラックでも、数百機もの保有はない。どちらも数十機だ。
当然だが、PW4000ターボファンエンジンを使う航空機を保有しているとすれば、交換用のエンジンが必要になる。
だから、王冠湾が同じ探りを入れてくると、マハジャンガは予測していた。そして、その通りになった。
マハジャンガ側は、同じ取り引きを持ちかけた。2基のPW4000ターボファンと4基のPT6Aターボプロップとの交換だ。
すると、王冠湾は渋った。今回は、代金を支払うと主張する。
マハジャンガ側は、簡単に了承した。
駆け引きのつもりだった王冠湾側が、慌てる。訪問団の末席に座っている若い男性が、声を発した。
「交換に応じてほしい。
つまらない駆け引きをした。
その点は率直に詫びる。
我々が用意できるもので、貴国が欲する産品があれば交易に応じる用意がある」
半田辰也からの情報で、バンジェル島にはジェット戦闘機があることがわかっている。
そのジェット機は、J3-3を搭載していることも伝えられていた。辰也にJ3-7を見せたところ「似ている。同じだと思う」との証言を得ている。
J3-7はP-2Jネプチューン対潜哨戒機の補助エンジンだが、P2-Jが83機も作られたことから、最下層船倉に40基も積まれていた。P-2JのターボプロップエンジンであるT64-IHI-10Eも同数ある。その他、取り外した部品も多数ある。
ただし、機体は完全なジャンク。
「J3-7を提供できる」
マハジャンガ側の接遇委員長が発言するが、王冠湾側の反応は薄かった。T64-IHI-10Eターボプロップエンジンも同数以上あるが、こちらを提案する意志はなかった。使い道が出てくる可能性があるからだ。
T56-A-14ターボプロップエンジンも最下層船倉に積まれていたが、こちらも手元に置いておきたい。
航空機関連物資の多くは各務原由来だが、いまとなっては再度の入手は不可能だ。
そして、直近でほしいのはPT6Aターボプロップエンジン。
隆太郎は会話を聞くだけに徹していたが、何となく王冠湾側の駆け引きに腹が立っていた。想定外の攻撃も一興かな、と考えた。
「バンジェル島には、大型の双発双胴輸送機があるそうですね。
その機をエンジンレスで、ターボファンと1対1の交換をしませんか?
機体は、中古でもかまいませんよ。
こちらも中古ですからね」
王冠湾側に反応があった。
「ボックスカー1機とターボファン1基との交換ですか?
それは、ちょっと……」
別の来訪者が発言する。若い女性だ。
「ターボファンが2基ならば……。
でも、機体は新品同然です」
隆太郎は引かなかった。
「新品同然の中古ですか?」
女性は凜としている。
「ダートは製造数が少なくて、ボックスカーは年間1機、どんなに多くても2機ほどしか製造していないのです。
装備するエンジンに目処がなく、2年前に製造した機体がモスボール状態で格納庫に眠っています。
用意したエンジンは中古で、オーバーホールを試みたところ、再生できる状態ではありませんでした。
なので、現在、売り先のない機体が1機あります。
大型輸送機の機体とエンジン2基の交換は、悪い取り引きではないと思うのです」
隆太郎は、PT6Aが必要なことを十分に承知していた。
「私たちは、クフラックにワルターM601を4基購入できないか打診するつもりです。
クフラックは、金貨での取り引きを了承してくれるので……。
ただ、PT6Aも必要なのです。
とりあえず4基。
大型輸送機の機体+PT6Aを4基。これと、PW4000を2基」
明確に等価ではない交換案だが、王冠湾側は「今日のお話を持ち帰って検討したい」と答えた。
過大な要求をして、こちらの希望をある程度通そうとしたのだが、その過大な要求を検討すると返したので、今度はマハジャンガ側が驚く。
翌日の交渉は順調に進んだ。
「ボックスカーの機体とPW4000ターボファン2基との交換。
PT6Aターボプロップ4基に関しては、代金をお支払いいただきたい。ただし、ボックスカーとターボプロップの輸送費は請求しない。
この条件でいかがか?」
マハジャンガ側は妥当と判断して、この交渉が成立した。
巨大移住船の積み荷がすべて降ろされると、今度は発電用と推進用のディーゼルエンジンや推進用の電動モーターの取り外しが始まる。
この巨大移住船自体が物資であり、資源なのだ。
最下層船倉には航空機関系だけでなく、鉄道車輌の電動モーターも積み込まれていた。ディーゼルエンジンやガスタービンと組み合わせれば、船舶用の動力として使える。
よく考えてのことか、偶然かはわからないが、誰も気にしていなかったバラスト代わりの最下層船倉は宝箱だった。
具体的な使い道があるアリソン250のターボシャフトではなく、ターボプロップが想定以上の数が積まれていた。T-5やT-7練習機用で、プロペラもあった。
しかも、雑な扱いではなく、適切に梱包されていた。
どうにか、生存していくための物資確保はできそうだが、農産物の確保も必要だった。
そのためには、未知の大陸であるレムリアに渡らなければならない。
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39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
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加藤あいは高校2年生。
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ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
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役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
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異世界で農業を -異世界編-
半道海豚
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地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。
そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。
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