200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち

半道海豚

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第10章

10-231 墜落機捜索

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 飛行艇US-1綾波の遭難は、すぐにはわからなかった。200万年前とは違い、航空機は常時管制されていないからだ。
 予定の時間から4時間経過しても到着しないことから、遭難の可能性が高まった。
 だが、飛行艇US-1綾波から「東アフリカ内陸海路が見える」との無線連絡があり、アフリカ東岸からそう遠くない位置まで飛行していたことがわかっている。
 北緯4度、東経30度付近で消息を絶った。200万年前ならば、南スーダンの南端付近。

 隆太郎は辰也と海斗を伴ってチャド湖南岸に飛び、救世主の地元権力者に会いに行った。
 救世主の社会は完成された階級制度で、階級が固定されている。つまり、貴族は永遠に貴族であり、平民はどれほど努力しても平民のまま。
 軍では、貴族は無条件に将校だが、平民は絶対に将校にはなれない。昇進しても下士官まで。
 マハジャンガには身分制度がない。
 これが、救世主には理解できない。彼らの思考は、純粋な血統=高貴な身分=優秀な人材=裕福になる権利、となる。
 フルギアやブルマンにも身分制度があるが、硬直したものではない。フルギアでは貴族の株を売り買いするし、ブルマンは家系図を古〈いにしえ〉の勇者につながるよう都合よく書き換えている。
 救世主社会は中世的であり、血統と権力を直接結びつけたがる傾向が強い。

 隆太郎が会おうとしている貴族の権力者には、マハジャンガの商人がすでに目通りしている。彼の何代か前の父方はベトナムからの避難者で、たどっていくと阮朝に連なる家系らしい。実際、彼の姓はグエンだった。
 で、彼は「我は阮朝の姻戚である」と名乗ったらしい。高貴な血筋と知った貴族の権力者は、遠方からの貴人と親しく会話したとか。
 隆太郎は祖父から「祖先は東北の農民だったらしい」と聞いたことがある。

「困ったぞ。
 ご先祖様に有名人がいない」
 隆太郎の呟きに、辰也と海斗は「うらやましい」と同時に答えていた。辰也と海斗が見合い、隆太郎がキョトンとする。
 場の気まずさは、半端なかった。辰也と海斗は互いに互いの秘密を知られたくなく、押し黙る。
 隆太郎は「委員長特別補佐の肩書きで押し切るかぁ」と腹を固める。
 この地域の権力者に了解を得ないと、遭難した飛行艇の捜索ができない。
 この交渉は一刻を争う。

 サリューは立ち入りが禁止されている格納庫に、見たことがない大型のヘリコプターがあることを知っていた。
 できれば、飛ばしてみたかった。だが、クルーに選ばれる確率は限りなく低い。

 そんな思いでいるサリューに、飛行場長から意外な声がかかった。
「試しに尋ねるのだが、前後にローターがあるヘリコプター、バートルを操縦した経験はある?」
 管制塔の前で声をかけられ、突然だったこともあり彼女は戸惑った。
「私はないけど、カイトはあるはず。シーナイトのことだよね。V-107とかCH-46とも……」
 飛行場長が少し考える。
「ちょっと一緒に来て」

 立ち入り禁止の格納庫は何棟かあるのだが、その1棟にはサリューが知っているシーナイトよりも大型のタンデムローターヘリコプターが整備されていた。
「これ?」
「ううん。違う。もっと小型……。
 これデカいね」
「CH-47チヌークだ。
 CH-46が飛ばせるなら、これもできそう?」
「違いが大きさだけなら、飛ばせると思うけど……。
 カイトに聞いてみないと……。
 もう1機、デッカくてかっこいいのあるよね」
「スーパースタリオンのこと?」
「名前も格好いいじゃん。
 クルーって決まっているの?」
「いいや」
「私は?」
「飛行長に話しておく」
「よろしくね」

 隆太郎が慌ただしく動いているのに、マハジャンガから海斗の帰還命令が出された。
 固定翼機のパイロットではない海斗1人では帰れないから、辰也が一緒になる。とすると、隆太郎が敵地のような救世主の土地に1人で残されてしまう。
 だが、隆太郎は「2人で戻れ。捜索に2人が必要なんだ。だから、帰還命令が出たんだ」と彼を心配する2人を諭す。

 マハジャンガでは、飛行艇の遭難が連日報道されている。4日過ぎたが、手がかりはない。

 救世主の土地の近くには行きたくないが、アラセリは捜索に志願する。
 彼女に命じられたことは意外な内容で、飛行訓練だった。

 アラセリは、上翼で細身の双発機を眺めている。飛行長が説明する。
「ダッシュ8だ。
 正式の名はDHC-8。
 50席クラスの旅客機だが、捜索のための物資と人員の輸送に使う。
 きみにこの機を飛ばしてほしい。キリヤに中継基地を設営するので、マハジャンガからキリヤまでがきみの担当になる」
 ビクトリア湖東岸のキリヤまでならば、アラセリに不安はない。

 アラセリは、2機の双発輸送機のクルーたちとブリーフィングを受けていた。
「機体はある。だが、エンジンがない。ダッシュ8とYS-11もそうだ。
 ダッシュ8のプラット・アンド・ホイットニー123Bはないし、YSのロールスロイス・ダートもない。どちらの機も海外の避難者が乗ってきたものだ。長年、旅客機として使われ、終着港が高知龍馬空港だった。
 エンジンは、だいぶ前に死んでいた。移住船に積んできた理由は、金属材料にできると考えたからだ。
 しかし、もう一度飛ばすことにした。金属再処理工場のチームが直した。
 エンジンは、P2-Jネプチューンのエンジンを改造して3493軸馬力のT64-IHI-10Jしてある。
 オリジナルのエンジンよりもパワーがある。
 綾波が消息を絶ったいま、飛べる機はすべて投入して捜索したい。
 短い訓練期間、少ない情報、危険な空域、容易な作戦じゃない。全力で任務についてほしいが、二重遭難だけは絶対にしないでくれ」

 アラセリは、飛行場でよく見かける少女の隣に座った。梨々香の子だと聞いたことがあるが、にわかには信じられない。梨々香と年齢差がなさ過ぎるからだ。
 この場に訓練生はいない。全員が正規のパイロット、航法士、航空機関士だ。第一線を退いて訓練生の指導にあたっている非正規乗員も集められている。
 隣の少女は、どう見ても訓練生どころか、訓練候補生にしか思えない。
 少女の反対隣の操縦教官が少女に声をかけた。
「サクラ、キリヤまでの輸送でもいいんだぞ」
「教官、大丈夫だよ。
 隆太郎の所まで飛んで、捜索に加わるよ。
 鏑木のおっちゃんを助けないと。
 教官こそ、無理しちゃダメだよ。
 居眠り飛行もダメだよ」
 委員長特別補佐を呼び捨てにすること自体驚きだが、もし彼の縁者なら理解できる。

 会話はこれだけだった。
 アラセリはイラついている。心の中で「人手不足だからって、子供まで投入しなくてもいいはず」と毒づいていた。

 ブリーフィングを終えてからふと気付く。「あの子か?
 梨々香の……。妹か娘かよくわからない幼い女の子……。
 あの子か。
 ずいぶんと、背が伸びたのだな」
 隆太郎と梨々香の縁者だとしても、捜索に加わるのは若すぎると感じた。
 しかし、彼女はすぐに考えを改める。
「いや、違うか。
 私が最初に飛んだのは、あの子と同じくらいの歳だった」
 小声なので誰も聞いていないはずだった。

 サクラがアラセリに声をかける。
「梨々香の友だちのアラセリさんだよね。
 私、サクラだよ。
 梨々香と一緒に住んでいる……」
 アラセリが驚く。
「そうだが……」
「アラセリさんも捜索に加わるの?」
「……」
「私は志願したんだ。
 梨々香の代わりだよ」
「梨々香はどうかしたのか?」
「大丈夫。元気だよ」
「では、なぜ……」
「内緒!」
 サクラがそう言って微笑むと、彼女は逃げるように走り去った。

「サクラ」
「教官!」
「大丈夫か?」
「もちろんだよ。
 梨々香の代役ってだけじゃない。
 鏑木のおっちゃんの役に立ちたいんだ」
「そうか」
「教官、質問していい?」
「いいよ。
 私が知っていることなんて、たいしてないけどね」
「ウソだね。
 教官って、結構偉いんでしょ」
「いや、それほどでもない」
「質問なんだけどさぁ、再生した飛行機ってどれだけあるの?」
「再生した組織が複数あるんだ。
 単純な修理、純粋なレストア、再生産に近いものまで、レベルはいろいろ」
「それでぇ?」
「飛行可能な状態で持ち込んだ大型機は、オライオンとネプチューン。
 ネプチューンは、高知で大幅な改修を受けていて、マハジャンガでも改造された」
「US-1は、金属再処理工場が再生を提案し、航空機工場が再生可能と確認した。
 だが、金属再処理工場は、US-1だけでは満足しなかった。
 連中は金属のことを熟知している。
 断裁されていても再組み立て可能だと判断した機体を元の姿に戻し始めたんだ。
 それを、裸島鉄工所の航空機部が支援した。電装系は、はりまや橋製作所が協力したんだ。
 結果、2機目のオライオン、YS-11、ダッシュ8(DHC-8)を再生した。
 どの機も航続距離の延長のための燃料タンク増設を行っている。
 例えばYS-11だが、再生したスーパーYSは、最大積載状態で1800キロ飛べる。
 2機目のオライオンは貨客機だけど、航続距離は哨戒機のまま。だから、とんでもなく長距離を飛べる。
 YS-11はもともと過剰なほど頑丈な機体だけど、我々のスーパーYSはさらに補強している。
 タフな輸送機だよ」
「新造以外の大型機は、オライオンが2機、ネプチューン、スーパーYS、ダッシュ8、そしてUS-1かぁ。
 じゃぁ、US-1は大事だよね」
「あぁ、大事だ」
「鏑木のおっちゃんはぁ」
「大事だ。
 大事じゃない生命はない」
「そうだよね。
 私も役に立てるよう、頑張るよ」

 サクラはポーターとともに、モザンビーク海峡とアフリカ東南部の南西方面哨戒任務に参加することになった。
 任務が決まると、遭難機の捜索に直接参加できない怒りを梨々香にぶつけた。
「やだよ!
 鏑木のおっちゃん、助けに行きたいよ!」
「だけど、哨戒任務は大事だよ。
 サクラが哨戒任務に参加すれば、飛行時間が長いパイロットが捜索任務に参加できるんだから」
「でも、流されちゃうヒトなんて滅多にいないよ。海岸付近は海流が速くないってこと、みんな知っているんだから」
「そうじゃなくて、未知の脅威があるかもしれないでしょ。
 サクラがセロを見つけたこと、忘れちゃった?」
「う~ん。
 でもぉ……」
「サクラが今度発見するものは、セロよりも危険かも知れないよ」
「そうかなぁ?」
「そんなことがないことを願っているけど、何があるのかわからないでしょ。
 この世界は」
「そうだね。
 わかったよ」

 サクラはマダガスカルにたどり着いて以来、初めて梨々香と遠く離れることになった。任地であるマダガスカル南部西岸の拠点に向かう。

 鏑木外交部副部長は、抑えがたい好奇心から探検に向かった4人をあまり心配していなかった。
 日没後も「どこかでキャンプしているだろう」と、不安は感じない。日没までに帰還できなければ、キャンプをすることは予定されていた。
 だが、出発の翌日の日没まで戻らないとなると、とてつもなく心配になる。

 だから、無線の使用を躊躇わなかった。不死の軍団に探知され、彼が捕縛されようとも、4人の捜索が優先すると判断する。

[マハジャンガ、マハジャンガ。
 ペラゴルニス、ペラゴルニス。
 応答せよ]
 応答はすぐにあった。
[ペラゴルニス?
 無事なのか]
[あぁ、鏑木だ]
[副部長?
 お怪我は?]
[踵が少し痛いだけ。
 怪我らしい怪我はしていないよ。
 全員無事だ]
[よかった]
[よくない。
 元気すぎる4人が、探検に行ったんだ。
 で、戻ってこない]
[……、遭難?]
[あり得るし、不死の軍団の捕虜になった可能性もある。
 捜索隊を派遣してほしい。
 現在の緯度経度を伝える。
 ちょっと待ってくれ。
 眼鏡をかける]
 鏑木外交部副部長が老眼鏡をポケットから出す。そして、カプランから渡されたメモを読み上げ、不時着した緯度経度を伝えた。

 隆太郎の焦燥感は強かった。辰也と海斗をマハジャンガに送り返してしまい、チャド湖南岸に1人留まっている。
 捜索のための拠点をチャド湖の周辺に置くため、救世主に協力を求めようとしていた矢先に、「全員生存。その後、4人行方不明」と知らされたからだ。
 だが、飛行機はない。隆太郎にはどうすることもできない。

「デカいね。
 シーナイトよりも確実にデカい」
 海斗は、滑走路から少し離れた硬質テント倉庫で、CH-47チヌークを見上げていた。
 飛行場の飛行長が海斗に質す。
「きみは、バートルを飛ばしたこと、本当にあるのか?」
「ありますよ。
 CH-46シーナイトなら。というか、2番目に飛ばしたヘリはシーナイトだった……。
 これ、飛ぶんですか?」
「機械的には正常だ。
 だけど、バートルを飛ばしたことがあるパイロットがいない」
「……?
 ということは?
 まさか、残骸から?」
「あぁ、金属再生工場が組み立てた。
 整備は我々がやった」
「エンジンは?」
「本来はT55-GA-714Aの双発なんだが、ないからT56-A-14に換装した。ターボプロップをターボシャフトに改造したんだ」
「機体は残骸の集成、エンジンはバッタモンですか?」
「あぁ、そうだ。
 飛ばせるか?」
「やってみましょう」
「助かる。
 こいつが飛べるなら、ヴィクトリア湖経由で遭難地点まで飛べる」
「……!
 マジで?」
「マジだ」

 CH-53Eスーパースタリオンは、再組み立ての終盤にあった。大型ヘリコプターが2機も就航できそうなことに、回転翼機の運用チームはかなり盛り上がっている。
 だが、テンダムローター機の操縦経験者がおらず、CH-47チヌークをどうするか、戸惑いがあった。
 だが、サリューの情報では、海斗が同系統のCH-46シーナイトの操縦経験があると。

 飛行場が静まりかえっている。
 ずいぶんと長い時間に感じる。
 タンデムローターの巨大なヘリコプターを見詰める誰もが、イラつき始める。
 イラつきが極限に達した頃、前後のローターが同時にゆっくりと回転し始める。

 海斗はすべてを1人でこなしている。エンジンを始動したら、爆発するかもしれない。
 浮かび上がっても、すぐ落下するかもしれない。
 ローターがちぎれ飛ぶ可能性だってある。
 だから、1人ですべてを行うことにする。サリューが泣いて止めたが、海斗が翻意することはなかった。

 前後のローターが完全に同期し、回転が安定すると、海斗は前進上昇に移る。
 機体を前傾させて、まっすぐ2000メートル飛び、滑走路端から500メートル手前で着地した。
[こいつ、飛べるぞ]
 サリューは、スピーカーから海斗の声を聞いた。
 そして、ローターの回転が速くなる。
 チヌークが再度の前進上昇を始める。
 そして、飛行場を1周して、何事もなく最初の離陸場所に着陸した。
 ローターが止まると、このヘリコプターの再組み立てに関係した全員が走り寄る。そして、徹底的な調査が始まる。
 その中にはサリューもいた。

「飛びますよ。
 大丈夫です」
 海斗が言い切り、住民委員会の面々が狼狽える。
「花山さん、確信はあるの?
 その根拠は?」
「根拠かぁ。
 それは難しいですね。
 動かしたらわかるんです。生命がかかっているんで……。
 何というか、ある種のカンですけどね」
「カン?
 根拠はカン?」
「えぇ、何となくわかるんですよ。
 いけるか、いけないか。
 安全か、危険か。
 違和感でしょうかね」
「それが、ないの?」
「えぇ、ないです。
 あの機には……。
 捜索に使えますよ」

 海斗がローターが前後にある異形で巨大なヘリコプターを飛行させたことは、報道によって、マハジャンガで広く知られる。
 
 飛行場に精霊族の老人が数人の若者に支えられて現れた。精霊族の年齢はヒトには見分けにくいが、その老人は杖を使い明らかに高齢であることがわかる風体だった。
 精霊族の老人は、何歳であるのかヒトには想像さえできない。

「ハナヤマ様……。
 お初にお目通りいたします。
 無礼は承知いたしております」
 ピストに戻る途中で声をかけられる。近くに半田辰也とアラセリがいる。
 3人が立ち止まる。
「花山ですが……」
「ご祖母様の面影がございます」
 海斗が構える。彼にとっては、祖父母にいい感情はない。祖父には特別の感情がある。
 老人が話し出す。
「私は齢95になります。
 若かりし頃、ヒトの言葉を解するという理由だけで、通訳に任じられました。
 私の種族では、破格のお役目でした。
 そして、何度もバンジェル島の戦女神様と我々の将軍との会談に同席させていただきました。
 ハナヤマ様との会談は多ございました」
 花山真弓を知る老人が、海斗に何を言いたいのかわからない。
「はぁ?」
 海斗の抜けた声音を、老人は無視する。
「精霊族は、聖十二使徒に2人のヒトを列しております。
 ハンダ・ハヤト聖下……。
 コウノギ・ケイイチロウ聖下……」
 そのことは、海斗も知っている。別名、ほら吹きケイイチロウ。
「祖父が何か?」

 アラセリが驚く。
「カイトが、コウノギ・ケイイチロウの孫?
 本当?」
 半田辰也は、明らかに絶句している。
「マジか?」

 老人は、海斗に促されてベンチに座る。座る際、2人の若者が介助する。
 海斗は立ったまま。早く立ち去りたいからだ。
「お役目で、コウノギ聖下にも何度もお目にかかりました。
 ハナヤマ閣下は重厚なお方でした。一軍を率いる武将の貫禄がございました。
 対して、コウノギ聖下は親しみやすいお方で……」
「軽い、ってことですね」
「何と申しますか……。
 お言葉の意味はわかるのです。しかし、突拍子のない内容で……。
 想像さえできないような大事を、朝の散歩のように説明なさるのです。でも、計画は緻密で隙がまったくない……。
 高位の精霊族でさえ、遠く及ばぬものでございました。当時の我々の指導層は、ヒトはいい加減な生き物と侮っていたのですが、コウノギ聖下に触れて、その考えを改めました。
 恐ろしいのはその先です。
 コウノギ聖下は、絵空事とも思える遠大な計画を実行されたのです。
 しかも完遂され、多くの精霊族が救われました。
 だから、聖十二使徒に列せられたのです。
 当時を知るものとして、どうしてもお礼を申し上げたかったのです。
 直系であろうご子孫が近くにおられるのに、ご挨拶せずにはいられなかったのです。
 どうか、お許しください」
「いや。
 俺がしたんじゃないし……」

 気が付くとカプランが近くにいた。
「ハナヤマ・マユミの孫か?
 ならば、ハナヤマ・タケアキの?」
「花山健昭は、俺の叔父だ」
「ハナヤマ・タケアキは北部レムリアでは崇拝の対象。
 その事実だけで、即日、総裁と目通りできるぞ。
 俺は、ヒトの血が混じっているし、中南部の丸耳族の血も引いているから、おまえに跪いたりしないけど……」

 海斗はウンザリ顔。
 半田辰也がニタニタ顔。
 アラセリは当惑顔。

 花山海斗の出自が明かされた。
 飛行場にいるヒトの大半は、精霊族の老人とカプランの反応を理解できずにいた。
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