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第一章
真打?
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マリエと殿下が、大ゲンカを始めたのを横目に見ながら、帰ろうと思った。
ここにいる必要はない。二度と来ることもないだろう。
そう思いながら、振り返ると、驚くほど近くに算術師がいた。
ちょっと、体がびくってしてしまった。
「アリティ様」
「はい?」
すごくびっくりはしたものの、しっかりと返事をした。
「私と結婚してください」
「……はい?」
「よかった!では」
満面の笑みで、私の手を取り、抱き寄せようとする算術師を、両手で阻止しながら叫んだ。
「ちょ、ちょ!その、はいじゃない!待ちなさい!」
「身分は大丈夫です。私は殿下の従兄弟ですので」
今気にしなきゃいけないのは、身分とかじゃない!
「知ってるけど、待ちなさいって!」
理知的な青い瞳が覗き込むように、目の前に現れる。
「先ほどの、麗しい姿に一目ぼれしてしまいました。しかも、大変優秀だ。手に入れたいと考えても無理のない話でしょう?殿下との婚約のお話もなくなったようですし、私と結婚しましょう。私には特にしがらみもないので楽ですよ?さあ、行きましょう」
「どこに!?ってか、あんた公爵でしょ!?どこがしがらみがないって…・・・どこ触ってるの!」
すでに、言葉を繕うこともできず、不埒な手を叩き落としてしまった。
そんな抵抗をものともせずに、するんと、腰を抱き寄せられてしまう。
「もう爵位も継いでるし、地位も権力も持ってるから。結婚にあと必要なのは既成事実くらいですね」
「ちょーっ!抱き上げないで!止めなさい!ディシー・・・」
近くにいた近衛に助けを求めようとすれば、
「おっと、もう他の男の名前を呼ぶ気ですか?潰しますよ?」
低い声が耳元で囁いた。
冗談っぽくない、真面目な声で。
「怖いこと言わないで!無理――!」
マジ泣きすれば、「どうしよう、そんな顔も可愛いなんて」と、気持ち悪いことをつぶやいていた。
危ないやつがいる!
「大丈夫です。しっかりと、愛しつくしましょう。声も出ないほどにどろどろに」
開き直った!
って、本当に無理だからっ……!
「いやあああぁ」
腰を抱きかかえられたまま、私は殿下の私室を後にした。
ここにいる必要はない。二度と来ることもないだろう。
そう思いながら、振り返ると、驚くほど近くに算術師がいた。
ちょっと、体がびくってしてしまった。
「アリティ様」
「はい?」
すごくびっくりはしたものの、しっかりと返事をした。
「私と結婚してください」
「……はい?」
「よかった!では」
満面の笑みで、私の手を取り、抱き寄せようとする算術師を、両手で阻止しながら叫んだ。
「ちょ、ちょ!その、はいじゃない!待ちなさい!」
「身分は大丈夫です。私は殿下の従兄弟ですので」
今気にしなきゃいけないのは、身分とかじゃない!
「知ってるけど、待ちなさいって!」
理知的な青い瞳が覗き込むように、目の前に現れる。
「先ほどの、麗しい姿に一目ぼれしてしまいました。しかも、大変優秀だ。手に入れたいと考えても無理のない話でしょう?殿下との婚約のお話もなくなったようですし、私と結婚しましょう。私には特にしがらみもないので楽ですよ?さあ、行きましょう」
「どこに!?ってか、あんた公爵でしょ!?どこがしがらみがないって…・・・どこ触ってるの!」
すでに、言葉を繕うこともできず、不埒な手を叩き落としてしまった。
そんな抵抗をものともせずに、するんと、腰を抱き寄せられてしまう。
「もう爵位も継いでるし、地位も権力も持ってるから。結婚にあと必要なのは既成事実くらいですね」
「ちょーっ!抱き上げないで!止めなさい!ディシー・・・」
近くにいた近衛に助けを求めようとすれば、
「おっと、もう他の男の名前を呼ぶ気ですか?潰しますよ?」
低い声が耳元で囁いた。
冗談っぽくない、真面目な声で。
「怖いこと言わないで!無理――!」
マジ泣きすれば、「どうしよう、そんな顔も可愛いなんて」と、気持ち悪いことをつぶやいていた。
危ないやつがいる!
「大丈夫です。しっかりと、愛しつくしましょう。声も出ないほどにどろどろに」
開き直った!
って、本当に無理だからっ……!
「いやあああぁ」
腰を抱きかかえられたまま、私は殿下の私室を後にした。
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