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第二章
魔術師・シア
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「アリティ?何をしているのです?」
いつから呼び捨てですかね。
思わず睨み付けてから、自分の手元に視線を戻す。
「何って、侍女を下がらせたので、給仕をしているのですわ」
「いえ、その大量のマカロンは・・・」
「あら、閣下も召し上がります?」
最後の一つだけ、閣下の皿に落として、自分のケーキを取り分ける。
「・・・シア、マカロンが好きなのかい?」
呆れたような口調でシアに問いかける閣下。
シアは、びっくりしたような顔をして、自分の皿を見ていた。
「え?シア、マカロン好きでしょう?というか、可愛いお菓子全部」
「……………はい」
小さな声が聞こえた。
じゃあ、いいじゃない。何も問題ないわ。
ディシールは泣かせてしまったけれど、別に、いじめたいわけじゃないのよ。
自分のケーキを取り分けて、口に入れると、ほろほろと口に解けていって、絶品だった。
「あの、どうして私が菓子が好きだと・・・」
隣から小さな声が聞こえた。
折角皿に入れてあげたマカロンが、手つかずのまま放置されている。
「シア、遠慮しなくていいのよ。ディシールは食べないし、どうせ余るんだから。いつもは侍女に頼んでも、一つくらいしか入れてくれないでしょう?いつも私がごそっと入れようと思っていたのよ」
シアは、ほとんど話さない。
魔術師の言葉には言霊が宿るらしいので、魔力の強いシアは、なかなか言葉が出てこない。
言ってもいい言葉かどうか、頭の中で反芻してから言葉にするので、会話がゆっくりしかできない。
そのため、時の流れとともに、会話が億劫になっていったようなので、仕方がないのだが。
お茶会でも、欲しいものくらい言ってもいいのに。恥ずかしさもあるのか、お菓子を一つもらって食べている姿がよく見られた。
だが、そこで私が出ていったら、いじめだ。嫌がらせだ。
恥ずかしがっている相手に、好きなんだろ、もっと食べろと言うなんて。
羞恥プレイにもほどがある。
だから、こんな人がいないところぐらいでないとできない。
隣を見ると、俯けていた顔を上げまで、ディシールも驚いていた。
「オレも知らなかったぞ、そんなこと」
「魔術師は、甘味を好むのよ。回復薬・・・魔力を回復させるから。シアは、甘いだけでなく、さらに可愛らしいものが好きなようだけれど」
何をそんなに驚いているのかと、呆然としているように見えるシアにもう一度視線を移して・・・・・・気が付いた。
男性3人が、驚いていた理由が分かった。
「……申し訳ありません。行儀の悪い真似をいたしました」
マナー違反にもほどがある。
なんだ、山盛りの菓子って。
食べる分だけ取って、おかわりならば、その都度すればいい。
全て確保しておくなどと、貴族がすることではない。
卑しいと言われても仕方がない行動だ。
いつから呼び捨てですかね。
思わず睨み付けてから、自分の手元に視線を戻す。
「何って、侍女を下がらせたので、給仕をしているのですわ」
「いえ、その大量のマカロンは・・・」
「あら、閣下も召し上がります?」
最後の一つだけ、閣下の皿に落として、自分のケーキを取り分ける。
「・・・シア、マカロンが好きなのかい?」
呆れたような口調でシアに問いかける閣下。
シアは、びっくりしたような顔をして、自分の皿を見ていた。
「え?シア、マカロン好きでしょう?というか、可愛いお菓子全部」
「……………はい」
小さな声が聞こえた。
じゃあ、いいじゃない。何も問題ないわ。
ディシールは泣かせてしまったけれど、別に、いじめたいわけじゃないのよ。
自分のケーキを取り分けて、口に入れると、ほろほろと口に解けていって、絶品だった。
「あの、どうして私が菓子が好きだと・・・」
隣から小さな声が聞こえた。
折角皿に入れてあげたマカロンが、手つかずのまま放置されている。
「シア、遠慮しなくていいのよ。ディシールは食べないし、どうせ余るんだから。いつもは侍女に頼んでも、一つくらいしか入れてくれないでしょう?いつも私がごそっと入れようと思っていたのよ」
シアは、ほとんど話さない。
魔術師の言葉には言霊が宿るらしいので、魔力の強いシアは、なかなか言葉が出てこない。
言ってもいい言葉かどうか、頭の中で反芻してから言葉にするので、会話がゆっくりしかできない。
そのため、時の流れとともに、会話が億劫になっていったようなので、仕方がないのだが。
お茶会でも、欲しいものくらい言ってもいいのに。恥ずかしさもあるのか、お菓子を一つもらって食べている姿がよく見られた。
だが、そこで私が出ていったら、いじめだ。嫌がらせだ。
恥ずかしがっている相手に、好きなんだろ、もっと食べろと言うなんて。
羞恥プレイにもほどがある。
だから、こんな人がいないところぐらいでないとできない。
隣を見ると、俯けていた顔を上げまで、ディシールも驚いていた。
「オレも知らなかったぞ、そんなこと」
「魔術師は、甘味を好むのよ。回復薬・・・魔力を回復させるから。シアは、甘いだけでなく、さらに可愛らしいものが好きなようだけれど」
何をそんなに驚いているのかと、呆然としているように見えるシアにもう一度視線を移して・・・・・・気が付いた。
男性3人が、驚いていた理由が分かった。
「……申し訳ありません。行儀の悪い真似をいたしました」
マナー違反にもほどがある。
なんだ、山盛りの菓子って。
食べる分だけ取って、おかわりならば、その都度すればいい。
全て確保しておくなどと、貴族がすることではない。
卑しいと言われても仕方がない行動だ。
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