どちらと結婚するのですか

ざっく

文字の大きさ
15 / 35
第二章

魔術師・シア

しおりを挟む
 「アリティ?何をしているのです?」
 いつから呼び捨てですかね。
 思わず睨み付けてから、自分の手元に視線を戻す。
 「何って、侍女を下がらせたので、給仕をしているのですわ」
 「いえ、その大量のマカロンは・・・」
 「あら、閣下も召し上がります?」
 最後の一つだけ、閣下の皿に落として、自分のケーキを取り分ける。

 「・・・シア、マカロンが好きなのかい?」

 呆れたような口調でシアに問いかける閣下。
シアは、びっくりしたような顔をして、自分の皿を見ていた。
 「え?シア、マカロン好きでしょう?というか、可愛いお菓子全部」
 「……………はい」
 小さな声が聞こえた。
 じゃあ、いいじゃない。何も問題ないわ。
 ディシールは泣かせてしまったけれど、別に、いじめたいわけじゃないのよ。

 自分のケーキを取り分けて、口に入れると、ほろほろと口に解けていって、絶品だった。
 「あの、どうして私が菓子が好きだと・・・」
 隣から小さな声が聞こえた。
 折角皿に入れてあげたマカロンが、手つかずのまま放置されている。
 「シア、遠慮しなくていいのよ。ディシールは食べないし、どうせ余るんだから。いつもは侍女に頼んでも、一つくらいしか入れてくれないでしょう?いつも私がごそっと入れようと思っていたのよ」
 シアは、ほとんど話さない。
 魔術師の言葉には言霊が宿るらしいので、魔力の強いシアは、なかなか言葉が出てこない。
言ってもいい言葉かどうか、頭の中で反芻してから言葉にするので、会話がゆっくりしかできない。
そのため、時の流れとともに、会話が億劫になっていったようなので、仕方がないのだが。
 お茶会でも、欲しいものくらい言ってもいいのに。恥ずかしさもあるのか、お菓子を一つもらって食べている姿がよく見られた。
 だが、そこで私が出ていったら、いじめだ。嫌がらせだ。
 恥ずかしがっている相手に、好きなんだろ、もっと食べろと言うなんて。
 羞恥プレイにもほどがある。

だから、こんな人がいないところぐらいでないとできない。
 隣を見ると、俯けていた顔を上げまで、ディシールも驚いていた。
 「オレも知らなかったぞ、そんなこと」
 「魔術師は、甘味を好むのよ。回復薬・・・魔力を回復させるから。シアは、甘いだけでなく、さらに可愛らしいものが好きなようだけれど」
 何をそんなに驚いているのかと、呆然としているように見えるシアにもう一度視線を移して・・・・・・気が付いた。
 男性3人が、驚いていた理由が分かった。
 「……申し訳ありません。行儀の悪い真似をいたしました」
 マナー違反にもほどがある。
 なんだ、山盛りの菓子って。
 食べる分だけ取って、おかわりならば、その都度すればいい。
 全て確保しておくなどと、貴族がすることではない。

 卑しいと言われても仕方がない行動だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた

黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」 幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

処理中です...