霞んだ景色の中で

ざっく

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西田浩一の視界

多分、待ち伏せ?

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 部室では、顧問から見た相手側の強さや、気を付けるべき点や弱点と思われる場所を出した後、部員それぞれが感じたことを言い合う。
 「そういえば、西田は途中どうしたんだ?」
 部長が余計なことを言ったせいで、浩一の試合前の行動に疑問が集まった。
 「ちょっと眩暈がしただけです。それで、集中しようと思って、試合前に時間をかけました」
 まあ、嘘ではない。
 後輩からの『眩暈がしながらの、あの足運びですか!』という賛辞が痛いが。
 「そうか、まあ、明日は休みにするし、ゆっくり休めよ」
 「はい」
 顧問に労わりの言葉までいただいて、良心がじくじく痛む。
 それもあって、いつもよりも早めにミーティングは終了した。

 外を見ると、ぱらぱらと、女子生徒はいるものの、相川は見当たらない。
 ・・・・・・すでに、絆創膏などなくても見つけられるようになっている自分に気がつく。
 あの小さな背格好は見つけやすいんだ。
 誰に言うでもない言い訳をしながら着替えながら、部室から見える昇降口に目を向けると、相川が、いた。
 どうしようか、迷うようにうろうろしているように見える。

 やばい、帰ってしまいそうだ。

 「お先に失礼します!」
 「おい、鞄!?」
 後ろから声が聞こえた。
 ああ、くそ。鞄を忘れたが、後から取りに戻ればいい。
 折角声をかけてくれた部員の声を無視して、昇降口まで走った。

 ようやく昇降口が見えたが、――――いない。
 帰ってしまったのか。
 「はあ…っ、くそっ」
 息を吐いて、往生際悪く、外まで出たが、姿は見えない。

 「相川・・・っ」

 誰にも聞かれたくない、縋り付くような声で呼んでしまったところで・・・、

 「ひゃ・・・っ!は、はい!?」

 返事が来た。
 ・・・・・・嘘だろう?

「・・・・・・なんで分かったんですか~」

 植込みのそばでこけている相川を発見した。
 なんで分かったも何も・・・・・・かくれんぼか?
 「何してるんだ、そんなとこで」
 浩一としては、こけた理由を聞いたつもりだったが、相川は立ち上がりながら、顔を伏せたまま、
 「ま、待ち伏せ・・・・・・?」
 なんとも曖昧な答えを返してきた。
 あれだけのひどいことを言ってしまったのに、まだ待ち伏せしてくれる気があるのかと、呆然としながら見ながら、気がついた。
 浩一のことではないかもしれない。
 ひょいっと、別の奴に気持ちが移ってしまったのかも……。
 試合中のあの視線を浴びていても、不安が残り、確認せずにはいられなかった。
 「誰を」
 聞いた瞬間、相川は泣きそうに顔を歪めたまま、上目づかいで睨んできた。
 「うう~~~」
 ううって言いたいのはこっちだ。なんてかわいい顔をするんだ。
 「……そうか」
 涙目の上目遣いは多用してはならんと教えなければいけない。
 どうしよう、ものすごく嬉しい。
 落ち着くために、一息ついた。
 「荷物取ってくるから待ってて。一緒に帰ろう」
 一方的に告げて、さっき走って出てきた部室へ戻った。
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