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西田浩一の視界
しまった、かわいい
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「あ、やっぱ戻ってきた!鞄とかふつう忘れるかあ?」
部室に入ると、すぐに持って帰れる状態の鞄が、扉近くに待機させられていた。
「ああ、悪い。ありがとう」
ひょいと鞄を抱えると、囃し立てる部員を相手にせずに、急いで昇降口に戻った。
廊下から、相川が手を振りまわしたり、足踏みしたりとじたばたしている姿が見えた。
近づくと、真っ赤になった耳が見えた。
知らず、頬が緩んだ。
相手が慌てすぎていたり、真っ赤になっていたりすると、逆に冷静になれるなと思った。
「何してるんだ?」
「えっ!?いえっ、何も」
笑いを含んでしまった声で呼びかけると、相川がぴょんと飛び上がって驚いていた。
ああ、こうやって驚くやつって、本当にいるんだなあと、変なことで感心してしまった。
相川を促して、自転車置き場へ向かおうとしたとき、聞きたくない声が耳に届いた。
「西田!?お、お前・・・!こっ、こんな・・・・・・」
面倒くさいのが来た。
嫌だと顔面に表わして振り返っても、気にすることなく、相川を指さしている。
指をさされていることを不快に思っているだろうと相川に目を向けると、相川は唇をかんで、苦しそうな顔をしていた。
「相川、どうした?」
急に体調不良だろうか。部長のせいだということの確立が高いが、もしも体調が悪いならば、先に保健室に連れていってから帰ろうと思って、顔色をしっかり見ようと、俯いた相川の顔をしたから覗き込んだ。
「ふえっ・・・!?」
自分はどうして、こう考えなしなんだろう。
そりゃあ、驚くよな。
驚きすぎて後ろに傾いでいく相川を片手でつかんで、軽く立たせてやった。
目をぱちくりさせながら、掴まれた腕を見ていた相川が、ゆっくり、浩一の顔へ視線を動かし、また真っ赤に染まった。
・・・・・・かわいい。
今日何度目かの感想を抱くと同時に、
「こんなっ!こんなかわいい子が何でお前なんだ~~!」
「―――うるさいですよ!お先に失礼します!」
心の中を読まれたようで、反射的に返事をして、相川を引っ張ったまま、自転車置き場へ向かった。
恥ずかしさで、相川のことを気遣いもせずに引っ張って自転車置き場まで来たことに気がついたのは、自転車を取り出そうと。相川の手を放した時だった。
どうして、自分はこうなんだ・・・・・・。
今まで、女の子の扱いというものを全く学んでこなかった自分を恨めしく思う。
自転車を出して乗れる状態になっても、最初の時のように無邪気に寄ってきてはくれない。
さすがに、今の態度は無かったか。
「相川、どうした。歩いて帰るか?」
諦めて、声をかけると、思っていた状態とは全く別のことに頭が占められていたらしい。
「か、かわいいと言われました・・・!」
非常に驚いていた。
両手を頬にあてて、顔をほんのり染めて嬉しそうにしているのが、かわいいけれど、浩一の言葉で染まった色ではないことがおもしろくない。
「ああ、かわいいよ。帰ろうか?」
だから、何でもないように、同じ言葉を言ってあら、さっさと歩きだした。
ぱたぱたぱたっと、軽い足音がして、相川が浩一に追いついてきた。
「かわいい?かわいいですか、私?」
真っ赤な顔で、一生懸命聞いてくるのだから、困る。
「ああ。・・・そう聞かれて頷くのは結構てれるんだが」
正直に言えば、肯定した言葉しか聞こえていないのか、とろけるような笑みを浮かべて、「嬉しい」とつぶやいていた。
「気持ち悪がられているかと思っていました」
唐突に言われた言葉に、理解ができなかった。
気持ち悪い?何が?
ぽかんと、相川の顔を眺めれば、照れたような顔で、驚くようなことを言われた。
「迷惑って言われたし、その前に、部長さん?から、『こんなの』って言われていたので、『こんなの』から、手作りのもの貰うなんて気持ち悪いかもしれないと思ってて」
包み紙を隠したのはそれか!
―――よし、部長。明日ぶん殴る。
部室に入ると、すぐに持って帰れる状態の鞄が、扉近くに待機させられていた。
「ああ、悪い。ありがとう」
ひょいと鞄を抱えると、囃し立てる部員を相手にせずに、急いで昇降口に戻った。
廊下から、相川が手を振りまわしたり、足踏みしたりとじたばたしている姿が見えた。
近づくと、真っ赤になった耳が見えた。
知らず、頬が緩んだ。
相手が慌てすぎていたり、真っ赤になっていたりすると、逆に冷静になれるなと思った。
「何してるんだ?」
「えっ!?いえっ、何も」
笑いを含んでしまった声で呼びかけると、相川がぴょんと飛び上がって驚いていた。
ああ、こうやって驚くやつって、本当にいるんだなあと、変なことで感心してしまった。
相川を促して、自転車置き場へ向かおうとしたとき、聞きたくない声が耳に届いた。
「西田!?お、お前・・・!こっ、こんな・・・・・・」
面倒くさいのが来た。
嫌だと顔面に表わして振り返っても、気にすることなく、相川を指さしている。
指をさされていることを不快に思っているだろうと相川に目を向けると、相川は唇をかんで、苦しそうな顔をしていた。
「相川、どうした?」
急に体調不良だろうか。部長のせいだということの確立が高いが、もしも体調が悪いならば、先に保健室に連れていってから帰ろうと思って、顔色をしっかり見ようと、俯いた相川の顔をしたから覗き込んだ。
「ふえっ・・・!?」
自分はどうして、こう考えなしなんだろう。
そりゃあ、驚くよな。
驚きすぎて後ろに傾いでいく相川を片手でつかんで、軽く立たせてやった。
目をぱちくりさせながら、掴まれた腕を見ていた相川が、ゆっくり、浩一の顔へ視線を動かし、また真っ赤に染まった。
・・・・・・かわいい。
今日何度目かの感想を抱くと同時に、
「こんなっ!こんなかわいい子が何でお前なんだ~~!」
「―――うるさいですよ!お先に失礼します!」
心の中を読まれたようで、反射的に返事をして、相川を引っ張ったまま、自転車置き場へ向かった。
恥ずかしさで、相川のことを気遣いもせずに引っ張って自転車置き場まで来たことに気がついたのは、自転車を取り出そうと。相川の手を放した時だった。
どうして、自分はこうなんだ・・・・・・。
今まで、女の子の扱いというものを全く学んでこなかった自分を恨めしく思う。
自転車を出して乗れる状態になっても、最初の時のように無邪気に寄ってきてはくれない。
さすがに、今の態度は無かったか。
「相川、どうした。歩いて帰るか?」
諦めて、声をかけると、思っていた状態とは全く別のことに頭が占められていたらしい。
「か、かわいいと言われました・・・!」
非常に驚いていた。
両手を頬にあてて、顔をほんのり染めて嬉しそうにしているのが、かわいいけれど、浩一の言葉で染まった色ではないことがおもしろくない。
「ああ、かわいいよ。帰ろうか?」
だから、何でもないように、同じ言葉を言ってあら、さっさと歩きだした。
ぱたぱたぱたっと、軽い足音がして、相川が浩一に追いついてきた。
「かわいい?かわいいですか、私?」
真っ赤な顔で、一生懸命聞いてくるのだから、困る。
「ああ。・・・そう聞かれて頷くのは結構てれるんだが」
正直に言えば、肯定した言葉しか聞こえていないのか、とろけるような笑みを浮かべて、「嬉しい」とつぶやいていた。
「気持ち悪がられているかと思っていました」
唐突に言われた言葉に、理解ができなかった。
気持ち悪い?何が?
ぽかんと、相川の顔を眺めれば、照れたような顔で、驚くようなことを言われた。
「迷惑って言われたし、その前に、部長さん?から、『こんなの』って言われていたので、『こんなの』から、手作りのもの貰うなんて気持ち悪いかもしれないと思ってて」
包み紙を隠したのはそれか!
―――よし、部長。明日ぶん殴る。
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