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西田浩一の視界
公園
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それよりも、自分の失態を取り戻さねばと思い、公園に誘った。
しっかりと目を見て話したい。
相川は戸惑っているようだったが、
「西田先輩のお話聞くのは大丈夫です。私の話をするかどうか検討中で」
そんな、返答が返ってきた。
「そうなのか?それは気になるな」
検討中だという言い方に、思わず笑った。
なんの話をしようとしているのか、随分悩んでいるような相川を誘導しながら公園へ入った。
自転車を停めても、まだ悩んでいる様子の相川の手をつかんで、ベンチへ連れていって肩を押さえて座らせた。
少し力をこめるだけで、その通りに素直に動くから面白い。
ベンチの真ん中に相川を座らせて、その真ん前にしゃがみこんだ。
隣に座ると、いまいち表情が見えにくくて、話しにくい。
こんな体制をとると思っていなかったようで、相川が驚いたような表情をした後に、急に嬉しそうになった。
なんで嬉しそうなんだ?
相川の思考回路はよく分からないなと思いながら、まず気になっていたことから謝ろうと思う。
「改めて。月曜日、悪かったな。荒垣の待ち伏せかと思ったんだ。俺とは思わなかった」
「こちらこそ、すみません。私も何も言わなかったから・・・この間は、お礼をしようと思ったんです」
浩一の言葉に、目を見開いてから、納得したように頷きながら相川が答える。
しかし、次は浩一が首を傾げる番だった。
「お礼?何の?」
「眼鏡が壊れた時、家まで送ってくれたじゃないですか」
ぷくっとほっぺたが膨らんだ。これは、つついてもいいやつだろうか。
「……いや、あの後全くそういうの無かっただろ。しょっちゅう部活に来てたのに」
苦笑いしながら言えば、相川は、浩一に全く気がつかれていないと思っていたらしい。
そんなばかな。
あんな目立つ見た目であり得ないだろう。
「声かけようとしたら、全速力で逃げられたなあ。なるほど、隠れてたのか」
なるほどと思いながら、確認で口にしただけだったのだが、責められていると感じたのか、縮こまってしまった。
「なんでこそこそする必要があったんだ?すぐ来ればいいのに」
当然の疑問を投げかければ、当たり前ともいえる答えが返ってきた。
「だって、大きな絆創膏ついてたし、変なメガネだったし」
「まあ、ケガをしたし、眼鏡だって割れたしな?」
だからこそ、目立っていたのだが。そこには思い至らないわけか。
「絆創膏が取れて、眼鏡もきれいになって、少しでもかわいくなってから、ご挨拶に伺おうかと・・・」
なんとも、かわいらしい答えが返ってきた。
浩一に絆創膏姿を見られたくないから、取れるまでは、隠れていたということか。
あの、ダッシュで逃げられていたのは、相川が言うには『隠れていた』ということなのだろう。
何度か目が合ったとも思うのだが、それは気のせいで済まされているのか。
『人違いです』と言って走り去った相川を思い出した。
ってことは、本気であれは、あれで誤魔化せたと思っていたということか。
「ああ、なるほど」
昇降口で待ってくれていたとき、きれいにして・・・コンタクトまでつけてきたのは、浩一のためだったということか。
思わず、頬が緩んでしまった。
だらけた顔になってしまったと、表情を正せば、相川は両手で顔を覆って、耳まで真っ赤になってしまっていた。
その真っ赤な顔がしっかりと見たくて、意識せずに手を伸ばした。
相川の両手を握りこんで、顔の前から手を退かせると、思った以上に真っ赤な、涙目の相川の顔が現れた。
ぽかんと、こちらを見る相川の目を見て、気がついた。
―――なんてことしてやがる、俺。
しっかりと目を見て話したい。
相川は戸惑っているようだったが、
「西田先輩のお話聞くのは大丈夫です。私の話をするかどうか検討中で」
そんな、返答が返ってきた。
「そうなのか?それは気になるな」
検討中だという言い方に、思わず笑った。
なんの話をしようとしているのか、随分悩んでいるような相川を誘導しながら公園へ入った。
自転車を停めても、まだ悩んでいる様子の相川の手をつかんで、ベンチへ連れていって肩を押さえて座らせた。
少し力をこめるだけで、その通りに素直に動くから面白い。
ベンチの真ん中に相川を座らせて、その真ん前にしゃがみこんだ。
隣に座ると、いまいち表情が見えにくくて、話しにくい。
こんな体制をとると思っていなかったようで、相川が驚いたような表情をした後に、急に嬉しそうになった。
なんで嬉しそうなんだ?
相川の思考回路はよく分からないなと思いながら、まず気になっていたことから謝ろうと思う。
「改めて。月曜日、悪かったな。荒垣の待ち伏せかと思ったんだ。俺とは思わなかった」
「こちらこそ、すみません。私も何も言わなかったから・・・この間は、お礼をしようと思ったんです」
浩一の言葉に、目を見開いてから、納得したように頷きながら相川が答える。
しかし、次は浩一が首を傾げる番だった。
「お礼?何の?」
「眼鏡が壊れた時、家まで送ってくれたじゃないですか」
ぷくっとほっぺたが膨らんだ。これは、つついてもいいやつだろうか。
「……いや、あの後全くそういうの無かっただろ。しょっちゅう部活に来てたのに」
苦笑いしながら言えば、相川は、浩一に全く気がつかれていないと思っていたらしい。
そんなばかな。
あんな目立つ見た目であり得ないだろう。
「声かけようとしたら、全速力で逃げられたなあ。なるほど、隠れてたのか」
なるほどと思いながら、確認で口にしただけだったのだが、責められていると感じたのか、縮こまってしまった。
「なんでこそこそする必要があったんだ?すぐ来ればいいのに」
当然の疑問を投げかければ、当たり前ともいえる答えが返ってきた。
「だって、大きな絆創膏ついてたし、変なメガネだったし」
「まあ、ケガをしたし、眼鏡だって割れたしな?」
だからこそ、目立っていたのだが。そこには思い至らないわけか。
「絆創膏が取れて、眼鏡もきれいになって、少しでもかわいくなってから、ご挨拶に伺おうかと・・・」
なんとも、かわいらしい答えが返ってきた。
浩一に絆創膏姿を見られたくないから、取れるまでは、隠れていたということか。
あの、ダッシュで逃げられていたのは、相川が言うには『隠れていた』ということなのだろう。
何度か目が合ったとも思うのだが、それは気のせいで済まされているのか。
『人違いです』と言って走り去った相川を思い出した。
ってことは、本気であれは、あれで誤魔化せたと思っていたということか。
「ああ、なるほど」
昇降口で待ってくれていたとき、きれいにして・・・コンタクトまでつけてきたのは、浩一のためだったということか。
思わず、頬が緩んでしまった。
だらけた顔になってしまったと、表情を正せば、相川は両手で顔を覆って、耳まで真っ赤になってしまっていた。
その真っ赤な顔がしっかりと見たくて、意識せずに手を伸ばした。
相川の両手を握りこんで、顔の前から手を退かせると、思った以上に真っ赤な、涙目の相川の顔が現れた。
ぽかんと、こちらを見る相川の目を見て、気がついた。
―――なんてことしてやがる、俺。
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