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第一章 黒い悪魔の逃亡
第五話 いい男は料理もできるが基本作らない
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レオナはどこかの屋敷の地下室に軟禁されていた。軟禁されて気付いた事がある。
この屋敷には十数名の人間がいてフェリスは彼らのリーダーだ。そして彼女は朝、どこかに出かけている。
危険だけど逃げるとしたら朝。明日ここから逃げだそう。小父様から聞いた黒い悪魔なら、彼女と戦えるはず。まずは小父様に会いに行こう。
明日に備えてレオナは静かに眠りについた。
街の明かりが消えた深い夜、ザックスは侵入者の気配で目を覚ました。
侵入者は一人、いや、部屋の外に二人いるな。
侵入者は足音を立てずそっと忍び寄る。
この気配は、あいつだ。
ザックスは嘆息してベッドから飛び出した。
枕が靴で踏みつぶされた。
「チッ。避けやがったか」
「いきなり何すんだ。クソガキ」
「起こそうと思ってな」
「他に起こし方があるだろ。あぁあ、枕汚しやがって」
ザックスは嘆息してソファーに座った。
「それで何のようだ?」
「女王と大公の関係が知りたい。二人は仲が悪いのか?」
「何故そんな事を聞く?」
「答えろ」
質問に答えないガレックに嘆息をして言った。
「あまり良くないな。ジョルジュは先代国王の弟だ。あいつ自身は王位に興味はないが、王宮の一部がジョルジュを国王にしようとしている。女王もそれを知ってるからギクシャクしている」
「なるほど」
「誘拐に女王が絡んでるのか?」
「まだ可能性だ。キャンベル伯爵がこっちに来てる」
「この時期にか? それは妙だな。今のキャンベルは兵が少ないから簡単には動けないぞ」
「騎士学校からの誘拐、キャンベルの黒騎士なら容易い」
「・・・・・・可能性はあるな」
「もし女王が絡んでいたらSランクの特務だ。報酬に営業権を返して貰うぞ」
「まあ、良いだろう。お前も常識を身につけたからな。俺はもう寝る。さっさと帰れ」
「ああ」
そう言ってザックスはベッドに戻り、ガレックは部屋を出て姉妹に言う。
「それじゃ、帰るか」
三人は今度こそ、ガレックの家に向かった。
その頃、トトリのアトリエでは棚卸しが行われていた。
売り上げが合わない。
トトリが何度計算し直しても八万エストの誤差が出た。
そういえば今日、ガッ君が珍しい首輪を持っていたわねぇ。まさか・・・
トトリはすぐに在庫表を調べた。在庫表には首輪が二つ足りなかった。後片付けをしているシャーリーに尋ねる
「シャーリー。今日ガッ君、首輪買った?」
「首輪れすか? 買ってないれすよ」
「あ、そう」
ははは・・・ハァ、またやられた。
三人はようやくガレックの家に着いた。
ガレックの家は二階建てで、部分型の店舗併用住宅だ。
玄関は店舗用と住宅用の二つあり、表の道路側は店舗用で中央にドアがあり左右に店の中が見えるように窓がある。住宅用は家の車庫を通り表からは見えないように造られてある。三人は住宅用の玄関からは入り二階に上がった。
ガレックは他の部屋は無視して寝室に案内した。
「ここが寝室だ。さあ寝よう」
アリスは顔を赤くして怒る。
「何、当然みたいな感じで一緒に眠ろうとしてるのよ!」
「ここは俺の部屋だぞ」
「男女が一緒の部屋で寝るわけにはいかないでしょ!」
「何を今更」
「うるさい!」
ガレックは赤くなって俯いているマリアに尋ねる。
「お前も嫌か?」
「いえ。ただ、そのぅ、一緒に寝るって事は、そのぅ・・・・・・」
顔を赤くする姉に言う。
「しっかりしてよ、お姉ちゃん!」
姉妹を見ながら思案する。考えがまとまって二人に言った。
「分かった。二人には別の部屋を用意しよう。付いてこい」
「他にも部屋があるじゃない」
「うぅん。ちょっと残念のような」
「これでいいの! もう、しっかりしてよね。お姉ちゃん」
ガレックは、井戸のある裏庭に出て物置に案内した。
そして物置に藁を適当に敷いて二人に言った。
「じゃあ、おやすみ」
「「えっ!?」」
姉妹の顔が引きつった。
我に返ったアリスが言う。
「部屋ってここ!?」
「他に何処がある?」
「人の住む部屋じゃない!」
「ここが嫌なら俺と同じ部屋だな」
アリスは顔を赤くして深夜だというのに叫んだ。
「やっぱあんたって最っ低よッ!」
ガレックはニヤニヤし、マリアは顔を赤くして俯き、アリスは顔を赤くして怒る。
結局三人は一緒に寝た。
翌朝、アッシュは昨日ガレックに会ったことをエドガーに報告した。
「偶然会ったのは良いが、殺し合いをしたってどういうことだ?」
「何かむかついたからね」
「それだけで殺し合うか普通。それで、次は勝てそうか?」
「さあ? 僕も向こうも本気じゃなかったからね。近い内にまた戦うと思うから剣を用意しといて」
「あれを使うのか?」
アッシュは頷いた。
「人間相手にあれを使うか。黒い悪魔の二つ名は伊達じゃないか」
「向こうも次はいろいろ出してくると思うし、楽しみだね」
アッシュは笑顔で言った。
「戦闘狂め。レオナ様はどうしてる?」
「大人しくしてるよ。まあ、僕のことは怖がってるけどね」
「お前と戦ったら大抵怖がるぞ」
「エドガーも?」
「幼馴染みを怖がるか。けど、お前とは手合わせはしない」
「何で?」
「お前、手加減しないからな。下(へ)手(た)したら死ぬ」
アッシュは苦笑いした。
「それじゃあ、見張りに戻るね」
出て行く幼馴染みを眺めて考える。
剣の用意か。出せるとしたら十五振りだな。
エドガーはすぐに武器の手配を始めた。
姉妹の真ん中で寝ていたガレックが目を覚ました。
二人を起こさないようにベッドから出て服を着る。
それから部屋を出て一階に下りキッチンで朝食を作る。
暫くして美味しそうな匂いでマリアは起きた。
それから昨日のことを思い出し顔を赤くして布団に潜ったが空腹のため起きた。
匂いのする方に向かおうとしたが、一人じゃ恥ずかしいから妹を起こした。
マリアに起こされたアリスは低血圧のため思考停止していたがマリア同様、昨日のことを思い出し顔を赤くし覚醒した。
「おはよう、お姉ちゃん」
「うん。おはよう」
二人は顔を赤らめて服を着ると匂いのする方に向かった。
ダイニングでガレックは食事をしていた。途中で姉妹が来たことに気付いた。
「目が覚めたか」
マリアが少し緊張して、アリスが素っ気なく言う。共通しているのは二人の顔が赤いことだ。
「おはようございます。ご主人様」
「おはよう」
「ああ、飯は用意しといた。次から俺より早く起きてちゃんと準備しろよ」
そしてガレックはニヤッと笑い二人に言う。
「でないと、もっと苛めてやる」
姉妹はさらに顔を赤くして恥ずかしさから俯いて食事をした。先に食事を終えたガレックは姉妹に言った。
「俺はこれから調合をする。お前達にやることは・・・・・・ないな」
「ないんですか?」
「素人の聞き込みは危険だからな」
「聞き込みくらい出来るわよ」
「聞き込みを甘く見るな。素人はな、情報を手に入れるつもりが逆に情報を敵に与えてしまう事がある。それだけじゃねぇ、もし敵に捕まったら拷問されて殺されるぞ」
姉妹はガレックの指摘に言葉を失った。
「無理はするな。だが失敗を恐れるな。失敗を恐れ何もしない奴に未来はない、そして失敗した時それを隠し取り繕う奴は全てをなくす。失敗したら挽回しろ。生きてる限るチャンスはある」
「「はい」」
やっぱりご主人様は優しい人なんだ。
いつもこんなだったら頼りになるのに。
ガレックは席を立つとダイニングを出て数分後、お札を持って戻ってきた。そして持って来たお札をマリアに渡した。
「十万エストある。これで生活に必要な物でも買ってこい」
姉妹は驚いた。
「こんなに良いんですか?」
「構わん。余ったら遊ぶなり貯めるなり好きにしろ」
そう言って部屋を出ようとしたガレックに、マリアがおずおずと言う。
「あのぅ。ご主人様」
「何だ? 十万なら十分だろ」
慌ててマリアが言う。
「違うんです。お金なら十分です」
「じゃあ、何だ?」
「私達奴隷だったから財布がないんです」
「ああ、ちょっと待ってろ」
ガレックは自室に戻り、前に使っていた財布を持って来てマリアに渡して言った。
「まずは自分達の財布を買え」
「はい」
食事を終えると姉妹は家を出た。
ガレックは一階の奥にある部屋、アトリエに入った。
アトリエは唯一、住宅と店舗が繋がっている。
アトリエには作業机に仮眠用のソファー、坩堝(るつぼ)や工具にいろんな素材がある。
さて、始めるか。
坩堝に黒い魔鉱石と緑の魔鉱石を入れ加熱する。
まずは合金を作らないとな。
この屋敷には十数名の人間がいてフェリスは彼らのリーダーだ。そして彼女は朝、どこかに出かけている。
危険だけど逃げるとしたら朝。明日ここから逃げだそう。小父様から聞いた黒い悪魔なら、彼女と戦えるはず。まずは小父様に会いに行こう。
明日に備えてレオナは静かに眠りについた。
街の明かりが消えた深い夜、ザックスは侵入者の気配で目を覚ました。
侵入者は一人、いや、部屋の外に二人いるな。
侵入者は足音を立てずそっと忍び寄る。
この気配は、あいつだ。
ザックスは嘆息してベッドから飛び出した。
枕が靴で踏みつぶされた。
「チッ。避けやがったか」
「いきなり何すんだ。クソガキ」
「起こそうと思ってな」
「他に起こし方があるだろ。あぁあ、枕汚しやがって」
ザックスは嘆息してソファーに座った。
「それで何のようだ?」
「女王と大公の関係が知りたい。二人は仲が悪いのか?」
「何故そんな事を聞く?」
「答えろ」
質問に答えないガレックに嘆息をして言った。
「あまり良くないな。ジョルジュは先代国王の弟だ。あいつ自身は王位に興味はないが、王宮の一部がジョルジュを国王にしようとしている。女王もそれを知ってるからギクシャクしている」
「なるほど」
「誘拐に女王が絡んでるのか?」
「まだ可能性だ。キャンベル伯爵がこっちに来てる」
「この時期にか? それは妙だな。今のキャンベルは兵が少ないから簡単には動けないぞ」
「騎士学校からの誘拐、キャンベルの黒騎士なら容易い」
「・・・・・・可能性はあるな」
「もし女王が絡んでいたらSランクの特務だ。報酬に営業権を返して貰うぞ」
「まあ、良いだろう。お前も常識を身につけたからな。俺はもう寝る。さっさと帰れ」
「ああ」
そう言ってザックスはベッドに戻り、ガレックは部屋を出て姉妹に言う。
「それじゃ、帰るか」
三人は今度こそ、ガレックの家に向かった。
その頃、トトリのアトリエでは棚卸しが行われていた。
売り上げが合わない。
トトリが何度計算し直しても八万エストの誤差が出た。
そういえば今日、ガッ君が珍しい首輪を持っていたわねぇ。まさか・・・
トトリはすぐに在庫表を調べた。在庫表には首輪が二つ足りなかった。後片付けをしているシャーリーに尋ねる
「シャーリー。今日ガッ君、首輪買った?」
「首輪れすか? 買ってないれすよ」
「あ、そう」
ははは・・・ハァ、またやられた。
三人はようやくガレックの家に着いた。
ガレックの家は二階建てで、部分型の店舗併用住宅だ。
玄関は店舗用と住宅用の二つあり、表の道路側は店舗用で中央にドアがあり左右に店の中が見えるように窓がある。住宅用は家の車庫を通り表からは見えないように造られてある。三人は住宅用の玄関からは入り二階に上がった。
ガレックは他の部屋は無視して寝室に案内した。
「ここが寝室だ。さあ寝よう」
アリスは顔を赤くして怒る。
「何、当然みたいな感じで一緒に眠ろうとしてるのよ!」
「ここは俺の部屋だぞ」
「男女が一緒の部屋で寝るわけにはいかないでしょ!」
「何を今更」
「うるさい!」
ガレックは赤くなって俯いているマリアに尋ねる。
「お前も嫌か?」
「いえ。ただ、そのぅ、一緒に寝るって事は、そのぅ・・・・・・」
顔を赤くする姉に言う。
「しっかりしてよ、お姉ちゃん!」
姉妹を見ながら思案する。考えがまとまって二人に言った。
「分かった。二人には別の部屋を用意しよう。付いてこい」
「他にも部屋があるじゃない」
「うぅん。ちょっと残念のような」
「これでいいの! もう、しっかりしてよね。お姉ちゃん」
ガレックは、井戸のある裏庭に出て物置に案内した。
そして物置に藁を適当に敷いて二人に言った。
「じゃあ、おやすみ」
「「えっ!?」」
姉妹の顔が引きつった。
我に返ったアリスが言う。
「部屋ってここ!?」
「他に何処がある?」
「人の住む部屋じゃない!」
「ここが嫌なら俺と同じ部屋だな」
アリスは顔を赤くして深夜だというのに叫んだ。
「やっぱあんたって最っ低よッ!」
ガレックはニヤニヤし、マリアは顔を赤くして俯き、アリスは顔を赤くして怒る。
結局三人は一緒に寝た。
翌朝、アッシュは昨日ガレックに会ったことをエドガーに報告した。
「偶然会ったのは良いが、殺し合いをしたってどういうことだ?」
「何かむかついたからね」
「それだけで殺し合うか普通。それで、次は勝てそうか?」
「さあ? 僕も向こうも本気じゃなかったからね。近い内にまた戦うと思うから剣を用意しといて」
「あれを使うのか?」
アッシュは頷いた。
「人間相手にあれを使うか。黒い悪魔の二つ名は伊達じゃないか」
「向こうも次はいろいろ出してくると思うし、楽しみだね」
アッシュは笑顔で言った。
「戦闘狂め。レオナ様はどうしてる?」
「大人しくしてるよ。まあ、僕のことは怖がってるけどね」
「お前と戦ったら大抵怖がるぞ」
「エドガーも?」
「幼馴染みを怖がるか。けど、お前とは手合わせはしない」
「何で?」
「お前、手加減しないからな。下(へ)手(た)したら死ぬ」
アッシュは苦笑いした。
「それじゃあ、見張りに戻るね」
出て行く幼馴染みを眺めて考える。
剣の用意か。出せるとしたら十五振りだな。
エドガーはすぐに武器の手配を始めた。
姉妹の真ん中で寝ていたガレックが目を覚ました。
二人を起こさないようにベッドから出て服を着る。
それから部屋を出て一階に下りキッチンで朝食を作る。
暫くして美味しそうな匂いでマリアは起きた。
それから昨日のことを思い出し顔を赤くして布団に潜ったが空腹のため起きた。
匂いのする方に向かおうとしたが、一人じゃ恥ずかしいから妹を起こした。
マリアに起こされたアリスは低血圧のため思考停止していたがマリア同様、昨日のことを思い出し顔を赤くし覚醒した。
「おはよう、お姉ちゃん」
「うん。おはよう」
二人は顔を赤らめて服を着ると匂いのする方に向かった。
ダイニングでガレックは食事をしていた。途中で姉妹が来たことに気付いた。
「目が覚めたか」
マリアが少し緊張して、アリスが素っ気なく言う。共通しているのは二人の顔が赤いことだ。
「おはようございます。ご主人様」
「おはよう」
「ああ、飯は用意しといた。次から俺より早く起きてちゃんと準備しろよ」
そしてガレックはニヤッと笑い二人に言う。
「でないと、もっと苛めてやる」
姉妹はさらに顔を赤くして恥ずかしさから俯いて食事をした。先に食事を終えたガレックは姉妹に言った。
「俺はこれから調合をする。お前達にやることは・・・・・・ないな」
「ないんですか?」
「素人の聞き込みは危険だからな」
「聞き込みくらい出来るわよ」
「聞き込みを甘く見るな。素人はな、情報を手に入れるつもりが逆に情報を敵に与えてしまう事がある。それだけじゃねぇ、もし敵に捕まったら拷問されて殺されるぞ」
姉妹はガレックの指摘に言葉を失った。
「無理はするな。だが失敗を恐れるな。失敗を恐れ何もしない奴に未来はない、そして失敗した時それを隠し取り繕う奴は全てをなくす。失敗したら挽回しろ。生きてる限るチャンスはある」
「「はい」」
やっぱりご主人様は優しい人なんだ。
いつもこんなだったら頼りになるのに。
ガレックは席を立つとダイニングを出て数分後、お札を持って戻ってきた。そして持って来たお札をマリアに渡した。
「十万エストある。これで生活に必要な物でも買ってこい」
姉妹は驚いた。
「こんなに良いんですか?」
「構わん。余ったら遊ぶなり貯めるなり好きにしろ」
そう言って部屋を出ようとしたガレックに、マリアがおずおずと言う。
「あのぅ。ご主人様」
「何だ? 十万なら十分だろ」
慌ててマリアが言う。
「違うんです。お金なら十分です」
「じゃあ、何だ?」
「私達奴隷だったから財布がないんです」
「ああ、ちょっと待ってろ」
ガレックは自室に戻り、前に使っていた財布を持って来てマリアに渡して言った。
「まずは自分達の財布を買え」
「はい」
食事を終えると姉妹は家を出た。
ガレックは一階の奥にある部屋、アトリエに入った。
アトリエは唯一、住宅と店舗が繋がっている。
アトリエには作業机に仮眠用のソファー、坩堝(るつぼ)や工具にいろんな素材がある。
さて、始めるか。
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