紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

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第一章 黒い悪魔の逃亡

第八話 そして彼は走り出す

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 時は遡りカトリーヌ領に着いたアッシュとエドガーは車を降りた。
「まずは情報だな。俺はジャック様の居場所を捜す、アッシュは警備体制を調べてくれ夕方になったら戻って作戦を考えよう」
「了解。ここまで来てヘマしないでね」
 そう言って二人は別れた。
 夕方。
 先に戻っていたアッシュが出迎えた。
「遅かったね」
「さすがに警戒して見つけるのに苦労した」
「それでどうだった?」
「ジャック様は本邸じゃなくて自然の多いサルヴァーナの森にある別邸で暮らしている。入り口の道には監視カメラが設置されて、森には罠が張り巡らされてるらしい」
「行くとしたら森だね」
 アッシュが不敵に笑って言い、エドガーも同意した。
「そうだな。罠といっても俺達からしたら三流だ。まずは御子息の確保、次に別邸にある車を奪う、車がなければ危険だが森を突っ切る。その後ここに戻って、この車に乗る」
「了解。それで、何時やる」
「警戒が一瞬緩む日の出前だ。できるだけ殺したくない」
「解った。それじゃあ、すぐ寝よ」
「ああ」
 二人はすぐに寝てた。

 その日の深夜アヴァロン城にいるシェリアは女王にはとても似付かわしくない地下牢にいた。
 シェリアの前に壺を割ったメイドが裸で手枷を付けられ座れないよう吊らされている。
「申し訳ございません。シェリア様、どうか、どうかお許しをっ!」
「ダァメッ。壊した物は弁償しなきゃいけないでしょ。でも、あの壺は貴女が一生働いても返せない程、価値があるんだから。だから、私が与えた罰に耐えきったら許してあげる。そうねぇ、三ヶ月ね。三ヶ月耐えたら許してあげるわ」
 シェリアはそう言うと笑みを浮かべながら泣いてるメイドに鞭打ちを始めた。
 暫くしてミシェルが年配のメイドを数名連れて来てシェリアに言う。
「シェリア様、お楽しみ中申し訳ございませんが御就寝の時間です」
「えぇぇ。ようやく興が乗ってきた所なんだけど」
「これ以上遅くなりますと明日に差し響きますしお肌にも悪いです」
「確かにそうねぇ。でも、この火照った身体はどうしようかしら? ねぇミシェル?」
 ミシェルは頬を染めて言う。
「私で良ければお慰めします」
「本当は貴女もしたいんでしょ。良いわ。相手してあげる」
 そう言ってシェリアはミシェルを連れて地下牢を後にし年配のメイド達は若メイドの手当てをしてそれが終えると出て行った。

 そしてまだ空が暗い四時頃、 アッシュとエドガーは屋敷に向かって歩いていた。
「エドガー、一応変装したら」
「どうやって? お前みたいに女にはなれんぞ、俺は」
「そんな君のためにマスクを買っといたよ」
 笑顔でマスクを渡した。
 エドガーの顔が引きつる。
「これはないだろ」
 でかいチョウチョの仮面だった。
「僕は絶対付けたくないけどエドガーだったら似合うよ」
「自分が嫌なことを人に押しつけるな!」
「顔を見られたらばれるよ。伯爵」
「くそっ! 付ければ良いんだろ、付ければ!」
 エドガーは仮面を付けた。
「うわぁぁぁ、変態度が百は上がったよ」
「お前が言うなっ!」
 そうこうしているうちに空が白んできてアッシュは女の姿になる。
「それじゃあ、行くか。フェリス」
 エドガーはアッシュとは呼ばずにフェリスと呼んだ。
 本人の強い希望で男の時はアッシュ女の時はフェリスと使い分けてるからだ。
「行こうか。変態仮面」
「マジで落ち込むから言わないでください」
 エドガーの懇願にフェリスは笑いを堪えながら了承した。
 別邸の警護は手薄で四人しか居らず四人は五分おきに時計回りをしていた。
「フェリス、任せた」
「了解」
 フェリスが一瞬で移動中の警備兵を襲い気絶させる。
「手加減したか?」
「もちろん。ちゃんと生きてるよ」
「さすがだな」
 二人は警備兵を草陰に隠すと正面から堂々と入り手分けしてジャックを捜し始めた。
 最初に目星を付けてた二階の一番奥にフェリスは向かった。慎重にドアを開けるとすでに少年が身体を起こしていてフェリスに尋ねる。
「女? 貴女がフェリスか?」
「正解。起きてたんだ。なかなか賢いね。ジャック君」
 フェリスは確認のためジャックの名前を言った。そうとは気付かず普通の会話だと思ったジャックはそのまま話す。
「僕も攫うのか?」
「ええ」
「解った。連れて行け。ただし屋敷のみんなには手を出すな」
「抵抗しないんだ?」
「抵抗した方が危険だ。貴女は格が違う」
「聡明ね。じゃあ大人しく付いて来て」
 ジャックは頷き後に続く、そしてドを開けるとビクッと驚き後退る。
 そこにはエドガーがいた。
「へっ変態だ」
「大丈夫。無害だから」
「好きで付けていない」
 エドガーは落ち込みながら目隠しと手錠を出す。
「一応付けてもらうよ」
 ジャックは了承した。
 その後も作戦通り上手く行き順調にカトリーヌ領を去り王都へ戻っていった。

 今から半年前、ガレックはザックスに呼び出され社長室にいた。
「何の用だ。ヒゲ」
「お前に依頼だクソガキ。我が社のケビンが盗賊に捕まったみたいでな。救出に行ってくれ」
「ケビンなんて知るか。盗賊に捕まるような役立たずはこの際見捨てちまえ」
「簡単に言うなよ。小隊長だぞ」
「弱い小隊長なんて、なおさら見捨てちまえ。俺は帰る。じゃあな」
 そう言って部屋を出ようとした。
「めんどくさいだけだろ。いいのか? 盗賊の頭は爆乳らしいぞ」
「仲間のピンチを救うのは英雄たる俺の仕事だ! ケビンは何処に捕まっている!? 今すぐ助けに行くぞ!」
 その後ガレックはケビンを救出し盗賊団を完膚無きまでに叩き潰し急いで帰り社長室のドアを蹴り飛ばして乗り込んだ。
「どういう事だ。ヒゲェェ!」
「ドアを壊すな」
「うるせぇぇ! 何が爆乳だ! 全部爆発してるじゃねぇか! あれじゃただのデブだ!」
「誰も美人とは言ってないだろ。ちなみに報酬は二千五百四十七エストだ」
「ちょっと待てぇ! ケビンが受けた盗賊団討伐は十万エストだろ!」
「知ってるかクソガキ? ウチはお前の女関係、暴力事件、任務放棄、いろんな苦情を受けてるんだ。依頼料は受付達の日頃の苦労をねぎらってやった」
「ふっざけんなぁぁ! 俺の金だぁ!」
「じゃあ。お前はクビだ! 嫌なら諦めろ!」
 二人は睨み合い暫くしてガレックがククク・・・と笑って言った。
「そうかそうか。・・・・・・死ねぇ!」
「上等だぁ!」
 ガレック二丁拳銃を抜き発砲した。ザックスは椅子に座ったまま机をガレックに向かって蹴り飛ばし、魔法障壁を張って魔弾を防ぎ、壁に掛けてある大剣を掴んで思いっきり斬り掛かった。
 その後トトリが来るまで二人の殺し合いは止まらなかった。
 それから暫くして自分が捕まったせいで二人が殺し合いをしたと責任を感じたケビンは、紅い翼がまだギルドだった頃の本拠地、現在は居酒屋鳥の巣にガレックを誘った。
「この間はありがとうございます。今日は俺の奢りです」
「それじゃあこの店で一番高い酒を」
「ちょっとは手加減してくださいよガレックさん」
「チッ、仕方ねぇな。うん? あの店員見た事無いな」
 ガレックが見付けた茶髪の可愛い店員をケビンが見て言う。
「ああ。あいつは最近ここで働く事になったんすよ」
「あいつ? 親しいのか?」
 ケビンは少し恥ずかしそうに照れて話す。
「実はあいつ、俺の彼女なんす」
「そうか」
 可愛い。ケビンにはもったいないな。実にもったいない。
 その後ケビンの仲立ちで簡単に自己紹介しガレックは週一のペースで通うようになった。

 そして現在、この日はマリアが一番に起き妹も起こそうと思ったが止めて一人で朝食の準備を始めた。
 次にレオナが起きてマリアを手伝い、ガレックが起きて本を読み始める。
 三人が朝食を食べ終えた頃ようやくアリスが起きた。
「お姉ちゃん、ごめんね一人で作らして」
「大丈夫だよ。それより早く朝ご飯食べてね」
「うん!」
「まずは主に謝るんじゃないか普通。っていうか、奴隷の分際で寝坊すんじゃねぇ」
「うっさい。バァァカ」
「調教してやろうか。コラ」
「ご主人様落ち着いてください。アリスちゃんも、メッ!」
「メッて、お姉ちゃん」
「うぅぅぅぅぅ」
「ご、ごめんなさい」
「うん!」
 ガレックは呆れてレオナは笑った。
 アリスが朝食を食べ終え食器を片付けるとガレックは姉妹にレオナの素性を話した。それを聞いたマリアは慌ててレオナに謝罪する。
「カトリーヌの姫様とは知らず無礼の数々申し訳ございません」
 姉に続いて妹も頭を下げた。
 それを見てレオナが慌てて頭を上げるように言ったが姉妹はなおも頭を下げる。ガレックは頭を下げる姉妹に近づいてゴツン、ゴツンと頭を殴った。
「「痛ぁぁい!」」
 頭を抑えアリスが怒鳴った。
「何すんのよ!」
「酷いですぅ」
「うるさい。俺様の奴隷が簡単に頭を下げるんじゃねぇ。それより本部に報告に行くぞ」
 ガレックがそう言うと四人でフェニックス城へ向かった。

 ガレック達が城門に着くとボブが叫びを上げた。
「女が増えてるぅぅっ! ガキの癖にうらやましいぞ!」
「うっさい!」
 むかついたガレックは、ボブを思いっきり蹴り飛ばし失神させた。
 姉妹はガレックの非道っぷりを見慣れていたが、初めて見たレオナは驚いた。
「大丈夫なの? 彼」
 ガレックは無視し姉妹は苦笑した。ガレックがどんどん先に進むから気になるけどレオナは見なかったことにした。
 城に入り受付をしているケビンに尋ねる。
「ザックスは居るか?」
「社長なら、お偉いさんとお話し中だ」
「そうか」
 そう言って社長室に向かおうとするガレック達の道を塞いだ。
「おっと。ここは通さないよ」
「ほう」
 現在社長室にジョルジュが来ていた。
 まだガレックがレオナを保護してることを知らないザックスはガレックがまだ騙されてると思い騙し通すためガレックとジョルジュを会わせたくなかった。
 そのためケビンにガレックを社長室に通さないよう命じた。
「そういえばケビン。お前の彼女、男と歩いてたな」
「えっ?」
 ケビンの彼女は最近何故か連絡があまり付かず、なかなか会えなくなっていた。
「爽やかな好青年だった」
「や、やめろ。聞きたくない」
「夜の噴水で見つめ合う二人」
 ケビンはもう涙目だ。
「男はそっと、彼女の両肩に手を置いた」
「や、やめ・・・」
「彼女は潤んだ瞳で男を見上げ、目を閉じる」
「・・・・・・」
「ふっくらした唇に、男は徐々に・・・・・・」
「もう沢山だ! うわぁぁん!」
 ケビンは泣きながら走り去った。
「ここに一つの恋が終わりを遂げた」
「酷い」
「最低」
「可哀想です」
「さて、ザックスの所に行くか」
 ちなみに何故ガレックが詳細に知っているかというと、男の正体がガレックだったからだ。
 一人を除き、暗い雰囲気で社長室を目指した。

 社長室の前に着いたガレックはいつものようにノックしてすぐにドアを開ける。室内にはザックスと疲れた顔をしたジョルジュがいた。
 ジョルジュを見たレオナが駆け寄る。
「お父様!」
 ジョルジュは娘の声にすぐ反応し起ち上がって声を上げる。
「レオナ!」
 二人は駆け寄って抱き締め合った。
「ああレオナ。無事で良かった」
「心配掛けて申し訳ございません。お父様」
「いや、いいんだ。うん。うん!」
 感動の再会に姉妹は涙を堪え、ザックスは珍しく穏やかな顔をした。そんな中ただ一人ガレックだけは苦い顔をした。
 おいおいおいおい。早すぎだろ。まだ俺は犯ってねぇぞ。クソッ。やっぱり昨日、犯っちまえば良かった。
 愛人計画は失敗した。
 深い溜息を吐きガレックは諦めてザックスに言う。
「俺はもう帰る。報酬は銀行に振り込んでくれ」
「ああ。解った」
 ガレックは姉妹を連れて部屋を出て行こうとした。それに気付いたレオナが慌てて「ガレックさん!」と引き留め「ありがとうございます」と礼をしジョルジュもそれに続いた。
「次はもう捕まるなよ」
 振り向かずにそう言って今度こそ部屋を出て行った。
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