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第一章 黒い悪魔の逃亡
第十三話 騙す相手はちゃんと選べ
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魔神とは、神を殺す力を持った悪魔・堕天使・魔物の総称である。
魔人とは、禁術を使い人の身でありながら神や魔神を殺す力を持った欲深き人間である。
魔王とは、あらゆる種族を率いる魔神と魔人の事をいう。
彼らは神と同じ最上位種と呼ばれ、下位の者達は絶対に彼らを殺す事が出来ない。彼らを殺す事が出来るのは同じ最上位種だけである。
彼らは危険すぎるため学校の教科書にも載り、会ったらすぐに逃げ政府に報告するようにといわれている。
王都東の砦に着いたザックス達は白いドグを見て驚愕しザックスが声を上げる。
「キングドグだと!?」
ドグの王様キングドグは魔神であり魔王である。
ザックスは深い溜息を吐き空を見上げた決意する。
「キングドグは俺が抑える。ジョルジュはドグ達を押し返してくれ」
「相手は魔神だぞ。死ぬ気か!?」
「俺しか足止め出来んだろ。時間が無い。行くぞ!」
王都に残っていた社員約六百人の大隊がザックスの号令で突撃する。家族を、友を、愛する者を護るため。
ザックス達の突撃にドグ達が慌てる。ドグ隊長がキングドグに尋ねる。
「奴ら突撃しますよ! どうします。総長!?」
「こらっ! 総長じゃない、王様と呼べ!」
「す、すいません。王様!」
「分かればいい。よし! 僕達も突撃だ! 君、一番槍ね」
「えっ?」
一番槍と言われたドグ隊長は、大剣を持ち鬼の様な形相で突撃してくるザックスを見た。
「僕には、あの突撃を止められません! 王様が行ってください!」
キングドグは、こっちに向かって突撃する、鬼の様な形相をしたザックスを見た。
「そ、総大将は後ろでどっしりと構えるのが仕事だ! 早く行け!」
「嫌だ!」
「ああっ、もういい。こいつの代わりに君が行くんだ!」
近くにいた、もう一体のドグ隊長に言う。
彼もまた、鬼の様な形相のザックスを見た。
「無理、無理、無理! あんなの止められないって! 総長が行ってください!」
「・・・僕にも無理だ!」
もうキングドグに総長を王様と訂正させる余裕はなかった。
そうこうするうちにザックス達が目前まで突撃してくる。
近づいてくるザックスに恐怖したキングドグは狙われないよう背中のファスナーを下ろしキングドグの衣装を脱ぎ捨てて逃げ出した。
「みんな、ごめんねぇっ!」
「総長ッ!?」
総長と呼ばれたレッドドグは部下を置いて一目散に逃げ去った。
王都を守るため決死の覚悟で突撃したのにキングドグが偽物で一目散に逃げるのを見てザックス達は唖然とした。その隙に他のドグ達も逃げ出した。
普段はフェニックス城の門番をしている警備隊長のボブがザックスに駆け寄り尋ねる。
「追いますか?」
「そうだな。お前は中隊二つを率いて奴らを追撃しろ。俺の所は一つで十分だ」
ボブは頷き二つの中隊を率いて追撃に向かいザックスは残り一つの中隊を率いてジョルジュ達とアヴァロン城へ向かった。
トトリの側で迎撃戦に参加していた姉妹はあの時のドグだと気付きドグ達を憐れんだ。
その後トトリ達はザックスとカトリーヌ親子に合流し、アヴァロン城へ向かった。
スティーブはエドガーに命じられ十五振りの剣を楓と一緒に運んでいた。
ガレックのせいで二人の雰囲気は最悪だった。お互い改善したいが話そうとすると、あの夜の事を思い出し言葉が出ない。
アッシュに剣を届けた帰り二人はこんな状況にした元凶であるガレックと再会する。
「「き、貴様ぁっ!」」
二人は剣を抜き容赦なくガレックに斬り掛かったがあっさりと躱された。
容赦なく斬り掛かってきた二人の斬激をガレックはあっさりと避け笑みを浮かべて言う。
「いい事した仲だというのに、斬り掛かるのは酷いだろ」
「うるさいっ!」
ガレックの発言を聞き楓は反射的に斬り掛かったがやはり簡単に避けられ同じように発言を聞いたスティーブは泣きそうな顔で楓を見る。楓はそれに気付き顔を伏せた。
「くっ! 楓は悪くない。悪いのは貴様だ! この鬼畜野郎!」
「ふんっ。負け犬の遠吠えだな。確かに俺は悪者だろうが一番悪いのは護れなかったお前だ」
そう言ってガレックはカードを抜いた。
「これが俺の切り札だ」
カードに魔力を込め現れたのは刀身が無く柄しかなかった。ただ、強烈な電気を放っている。
ガレックの武器を見たスティーブは怒りに震えた。
「馬鹿にしてグハッ!」
スティーブが言い切る前にガレックは柄だけの武器を使いスティーブを突き飛ばす。突き飛ばされたスティーブは電撃をくらいながら壁に叩きつけられその後に頭をぶつけ気絶する。
「スティーブ!?」
楓はガレックとスティーブの間に入りスティーブを守るため剣を構えるがその手は震えていた。何故なら楓はガレックの動きが全く見えなかったのだ。気付いたらガレックが攻撃し終えていてスティーブが突き飛ばされていた。
震える楓にガレックが尋ねる。
「そういえばお前、名前なんて言うんだ?」
「はっ?」
「俺とした事が名前聞くのを忘れたからな」
「あんたなんかに教えるはず無いでしょ」
「へぇぇ。じゃあ、そいつ殺すぞ。お前を拘束して、そいつの無残な死を見せてやる」
楓は涙目で睨んで言う。。
「・・・平山楓よ」
「そうか。じゃ、また会おう」
「えっ?」
ガレックは何もせず、城の奥へ歩いて行った。
助かった?
楓はその場で崩れ落ちた。助かった事への安堵と何も出来なかった事への後悔を胸に抱え。
その頃ガレックに囮にされて逃げ疲れたエドガーが空き部屋に身を潜め休んでいた。
ドアの向こうから近衛兵の声が聞こえる。
「いたか?」
「いや、こっちにはいなかった」
「そうか。こっちもだ。しかし何でエドガー様が?」
「そういえばお前キャンベル出身だったな。変な気起こすなよ」
「起こさないさ。俺には守るべき家族が居るんだ」
キャンベル出身、あいつか!
エドガーは昔馴染みと知り笑みを浮かべる。
「家族か。羨ましいな」
「お前も作ればいいさ。付き合ってる人がいるんだろ」
「彼女、何も言わずに実家に帰ったんだ」
「わ、悪い」
「いいさ」
「あれっ? でも変だな?」
「何が?」
「彼女、孤児だったはずだぞ。実家なんてあるのか?」
「メイド長が言ったんだぞ」
「・・・・・・もしかして、彼女、特別牢に行ったんじゃないか」
「ば、馬鹿言うなよ。特別、牢なんて」
「そ、そうだよな。彼女が行くはず無いよな」
「そ、そうだよ」
近衛兵達は乾いた笑い声を上げた。
「じゃ、じゃあ俺こっち捜すから」
「お、おう」
キャンベル出身の近衛兵がエドガーのいる空き部屋に入りもう一人の近衛兵が遠ざかる。
暫くしてキャンベル出身の近衛兵が声を掛ける。
「エドガー様。もう大丈夫です」
「助かったよ。ロイ」
そう言ってエドガーは姿を現した。
ロイと呼ばれた男は近衛兵の中で普通の男だった。強くもなく弱くもない。仕事も出来るわけでもなく出来ないわけでもない。ただ一つ普通じゃないのは若くて美人の妻が居ることだった。妻と一緒に幸せな家庭を築いている。それがロイという男の、表の顔だった。だが裏の顔は全く違うキャンベル家に使える忍それがロイの正体だった。
「いきなり乗り込んできたんで驚きましたよ。しかも真正面から」
「俺が悪いんじゃねぇ」
「分かってますよ。しかしどうするんですか? エドガー様の身元は割れてますよ」
「ジョルジュ様の許しと保護を得るため、ャック様を救出する」
「シェリア様が許しますか?」
「許さないだろうがジョルジュ様の許しは得られる。上手くやるさ。ジャック様の居場所、分かるか?」
「東の塔、最上階の部屋です」
「東の塔? 特別牢ではないのか?」
「はい。東の塔です」
「そうか。ちなみに特別牢って何だ?」
「・・・・・・仕事で失敗した使用人や、罪を犯した女性を捕らえ、シェリア様が直々に拷問する部屋です」
「・・・それって」
「エドガー様の考えてる通りです。ただ、今まで生きて出られた者はいません」
「そうか。まあ今は無視しよう。それより東の塔はどうなっている?」
「近衛隊の警備が厳重です。アッシュ様なら斬り抜けて行くことが出来ますが・・・」
「俺だと無理か」
「はい」
エドガーは暫く考え込み口を開いた。
「東の塔近くに空き部屋を用意出来ないか?」
「出来ます」
「では用意してくれ。そこに潜伏して機を窺う」
「畏まりました。しばらくお待ちください」
そう言ってロイは部屋を出て行き暫くしてエドガーの前に顔を覆面で隠した黒衣の男が現れた。
「影人(かげと)!?」
エドガーが驚く中、男は低い声で言う。
「主よ。私が任務でいない間に愚かなことをやってくれたようですね」
エドガーは言葉に詰まった。
彼の名は平山影人(ひらやまかげと)。エドガーの教育係をしていた忍の頭領で楓の父親である。
修行という名目で何度も殺され掛けたエドガーにとって彼は恐怖の対象でしかなかった。
「わ、悪かった。それより、任務はどうなった?」
エドガーは内心、怯えながら話題を逸らし報告を聞く。
「任務は無事成功しました。これでバルセ・ルナが攻めてくる事は当分ありません」
「そうか」
「それと、カトリーヌ大公が娘と紅い翼を率いて向かって来ています」
「ここにか!」
「はい。子供の救出のため利用するのがよいかと」
「お前は手伝ってくれないのか?」
影人は嘆息吐いて言った。
「テメェのケツはテメェで拭け。それが無理なら潔く死ね」
「はい!」
「覚悟決まったか。クソガキ。いいか。カトリーヌの許しを得るには最前線で戦い、真っ先にガキを救出する事だ」
「解りました!」
「傭兵共は俺が連れてきてやるから待ってろ。最後に」
影人が冷たく言い放つ。
「今回みたいな事をまたしてみろ。殺すぞ」
涙目になったエドガーを見て影人は部屋を出て行った。
その後、ロイの手引きによりエドガーは移動した。
ガレックは暴れていた。強烈な電気を放つ剣を巧に使い、殺さない様気を付け敵を倒す。気が付けば周りに敵はいなかった。
順調、順調。
少し息を切らしながら適当に歩く。そして部屋を警備する親衛隊を見付けた。
親衛隊か。あまり可愛くないな。しかし何でこの部屋を警備してるんだ? 取り合えず蹴散らして入るか。
ガレックは問答無用で親衛隊を叩き伏せ、部屋に入ったが普通の部屋だった。ただ一つ気になったのは壁時計が壊れていた。
ガレックは壁時計の周りを調べる。
こういう場合は何処かに隠し部屋が・・・
叩いた壁の音が一ヶ所だけ違っていた。
みっけ。きっとこの時計が鍵だな。
長針を回し続け、短針が一周した。
「・・・解るかぁっ!」
ガレックはカードを抜き、金鬼を使って壁を叩き破壊した。
壁の向こうには下に降りる階段があった。
ガレックは金鬼を仕舞い、階段を降りる。
一番下まで下りたガレックが見たのは、鎖で壁に繋がれた女達と拷問器具だった。
女達は暗い瞳でガレックを見る。
ふむ。どうするか。ここにいるのはそこそこいい女だし、今すぐ犯りたいが、ここは我慢だな。俺には目的がある。
「俺は紅い翼のガレックだ。お前等を助けてやる!」
そう言って歩き出し一人の女性の前に立った。
「今から鎖を銃で撃ち壊す。動くなよ」
女性が頷くとガレックは銃を抜き鎖を壊した。
「全員解放するから少し待ってろ」
解放された女性は頷いた。
ガレックは捕らえられた女性全員を解放し、一ヶ所に集めた。
あまり得意じゃないが、やるか。
「癒しの風を」
優しい風が女性達に流れた。
癒しの風は体力を回復させる魔法であり怪我を治す魔法ではない。
度重なる拷問で弱っていた女性達の顔色が少しよくなった。
これで歩くことが出来るだろ。しかし、こいつらを連れて行くことは出来ないしどうしようかな・・・・・・そうだ。あいつ等に任せるか。
ガレックは指を軽く切り、自身の血で歪な十字を書いた。
「来やがれ、奴隷共」
歪な十字が紅く光るとマリアとアリスが現れた。
いきなり転移したことに姉妹は驚く。
「えっ!? 何ッ!?」
「ここ何処ッ!?」
「よう、お前等」
「ご主人様!?」「ガレック!?」
姉妹は声を掛けられガレックを見て、自分達が召喚されたんだと悟った。
「おい、アリス。遂に呼び捨てか」
「あんたなんか呼び捨てで十分よ! それで、トトリさんとザックスさんが慌ててたけど、今度は何を企んでるのよ」
「内緒だ、内緒。教えるわけねぇだろ」
「いいわよ別に。どうせろくでもないんだから」
「それでご主人様。どうしたんですか? それに彼女達は一体?」
姉妹は傷付いた女性達を心配そうに見る。
「ここに監禁されてた女達だ。詳しい理由は俺も知らんが俺はやることがあるからこいつらの面倒を見ることが出来ん。お前等、こいつらを安全な場所まで護衛しろ」
「「はいっ!?」」
今回はいつもの巫山戯た命令ではなく人命の掛かった重要な命令だと姉妹は思い力強く返事をした。
「そうだお前等、杖を貸せ」
人としては最低だが錬金術師が杖を貸せと言ったのだ。こんな状況だし杖を強化してくれると期待して姉妹は大人しく杖を渡した。
しかしガレックは杖を受け取ると容赦なく二つ纏めてへし折った。
「「なっ!?」」
「何て事してくれんのよっ!?」
「杖なしで、どう戦えばいいんですかっ!?」
ガレックは杖を捨てて姉妹に尋ねる。
「お前等、魔法をどうやって使う?」
「呪文を唱えるか、魔方陣を描くかに決まってるじゃない」
「他には溜めた魔力をそのまま撃ち出します」
「ここにいるのは近衛兵だぞ。それも大国シンフォニアの近衛兵だ。お前等が詠唱や魔力を溜める前に銃で撃ち殺される」
姉妹はシンフォニアの兵士が全員銃を持ってる事を思い出した。
ガレックはカードを二枚抜き武器を渡した。姉妹は驚きのあまり口を開いて受け取る。
「最新の武器、魔法式突撃銃グリフォンだ」
武器を渡すとガレックは撃ち方を教え、教え終えると姉妹に言う。
「はっきり言って今のお前等が近衛兵に勝つのは無理だ」
「じゃあどうすんのよ」
「見付からないよう隠れて行動しろ。もし見付かったら銃を撃って物陰に隠れ足止めに徹しろ。お前等の魔力量は桁外れに高い、銃を撃ち続ければ長時間の足止めが可能だ。それに銃を撃ち続ければザックス達が銃声に気付き様子見に来てお前等を助けるだろ」
姉妹は納得して頷いた。
「それじゃ彼女達を頼んだぞ」
それからガレックと姉妹はそれぞれ行動に移った。
ザックス達は姉妹が消えて驚いたが今はガレックを止めなければならないからアヴァロン城へ急いだ。
城の門番はおらず、城内の近衛兵は皆倒されていた。
「ガレックの仕業だな。あいつアヴァロンを落とす気か?」
ザックスの言葉に、その場にいた全員が息を呑んだ。
「でもお父さん。この人達生きてるよ」
「問題はそこだ。女以外は問答無用で斬り殺す男が全員生かしてる。何か企んでるぞ」
「とにかく急ごう。取り返しがつかなくなる前に」
再び走り出そうとしたザックス達の前に影人が現れた。
他のみんなは知らないが王族であるジョルジュと傭兵を束ねることで裏事に精通するようになったザックスの二人は影人のことを知るが故に警戒し固い声でジョルジュが尋ねる。
「何の用だ? 平山影人」
「久し振りだなカトリーヌ大公。我が主からの伝言だ。御子息の居場所を確認した。御子息は東の塔最上階にいる」
「それは真(まこと)か」
影人は頷いて言う。
「近衛隊は親衛隊を含めてほぼ全てガレックの手により倒されている。残ってるのは御子息を監視している兵士だけだ」
そう言うと影人は音もなく姿を消しザックスは大きく息を吐いて安堵した。
「敵じゃなかったか。ジョルジュ急ぐぞ」
ジョルジュは頷き、ザックス達は走り出した。
電気を纏う大剣を持ちながらガレックは堂々と城内を歩いている。
そんなガレックを待ち構えるように進行方向上に私兵を連れた太った男がいた。
彼はガレックが近づくと声を掛ける。
「久し振りだな。ガレック」
「何の用だ? ロードレブ公」
「どんな依頼を受けたか分からんが、ここまで騒ぎを大きくしたんだ。もう後戻りは出来んぞ」
「だったらどうした?」
「私と手を組まないか? 私ならまだ揉み消す事が出来る」
「まっ、確かにこのままだとお尋ね者決定だな」
「そうだろう」
「だから遠慮するのは止めるわ」
ガレックはニヤリと笑うと銃を抜き驚くロードレブ公爵達を撃ち殺した。
ガレックは銃をしまうと公爵殺害の現場を隠れて見ていた人物に言う。
「すまなかったなぁ。こいつを殺して」
隠れても無駄と知り柱の影からミシェルが出て来て言う。
「いえ。どうせそのうち殺す予定でしたから」
「そのわりにはテメェで殺したかったと顔に書いてるぜ。ミシェル・ロードレブ」
「私の名前はミシェル・ニュートンだ。二度と私をロードレブと呼ぶな。汚らわしい」
ロードレブ公爵が無理矢理妾にした女それがミシェルの母だった。そしてその母を殺したのは父であるロードレブ公爵だった。もともと嫌っていたミシェルはその事で決定的に嫌いそれ以降母方の姓を名乗っている。
しかしガレックはその事を知らず初めてあった時に名乗っていたロードレブの方で呼んだ。
「悪かった」
嫌っていたことを知るガレックは素直に謝りミシェルが来た目的をすぐに予想し当たっているか確認する。
「黒騎士が痺れを切らしたか?」
「ええ。アッシュ殿の下へ案内するわ」
ガレックは大人しくミシェルの後に続いた。
魔人とは、禁術を使い人の身でありながら神や魔神を殺す力を持った欲深き人間である。
魔王とは、あらゆる種族を率いる魔神と魔人の事をいう。
彼らは神と同じ最上位種と呼ばれ、下位の者達は絶対に彼らを殺す事が出来ない。彼らを殺す事が出来るのは同じ最上位種だけである。
彼らは危険すぎるため学校の教科書にも載り、会ったらすぐに逃げ政府に報告するようにといわれている。
王都東の砦に着いたザックス達は白いドグを見て驚愕しザックスが声を上げる。
「キングドグだと!?」
ドグの王様キングドグは魔神であり魔王である。
ザックスは深い溜息を吐き空を見上げた決意する。
「キングドグは俺が抑える。ジョルジュはドグ達を押し返してくれ」
「相手は魔神だぞ。死ぬ気か!?」
「俺しか足止め出来んだろ。時間が無い。行くぞ!」
王都に残っていた社員約六百人の大隊がザックスの号令で突撃する。家族を、友を、愛する者を護るため。
ザックス達の突撃にドグ達が慌てる。ドグ隊長がキングドグに尋ねる。
「奴ら突撃しますよ! どうします。総長!?」
「こらっ! 総長じゃない、王様と呼べ!」
「す、すいません。王様!」
「分かればいい。よし! 僕達も突撃だ! 君、一番槍ね」
「えっ?」
一番槍と言われたドグ隊長は、大剣を持ち鬼の様な形相で突撃してくるザックスを見た。
「僕には、あの突撃を止められません! 王様が行ってください!」
キングドグは、こっちに向かって突撃する、鬼の様な形相をしたザックスを見た。
「そ、総大将は後ろでどっしりと構えるのが仕事だ! 早く行け!」
「嫌だ!」
「ああっ、もういい。こいつの代わりに君が行くんだ!」
近くにいた、もう一体のドグ隊長に言う。
彼もまた、鬼の様な形相のザックスを見た。
「無理、無理、無理! あんなの止められないって! 総長が行ってください!」
「・・・僕にも無理だ!」
もうキングドグに総長を王様と訂正させる余裕はなかった。
そうこうするうちにザックス達が目前まで突撃してくる。
近づいてくるザックスに恐怖したキングドグは狙われないよう背中のファスナーを下ろしキングドグの衣装を脱ぎ捨てて逃げ出した。
「みんな、ごめんねぇっ!」
「総長ッ!?」
総長と呼ばれたレッドドグは部下を置いて一目散に逃げ去った。
王都を守るため決死の覚悟で突撃したのにキングドグが偽物で一目散に逃げるのを見てザックス達は唖然とした。その隙に他のドグ達も逃げ出した。
普段はフェニックス城の門番をしている警備隊長のボブがザックスに駆け寄り尋ねる。
「追いますか?」
「そうだな。お前は中隊二つを率いて奴らを追撃しろ。俺の所は一つで十分だ」
ボブは頷き二つの中隊を率いて追撃に向かいザックスは残り一つの中隊を率いてジョルジュ達とアヴァロン城へ向かった。
トトリの側で迎撃戦に参加していた姉妹はあの時のドグだと気付きドグ達を憐れんだ。
その後トトリ達はザックスとカトリーヌ親子に合流し、アヴァロン城へ向かった。
スティーブはエドガーに命じられ十五振りの剣を楓と一緒に運んでいた。
ガレックのせいで二人の雰囲気は最悪だった。お互い改善したいが話そうとすると、あの夜の事を思い出し言葉が出ない。
アッシュに剣を届けた帰り二人はこんな状況にした元凶であるガレックと再会する。
「「き、貴様ぁっ!」」
二人は剣を抜き容赦なくガレックに斬り掛かったがあっさりと躱された。
容赦なく斬り掛かってきた二人の斬激をガレックはあっさりと避け笑みを浮かべて言う。
「いい事した仲だというのに、斬り掛かるのは酷いだろ」
「うるさいっ!」
ガレックの発言を聞き楓は反射的に斬り掛かったがやはり簡単に避けられ同じように発言を聞いたスティーブは泣きそうな顔で楓を見る。楓はそれに気付き顔を伏せた。
「くっ! 楓は悪くない。悪いのは貴様だ! この鬼畜野郎!」
「ふんっ。負け犬の遠吠えだな。確かに俺は悪者だろうが一番悪いのは護れなかったお前だ」
そう言ってガレックはカードを抜いた。
「これが俺の切り札だ」
カードに魔力を込め現れたのは刀身が無く柄しかなかった。ただ、強烈な電気を放っている。
ガレックの武器を見たスティーブは怒りに震えた。
「馬鹿にしてグハッ!」
スティーブが言い切る前にガレックは柄だけの武器を使いスティーブを突き飛ばす。突き飛ばされたスティーブは電撃をくらいながら壁に叩きつけられその後に頭をぶつけ気絶する。
「スティーブ!?」
楓はガレックとスティーブの間に入りスティーブを守るため剣を構えるがその手は震えていた。何故なら楓はガレックの動きが全く見えなかったのだ。気付いたらガレックが攻撃し終えていてスティーブが突き飛ばされていた。
震える楓にガレックが尋ねる。
「そういえばお前、名前なんて言うんだ?」
「はっ?」
「俺とした事が名前聞くのを忘れたからな」
「あんたなんかに教えるはず無いでしょ」
「へぇぇ。じゃあ、そいつ殺すぞ。お前を拘束して、そいつの無残な死を見せてやる」
楓は涙目で睨んで言う。。
「・・・平山楓よ」
「そうか。じゃ、また会おう」
「えっ?」
ガレックは何もせず、城の奥へ歩いて行った。
助かった?
楓はその場で崩れ落ちた。助かった事への安堵と何も出来なかった事への後悔を胸に抱え。
その頃ガレックに囮にされて逃げ疲れたエドガーが空き部屋に身を潜め休んでいた。
ドアの向こうから近衛兵の声が聞こえる。
「いたか?」
「いや、こっちにはいなかった」
「そうか。こっちもだ。しかし何でエドガー様が?」
「そういえばお前キャンベル出身だったな。変な気起こすなよ」
「起こさないさ。俺には守るべき家族が居るんだ」
キャンベル出身、あいつか!
エドガーは昔馴染みと知り笑みを浮かべる。
「家族か。羨ましいな」
「お前も作ればいいさ。付き合ってる人がいるんだろ」
「彼女、何も言わずに実家に帰ったんだ」
「わ、悪い」
「いいさ」
「あれっ? でも変だな?」
「何が?」
「彼女、孤児だったはずだぞ。実家なんてあるのか?」
「メイド長が言ったんだぞ」
「・・・・・・もしかして、彼女、特別牢に行ったんじゃないか」
「ば、馬鹿言うなよ。特別、牢なんて」
「そ、そうだよな。彼女が行くはず無いよな」
「そ、そうだよ」
近衛兵達は乾いた笑い声を上げた。
「じゃ、じゃあ俺こっち捜すから」
「お、おう」
キャンベル出身の近衛兵がエドガーのいる空き部屋に入りもう一人の近衛兵が遠ざかる。
暫くしてキャンベル出身の近衛兵が声を掛ける。
「エドガー様。もう大丈夫です」
「助かったよ。ロイ」
そう言ってエドガーは姿を現した。
ロイと呼ばれた男は近衛兵の中で普通の男だった。強くもなく弱くもない。仕事も出来るわけでもなく出来ないわけでもない。ただ一つ普通じゃないのは若くて美人の妻が居ることだった。妻と一緒に幸せな家庭を築いている。それがロイという男の、表の顔だった。だが裏の顔は全く違うキャンベル家に使える忍それがロイの正体だった。
「いきなり乗り込んできたんで驚きましたよ。しかも真正面から」
「俺が悪いんじゃねぇ」
「分かってますよ。しかしどうするんですか? エドガー様の身元は割れてますよ」
「ジョルジュ様の許しと保護を得るため、ャック様を救出する」
「シェリア様が許しますか?」
「許さないだろうがジョルジュ様の許しは得られる。上手くやるさ。ジャック様の居場所、分かるか?」
「東の塔、最上階の部屋です」
「東の塔? 特別牢ではないのか?」
「はい。東の塔です」
「そうか。ちなみに特別牢って何だ?」
「・・・・・・仕事で失敗した使用人や、罪を犯した女性を捕らえ、シェリア様が直々に拷問する部屋です」
「・・・それって」
「エドガー様の考えてる通りです。ただ、今まで生きて出られた者はいません」
「そうか。まあ今は無視しよう。それより東の塔はどうなっている?」
「近衛隊の警備が厳重です。アッシュ様なら斬り抜けて行くことが出来ますが・・・」
「俺だと無理か」
「はい」
エドガーは暫く考え込み口を開いた。
「東の塔近くに空き部屋を用意出来ないか?」
「出来ます」
「では用意してくれ。そこに潜伏して機を窺う」
「畏まりました。しばらくお待ちください」
そう言ってロイは部屋を出て行き暫くしてエドガーの前に顔を覆面で隠した黒衣の男が現れた。
「影人(かげと)!?」
エドガーが驚く中、男は低い声で言う。
「主よ。私が任務でいない間に愚かなことをやってくれたようですね」
エドガーは言葉に詰まった。
彼の名は平山影人(ひらやまかげと)。エドガーの教育係をしていた忍の頭領で楓の父親である。
修行という名目で何度も殺され掛けたエドガーにとって彼は恐怖の対象でしかなかった。
「わ、悪かった。それより、任務はどうなった?」
エドガーは内心、怯えながら話題を逸らし報告を聞く。
「任務は無事成功しました。これでバルセ・ルナが攻めてくる事は当分ありません」
「そうか」
「それと、カトリーヌ大公が娘と紅い翼を率いて向かって来ています」
「ここにか!」
「はい。子供の救出のため利用するのがよいかと」
「お前は手伝ってくれないのか?」
影人は嘆息吐いて言った。
「テメェのケツはテメェで拭け。それが無理なら潔く死ね」
「はい!」
「覚悟決まったか。クソガキ。いいか。カトリーヌの許しを得るには最前線で戦い、真っ先にガキを救出する事だ」
「解りました!」
「傭兵共は俺が連れてきてやるから待ってろ。最後に」
影人が冷たく言い放つ。
「今回みたいな事をまたしてみろ。殺すぞ」
涙目になったエドガーを見て影人は部屋を出て行った。
その後、ロイの手引きによりエドガーは移動した。
ガレックは暴れていた。強烈な電気を放つ剣を巧に使い、殺さない様気を付け敵を倒す。気が付けば周りに敵はいなかった。
順調、順調。
少し息を切らしながら適当に歩く。そして部屋を警備する親衛隊を見付けた。
親衛隊か。あまり可愛くないな。しかし何でこの部屋を警備してるんだ? 取り合えず蹴散らして入るか。
ガレックは問答無用で親衛隊を叩き伏せ、部屋に入ったが普通の部屋だった。ただ一つ気になったのは壁時計が壊れていた。
ガレックは壁時計の周りを調べる。
こういう場合は何処かに隠し部屋が・・・
叩いた壁の音が一ヶ所だけ違っていた。
みっけ。きっとこの時計が鍵だな。
長針を回し続け、短針が一周した。
「・・・解るかぁっ!」
ガレックはカードを抜き、金鬼を使って壁を叩き破壊した。
壁の向こうには下に降りる階段があった。
ガレックは金鬼を仕舞い、階段を降りる。
一番下まで下りたガレックが見たのは、鎖で壁に繋がれた女達と拷問器具だった。
女達は暗い瞳でガレックを見る。
ふむ。どうするか。ここにいるのはそこそこいい女だし、今すぐ犯りたいが、ここは我慢だな。俺には目的がある。
「俺は紅い翼のガレックだ。お前等を助けてやる!」
そう言って歩き出し一人の女性の前に立った。
「今から鎖を銃で撃ち壊す。動くなよ」
女性が頷くとガレックは銃を抜き鎖を壊した。
「全員解放するから少し待ってろ」
解放された女性は頷いた。
ガレックは捕らえられた女性全員を解放し、一ヶ所に集めた。
あまり得意じゃないが、やるか。
「癒しの風を」
優しい風が女性達に流れた。
癒しの風は体力を回復させる魔法であり怪我を治す魔法ではない。
度重なる拷問で弱っていた女性達の顔色が少しよくなった。
これで歩くことが出来るだろ。しかし、こいつらを連れて行くことは出来ないしどうしようかな・・・・・・そうだ。あいつ等に任せるか。
ガレックは指を軽く切り、自身の血で歪な十字を書いた。
「来やがれ、奴隷共」
歪な十字が紅く光るとマリアとアリスが現れた。
いきなり転移したことに姉妹は驚く。
「えっ!? 何ッ!?」
「ここ何処ッ!?」
「よう、お前等」
「ご主人様!?」「ガレック!?」
姉妹は声を掛けられガレックを見て、自分達が召喚されたんだと悟った。
「おい、アリス。遂に呼び捨てか」
「あんたなんか呼び捨てで十分よ! それで、トトリさんとザックスさんが慌ててたけど、今度は何を企んでるのよ」
「内緒だ、内緒。教えるわけねぇだろ」
「いいわよ別に。どうせろくでもないんだから」
「それでご主人様。どうしたんですか? それに彼女達は一体?」
姉妹は傷付いた女性達を心配そうに見る。
「ここに監禁されてた女達だ。詳しい理由は俺も知らんが俺はやることがあるからこいつらの面倒を見ることが出来ん。お前等、こいつらを安全な場所まで護衛しろ」
「「はいっ!?」」
今回はいつもの巫山戯た命令ではなく人命の掛かった重要な命令だと姉妹は思い力強く返事をした。
「そうだお前等、杖を貸せ」
人としては最低だが錬金術師が杖を貸せと言ったのだ。こんな状況だし杖を強化してくれると期待して姉妹は大人しく杖を渡した。
しかしガレックは杖を受け取ると容赦なく二つ纏めてへし折った。
「「なっ!?」」
「何て事してくれんのよっ!?」
「杖なしで、どう戦えばいいんですかっ!?」
ガレックは杖を捨てて姉妹に尋ねる。
「お前等、魔法をどうやって使う?」
「呪文を唱えるか、魔方陣を描くかに決まってるじゃない」
「他には溜めた魔力をそのまま撃ち出します」
「ここにいるのは近衛兵だぞ。それも大国シンフォニアの近衛兵だ。お前等が詠唱や魔力を溜める前に銃で撃ち殺される」
姉妹はシンフォニアの兵士が全員銃を持ってる事を思い出した。
ガレックはカードを二枚抜き武器を渡した。姉妹は驚きのあまり口を開いて受け取る。
「最新の武器、魔法式突撃銃グリフォンだ」
武器を渡すとガレックは撃ち方を教え、教え終えると姉妹に言う。
「はっきり言って今のお前等が近衛兵に勝つのは無理だ」
「じゃあどうすんのよ」
「見付からないよう隠れて行動しろ。もし見付かったら銃を撃って物陰に隠れ足止めに徹しろ。お前等の魔力量は桁外れに高い、銃を撃ち続ければ長時間の足止めが可能だ。それに銃を撃ち続ければザックス達が銃声に気付き様子見に来てお前等を助けるだろ」
姉妹は納得して頷いた。
「それじゃ彼女達を頼んだぞ」
それからガレックと姉妹はそれぞれ行動に移った。
ザックス達は姉妹が消えて驚いたが今はガレックを止めなければならないからアヴァロン城へ急いだ。
城の門番はおらず、城内の近衛兵は皆倒されていた。
「ガレックの仕業だな。あいつアヴァロンを落とす気か?」
ザックスの言葉に、その場にいた全員が息を呑んだ。
「でもお父さん。この人達生きてるよ」
「問題はそこだ。女以外は問答無用で斬り殺す男が全員生かしてる。何か企んでるぞ」
「とにかく急ごう。取り返しがつかなくなる前に」
再び走り出そうとしたザックス達の前に影人が現れた。
他のみんなは知らないが王族であるジョルジュと傭兵を束ねることで裏事に精通するようになったザックスの二人は影人のことを知るが故に警戒し固い声でジョルジュが尋ねる。
「何の用だ? 平山影人」
「久し振りだなカトリーヌ大公。我が主からの伝言だ。御子息の居場所を確認した。御子息は東の塔最上階にいる」
「それは真(まこと)か」
影人は頷いて言う。
「近衛隊は親衛隊を含めてほぼ全てガレックの手により倒されている。残ってるのは御子息を監視している兵士だけだ」
そう言うと影人は音もなく姿を消しザックスは大きく息を吐いて安堵した。
「敵じゃなかったか。ジョルジュ急ぐぞ」
ジョルジュは頷き、ザックス達は走り出した。
電気を纏う大剣を持ちながらガレックは堂々と城内を歩いている。
そんなガレックを待ち構えるように進行方向上に私兵を連れた太った男がいた。
彼はガレックが近づくと声を掛ける。
「久し振りだな。ガレック」
「何の用だ? ロードレブ公」
「どんな依頼を受けたか分からんが、ここまで騒ぎを大きくしたんだ。もう後戻りは出来んぞ」
「だったらどうした?」
「私と手を組まないか? 私ならまだ揉み消す事が出来る」
「まっ、確かにこのままだとお尋ね者決定だな」
「そうだろう」
「だから遠慮するのは止めるわ」
ガレックはニヤリと笑うと銃を抜き驚くロードレブ公爵達を撃ち殺した。
ガレックは銃をしまうと公爵殺害の現場を隠れて見ていた人物に言う。
「すまなかったなぁ。こいつを殺して」
隠れても無駄と知り柱の影からミシェルが出て来て言う。
「いえ。どうせそのうち殺す予定でしたから」
「そのわりにはテメェで殺したかったと顔に書いてるぜ。ミシェル・ロードレブ」
「私の名前はミシェル・ニュートンだ。二度と私をロードレブと呼ぶな。汚らわしい」
ロードレブ公爵が無理矢理妾にした女それがミシェルの母だった。そしてその母を殺したのは父であるロードレブ公爵だった。もともと嫌っていたミシェルはその事で決定的に嫌いそれ以降母方の姓を名乗っている。
しかしガレックはその事を知らず初めてあった時に名乗っていたロードレブの方で呼んだ。
「悪かった」
嫌っていたことを知るガレックは素直に謝りミシェルが来た目的をすぐに予想し当たっているか確認する。
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