紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

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第二章 戦場に舞う天使の涙

第七話 好きな武将は前田慶次郎利益

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 ガレックはアリーシャ達に尋ねる。
「ジークタウンに向かうのはいいが、どうやってダルマスカを抜けるんだ?」
 ガレックは平然を装っているが尋ねるがガレック自身お尋ね者である。手荒な事はされないが捕まったらシェリアの傍での生活を余儀なくされ勝手気ままな生活が出来なくなる。
 同盟国のクラフトにも捕まえるよう連絡が来ているだろうからガレック自身ダルマスカを抜ける方法を探しているのだ。
「本当は使いたくないんだが空中戦艦鳳凰を使う」
「空中戦艦?」
 ガレック達は首を傾げるが鳳凰を知るリッカと精霊達は驚愕する。
「ダルマスカには鳳凰があるの!?」
 ルドルフ達は頷き驚きのあまり尋ねてしまったリッカにガレックが尋ねる。
「何か知ってるのか?」
「ええ」
 何処まで話すか? 幸い勘違いしてるし、このままにしとこ。
 鳳凰は空を飛べるが空中戦艦ではない、宇宙にも行けるが宇宙戦艦ではない、鳳凰は異世界へと侵攻するためにアルバ帝国が造った時空戦艦である。
 アルバ帝国とロベリア神建国、そして古い種族が情報を秘匿しているため、この世界ラテスは歪な発展をしている。
 最近飛行機が登場した世界にとって空中戦艦はオーバーテクノロジーである。ましてや時空戦艦ともなれば世界大戦の引き金になりかねない。
「私って結構いろんな所に行ってるのは知ってるでしょ。その旅先で知ったんだけど空中戦艦鳳凰って世界各地でたまに発掘されるの。そしてその全てが破壊されている。たまたま破壊する現場を見たんだけど破壊してたのは天使だったわ」
「ふぅん。でもよく分かったな。空中戦艦だって、ましてや戦艦の名前が鳳凰だって」
「風香達が知ってたのよ」
 いきなり丸投げされ精霊達は驚く。
「へぇ、やっぱアルバ帝国が造ったのか?」
 丸投げされ尋ねられた風香は表情には出さず内心慌てて話す。
「うん。最古の錬金術師シャルロットだよ」
「伝説の錬金術師じゃねぇか! まだ生きてるのか?」
「生きてるよ」
「不老不死かよ。化け物だな」
 シャルロットを知るリッカと精霊達は苦笑いを浮かべる。
 シャルロットは経緯こそ違うがレイジと同じ人から神になった人物である。
 当然女神なので巫女の家系に連なるマリアがムッとして言う。
「御主人様。シャルロット様は化け物なんかじゃありません。発明の女神と呼ばれる建国皇ガレイク様の妻の一人です」
 シャルロットはよく物作りをするため発明の女神と勘違いされるが彼女は発明の女神ではない。電脳の女神である。しかしこの世界にまだコンピュータがない時に暇潰しと楽するために物作りをした結果、発明の女神と呼ばれるようになった。
 リッカはガレックの前で正体を悟られたら拙いために口を閉じ、後で巫女として建国皇ガレイクを含む神々の説明をしようと思った。
「分かった。分かった。(しかしガレイクはハーレム野郎か。死ねばいいのに)さて、リッカの話しだと鳳凰は天使に目を付けられてるらしいが大丈夫なのか? その前に動くのか?」
「大丈夫だ。我々が見付け我が国の錬金術師を使いメンテナンスもした。ちゃんと動く」
「そうか」
 動くと聞きリッカが精霊達に念話をする。
『全員集合』
 精霊達は頷きリッカと意識をシンクロさせ精神世界に入る。

 リッカの創った精神世界はレイジの世界を参考にして創った精神世界であるため所々似ている。大きな違いはレイジの世界はレイジの気分で時間の流れが変わるがリッカの世界は時間の流れがほぼ止まった現実世界の一瞬で精霊達と相談するために創った世界である。
「さて、どうする?」
「当然破壊」
 リッカの問いに雫が答え他の精霊達も頷く。
「まあ当然よね。でもどうやって? 風香、場所分かる?」
「さすがに分かんないよ。ダルマスカの精霊はシンフォニアにいた私達を歓迎してないから」
「他も一緒?」
 精霊達は同意する。
「場所が分からないと動けないわね」
「動けても派手な行動は出来ない。リッカの顔は割れてないけど私達の顔は向こうに知られている」
「クラフトは天上の勢力下、侵攻を受けたダルマスカも時間の問題だもんね」
 雫の言う事に風香が補足して雫がまた話す。
「クラフトには熾天使がいる。彼が出てくると私達には勝ち目がない」
「風の熾天使ユーリ・ラファエルね」
 早樹が熾天使の名前を言い、雫が忌々しく言う。
「熾天使のくせに下界を旅する変わり者、迷惑」
「私は面識ないけど、夏希、どんな天使なの?」
「うん。ああ、強いけど何を考えているか分からない。あの天使とは殆ど面識ないから、面識があるのはレイジとカミーラだ」
「天使の事をレイジに聞いても無駄よ。彼は天使について何も語らないわ」
 早樹が話しを補足して雫がレイジの行動を話す。
「戦いながらよく話し掛けていた」
「たまに保護していたわね」
「つまり謎って事ね。鳳凰を動かしたら来ると思う?」
「間違いなく来る」
「鳳凰で熾天使に勝てる?」
 リッカの質問に風香と雫が答える。
「鳳凰だけじゃ無理。足止めも出来ない」
「的が小さすぎて当たらない」
「倒すのは無理と、じゃあ、逃げ切る事は?」
 少し考えて風香が言う。
「分からない。戦艦として当時最速だったけど相手は風の熾天使、逃げ切れるか微妙。光速移動したら間違いなく逃げ切れるけど、この星から飛び出ちゃうし、時空移動するかも」
「それに光速移動は準備に時間かかるのよね」
「待ってる間に蜂の巣」
「どっちにしても無理だけどな」
「無理ってどういう事?」
 リッカの質問に早樹が答える。
「どちらも莫大なエネルギーが必要でシャル(シャルロットの愛称)は後の世界環境を考え神力をエネルギーにしました。つまり神力を扱えないと全システムを使う事は出来ません」
「今は使えないって事ね」
 神力は万物を創造し破壊する力。それ故扱いが難しく生まれながらに使える神々や聖獣でないと長い修行が必要となり修行しても身につくとは限らない。
 レイジの巫女であり使徒であるリッカはレイジを含めた神々が英才教育した御陰で使えレイジと契約していた精霊達も使える。
「正体を明かすなって命令だしね」
「天使が来るのはほぼ確定、私達は表だって行動出来ない。無理じゃない? 完全な負け戦じゃない」
「負け戦なんて、慶次かレイジだね」
 千年近く生きてるが慶次という人物を聞いた事がないリッカは風香の話しについていけず素直に尋ねる。
「慶次って誰?」
「レイジが好きな大昔の武将じゃ分からないか、英雄だよ」
「どんな人だったの?」
「レイジと同じで負け戦が楽しいって言う変人」
「変人?」
 困惑するリッカに早樹が言う。
「詳しくはレイジに聞いたら喜んで話すはずよ」
「そうするわ。話しを戻すわね。どのみちダルマスカを出ないと行けない。私達だけなら簡単にできるけど人数が多いしバレる訳にはいかないから全力は出せない。鳳凰で突っ切るしかないかな?」
「墜落される事を想定して全力防衛ね」
「爆発したら終わり」
「爆発しないように墜ちないと」
「ハードすぎ、どんな無理ゲーだって」
「ガッ君のゲーム好きもそうだけど風香もゲーム好きよね」
「ようやく時代が追いついた!」
 テンション高く叫ぶ風香に夏希が冷たく言う。
「こういうのをオタクって言うんだ。これがさらに酷くなると家に引きこもるヒキニートとなる」
「ガッ君がそうならないよう気を付けないと」
 リッカの呟きを精霊達は複雑な顔で見る。何故ならレイジはまだ人間だった頃ヒキニートだったからだ。この世界ではまだあまり普及されてないが株で一気に金を稼ぎ後は自堕落な生活を送るダメ人間、それが紅月玲司である。そしてレイジとガレックは同じ魂、根本的な考え方は同じだ。すでに人格は完成されガレックとレイジは同じ性格をしている。すでに手遅れである。
 話題を逸らすために夏希が話す。
「さて方針は鳳凰に乗って逃げるそれでいいか?」
 全員が頷きリッカが言う。
「可能性は低いけどもし天使が襲ってこなかったら頃合いを見て私達の手で墜落させる。それでいいわね。じゃあ戻りましょう」
 リッカの言葉に頷くと現実世界へと戻った。

 現実世界に戻ると当然時間は進んでおらずガレックが続きを話す。
「じゃあ、取り合えず・・・当たれ!」
 そう言いながらガレックはカードを抜いて投げる。カードは金鬼となり飛んで行き何かに当たり割れた音がした。
「よし当たった。ナイスコントロール俺」
「もしかしてドグ?」
「相変わらずドグを見付けるの上手いわね」
「そして容赦ない」
「ドグは死ねばいい。と言うわけでシャーリー、金鬼を拾って逃げたドグを殲滅しろ二体逃げてる」
「めんどくさいから嫌れす」
「さっさと行け」
「分かったれす」
 シャーリーは命令に逆らえず逃げたドグを殲滅しに向かった。
「さて、話しを再開しよう。鳳凰に乗って逃げるって事だが天使が来たらどうするんだ? 逃げ切れるのか? まさか戦う訳じゃないよな」
「当然だ。いかに鳳凰といえど人間が天使に勝てるわけがない。無謀な戦いはせずダルマスカを脱出しクラフトを抜けたら頃合いを見て鳳凰を廃棄する予定だ」
 神に仕える天使は魔神や魔人を殺すため同じ力を持っていると云われている。
「廃棄って、もったいねぇな」
「あんな大きな物に乗って逃亡なんて出来ん。それに燃料が足りん」
「そうか」
 廃棄するならゴミだな。ゴミを拾っても誰も文句言わんだろ。
 ガレックはニヤリと笑って言う。
「方針はとにかく逃げるだな。シンフォニア・クラフト同盟軍に追われ、天使まで来るかもしれない。来たら笑えるな」
 ガレックが浮かべた獰猛な笑みにリッカと精霊達以外全員が畏れた。ちなみにシャーリーはドグを追い掛けているためこの場にいない。
「昼間は暑い、リッカが来た事で車が二台ある事だしこのまま一気に行こう。メンバーは・・・」
「私とそっちの姉妹後はお姫様達ね。ルドルフさんには悪いけどガッ君と一緒でお願い」
「おいコラ、勝手に決めんな。リッカ」
「あら、いいのガッ君?」
「何がだ?」
「男の人が自分の目の届かない場所で女の子に囲まれてるのよ」
 って言うか私の方が一緒に居たいっつぅの! それに、何でよりによってトトリと一緒にしなきゃなんないのよ!
「それはいかん。いかんぞそれは」
「でしょ」
 二人のやり取りを見てルドルフは思う。
 アリーシャ様の傍を離れたくはないが精霊様と契約出来る人だ。大丈夫だろう。それにこの男がアリーシャ様の傍にいないだけマシか。
「っと言うわけで、食事と後片付けが終えたら出発しましょう」
 全員頷き食事を再開させた。
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