紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

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第二章 戦場に舞う天使の涙

第十三話 想定外 上

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 辺り一面真っ白な世界にたった一人アリーシャはいた。
 ここは何処?
 不安を感じながら辺りを見回すと突然声が聞こえた。
「おおアリーシャ。死んでしまうとは情けない」
 慌てて声のした方を見ると先程はいなかった白いフードを被り顔の見えない青年がいた。
「反応無し。つまらん」
 青年がそう言うといつの間にか現れた黒髪に紅い眼の美女が呆れながら言う。
「それが普通よ。いきなり訳の分からない空間で訳の分からない事言われたら」
「訳が分からないって事実だろ」
「っま、そうだけどねぇ」
 二人の会話を聞いてアリーシャは青年が最初に言った事を思い出す。
 死んでしまう? 死んだ? 私が?
「あれ? もしもぉし? 聞いてる?」
「はっはい!」
「お、よかった。よかった。いや、よくはないか。死んじゃったんだし」
「死んだって私がですか?」
 アリーシャは泣きそうに顔を歪めて尋ね青年は困ったように笑いながら答える。
「うん。残念だったね。首がポッキリいっちゃった」
「首が、ポッキリ」
「鳳凰が墜落したのは覚えてるかな? 墜落した時に打ち所が悪くてね」
「そんな・・・」
「他のみんなは全員無事だったけど君一人、残念」
 そう言って青年は合掌し黒髪の美女は青年に言う。
「追い打ちを掛けるな。まぁ、貴女一人死んだのは事実よ。・・・残念」
 美女がそう言うとまたいつの間に現れたのか金髪に蒼い眼の美女が青年と黒髪の美女の頭をハリセンで叩いた。
「軽すぎです。二人共。もう少し死者を労って下さい」
「そう言うけどな。アリア。死んだばっかの奴に会うのは初めてなんだよ」
「私の場合、見付けたら滅してたから会話自体初めてなのよ」
「それでも少しは労って下さい」
「了解」「分かったわ」
 青年はアリアと呼ばれた女性から再び視線をアリーシャに戻して話す。
「さてアリーシャ、さっきも言ったようにお前は死んだ。死んだが、運が良かったな。今死んで」
「こらレイジ、死んだのに運がいいと言われたら混乱するし怒るぞ。ちゃんと説明なさい」
「へいへい。運がいいと言った理由は医者とトトリが一緒だからだ。ホムンクルスを創った事で分かる、いや、ある程度知識がないとわからんか。まぁとにかくトトリは生命の研究をしている。そのおかげでお前は死んだにも関わらず魂を現世にとどまらせている。医者が身体を治して魂を身体に戻す。死にはしたが生き返れる。だから良かったなっていったんだ」
「そうですか」
 ホッとしたアリーシャにレイジと呼ばれた青年はニヤリと笑って言う。
「何を安心している。今のお前はメチャメチャ危険なんだぞ。身体という鎧がない今お前の魂は無防備だ。身体が必要な上位種以下の魂は触れた瞬間吸収されて存在は消滅する。それだけじゃない。魂は生者には分からない匂いを発する。その匂いにつられ魂を捕食する者と魂を保護し輪廻の輪に送ろうとする者、いわゆる死神って奴が来る。死に神ならまだマシだが、捕食されたり吸収されたりしたらお前という存在は消える」
 アリーシャは青い顔をしながら尋ねる。
「貴方の言った事はおそらく事実でしょう。ですがどうして私の事を知ってるのですか? 貴方は誰ですか?」
「はい減点。どうして? 貴方は誰? 察してるんでしょ神様だって。それは正解。じゃあ何故呼んだのか。その理由はお前のご先祖様だ」
「えっ?」
「これ以上は言わん。知りたければ自分で調べろ。この世界に呼んだのは魂の保護、この世界にいる限り死神だろうが捕食者だろうが寄せ付けん。生き返るまで気長に待て」
 そう言ってレイジは指をならし白い世界は林檎の木に覆われた夜の世界へと変わった。
「やはりこの世界だな」
 レイジの言う事に女神達は頷きアリーシャは突然世界が変わった事に戸惑った。
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