紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

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第二章 戦場に舞う天使の涙

第十三話 想定外 下

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 時は遡り鳳凰墜落直後、ガレックとリッカは気絶することなく墜落の衝撃に耐えた。
「痛ってぇ、死ぬかと思った」
「ホント、今回はダメかと思ったわ」
「無事だったか。リッカ」
「ええ。そっちは・・・大丈夫?」
 ガレックの左腕は有り得ない方向に曲がっていた。
「完璧に折れた。っつぅ事で、雫、治してくれ」
 ガレックの隣に雫が現れた。
「私でいいの? レヴィアって言う医者もいるのに」
「お前ならすぐ治せるだろ。だから、我慢する」
 ガレックは少し涙目で顔を湯が得てそう言った。
「まぁ、そっちがそれで良いなら良いけど」
 そう言って雫は精霊魔術で水球を創った。ガレックはその水球にものすごく嫌な顔で折れた左腕を突っ込みそれを見て雫が言う。
「じゃっ、始めるよ」
 そう言うと水球の中にあるガレックの左腕はすぐに元の位置に戻り骨折は治った。
「治ったよ」
「・・・くぅうう、ああ、相変わらずメチャクチャ痛ぇ」
 治癒魔法には無属性と属性の付いた治癒魔法がある。
 無属性の治癒魔法は誰でも痛みを感じさせることなく治す事が出来るが属性の付いた治癒魔法はその属性の者以外の者を治すと治りはするがものすごい痛みに襲われる。
 この事は当然ガレックも知っている。では何故雫に治癒魔法を頼んだかというと属性の付いた魔法の方が早く完治するからだ。
 ちなみに雫は水の精霊ゆえ水属性の治癒魔法しか使えず他の精霊達も同じように自身の属性しか使えない。
 ガレックが雫を選んだ理由は一番魔術コントロールが上手いからである。
 腕が治ったのを観てリッカが提案する。
「それじゃあ、みんなの無事を確認しましょう」
「そうだな」
 そう言ってガレックはトトリを見てその隣にいるシャーリーを、そして姉妹を見てアリーシャを観て、固まった。
 あれ? 首ってあんなに曲がったっけ? ってか、息してなくね。
 ガレックはアリーシャに近付き脈を確認する。
 死んでる? ヤッベェ!
「おいリッカ来てくれ!」
「どうしたの?」
「こいつ死んでやがる!」
「嘘でしょ!?」
 リッカも同じように慌てて脈を取ったが脈はなかった。
「どうしよ?」
「どうしよって、そうだ! 精霊眼で幽霊とか魂とかって見れないか?」
「見ようと思えば見れるけど、捕まえられないわよ」
「そっちはトトリがいるから何とかなる。そう言うわけで起きろトトリ!」
 そう言ってガレックは気絶するトトリに近付き口に指を突っ込んだ。
「ッウェッ! ハニッ! ハニフンホッ! ハカッ!」
「おお! 起きたか」
 そう言ってガレックは指を抜いた。
「いきなり何すんのよ!」
「緊急事態だったからな。一発で起きる方法を取った」
「他に方法があるでしょ!」
「まあその話しは置いといて、緊急事態だ」
「何よ。くだらない事じゃないでしょうね」
「墜落したのは分かるな」
「ええ」
「そのせいでアリーシャが死んじまった」
 そう言ってガレックはアリーシャを指差しつられて指で指された方を見てトトリが叫んだ。
「嘘でしょ! っえ、どうすんのこれ!?」
「お前魂を拘束する道具作った事あったろ。あれ持ってないか」
「ええっ!? あれ使うの!?」
「他に方法無いだろ」
「でも、あれ使うと変な化け物寄ってくるんだよ」
「リッカ達がいるから何とかなるだろ」
 傍で話しを聞いていたリッカが尋ねる。
「化け物って何?」
「幽霊が見えるって奴と協力して魂を拘束する道具を作って実験のため魂を拘束したんだけど、実験成功だって思っていたらメチャクチャ強い化け物が現れてな。物理攻撃が一切効かず魔法攻撃もあまり効果がない最悪の敵だった」
「へぇぇ。それで、その化け物はどうしたの?」
「手に負えないから放置して逃げた・・・・・幸い山奥で実験したから被害はない」
 本当はシンフォニア王都ダン・エイルにある幽霊屋敷でやったのだがリッカの目が恐かったのでガレックはとっさに嘘を吐いた。
 ちなみに被害の方は本当に無くあの化け物が何処から来てどうなったかは未だに分からない謎である。
「・・・どうなっても知らないわよ」
 ガレックと同じ体験をしたトトリは嫌そうに魂を拘束する道具を出した。
「ちなみにこれってどうやって使うの?」
「まあ、ぶっちゃけ運だな。魂を拘束するが無差別に拘束するんだ。だから魂が見れる奴が必要なんだ。アリーシャの魂が見つかるまでキャッチアンドリリースだ」
「本当に運次第なのね・・・」
「ああ。その間に雫、アリーシャを治してくれ」
「了解」
 そう言うと雫はあっという間に首を治しトトリとリッカによる魂のキャッチアンドリリースを繰り返した。

 暫くしてようやくアリーシャの魂を捕まえたトトリはアリーシャの前に拘束具を置いた。
「さてと、どうしよっか?」
「肉体と魂は結び合う物だろ肉体に放てばいいんじゃねぇ?」
「相変わらず適当ね。でもそれしか方法がないか・・・」
 そう言ってトトリはアリーシャの魂を肉体へと放った。アリーシャの魂は無事に肉体へと戻りアリーシャは目を覚ました。
「おお、生き返った」
「良かった」
「あの化け物を何とか出来たら売れるんじゃね?」
「リスク高過ぎよ。諦めなさい」
 そうやって売れるかどうか話してるガレックとトトリに死んでたという自覚があるアリーシャが言う。
「あの皆さん。この度は危険を冒して私を助けて下さりありがとうございます」
「何で危険だったって分かる?」
「信じられないかもしれませんが神様に会いました。そこで神様に魂の状態だと魂の捕食者を呼び寄せると聞きました」
「魂の捕食者?」
「とても危険な存在だと聞きました」
 ガレックとトトリは一度会った事がある化け物を思い浮かべた。
「それとガレックさん。神様からの伝言です」
「俺かよ。何だ?」
「思い出せ」
「はっ?」
「以上です」
「どういう事だ?」
「分かりません。ですが、これだけを伝えろと言ってました」
「思い出せって何をだよ」
 リッカと精霊達以外は首を傾げた。
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